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   第三章

パン、パン、パンと教室の入り口から拍手が聞こえた。美樹が振り向くと、権田と黒川がニヤニヤと笑いながら手をたたいている。
「いやぁ、見事、見事。さすがに白鳥君だ。君のまさにハクチョウの舞いをたっぷり堪能させてもらったよ。ふっ、ふっ、ふっ・・・。」権田が言った。
(この人たちは、私が必死に闘っているのをただ見物してたってわけ?どうせ、私の胸やスカートの奥を観賞でもしてたんでしょうよ!)また、頭に血がのぼってくるが、今は沙織のことが心配だ。

「沙織さん、沙織さん、しっかりして!」美樹は、ぐったりと床に横たわっている西田沙織を抱き起こした。白い体のあちこちに、男たちの体液がこびりつき、ひどい陵辱のあとを残している。
「せ、せんせい・・・。」沙織の目から涙があふれる。
「まだケイコさんが・・・上の階で・・・つかまって・・・います・・・。」沙織はそれだけ言うと、またがっくりと気を失ってしまった。
「なんですって・・・。」美樹は絶句した。もうひとり生徒が捕まっている。しかもケイコだとは。ケイコは外の不良グループとの付き合いを噂されている少女で、学校での態度も反抗的だった。なぜ、彼女まで事件に巻き込まれたのか、美樹にはわからなかった。しかし、この生徒も助け出さねばならない。

「黒川先生、この子を至急病院まで連れていって下さい。それと警察への連絡もお願いします!」
「ああわかった・・・。」黒川は無表情にぼそっと答えると、沙織をコートで包み、荷物でも担ぐように沙織を抱いて、暗い廊下に消えていった。
「さぁ、白鳥君、ワシらも上の階に行こうかのう。急がねば・・・。ふっ、ふっ、ふっ・・・。」権田に促されて歩きかけた美樹が、急によろめいて片膝をついた。
(お、おかしい・・・。目がまわるわ。それに・・・体の感覚が変だわ・・・。)まるで、ひどい日焼けでもしたかのように、全身の皮膚がヒリヒリする。皮膚感覚は異常に過敏なのに、手足に力が入らず、どんどん体が重くなってくる。
「おやっ?どうした?さすがの中国拳法の使い手も、少し張り切りすぎたかのう。ふっ、ふっ、ふっ・・・。」
「い、いえ・・・。大丈夫です。さあ、行きましょう・・・。」美樹は必死に気を引き締めて、なんとか歩き出した。

はぁ、はぁ、はぁ・・・。美樹が苦しそうに階段をのぼっていく。体の異変はどんどんひどくなっていた。動悸が激しく、体に力が入らない。さらに皮膚が過敏になり、体中の敏感な部分が、下着や服とこすれるたびに刺激されて、耐えられなくなりつつあった。
(ああ・・・。変だわ。乳首やアソコがこすれて、声をあげそう・・・。)美樹は、実は男性経験がなかった。いままでの人生で、自分より頭がよくて強い男が近くにいなかったからだ、と自分に言い訳をしてみるが、処女であることは、美樹の唯一のコンプレックスでもあったのだ。それでも24の女として、週に何回かはオナニーにふける夜もあったが、これほどの性感を味わったことは無かった。

(こんなことって・・・。絶対おかしいわ・・・。ああっ、だめっ・・・。)
とうとう美樹は階段の中ほどで、壁に寄りかかるように階段にすわりこんでしまった。
「はぁ、はぁ・・・。す・・・すみません。少し・・・休ませてください・・・。」
「しょうがないなぁ。君の生徒が待っているんだぞ・・・。まあいい。ワシもいっしょに一服させてもらおうか。ふっ、ふっ・・・。」権田も美樹に寄り添うように、階段に腰をおろした。普段なら権田の横になど、絶対にすわらないところだが、体が極端にだるく、目をあけているのさえおっくうだった。

権田がちらっと上目使いに美樹の様子をうかがうと、おもむろに鼻息がかかるほど、美樹の体に顔を近づけてきた。
「しかし、君は実にいい体をしているなぁ。もててたまらんだろう。その・・・もう、男はしっとるのか?腕も脚もすべすべじゃないか。」権田がそっと、手を美樹のむき出しの太ももにおく。汗ばんだ手のひらのぞっとした感触が、過敏となった皮膚から伝わるが美樹は動けなかった。いつもなら、大声を出して、ひっぱたいているところだが、舌すら満足に動かない。

美樹がじっとしているため、大胆になった権田は、手のひらを美樹の太ももから太ももの内側に移して、いやらしく撫で回す。全身に鳥肌が立つような強烈な感覚が美樹を襲い、思わず「ああん・・・。」というあえぎ声のようなため息を漏らしてしまった。
「ほほう、なかなか感度もよさそうじゃないか。いつもはワシなどを虫ケラでも見るような目でみておるくせに、君も一皮剥けば好き者女の本性が出てくるというわけだ。ふっ、ふっ、ふっ・・・。」
(ち・・違うわ!人の体がこんな状態の時に痴漢行為を働くなんて、なんて人なの!)美樹の心の叫びとは裏腹に、美樹の体のほうは明らかに官能の炎が燃え上がり始めていた。

「あっ・・・あうん・・・ああ・・・」美樹の体が反応し始めたのを見て、権田は欲情にひきつった顔で、今度は美樹のブラウスのボタンをはずし始めた。
「どうれ、こちらはどうじゃ・・・。ほおう、でかいチチじゃのう。」権田は美樹のブラウスの前を開き、ブラジャーを顕わにすると、手のひらで包み込むようにして、ゆっくり揉みだした。
「あん・・・ああん・・・ああん・・・。」美樹の喘ぎ声が階段に響く。首はかすかにイヤイヤをするように左右に振られるが、依然体は動かなかった。
「ふふっ、下着の上からもはっきりわかるほど、乳首が固く立っておるぞ。そんなによいか。ふっ、ふっ、ふっ・・・。」権田の顔には興奮で脂汗がびっしり浮いており、息も荒くなっている。今では片手で美樹を抱き寄せるようにして、美樹の胸を弄んでいた。

「さて、こちらはどうかな?・・・」権田の手は容赦なく、美樹のミニスカートの奥に入り込んでいく。美樹の体がピクッと反応して、「あうう・・・や・・・やめ・・て」と、うわごとのように言うが、権田の手のひらは、ねちっこくパンティの上から美樹の秘裂のあたりを愛撫している。
「おっ?ふふっ、君のパンティが湿っぽくなってきたぞ・・・ふっ、ふっ、ふっ・・・。」
(ああっ、いやあっ、触らないで!・・・で、でも、気持ちよくて頭が変になりそう・・・。こんな男に快感を与えられるなんて・・・。)
「ああん・・・あん・・・ああん・・・ああん・・・」なんともそそるような喘ぎ声が、美樹の唇から漏れ続けた。

「おう、も、もう辛抱たまらんわ。一足先に拝ませてもらおうかい。」権田は言うなり、美樹の足の側にまわり、美樹のパンティを一気に引き降ろそうと、両手をミニスカートの奥に突っ込む。
(はっ、いやっ!犯されちゃう!いやああああ!)強姦される恐怖に、美樹の意識が一瞬覚醒した。
ほとんど反射的に、美樹の脚が権田の腹に向かって強烈に蹴り出された。
「うぎゃっ!」獣のような叫び声をあげながら、権田の体がふっとんでいき、階段の踊り場に向かって墜落していった。ずしん、という地響きが伝わってくる。
「はあ、はあ、はあ・・・。」ほっとした反動からか、美樹の意識はそのまま深い闇の底に落ちていった。


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