「うっ・・・あ・・・私は・・・」ゆっくりと記憶が戻ってくる。まだ、あの小部屋に横たわっているようだ。
「そうだ・・・あのガスを浴びて・・・」体に力が入らない。美樹は手をついて体を起こそうとした。
「はっ!何なのこれは・・・」美樹は自分の着ているものを見て唖然とした。
美樹はいつの間にか、光沢のある鮮やかなエメラルドグリーンのチャイナドレスを着せられていた。花柄が銀の糸で刺繍され、一見して高価そうな仕立てだ。丈は膝くらいまであるが、横のスリットはほとんどへその高さまで切れ込みが入って、美樹の下着が横から丸見えの状態だった。そして、そのチャイナ服の下は、自分のシルクのビキニパンティ以外は何もつけていないのに、美樹は気付いた。
「ふっ、ふっ、ふっ・・・気がついたかね?きょうの闘いの舞台にふさわしい衣裳を、君のために用意しておいた。美しいよ・・・。それにしても、君の着せ替えのシーンではワシもイきそうになってしまったぞ。相変わらずいい体をしておるのう。」
「ひ、卑怯な・・・。また、あのいやらしいクスリを使ったのね!正々堂々と言ったのは、ウソだったのですか!」
「ふっ、ふっ、ふっ・・・騒ぐでない。これくらいのハンデは当然じゃ。それより、あと3時間ちょっとで、君の恋人のワレメにドリルが食い込むぞ。」カメラが向きを変え、開脚されて縛り付けられている美雪を映し出した。確かに、ずいぶんと金属の棒が美雪の股に近づいている。
「美雪!・・・いいかげんにバカなことはやめて下さい!私がここに来れば十分でしょう!」
「そうはいかんわい。今度こそ君を身も心も屈服させ、ワシの性の奴隷にするためには、闘って打ち負かす必要があるんじゃ。まだ、2階と3階にはワシの部下が待ち構えておるぞ。ぐずぐずしておっていいのかのう・・・ふっ、ふっ、ふっ。ワシの方はそれまで、これでこの娘を手慰んでおるか・・・」権田はくるっとマントをひるがえすと、コードのついたピンク色のカプセルのような物をもって、美雪の脚の間に近づいていく。緊縛された美雪の体が逃れようともがき出したところで、突然、画面がプツンと切れた。
(あれは・・・確かオナニー用のバイブレーターだわ。前に女性雑誌で見たことがある。催淫スプレーを嗅がされた体に、あんなものを使われたら・・・美雪の精神は耐えられないわ・・・ひどすぎる!・・・美雪!急がなくては!)
美樹は気力を振り絞って立ち上がった。体に力が入らず、めまいがする。出口の扉に向けて歩き出した美樹は、低くうめいて立ち止まった。
「この服は・・・」
チャイナドレスの裏地は、レースのようなざらざらな生地をつかってあり、どのような処理をしたのか縫い糸の一本一本が固く固められていた。催淫剤の効果で、全身の皮膚が異常に過敏になっている美樹にとっては、まるでイバラで編んだ服を着ているようなものだった。そして、ドレスはあつらえたように美樹の体にぴっちりと張り付いている。胸の生地は美樹の巨乳に押されてぴんと盛り上がっていた。
「どこまでも卑劣な・・・」美樹は歯を食い縛って再び歩き出した。
「はうっ・・・うっ・・・」敏感な乳首や脇の下など、体中から疼痛が電気のように走るが、裸で歩くわけにもいかない。部屋の出口を開けると、狭い階段があった。一歩、一歩刺激に耐えながらのぼっているうちに、自分の体が火照ってくるのがわかった。無性に自慰行為にふけりたくなる心を必死に押さえて、美樹は2階の入り口にたどり着いた。
「はぁ、はぁ・・・」ふらつく体を手すりで支えながら、ようやく上ってきた美樹だったが、硬直した乳首が刺激されて、めらめらと官能の炎が体内で燃え上がっている。
(ああ、いやだわ・・・きっとアソコも濡れ始めているわ・・・こんなことで次の相手と闘えるかしら・・・)
美樹は2階の入り口の扉に手をかける前に、大きく深呼吸して気力を整えた。
(何のためにこの1年、自分を鍛えに鍛えてきたの?いくわよ!)
美樹は慎重に扉を開いた。
ぎぎーっと音がして扉が開くと、そこは道場のような広い板の間だった。天井にはむき出しの梁が幾本もわたされ、裸電球が一定間隔で取り付けられている。窓はあったが、木の板で塞がれていた。美樹が2階の間に足を踏み入れると同時に、板壁に寄りかかって床にすわっていた男が3人、ゆっくりと立ちあがった。
「ふーっ、待ちくたびれたぜ。ようやく、鉄拳先生のお出ましか・・・」先頭の男がぼそっと言った。
3人とも胸板が厚く、がっちりとした武道家タイプの体つきで、頭は一様に角刈りにしている。白い空手着の帯には、<烈山大学空手部>と大きな文字で書いてあった。
「へぇーっ、コスプレソープのねぇちゃんみたいなかっこうだぜ。あんたホントに学校の先生かよ?」
別の学生が素っ頓狂な声をあげる。
美樹はかーっと顔を赤らめた。
「あなたたち、そこをどいて私を通してください。上の階に女子生徒がつかまっているのです。」
「知ってるぜ。だけど、オレたちは、あんたを倒せば思う存分犯りまくっていいって、言われてるんだ。へへっ、それに男とやりたくて堪らなくなるクスリを嗅いでるんだってなあ。ぞくぞくするぜ。」
「どうしても闘うというなら・・・容赦しませんよ!」
「おお、コワっ。へっ、中国拳法だか知らねぇが、足腰がふらふらしてるぜ。」
「おいテツ、無駄口はもういい!とっとやるぜ。股間がうずいていけねぇ。サブ、逃げ道をふさいどけ!」
「ウスッ」一番若そうな学生が扉のほうに行った。
どうみても、さっきのチンピラたちよりは数段手強そうな男たちだった。しかもクスリのせいで、十分に体が動かない。美樹を絶対絶命のピンチが襲う。
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