旧校舎は、校庭のはずれにたっている木造2階建ての建物で、明治時代に建設されたらしい。もう、使われなくなって久しく、当然、電気も水道もきていない廃虚だった。美樹たち3人は、今その旧校舎に向かって風雨の中を歩いていた。夏の終りの低気圧で雲が飛ぶように流れ、時折、強い横殴りの突風がふく。権田と黒川は用意よく雨がっぱを着込んでいたが、美樹のほうは白のブラウスに薄いピンク色のミニスカートだけだったので、すでに全身びしょ濡れの状態だ。
最近、神光学園の女生徒が誘拐されて暴行されているという噂があり、美樹としては非常に沙織の身が心配だった。噂というのは、当の女生徒が届け出もせず、いきなり退学していなくなってしまい、確かめようがないためだ。学校側もなぜか深く調べようという動きがない。正義感の強い美樹としては、何か歯がゆいのだが、新任教師2年目の女教師がいくらやっきになっても、私立学園の組織や警察を動かすのは難しかった。
また、ごうっという突風が横から吹いてきて、大粒の雨が降り注いでくる。すでに辺りは真っ暗で、ところどころに立つ水銀灯が輝いているだけだった。ようやく校庭のはずれにたどり着いた美樹たち3人は、旧校舎の真っ黒なシルエットの前で立ち止まった。
「あっ?とびらが開いてるわ!」施錠されているはずの旧校舎のとびらが、わずかに開いている。「白鳥君、とにかく入ろう。雨、風がかなわん。」権田はそう言うと、お構いなく入っていった。黒川と美樹も続いて旧校舎の中に入った。
「あらっ?」電気がきていないはずの校舎の中が、妙にあたたかく、廊下の非常灯にも弱々しい明かりがついていた。遠くで発電機のようなモーター音が聞こえる。
「すでに誰かいるのね。」そう言って、歩き出そうとした美樹を、権田と黒川が懐中電灯で照らして、妙な目つきで見ている。
「あっ!」気がつくと、全身水浸しになったおかげで、美樹のブラウスとピンクのミニスカートの生地を通して、美樹の下着がまる見えになっている。ブラのレース模様やパンティはもちろん、下半身の翳りまで透けていた。おまけに、服がぴったりと体に張り付き、今まで誤魔化していた巨乳やヒップのラインもくっきりと出ていて、これでは全裸で男たちの前に立っているようなものだ。美樹は今日に限って薄手の服を着てきたことを後悔したが、後の祭りだった。
「なかなか見事なプロポーションですなぁ、白鳥先生。ふっ、ふっ、ふっ・・・。」権田がいかにもスケベそうな声で言う。黒川も美樹の下半身を舐めるように見ている。
「こんな時にへんなこと言わないで下さい!」自分の顔に、血がのぼっているのがわかる。
(この人たち、絶対に今度セクハラで訴えてやるわ!)美樹は固く心に誓った。
「さあ、行きましょう!」美樹はひったくるように権田の手から懐中電灯を受け取ると、暗い廊下を歩き始めた。
真っ暗な廊下を、懐中電灯の光がゆらゆらと照らす。教室をひとつひとつ見ていくが、しーんと静まり返っている。外からは、時々、雷と風雨の音が聞こえる。
(こんなところに、本当に沙織が捕らわれているのだろうか?もし、悪質ないたずらなら、そのほうがよほどいいけれど・・・。)美樹がそう思い始めたとき、一番奥の教室から、かすかに人の笑い声やうめき声のようなものが聞こえてきた。わずかに明かりも漏れているようだ。
「沙織さん!」美樹は、髪をなびかせて猛然と走り出した。
「うっ、うん、ううっ・・・。うっ・・・。」イスや机を片づけた教室の床に薄い布が敷かれ、その上で少女が二人のチンピラに犯されていた。少女は全裸の姿で四つん這いになり、尻のほうから男が腰を突き上げている。もう一人の男は、少女の顔の前に膝まづいて、自分のモノを咥えさせていた。少女のくぐもったうめき声がときおり響く。尻から犯している男が腰を突き上げるたびに、意外に発達した少女の乳房が前後にゆれている。間違いなく、西田沙織だった。男性経験などとうてい無さそうな清楚な美少女だったが、今は色白の体を前後から責められた上に、明らかに快感に身悶えていた。
「うっ、うっ・・・。うううーっ、うっ・・・・・・・・・・・・。」少女の体がふいに硬直して細かく震えた。
「おらおら、イったときに歯なんか立てんじゃねえぞ!」しゃぶらせている男がどなる。
「へへっ、まったくガキのくせによくイクぜ。ここらでオレももう一発・・・うっ・・・」尻から犯している男が、少女の中にしたたかに放ったようだ。粘り気のある糸をひきながら、自分のモノをゆっくりと引き出した。
突然、ガラッと扉があいて、美樹が飛び込んできた。
「こらあっ!あ、あなたたち、なんていうことを・・・。すぐその子を放しなさい!」美樹が叫んだ。あまりの怒りにバトンを握り締めた腕が、ぶるぶる震えている。
「おっ、来やがった。やい先公よぉ、今度は昨日のような訳にはいかねぇぜ!」チンピラたちはパッと少女の体から離れると、そばに置いてあった木刀を手に立ちあがった。ふたりとも全裸で、そのうちのひとりのモノはまだ勃起して、ぬらぬらと光っている。
「きゃっ!」思わず美樹が視線をそらした。
「へっ、意外に純情な先生じゃねぇか。てめぇをぶちのめしてから、たっぷりと拝ませてやる!」と言うなり、チンピラのひとりが木刀を打ち込んできた。
(いけない!闘いに集中するのよ!)カーンと美樹がバトンで木刀を打ち返す。「やっ!」もうひとりの男も木刀を振り下ろしてくるところを、さっと美樹は体を入れ替えて、飛び離れた。男たちは武道の心得があるとは思えなかったが、さすがに高校生とは違い、木刀の威力にはぞっとする迫力があった。もし、一撃でも当てられれば勝負はつき、その後は美樹も沙織と同じ目に合わされるのは明らかだった。
(負けないわよ!絶対、沙織を助けてみせる!)美樹は敏捷に動き回って、挟み撃ちを避けながら、機をうかがった。カーンと木刀をはじいた後、美樹は必死に男の懐に入り、満身の力をこめて回し蹴りを放った。美樹の美脚が跳ね上がり、きれいな円弧をかいて男のこめかみに炸裂した。男が白目をむいて床に倒れる。
「はぁ、はぁ・・・。」美樹の息もあがる。
「やろう!」もうひとりのチンピラが、凄い形相で木刀を突き出してくるところを、さっとかわし男の尻を蹴ると、男は勢い余って、教室の隅に積み上げてある机の山に突っ込んでいく。ガラガラっと音がして積んであった机の山が男の上に崩れた。
(はぁ、はぁ・・・勝った。危ないところだったわ・・・。)美樹はほっとして、机の山に突っ込んだ男の様子を見に近づいた。
「きゃあっ!」突然、男は身を起こすと、しゅーっと美樹の顔にスプレーのようなものを吹き付けてきた。美樹が思わず顔をかばって後退すると、さらにしつこく、スプレーを吹き付けてくる。何か栗が腐ったような、胸が悪くなるような香りが美樹の顔を包んだ。
「やめなさい!」美樹は男のスプレーをバトンで叩き落とすと、男のみぞおちに拳を突き入れる。
「ぐうっ!」とうめいて、男は倒れて動かなくなった。
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