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  第七章

山の向こうで雷が鳴った。
 いつ夕立が始まってもおかしくないほど吹く風は生ぬるい。だが、鎮守の森に駆け込んだ小野寺士朗と山本孝次は、石段に腰かけ、小刻みに震えていた。
 士朗が手にした数葉の写真が、カサカサ音を立てて擦れている。
(蛍子ちゃん……)
 四半世紀を費やし、蛍子の死を受け入れてきた士朗だったが、その労苦は一瞬で瓦解していた。なにもかも振り出しに逆戻りだ。いや、それだけではない。ぽっかり空いた心の裂け目から、どす黒い汚濁が吹き上げている。
(ちくしょう……)
 無垢な少女を無残な死に追いやった四人の悪鬼たち……。戦後、民主主義だ平和だと声高に叫び、萌葱村を牛耳ってきた萌葱村の四天王……。その男たちがさらに多くの人々を巻き込んで、再び動き出したのだ。
(もうこれ以上、やつらの非道は許さない……。例えそれが実父であろうとも……)
 そう決意したとき、士朗の震えがピタリと止まった。
 だが、正攻法が通用する相手ではなかった。四天王にしてみれば、士朗すら一介の敵なのだ。こちらが強硬な手段に出れば、まず間違いなく瑞枝たちは消されるだろう。四天王にはそこに至るだけの動機があり、かつ実行の手段も持っている。
 士朗は静かに息を抜き、傍らの少年を見た。
「孝次くん、こっちから飛び込んでみよう。それしか方法はない」
 孝次は無言だ。士朗に向けられた目は恐怖と必死に闘っている。
「孝次くん、辛い思いをするかもしれないが、やらなくちゃだめなんだ。大事な人は自分の手で守るんだ。分かるね?」
 すると、孝次は小さく頷いた。


          *          *


 士朗と良太。
 その背後には孝次と誠司。玄関先の睨み合いは十数秒続いただろうか。
 先に口を開いたのは良太の方だった。
「なにしにきた?」
 良太の問いに、士朗は孝次の首根っこを掴んで差し出した。
「こいつに助けを求められた」
「それで?」
「迷ったが、断った」
「どうして?」
「家族と故郷はここだけだ」
 良太が士朗の目をじっと見据えた。互いに探り合うように、瞬きひとつしない。と、良太が路地に出て、右手の家屋を指差した。
「あそこで休んでてくれ。悪いが見張りをつけさせるぞ。おまえを疑ってるわけじゃないが、これも仕事なんでな」
「ああ、分かってるよ」
 見張り役に誠司を置き、良太はひとり左隣の家に向った。


          *          *


「うむ、見事な白さだ……」
 開帳されたマリの秘所を覗き込んで、四天王は銘々にため息を漏らしている。若い頃から遊び慣れているとは言え、こうして処女肉を間近にすることは蛍子を除けば皆無だったし、白人ハーフの美少女となればなおさらだ。
「……さて」
 首領格の風間がおもむろに居住まいを正した。仲間たちも顔を上げ、次の言葉を待っている。
「あー、恥ずかしながら、ここ最近、わしはナニの具合が悪い。みなはどうかな?」
 風間は齢八十五である。八十二歳の林と七十九歳の藤波は所在無くはにかんだが、七十五歳の小野寺だけは「いやあ、わたしも……」と言いながら、どこか自信を覗かせていた。実際、月に一度は芸者と遊ぶ現役だった。
 風間が続けた。
「そうかそうか……。でも、せっかくのご馳走だ。見て、触って、舐めるだけではもったいない。そうだ。十分交替で尺八をさせて、立った者から順番にいただくというのはどうだ?」
 風間の提案を断る理由はなく、また、彼の発議は命令と同義なのだ。一同はにっこり笑って快諾し、ここに囚われの少女を囲んでの宴席が始まることとなった。むろん、最初に箸をつけるのは風間である。
「さて、お嬢ちゃん。覚悟はできとるかな?」
 マリは逆さまにしたちゃぶ台に括りつけられ、失神するほどの羞恥で悶絶していた。身につけているものはわずかにブラとショーツの切れ端だけで、処女の恥部は剥き出しだった。
(ああ、もうだめ……。孝次くん、ごめんね……)
 マリは両手をきつく握り、両目もつむって、これから始まる陵辱に備えている。心の中で孝次の名を唱えることだけが、唯一無二の心の支えだった。
「ふふふ、父親以外のナニを見るのは初めてかな?」
 風間が老醜はなはだしい股間をさらけ出した。陰毛が真っ白なだけに、肉塊の黒ずみが際立っている。
 風間はふと考え込むと、小野寺に空のみかん箱を持ってこさせ、その上にちゃぶ台ごとマリを載せた。膝立ちになった風間の逸物とマリの口元が同じ高さになる。
「うむ、これでいい……」
 緊縛されたマリの四肢が垂れて、花のように開いている。支えを失った頭部はのけぞり、細い喉元を無防備にさらしていた。
 風間は萎びた肉塊を、マリの鼻先にグリグリと押しつけた。
「さあ、これを咥えるんだ」
「ひっ!」
 目を開けたマリは異形の肉棒を前にして、驚きのあまり全身をすくませた。額には、これもまた醜悪な肉の袋がペチペチと当たっている。
「歯を立てたら、ただじゃすまんぞ。おまえがじゃない。あのガキがだ」
「ひっ、ひっ……」
 叫び出しそうになるマリを、風間は軽く平手で打った。
「ひっ!」
「ガキがどうなってもいいのか!」
「……?」
「いいか、よく聞け。わしらはいつでもおまえの指を切り、耳を削ぎ、目玉をくり抜く準備がある。それをしないのはなぜだと思う?」
「……?」
「あのガキがおとなしくしてるからだよ。わしらの命令に従ってるからだ。いいか、逆のことを考えてみろ。今後、おまえがわしらに逆らうようなことがあれば、ここにやつの指や耳や目玉が届くことになる。分かるか? おまえがひとつ逆らうだけであのガキの指を切り、耳を削ぎ、目玉をくり抜くんだ」
 マリの瞳孔がキュンとすぼまった。あまりの恐怖で呻き声も出せない。
「分かったか? おまえが無事でいられるのは、あのガキが耐えているからだ。なのにおまえはちょっとの我慢もできないで、あのガキの思いやりを台無しにしようとしている。情けないとは思わないのか? 実に嘆かわしいことだ」
 無茶苦茶な論理だったが、完璧な論理でもあった。実はこの策略、良太が四天王に吹き込んでいたのである。
「分かったら、ほら、さっさと口を開けろ」
「あ……」
 マリがすっと瞼を閉じた。溜まっていた涙が、つーっとこめかみに伝って流れる。そして、マリは孝次のために咽喉をさらけ出したのだった。
「もっと開けろ。歯医者に見せるようにだ」
 顎を外さんばかりにマリが大口を開けた。きれいに並んだ白い歯の奥で、真っ赤な舌がわなないている。
「よーし、いい子だ……」
 そこへ風間の逸物がすべり込んだ。
「むっ! むむっ!」
 マリはむせ返りそうになったが、それを懸命にこらえ、とにかくこの肉棒を傷つけまいと努めた。今後はひとつひとつの動作に、孝次の生死がかかっているのだ。
「ふふふ、そうそう……。素直にしていれば、気持ちいいこと以外はしないからな……。こんなかわいいお嬢ちゃんに青あざは似合わん……」
 そう言いいながら風間は腰をぐいっと押しつけ、マリの口をすっかり塞いでしまった。
「むぐっ! ぐむうううっ!」
「うむ、いいぞ……。お嬢ちゃんの口は温かいのう……。よし、それじゃあ、吸いながら舌を絡ませるんだ。そうだな、アイスキャンディーを舐める要領でやってみろ」
 息を止めていたマリは、ぶはーっと派手に息継ぎをしてから、屈辱の男根舐めを開始した。
「ほれほれ、もっと絡めて……。よしよし、その調子だ……」
 ハーフ少女の尺八初体験を食い入るように見ていた他の三人は、区切りがついたことに安堵したのか、それぞれの持ち場に手を伸ばしはじめた。マリの左右に陣取っている林と藤波は、たわわに実った乳房に吸いつく。
「むっ! むふうっ!」
 マリが激しく呻いた。またひとつ、処女地を征服された悲しみは大きい。
「んー、いいのう! これだから若い娘の乳はたまらん!」
「わはは! でかいのなんのって、さすがは西洋人だ!」
「むぐうっ! むむむっ!」
 つきたての餅のような乳房は根元からギュッと絞られ、グニャリグニャリと揉み込まれてゆく。林と藤波はしごくご満悦だ。西洋女の迫力ある手応えの中にも、日本女の肌のきめ細かさが感じられる。まさにつきたての餅そのものなのだ。
「さて、それじゃあ、わたしも御相伴に……」
 末席にいたはずの小野寺は、特上の貝料理にありつけて破顔の極みだった。かわいらしく折り畳まれた花びらはもとより、下から眺める量感たっぷりの太腿や腰回りは、この娘がまだ十五歳だということを忘れさてくれる。
 若き日、西洋の裸婦画を見て感動したことがあったが、いまの心境はまさにその再来だった。薄皮を破らんとする女肉の充実は、無限に広がる母性の可能性に満ちている。
「ふふふ、どれ……」
 小野寺は無気味に笑うと、両のてのひらをマリの内腿にあてがった。
「んふっ!」
 マリがまたひとつ呻く。喉を塞がれ、両の乳房を弄ばれているからこそ、新しい刺激に敏感になっているのだろう。小野寺は円を描くようにマリの内腿をさすりつつ、徐々に腿のつけ根へ接近していった。
「むっ……。むむっ……」
 いよいよ一番大事な部分を嬲られると知って、マリの呻きが一層高ぶった。柔肌の上を滑る小野寺の指先が、まばらな恥毛の生え際をかすり、右から左から弧を描いて女体の中心部に忍び寄ってくる。
「むっ! むむっ!」
 大陰唇を捉えた指先が急に勢いを増した。肉の亀裂を左右に割り開き、中に折り畳まれていた淡い色合いの肉びらを強引に引っ張り出す。
「むむっ! むふうーっ!」
「おやおや、お嬢ちゃんの花びらが満開だ」
 過敏な粘膜が外気に触れ、マリはぞくりと寒気を覚えている。たが、一転、今度は灼熱がやってきた。小野寺が臆面もなく女芯にむしゃぶりついたのだ。
「んーっ! 美味い! 美味いぞ!」
「むぐーっ! むむーっ!」
 ロープを軋ませて、マリの背筋が反り返った。肘と膝を固定されているため、真上に臍を突き出す格好になっている。結果、口に突き立てられている風間の男根をより深く飲み込んでしまった。
 そして、守ったはずの股間も大きく突き出されて、まんまと小野寺の餌食になっている。
「おー、よしよし。もっとか? もっと舐めて欲しいんだな?」
「むむむーっ! むーっ! むーっ!」
 あまりにマリが暴れるため、みかん箱に載ったちゃぶ台が不安定になった。
「こらっ! 痛いわけじゃなかろう! じっとしとらんか!」
「むひっ!」
 風間にピシャリと頬を打たれ、マリの身体がかじかんだ。だが、股間を縦横無尽に舐め回されるおぞましさは、もはや理性で押さえ込める範疇を超えている。またしても、緊縛された四肢を再度ギチギチ鳴らしてしまうのだった。
「このアマ! 静かに……」
 風間が再度手を振り上げたところへ、コホンと咳払いをして良太が割って入った。
「……ちょっと失礼」
「おお、良太か。で、戻って来たか?」
「はい。実は……」
 良太は風間の耳元に口を寄せ、士朗と孝次を別棟に拘留している旨を伝えた。ふむふむと聞いていた風間がわずかに困った顔をして、良太の顔を窺った。あらかじめ策を練っていたのだろう。良太はひとつ頷いた。
「終わりましたら電話を。瑞枝の家におります」
「よし、おまえに任せたぞ」
「それでは……」


          *          *


「ああ、もう十分か……。さ、次は小野寺さんですな。わたしの分も頑張ってください」
「それじゃあ、失礼して……」
 三十分が過ぎて、ようやく小野寺の順番が回ってきた。ということは、風間たち三人は勃起できなかったのだ。たどたどしいマリの口技に問題があったわけではない。その証拠に、小野寺はマリの肉溝を舐めているときから、先走り液で猿股を濡らしていた。
「ではでは……」
 小野寺は内心自慢げに、表面上は謙遜を装って男根を露出した。仲間たちの羨望の目が一点に注がれる。その中にいくばくかの反感を嗅ぎ取り、小野寺もまた密かに反発を覚えている。
 思えば今回の件を含め、すべては小野寺の不注意から始まったのだが、その結果、諸々のお愉しみにありつけたのはだれだったか? 他ならぬ風間たちである。それを思うと、小野寺の心中に複雑な感情が交錯してしまうのだ。
 マリの股間を舐めていた風間が顔を上げた。口の周りに恥毛をつけたままだ。
「おやおや、小野寺さんにはかないませんな。その調子なら吹かせる必要もないでしょう。さあ、ここへどうぞ。我々の分もたっぷりお嬢さんの初物をいただいてください」
「そうですか。それじゃ、お言葉に甘えて……」
 小野寺は風間の嫌味をそしらぬ顔で受け流し、場所を入れ代わった。マリの股間を前にすれば尺八を邪魔された恨みもどこへやら、小野寺は自慢の逸物をさらに膨らませて、鼻息を荒くした。
「おおっ、これはこれは……。すっかりとろけてますな」
 三十分に亘り、身体の隅から隅まで揉まれ、舐められ続けられたマリは息も絶え絶えだった。目つきは妖しくとろけ、全身汗でびしょ濡れになっている。それは股間も例外ではなく、瑞々しい肉構造は桜色に火照っていた。
 実のところ、マリは小学校高学年からオナニーを続けている。自慰といえど性の喜びを知ってしまった身体だ。たとえそれが老人の手技や舌技であっても、反応してしまうのは無理のないことだった。
「さてさて……」
 膝立ちになった小野寺が、マリの腰に手をかけてクイッと持ち上げた。濡れた雌花がわずかに開き、ここまで密の匂いが漂ってきそうだ。小野寺はマリの腰を片手で持ち換え、男根を水平に構えた。
「むっ?」
 一心に藤波の男根を舐めていたマリが、異変に気づいて目を開けた。膣口に当たる触感が妙につるつるしている。指や舌ではないなにかだ。
(え? なに? ま、まさか!)
「さ、入るぞ。息を抜いて……。楽に、楽に……」
(ああっ! ペニスだわ! ペニスがわたしのあそこに!)
 ついにその時がきたと知り、マリは慌てて目を閉じた。涸れることのない涙がこめかみを濡らしている。まるで涙と入れ換えに心の隅々までどす黒い諦念が染み込んでくるようだった。
(ああ、もうどうにでもして……。好きにしたらいいわ……)
「ふふふ、熱いオマンコだ……」
 そう言う小野寺の男根も、マリには指や舌に比べて何倍も熱く感じられた。まるで灼熱の棒である。その棒が容赦なく乙女の肉腔を広げ、グリグリと侵入してきた。
(ああっ! くるわ! 入ってくるわ!)
 思ったより痛みがないことにマリは驚いてる。そう思ったのも束の間、男根の亀頭部分が丸ごとめり込んできて、形容しがたい圧迫を感じた。
「よ、よし! 先っぽが入ったぞ!」
(あ、あ、くる……。どんどん入ってくる……)
「大丈夫、大丈夫……。痛くない、痛くない……」
 小野寺はあやすように言いながら、じわりじわりと腰を進めてゆく。
「よーし、よーし……。それそれ……」
「……むっ! むふっ!」
 火照った処女肉がメリメリと広がり、ついにマリの膣は完全に塞がれてしまった。
「ふーっ……。これでよし」
(ああ、わたしの中に……。わたしのお腹に……)
 痛みよりもまず、体奥まで侵入されてしまったという惨めさが辛かった。自分ですら届かない身体の奥を、見知らぬ年寄りに征服されてしまったのだ。そう考えると、涙が止めどなくあふれ出してきた。
「おやおや、そんなに痛かったかい? それじゃあ、ゆっくり動かしてあげようね……」
 小野寺が慎重に腰を引いた。カサの部分が膣口に引っ掛かるまで引っ張り出して、また深々と埋め込む。
「そーら、また入った!」
「んっ!」
「そーれ、もう一丁!」
「んふっ!」
 それを何度も何度も執拗に繰り返し、破瓜したばかりの乙女の涙をしぼり取ってゆく。
「ふふふ、お嬢ちゃんは身体もいいけど、ここの具合もよさそうだ……。名器の素質があるぞ……」
 マリはもう、本当にどうなってもいいと思っていた。自棄になっていたのではない。そう思わなければ、薄汚い老人の責めで否応なく昂ぶっている自分が情けなかったのだ。
「あっ……。あふっ……」
 マリの呻き声が一転、喜悦の声色に変わった。
「おや? 嬉しいねえ。よがってくれるのかい?」
「へえ、処女のくせに大したもんだ」
 マリの口を犯していた藤波が脇の下をくすぐった。林は乳房に、風間は太腿にそれぞれ吸いつき、柔肉をこねくりはじめる。
「あふっ! むむっ!」
「よーし、処女喪失記念だ。でっかい気をやらせようじゃないか!」
「合点!」
「むむっ! あむむっ!」
 マリの昂ぶりに合わせるかのように、老人たちの舌技手技も勢いを増している。じきにマリが迎えるであろう昇天を、小野寺ひとりの手柄にさせたくないのだ。
 マリがオナニー以外の手段で絶頂に達したのは、それからわずか五分後のことだった……。


          *          *


 風間が良太に電話を入れると、すぐさま八人の男がやってきた。
 この男たち、いまし方までことこん瑞枝を嬲っていたのだが、いよいよハーフの女子高生を抱けると聞き、喜び勇んで飛んできたのだ。
 名残惜しそうにマリを見ている四天王に、男のひとりが言う。
「後はわたしどもにお任せください」
「おまえら、程々にしとけよ。なんせ、さっきまで未通女だったんだからな」
「はい。承知しております」
 慇懃に応える男に、風間はギロリと一瞥をくれてやり、仲間たちを引き連れて部屋を出ていった。
 と、誰かが笑いながら言った。
「さてと、マンコから湯気立ってるうちにジャンケンしようぜ」
「よっしゃあ!」
 ひとり残されたマリの周囲を、はち切れんばかりに勃起した八本の男根が取り囲んだ……。


          *          *


 同じ頃、士朗たちの元にはふたりの男がやってきた。
「良太兄貴がお呼びです」
「ああ、分かった……」
 立ち上がり際、士朗は傍らに座っていた孝次の肩をポンと叩いた。優しい目で覗き込み、あえてきつい言葉をかける。
「いいか、おとなしくしてろよ」
 言葉の真意を知っている孝次は黙って頷いた。
 士朗と見張り役の誠司が出てゆくなり、ふたりの男はニタニタ笑い出した。仲間内ではダイとリョウのあだ名で通っている、高梁建設の従業員だ。仕事柄、筋骨のたくましさは半端ではない。
 ひとしきり笑い合った後、ダイがいきなり孝次の脇腹を蹴りつけた。
「ぎゃっ!」
 小柄な孝次は簡単に吹っ飛び、畳の上を二転三転する。そこへ今度はリョウが駆け寄り、孝次の眼前に匕首を突き立てた。ザックリと畳に突き立った匕首は、孝次を金縛り状態にしてしまう。
 間髪を入れずダイの怒号が飛んだ。
「てめえ! よくもチクリやがったな! たっぷり仕置きしてやるぜ!」
「すっ、すみません! ごめんなさい!」
 頭を抱えた孝次に、ダイが再度足蹴を食らわせた。
「ざけんな! こら!」
「ひっ!」
 孝次は派手に吹っ飛んで、壁に叩きつけられた。
「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」
 叫びつつ小さく身を丸めた孝次を、ダイとリョウが左右から腕を取って立ち上がらせる。
「へへっ。おれらの仕置きはちと違うぜ」
「よう、坊主。今日、糞はしたか?」
 早くも泣き出してしまった孝次は、きょとんとして男たちを見上げた。
「糞はしたかって聞いてんだよ!」
「は、はい……。し、しましたけど……」
「よし、いいぞ。ゴムをつける手間が省けるってもんだ」
「え?」
「へへっ。こいつ、よく見るとかわいい顔してるよな。めっけもんだぜ」
「こりゃあ、たっぷり愉しめそうだ。抜かずの三発は決めてえよな」
 男たちは孝次を軽々と抱え上げ、奥の座敷に向かった。その間も孝次に頬擦りしたり、太腿をさすったりと余念がない。座敷には珍しいダブルベッドが置かれていた。
「うっひょーっ! ダブルベッドだぜ、ダブルベッド!」
「へへっ。こんだけ広けりゃ、どんなハメ方だったできるぜ。なあ、おい」
(ま、まさか! そ、そんな!)
 ベッドルームを見せられれば、いくらうぶな孝次でも男たちの意図が分かってしまう。信じ難い話だったが、昨日からの出来事を考えれば十分あり得る。この村にはもう日常など存在しないのだ。
「やっ、やだっ! やめてよっ!」
 突然暴れ出した孝次をリョウが平手打ちし、次いでダイがベッドに投げ飛ばした。
「へへーっ! なにがやだって? まだなにもしてねえぞ?」
「それともなにか? なにをされるか察しがついたか?」
 ダイとリョウが、じりじりとにじり寄る。
「や、やだ、こないで……」
 いまの孝次に野球少年のたくましさはない。ベッドの上で縮こまり、まるで少女のように震えている。
「そんじゃ、まあ。いただくとするか……」
「へへっ、でっかいクリちゃんからアクメ汁を搾り取ってやるぜ……」
 ズボンの前を大きく盛り上げたダイとリョウが、脅える少年に躍り掛かっていった……。


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