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   第九章

美樹は女の顔を見上げた。もう、サングラスはしていない。
「あ・・・あなたは、加藤・・・さんですね?」
「そうよ・・・うっふっふっ、驚いた?それにしても・・・相変わらず、いい体だわね。横になっていても、これだけきちんと盛り上がるバストって、モデルでもなかなかいないわよ。」女言葉だが、男の声が裏返ったような気色悪いトーンで、加藤が続ける。
「きれいだわ・・・。牛乳のようにねっとり白くて、つるつるしてる・・・。」加藤の顔は、髭や眉毛など脱毛し厚く化粧を施していたが、脂ぎった皮膚はそのままだったし、鼻が太く、えらの張った顎など、ちょっと見ればオカマだと分かる顔だった。
「あたしもこうなりたかった・・・。随分エステでお金を使ったんだけど。ふふふっ・・・」加藤の手が美樹の乳房をそっと包み込み、人差し指で乳首を押しつぶすように愛撫する。美樹の手が、その感覚に耐えるように握り締められた。加藤の顔には奇妙な薄笑いが浮かんでいた。

「あなたは・・・」その後の言葉を飲み込んだ美樹の内心を察したように、加藤が言葉を続けた。
「なぜ、女になったか・・・でしょう?・・・ふっ、ふっ、ふっ・・そうだよ!てめえのせいなんだよぉ!」急に加藤の声と表情が男のものに変わって、どなり出した。
「あの時、オレたちの男根の根っこを縛り上げ、てめぇは出ていった。オレの手下のチンピラたちもとっとと逃げ出し、あのあと三日三晩、オレたちはあそこにほったらかしになったんだ!」
「そんな!あなたの部下が助け出すと思っていたのに・・・」美樹が驚いて言った。
「うるせえ!部下の一人がようやく戻ってきた時、オレたちの男根はもうぐずぐずに腐り落ちていたんだ!いいか、あの界隈を仕切ってた男が、肝心の男のシンボルを無くしちまって、どう生きていきゃあいいんだよ!女にでもなるしかねぇだろうが!」加藤が、美樹の乳房を握り潰さんばかりに、握り締める。

「あううっ・・・い、痛い!」
「痛いだぁ?オレたちはもっと、もっと痛かったんだよぉ!・・・黒川先生は・・・かわいそうに、修道院に入っちまった。・・・幸い、私たちにはお金があったから、私は性転換手術をして、全身エステに通えたわけ。どう?けっこうきれいでしょ?」急に激昂が去って、また、加藤が女言葉に戻り美樹の乳房から手を放した。
「でも、こんなきれいな体には、どうやったってなれないわ。」と加藤は言いながら、美樹の乳房から腹、太ももなどを撫でまわす。美樹は思わず、わずかに喘いだ。
「ふふっ、さっき気をやったから、体がうずいてしょうがないんでしょう?でも、簡単に気持ちよくしてあげないわよ・・・この日が来るのを夢見ていたのよ。あなたを捕らえて、どうやって生き地獄に落としてやろうかと・・・うふっふっふっ・・・」加藤が不気味な笑い声をたてた。

「私はどうなってもかまいません。でも、美雪は、生徒はすぐ解放してください!」
「そんなこと言ってもいいの?回りを見てごらん。」加藤は美樹の右を指差した。そこには産婦人科にある診察台のようなイスと、その前にこけしのような筒が置いてあった。
「あのイスに足を開げて固定して、女のあそこにあの筒を突っ込むの。筒の表面には細かいトゲが無数にあって、膣の中をずたずたにするわけ。でも不思議ね、催淫剤を使うとそれでも女は気持ちよくて泣き叫ぶそうよ。もっとも、そのあと、一生使いものにならないけどね。中世ヨーロッパの拷問器具よ。」

「あそこにあるのはね」今度は美樹の左手を指差す。X型の磔台が寝かされており、その上に樽が吊ってある。樽の底には、漏斗のような突起が見えている。
「あれは、中国の拷問器具よ。女を動けないように磔にして、皮を剥いたクリトリスに一滴一滴水をたらすわけ。何時間も何日も。女はイきそうでイけない状態で苦しむの。たいてい一晩で気が狂うそうよ・・・あなたが苦しむ顔を早く見たいわ。」加藤の目が興奮でぎらぎらしている。
「あっちはね、中近東のものらしいんだけど」加藤がゴムのウエットスーツのようなものを指さす。あちこちに穴があいていた。「乳首やワレメや敏感なところだけ露出させて、蜂蜜を塗るの。そのあと人食い蟻の巣の近くに磔にすると・・・とっても気持ちいいみたいよ・・・ひっ、ひっ、ひっ、蟻もちゃんと輸入済みよ」加藤は美樹のほうに向き直った。
「あらあら、顔が青くなってるわ。うふふっ、でも、今日用意したのは別のものよ。楽しみ?うっふっふっふっ・・・」
(完全に狂っているわ・・・)美樹は呆然として加藤を見つめた。


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