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  第六章

一九四五年、晩夏。
 日本が無条件降伏して十日目の土曜日、林と藤波が久し振りに枝美の家を訪ねてきた。
「枝美さーん、お邪魔しますよーっ!」
「いやあ! 今日も暑いですなーっ!」
 まだ昼間だというのに、ふたりとも泥酔一歩手前だ。村議会議長と国民学校長にあるまじき醜態だったが、敗戦を迎えたいま、一億玉砕を先頭になって唱えてきた彼らの虚脱感は、酔いで紛らわすしかないのだろう。
「あらあら。林さまに藤波さま、ずいぶんとまあ……」
「ありゃりゃあ! 昨日までの大和撫子が、今日は裳短ガールですか!」
 玄関に出てきた枝美を見て、林が素っ頓狂な声を上げた。藤波も辺り構わずわめき散らす。
「枝美さん! 戦に負けたからって、そりゃあ、ないでしょう! 風間さんが嘆きますぞ!」
 ふたりが驚いたのは、いつもは和服姿の枝美が、今日に限って純白のワンピースを着ていたからだ。
 ワンピースの裾はやっと膝に掛かるほど短く、髪も洋装に合わせて下ろし、後ろで軽く束ねている。その姿が実に瑞々しい。いつもの艶っぽさに新鮮な色香が加味されていたのだ。なにより、初めて見る枝美のふくらはぎに男たちは目を瞠っている。
 ふたりに注視され、枝美が頬を染めた。
「い、いやですわ、おふたりとも。そんなんじゃありませんよ。うちの人がいないから、思い切って夏向きの格好をしてみただけなんですよ。ほら、あの人、着物以外は許してくれませんでしょ?」
 枝美は小さくはにかんで、ふたりを手招いた。
「さ、どうぞ。お上がりになってください」
「いやあ、そうでしたか。いやはや、よくお似合いですよ」
「そうそう。こう蒸し暑くちゃ、着物は大変ですからな」
 男たちは一転、枝美を誉めたたえながら茶の間に上がり込み、「へえ、はあ」としきりに感心している。
 枝美のまとっているこのワンピース。実は手縫いなのである。肌襦袢を仕立て直したために布地は透けるほどに薄く、三十女の妖艶な身体の線が露になっているのだ。
「いま支度しますので」
 まずは麦茶を出してから、枝美は酒肴の用意に取りかかった。
「いやはや、なんとも。純白が似合ってますな」
「そうそう。腰のくびれがきゅーっとして、なんともまあ」
 などと言いながら、林たちは茶の間から身を乗り出し、台所に立つ枝美の後ろ姿を覗き見している。ワンピースの布地越しにユサユサ揺れる大きな臀部が実に色っぽい。
 小野寺がこの場にいれば、ご自慢のライカで一枚といきたいところだが、敗戦からこのかた、萌葱村四天王が集まる機会は一度もなかった。風間は連日県庁に日参しなければならず、小野寺は特殊慰安施設協会の地方支部役員を務めることになってしまい、蛍子で遊ぶどころではなかったのだ。
「さあさあ、どうぞ」
 支度を終えた枝美が茶の間に戻ってきた。敗戦の話にはあえて触れず、雑談を交わしながらてきぱきとお酌をする。風間に引かれる前はキャバレーで女給をしていたこともある枝美だが、なるほど、洋装が様になっているわけだ。
「やあ、これはかたじけない……」
 注がれた冷や酒をキュッと呷って、林が目を瞬いた。目が奪われっぱなしの枝美の胸元を見ていて、あることに気がついたのだ。こんもり盛り上がった白布の頂きに、うっすら浮かんでいる点がある。
(む? もしや、乳首では? ほほう、瑞枝さんの乳首か……。三十女のいやらしい乳首だな……)
 林の股間がズキンと疼いて、見る間に半勃起状態まで膨らんでしまう。と、林が不意に立ち上がった。肩をぶつけられた藤波が口を尖らせた。
「おやおや、林さん。もうはじめちゃうんですか?」
「ええ、まあ……。蛍子が夏バテしないよう、滋養を与えてやろうと思いましてね」
「わははは、精のつく秘薬を蛍子のお口にってわけですか? それじゃあ、わたしも、下の口を注射を一本……」
 藤波もよたよたと立ち上がり、ふたりはおぼつかない足取りで納戸へ向かった。


          *          *


「蛍子ーっ! 慰安にきてやったぞ!」
「わはははーっ! 真っ昼間から二本刺しだーっ! 嬉しいかーっ!」
 林と藤波はわめきながら納戸の中になだれ込んだ。
 赤い肌襦袢をまとい、隅で丸くなっていた蛍子がビクッとして顔を上げた。少し頬がこけているが、妊娠六ヶ月目に入った身体は傍目にも分かるほど丸みを帯びていた。
「へへっ。いまたんと精をつけてやるからな。ほれっ!」
 林が肌襦袢の裾をめくり上げた。
「あっ……」
 生白い蛍子の下肢が露になる。右の足首に枷がはめられ、大きな南京錠で鎖が繋がれていた。
「へへっ、マンコが寂しかったろう、蛍子?」
 林は懐から出した鍵で南京錠を外すと、蛍子の身体から肌襦袢をむしり取った。夏場ということもあり、蛍子は腰巻ひとつ巻いていない。蛍子は剥き出しになった腹部をとっさに守ったが、そこは目立つほど膨れていなかった。
「わはははっ! また一段と乳首が黒くなりやがったぞ、おい!」
 蛍子の両乳首に穿たれた金のリングピアスを引っ張って、林が高笑いした。
「どーれ、こっちはどうかな?」
 一方、藤波は蛍子の足首を掴んで下肢を大きく割り広げた。
 なんと、蛍子の股間にも金色のリングが光り輝いている。それも、ひとつふたつではない。陰核包皮にひとつ。左右の小陰唇にそれぞれ三つずつ。合計七つものリングピアスが少女妊婦の淫裂を彩っていたのだ。
「オマンコもドドメ色だぞ。くーっ、臭いオマンコだ……。蛍子、マンズリした後はよく洗っとけよ」
 藤波は陰核包皮に穿たれたリングをクイッと上に引き、真珠のような陰核を剥き出しにした。
「ぐっ……」
 蛍子が腰をよじったため、小陰唇にぶら下がっていたリングがチャリチャリと音を奏でる。
「よーし、この腐れマンコに校長先生が消毒注射を打ってやるからな!」
「わははは! それじゃあ、わしはマラ牛乳を飲ませてやるぞ! ほれほれ!」
 男たちが蛍子にのしかかった。ふたりとも枝美の妖しい姿に散々に煽られてしまい、蛍子を座敷まで連れ出す我慢ができないのだ。
 と、そのとき、納戸の入り口を白い人影が横切った。枝美である。それに気づいた藤波が照れ笑いを浮かべつつ戸をしめようとしたが、逆に枝美に手を握られてしまった。
 ポカンとする藤波を見つめて、枝美が嫣然と笑う。
「鬼のいぬ間に……。どうです? おふた方?」
 蛍子の口に逸物をねじり込もうとしていた林も、呆気に取られている。
「ねえ、わたしもかわいがってくださいな……。せっかく、ほら、こうしておふた方をお誘いしてるのに、あんまりですわ」
 点になっていた男たちの目に、瞬間どす黒い笑みが宿った。
 枝美はワンピースのボタンをすべて外していたのだ。ふっくらした胸元からなめらかな下腹。そして茂みに覆われた股間までもが、開いたワンピースから覗いている。案の定、枝美は一切の肌着を身につけていなかった。
「わたしだって女ですのよ……。それなのに、殿方はその子にばっかり夢中で……。悔しいやら、悲しいやら……」
 林がのそりと立ち上った。半勃起の逸物をぶら下げたまま枝美に歩み寄る。
「え、枝美さん……。じょ、冗談じゃないよな?」
 枝美に手を握られている藤波も、上擦った声で念を押した。
「い、いいのかい? 風間さんに叱られやしないかい?」
「うふふ、わたしたちだけの秘密ですよ、秘密……」
 枝美は林の手も取ると、ふたりを廊下に引っ張り出し、くるりと身をひるがえした。ワンピースの裾が大きくはだけ、ムッチリした太腿と尻たぶが露出する。
「ちょっとお待ちにくださいな。蛍子を繋いでおきますね」
 納戸の中に入った枝美は、蛍子に優しく目配せした。さらに、念を押すように隅に置かれた風呂敷包みを一瞥する。実は、その中に男の子用の洋服と現金が入っているのだ。
「さあ、これで大丈夫……」
 枝美は蛍子の足枷に鎖を重ねると、南京錠をかける《ふり》をして、納戸を後にしたのだった。


          *          *


「え、枝美さん!」
「ほ、本当にいいんだな!」
 後ろ手で戸をしめた枝美に、林と藤波が左右からむしゃぶりついた。ふたりはワンピースの中に諸手を突っ込むや、乳房と内腿を鷲掴みにして、同時に枝美のうなじに食らいつく。
「あ、あん! 慌てないでくださいな。時間はたっぷりあるんですから……」
「へへっ。枝美さん、いい匂いですよ……」
「た、たまんねえなあ。ムチムチじゃないですか……」
 男たちは盛りのついた犬のように、完全勃起した逸物を枝美の太腿にグイグイと押しつける。三人がもつれるようにして座敷へ向かうと、そこにはすでに夜具が敷かれていた。
 林が枝美の胸元から顔を離し、よだれを啜って呻いた。
「さ、淋しいんですね、枝美さん? この身体が? このオッパイが?」
「ええ、そうです……。だから、存分にかわいがってくださいまし……」
「わ、わたしら普通のナニじゃ満足できませんが、そ、それでもいいんですか?」
 藤波も枝美の柔肉をこねくり回しながら、上擦った声を出す。
「ふ、普段、蛍子にしていることをこの身体にもやっちゃいますよ? もしかして、枝美さんはそういうのが好きなんですか?」
「あ、跡が残らないようにさえしていただければ……。後はおふた方のお好きなように……」
「へへっ、それじゃあ、遠慮なく!」
「好きなようにさせていただきますよ!」
「きゃっ!」
 男たちは夜具の上に枝美を突き飛ばした。枝美の長い髪がぱあっと散り、ワンピースも大きくはだける。その匂い立つような肉体は豊潤を極めており、十三歳の蛍子では到底味わえない艶に満ちていた。
「くうーっ! なんて身体をしてやがる! どこもかしこもムチムチだ!」
 林は枝美の右太腿を抱えるや、チュバチュバと音を立てて吸いついた。
「あっ、あんっ……。あ、痕をつけちゃだめ……」
 林はしばらく無我夢中で吸い立てて、ふと顔を上げた。
「へへっ! なーに、かまいやしませんよ。風間さんに聞かれたら、ひとり淋しく身体をいじめていたって言えばいいじゃないですか」
「そ、そんな……」
「そうすりゃ、怪しまれることなく、今後もたっぷり愉しめますからね」
 藤波の方は枝美の真っ白い双乳の合間に顔を埋め、フガフガと鼻を鳴らしている。
「す、すげえオッパイだ! 蛍子の倍どころじゃねえ! くーっ、たまんねえ!」
 これまで指を咥えているだけだった枝美の身体は、実際に触ってみると想像以上になめらかで、みっちり肉が詰まっていたのだ。この女体を好き放題にできる風間が羨ましい反面、憎しみすら沸いてくる。
「よ、よーし。まずは軽く抜いとくか」
「あ、ああ。そうだな……」
 男たちは慌てて枝美の身体から身を引いた。枝美の美肌を舐めているだけで、すわ射精しそうになってしまったのだ。気恥ずかしさをごまかすかのように、林が怒鳴り散らした。
「枝美! そこに正座しろ!」
 そう呼び捨てにしてから、林はゾクリと背筋を震わせた。親分の情婦を意のままに操る快感はこのうえない美酒だった。風間に対する不平不満が、ひとつずつほぐれていくような、そんな気分なのだ。
「は、はい……」
 枝美ははだけたワンピースもそのままに、素直に正座した。重たげに垂れる乳房とムッチリ張った太腿はほとんど露出している。林と藤波があたふたとズボンを脱ぎ捨て、揃って枝美の前に立った。すでに勃起している二本の男根が、枝美の鼻先に突きつけられた。
「ほれ、二本同時に舐めろ。スケベなおまえのことだ。こんなのは朝飯前だろう?」
「へへっ、先は長いんだ。途中でへこたれんようにたんと精をつけてやる」
 枝美はすっと瞼を伏せ、早くも先走り液を滴らせている男根二本を、それぞれ左右の手に持った。ふたつの亀頭を揃えてから、赤い舌先でそれぞれの鈴口に溜まっていた先走り液をすくい取ってゆく。
 男たちが「うっ!」と呻いて腰を引いた。枝美の舌はまるで紅い蛇のようにのたうち、ふたつの亀頭をグルングルンと舐め回しはじめた。カリの裏側をくすぐったかと思うと鈴口を突っつき、次の瞬間には裏筋を這っている。
 予測不能の舌技に、男たちはついつい声を漏らしてしまう。
「おっ、おおっ……。い、いいぞ、枝美……」
「ど、どうりで、風間さんがあんたを離さないわけだ……」
 枝美の舌技に男たちは腰を引いて逃げ惑うばかりだ。枝美は両腕で男たちの尻を手繰り寄せると、ふたつの亀頭をパクリと飲み込み、先と同じ責めを今度は熱く狭い口の中で繰り返した。
「おっ、おおっ……。出るぞ……。出るぞ……」
「こ、こっちもだ……。も、もう、辛抱たまらん……」
 枝美は二本の男根をキューッと吸い立てるや、口中にたっぷり唾を溜め、ふたつの亀頭の間にグリッと舌をねじ込んだ。
「おっ! おうっ!」
「おおっ! で、出るぞ! もう出ちまう!」
 そして、グチュグチュと音も高らかに舌を前後させ、寄せ合った二本の男根のカリ部分を擦り上げてゆく。これがとどめとなって、まずは藤波が、間髪を入れずに林が濁った精をぶちまけた。
「おうっ! んっ! んっ……!」
「おっ! おっ! おっ! おおおおっ!」
 これでは一体どちらが犯されているのか分からない。いい年の中年男ふたりが悲鳴交じりに達してしまったのだ。熟練した性技を直に体感して、林たちは畏怖すら感じている。ふたりはほうほうの体で枝美から離れた。
「ふう……。た、たまらんなあ……」
「け、蛍子の百倍は巧いぞ、こりゃあ……」
 正座したままの枝美は上目づかいで男たちを見上げ、何事もなかったかのように口元を拭っている。その態度に自尊心を傷つけられたふたりが、先に増して乱暴な言質でわめき散らした。
「よ、よーし、枝美! 今度はおまえの番だ! 腰が抜けるほどかわいがってやるぞ! 覚悟しろ!」
「マン汁が涸れるまで、そのドすけべマンコをほじってやるからな! いいか、誘ったのはおまえの方だからな! 途中で泣き言をぬかすなよ!」
「ああ、怖いわ……。優しくしてくださいましね……」
「へへっ! 死なねえ程度に優しくしてやらあ!」
「泣きたきゃ泣いてもいいんだぜ! 許さねえけどな!」
「ああ、そんなご無体な……」
 ふたりは手短に打ち合わせをして、まずは持参したロープで枝美の手首足首をひと括りにした。ワンピースを身につけさせたままで広縁の鴨居に吊り下げる。いわゆる獣縛りだ。
「あ、ああっ……。わ、わたし、お仕置きされるんですね……」
 三十女の熟れた女体を打ち震わせて、枝美が艶やかな声を漏らす。
「けっ! お仕置きなんてもんじゃないぞ! 拷問だ、拷問! てめえのオマンコをぶっ壊してやる!」
「そうだ! 穴という穴を目茶苦茶にしてやるからな! どうだ! 嬉しいか、この売女!」
「ああっ……。どうかお慈悲を……」
 ある程度の責めは覚悟していた枝美だったが、いきなりの獣縛り心底脅え、男たちを誘う演技も途切れがちになっている。白いワンピースは辛うじて袖が引っ掛かっているだけで、はらりと垂れた黒髪同様、吊られた女の哀しさをにじませていた。
「どうだ、枝美? 吊られたのはこれが初めてか?」
「ああっ、は、はい……」
「くくっ、その割りには様になってるぞ。根っからのスキモノなんだな」
 林がなにやら竹の輪を取り出した。小振りな竹で靴底ほどの厚みに切ってある。外周部に溝が彫られ、内側は縁が丸くなっていた。林は枝美の黒髪を引いて、白い喉元をのけぞらせた。
「あっ、ああっ……」
「隣近所に悲鳴を聞かせるのもなんだからな。ほれ、さっさと口を開けろ」
 林が竹の輪を口元に押しつけてきた。枝美は慌てて口を開けたが、竹の輪の方が一回り大きい。
「もっとだ、もっと!」
「あががががっ……」
 顎が外れるほど大口を開けて、やっと竹の輪が収まった。輪の外周に彫られた溝に前歯がガッチリと咬み、飲み込むことも吐き出すこともできない。
「ふふふ、これでよしと。待ってろ。いま、お代わりをくれてやるぞ」
 林は枝美の頭を両手で抱えると、口蓋と咽喉が直線になるように調節し、反り返ったままの怒張を一気に突き入れた。
「おごっ! おごごごごっ!」
 喉奥に亀頭が当たっている。むせ返った枝美は小鼻を膨らませ、必死の形相で息継ぎをした。
「ごふっ! ふごっ!」
「ほーら、どうだ? 俺様のチンポは美味いか?」
 林はゲラゲラ笑いながら、男根の抜き差しをはじめてしまった。枝美が苦しめば苦しむほど、亀頭の先は深々と喉奥をえぐってくる。
「ごふっ! ごほっ!」
「こら! しっかりおしゃぶりをせんか、おしゃぶりだ!」
「ふぐっ! ふごごごっ!」
 先とは立場がすっかり逆転し、枝美は狼狽するばかりだ。だが同時に、蛍子が絶えずこのような責めを受けているのだと身をもって知り、男たちに対する怒りを新たにしている。
 そして、蛍子を遠くへ逃がすためにも決して弱音は吐くまいと、枝美は気丈にも微笑んだのだった。
「お? 嬉しいのか? ほう、そうかそうか」
「むごっ! むぐうっ!」
「見込みがあるぞ、おまえ。風間さんはこんなことをしてくれなかったか? よしよし、これからいつでもかわいがってやるからな」
 林はいささか拍子抜けしながらも、男根の送り出しを早め、両手を枝美の胸元にこじ入れた。たっぷりした量感の乳房を脇腹の方に引っ張り出し、ギリリとねじ上げる。
「んっ! んぐっ! ぐうううっ!」
 塞がれた口で枝美が悲鳴を放った。林はまるで弦楽器を奏でるかのように男根を出し入れし、悲鳴に強弱をつけている。ついには枝美の乳首にギッと爪を立てた。
「んぎいいいっ!」
「へへっ! いい顔してるぞ、枝美! どうだ? こんなこともされたくて、うずうずしてたんだろう?」
「ぐうううっ! んぐうううっ……」
「よーし、よーし。もっとか? もっとなんだな?」
 一方、枝美の尻に回った藤波は、菫色のすぼまりを覗き込んでご満悦だった。枝美が痛みで身体を軋ませる度に、肛門ががキュッキュと蠕動する様は、眺めているだけで飽きがこない。
 風間に肛門性交の性癖がないことを知っている藤波は、ここを自分専用の交接器官にしてやろうと密かに狙っているのだ。
「上手そうなケツしてるなあ、枝美は……。へへっ、ヒクヒク動いてるぞ、ドスケベなお菊さんがよ」
 だが、ここで無理やりねじ込んで裂いてしまっては元も子もない。藤波ははやる気持ちを押さえつつ、まずはこんもり盛り上がっている肉饅頭に吸いついた。
「んーっ! 使い込まれているだけあって、ほぐれとる、ほぐれとる。いいあんばいだ」
 豊潤な牝臭を胸一杯に吸い込むと、また一段と逸物が固さを増す気がする。藤波は蒸れた陰唇を両手で割り広げ、めくれ上がった鮮烈な粘膜を上下くまなく舐めまくった。
「むぐうっ! ふぐうっ!」
「おっ、どうした? もうイッちゃうのか?」
 吊られた枝美の四肢がビクンビクン跳ねている。女陰の快感はこれからだろうから、おそらく乳房を散々に痛めつけられているのだ。
「おやおや、オッパイに悪戯されてたのか。よーし、こっちも負けずに悪戯してやるぞ!」
「むふっ! むむむっ!」
 藤波は枝美の肉溝を大きく開いたり、つねったりしながら、ひとしきりしゃぶり回した。仕上げは陰核包皮を剥いての強力吸引だ。真っ赤に膨らんだ陰核をズジュル、ズビビビビッと吸い立てる。
「んひいっ! ぐひいいいっ!」
「へへっ……。よーし、いい具合になったぞ……」
 顔を離した藤波は、肉壷のとろけ具合を人差し指で確かめて、やおら枝美の太腿を抱えた。
「さーて、頂くか! 枝美! まずはオマンコからだ! そりゃ! 食らえ!」
 怒張が深々と埋め込まれた。圧し出された粘液が蟻の門渡りまであふれ出し、そこを陰嚢がビチャビチャと叩く。
「むふっ! むむむむっ!」
「ふうーっ! いいぞ、よく練れたオマンコだ……」
 藤波は抱えていた太腿をきつく抱きしめ、枝美の膣をぎゅっと狭めた。そして念入りに腰をつかう。
「むむむっ! ぐむむむむっ!」
「ふふふ、どうだ枝美? 風間さん以外のチンポを咥えるのは久し振りだろう?」
 鼻の頭が枝美のふくらはぎを擦っている。いつもこっそり盗み見していた柔肌を眼前にして、藤波は反射的に舌を這わせた。
「んーっ、美味い! いい女は汗まで美味いなあ!」
「むふーっ! むぐうううっ!」
 前後から二本の男根で串刺しにされた枝美は、ロープをギチギチ鳴らして身をくねらせるばかりだ。
 夏の暑さが発汗を促し、特に男たちと肌触れ合う部分はべっとりとぬめっている。竹の輪をかまされた口からだらだらと唾液をこぼし、怒張を受ける陰部も負けじと愛液をにじませて、真っ白い女体はいまにも溶け出しそうだった。
(ああっ……。このまま……。ずっと……)
 手首足首が無性に痛い。だが、それを忘れるほどの官能が湧き上がってきている。身動きを封じられた身体をいいように貫かれ、濁流に呑まれた恐怖を感じるとともに、このままどこへ流されるのだろうとの期待を抱いていたのだ。
 蛍子救出の目的を達成したいま、もうなにも余計なことを考えてくていいのだ。気持ちが軽くなった分、この状況を愉しまなければ損との考えもある。男ふたりの責めから逃れられない以上、濁流に揉まれ、流れつくところまで流されるだけだった。
「そりゃあっ! 枝美っ! これでも食らえっ!」
 最初に藤波が達した。親分の女にたっぷり精液を注ぎ込んで、実に晴々とした顔になっている。常日頃、風間に対して抱いている鬱憤のいくらかはこれで晴らすことができたのだろう。
「ふーっ、たいしたオマンコだったぜ……」
 だが、膣口から精液がとろりと流れ出し、すぐ下の肛門を濡らすのを見ているうちに、またしても鬱積した感情が沸いてくるのだった。
 藤波は国民学校の校長として軍国主義教育に骨身を削ってきた。だが、敗戦を境に藤波の居場所はなくなり、振り上げた拳をそっと下ろすという屈辱を味わされていた。
 それに比べ町長の風間は風見鶏のごとく振る舞い、せっせと進駐軍に媚を売っているではないか。藤波はそこまで変われない。
(ちくしょう、なめるなよ!)
 藤波はギリリと歯を鳴らし、精液で濡れる枝美の肛門に人差し指を突き立てた。突き抜けはしないが、爪の半分が埋没している。
「ふぐうっ! ふぐーっ!」
 驚いた枝美驚が大仰に呻いたが、藤波はお構いなしに強引に指を押し込んでゆく。
「けっ! 次はここだ! てめえのケツ穴をいただくぞ!」
「むぐーっ! むぐうううーっ!」
「へへっ! 入るぞ! どんどん入っていきやがる!」
「むうううううーっ!」
 人差し指が根元までズッポリ埋め込まれた。
 まさかの異物の侵入に、枝美の下肢はピーンと張っている。どうにか激痛をやり過ごそうとしているのだが、時間が経つほどに痛みは増してくる。じきに枝美の下肢がガクガクと震え出し、脂汗がドッと吹き出した。
「どうだ! 枝美! ケツはいいぞ! 俺様がたっぷり仕込んでやるぜ!」
「むひいいいっ! ぐひいいいっ!」
 藤波は埋め込んだままの指で、肉も裂けよと言わんばかりにグリグリえぐりはじめた。尺八をさせていた林が異変に気づき、何事かと覗き込む。
「ふ、藤波さん、もしかしてケツを掘ってるんですか?」
「あ、いや、指でいじってるだけですよ。ふふふ、こいつ、一発で咥え込みましたよ。たいした尻だ……」
「あの、かなり痛がってるようですが、血は出てますか?」
「えーっと、ちょっと待ってくださいよ……」
 藤波は抜け出る直前まで指を引き、指の腹で肛門の上下左右を確かめた。わずかに大便が付着している以外、特に異常はないようだ。
「……と、大丈夫ですね。この調子だと慣らしは必要ないかもしれませんね」
 藤波は再び指を埋め戻し、枝美の悲鳴を搾り取るように先にも増して大きく掻き回した。
「ぐひいいいっ! むぐううううっ!」
 枝美の背筋がガクンガクンとしなる。その余波で咽喉のしめつけも増しているのだろう。喉を塞ぐように逸物を突き入れている林は、腰をガクガク揺すって放出間近だ。
「そ、そうですか……。そ、それじゃ、わ、わたしも、三発目は、お、お菊さんに……。お、おおうっ!」
 情けない声を上げて、林が達した。
「ふう……。口だけで何回でもできそうだ……。よーし、瑞枝。ご褒美だ。たーんと飲めよ……」
 林はしばし余韻を味わってから逸物を抜き取り、枝美の口に丸めた手拭いを詰めた。そして、いそいそと藤波の脇に寄ってくる。
「ほほう、これはこれは……」
「どうです? 大したケツ穴でしょう?」
「ええ、まったく……。これは、掘り出し物ですな……」
 林が感服したのは、すでに枝美の肛門が三本指を咥え込んでいたからだ。裂けて血を流すこともなく、かといって楽々でもない。けなげなまでの忍耐で肛門嬲りを甘受していたのだ。
 男たちの目が妖しく光った。美しいゆえに男に騙され続け、流転の末に辿り着いたのがこの田舎の妾宅……。そんな枝美の哀切が、まるで肛門のひだの一つひとつからにじみ出ているようなのだ。
「それじゃあ、藤波さん。あれを……」
「はいはい、分かっておりますよ」
 ふたりは顔を見合わせて、ニタリと笑った。藤波が指を抜き、次に持参した荷物の中からお手製の竹筒浣腸器取り出した。見た目は水鉄砲なのだが、ひと回りどころかふた回りも大きい。それもそのはず、一升を楽々吸い込める特大浣腸器なのだ。
「ふふふ……。まさか、枝美に使おうとはね……」
 嘴管の部分には、これもまたお手製の張型状陶器が装着されている。限りなく実物を真似て作られた張型部分は、凶々しいまでに表面がでこぼこしており、カリが大きく張り出していた。
 藤波が、枝美の乳首をひねり上げた。
「ぐむっ!」
「ほれ、これを見ろ! どうだ、でっかいだろう!」
「む……?」
「これでケツをほじってやるからな! 覚悟しろよ!」
「むむっ!」
 枝美は肛門の痛みも忘れて、目を白黒させている。以前、その竹筒を見たことはあったが、その時には張型部分がなかったはずだ。
「あんた、浣腸は初めてか? へへっ、浣腸はいいぞ……。蛍子の尻を使うときはいつも三、四回浣腸してるんだが、ほれ、ここについてる張型で掻き回してやると、それだけでイッちまうんだよ」
 脂汗にまみれた枝美の顔が恐怖で引きつった。藤波はしてやったりと満足げに笑い、台所へ走って行く。
 交替で林が二本指を直腸に突き入れた。
「んぐうっ!」
「あんたも修羅場をくぐってきたようだが、ケツに関しては蛍子の方が上手だぞ……。藤波さんも言っとったが、あのガキ、前より後ろで感じるようになりやがった。特に、糞をひり出しながらイクときのあいつの顔をきたらそれはもう……」
 林は、じきにおまえもそうなると言わんばかりに笑い、グチグチと直腸をえぐった。のたうつ瑞枝の臀部に接吻の雨を降らせて、直腸粘膜を掻きむしる。
「んーっ! んんーっ!」
 枝美が一際大きく呻いた。直腸壁にピリリと電気が走ったのだ。それは快感だったのか、痛みだったのか……。
「へへっ、お待たせ、お待たせ……」
 藤波が水を満たしたバケツと空のタライ、そして例の巨大浣腸器を抱えて戻ってきた。腸内を洗浄するためには浣腸を繰り返す必要があり、そのためのバケツとタライなのだ。
 林は枝美の肛門から二本指を抜くと、指先にこびりついている大便をワンピースで拭い、場所を藤波に譲った。
「さて、それではいよいよ。枝美の糞を拝むとするか……」
 バケツとタライを床に置き、藤波はあらかじめ水を入れていおいた浣腸器を水平に構えた。陶器製の張型がテラテラぬめ光っているのは、台所で菜種油をまぶしたからだ。
「ふふふ、じっとしてろよ……」
 ねっとり汗ばんでいる枝美の尻の間に狙いを定め、もはや凶器の域に達している張型状嘴管を肛門にあてがう。
「むひっ!」
「こらこら、暴れるな!」
 肛門の危機を察し、枝美の尻が跳ねる。傍らによけていた林が、枝美の尻を押さえようとした。その矢先、なにやら閃いたようだった。
「あ、藤波さん。ちょっといいですか……」
「は、はあ……」
 藤波はせっかくの役得を奪われてなるものかと眉根を曇らせたが、林が枝美の両脇に手を入れたのを見て、合点がいったようだった。
 林は、吊られた枝美の身体を手前に引き寄せて、振り子の原理で肛門を刺し貫こうと考えたのだ。獣縛りにされている枝美の身体が角度にして三十度ほど持ち上げられた。
「こんなもんでどうでしょうか?」
「ええ、いいですね。重そうな尻ですから、楽に入るでしょう」
 藤波は浣腸器をしっかり両手で握り、その先端を枝美の肛門にあてがい直した。肛門括約筋の弾力が竹筒を通して手に伝わってくる。真っ白い臀部はまるで満月だ。その満月が自ら落ちて、巨大な嘴管を咥え込む……。その様を想像するだけで、藤波は三度股間を疼かせてしまった。
「へへっ。さあて、とどめを差してやりますか……」
「ふふふ、瑞枝のケツは死刑というわけですな」
 林はすぐに尻を落とさず、いま一度枝美の顔を覗き込んだ。枝美の口は竹の輪でこじ開けられ、手拭いが詰め込まれている。吸いきれなかった唾液があふれ出し、汗と涙に交じって前髪を濡らしていた。
「枝美、力を抜くんだ。そうすれば楽に入るからな。いいか、力を抜くんだぞ」
 枝美はカッと目を見開いた。呻き声ひとつ上げないが、目線で許しを請うているのはその哀しげな表情を見ていれば分かる。
 しかし、林は凄惨な笑みを浮かべて、こうのたまった。
「蛍子の小さい尻にも楽々入ったんだ。おまえのでかい尻なら楽勝だろう。ま、蛍子のときは小さな張型で徐々に慣らしたんだがな……。さ、いくぞ。力を抜くんだぞ……」
「む、む……」
 と、そのとき、ひとりの少年が飛び込んできた。
「もう、やめてっ! 枝美さんにひどいことをしないでっ!」
 いや違う。蛍子だ。学帽をかぶり、開襟シャツとズボンをまとった蛍子だった。
 林と藤波は虚を衝かれ、ポカンとしている。
 枝美もそうだ。見開いていた目をさらに剥き、呆気に取られている。
(な、なぜ逃げなかったの……。蛍子ちゃん……。ああ、もうだめだわ……。あなたは一生ここから逃れられないのよ……)
 すべてを諦観した枝美が、すっと目を閉じた。
 その瞬間、枝美を引っ張り上げていた林の手が汗で滑り、大きな臀部が弧を描いて落ちた……。


          *          *


 初雪が舞ったある冬の日、蛍子が息を引き取った。
 新しい命を産み落とした代償に、自らの命を天に捧げたのだ。それは奇しくも、萌葱村から最後の疎開児童が引き上げた日のことだった。
 すべては出産の直前まで嬲りに嬲られ続けた結果だ。ついぞ男たちは少女妊婦の妖しさに責めの手を緩めることができなかったのである。
 告げ口を怖れた林と藤波が意図的に嬲り抜いた可能性もあるが、それは風間、小野寺にしても同じことだろう。結局は男根の疼きに耐え切れずに、字義のごとく蛍子を嬲り殺しにしてしまったのだ。
 後日、赤子は瑞枝と名付けられた。


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