長い髪を振り乱しながらこっちへ向かって走ってくる若い女の姿が俺の目に飛び込んできた。真っ赤なロング・コートが目に痛い。
俺の良すぎる視力は、その下のボディ・ラインがくっきりと浮かぶようなスーツ姿をしっかりと捉えていた。
さらにミニ・スカートの裾から見え隠れする肉付きの良い太腿はたまらなく疲れた脳への栄養源となる。
俺は、『お前みたいな女には、興味がない』といった素振りを装いながらも視線だけはその部分からそらさなかった。
その女は、しきりに後ろを振り返りながら何かから逃げるように走っている。
商売柄、女に縁がない俺はゆっくりと歩きながら考えた。
声をかけるべきか、それとも無視して無言で通り過ぎるか。
決断を下すには、まだ早い。
女の顔と年齢を確認するまでは。
この暗い夜道では、いくら目が良い俺でも判断を誤ってしまう。
ブスや年増、いや、その両方を兼ね備えた女に声をかけてしまっては時間の無駄となってしまう。
俺は、確実に確認ができる距離になるまで交互に動く美しい太腿を鑑賞しながら歩き続けた。
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Written by 新人太郎
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