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 第一部(7)<指>

男達はいっせいに「ほー」とか「おー」と言いつつ、卑猥にニヤついた。

「いいおまんこしてやがるぜ」
「たまんねえな」
「姉さん、ご開帳だな」

麗佳は男達の卑猥な言葉を聞きたくなかった。ただぷいっと横を向いて、唇を固く噛み締めキッと目を見すえたままだった。
突然男が目配せをして、足元の奴等が両足首のロープを解き始めた。
麗佳もはっとしてそちらをみる。
ロープはくるくると解かれたが、両方の足首はそれぞれがっちりとつかまれているので両足が自由になったわけではなかった。
それでも麗佳はこれ幸いと、思いっきり体をねじり両足をばたつかせて、何とか逃れようとした。
腰から足にかけてが中に浮くくらい暴れまくった。
ガツンと衝撃が来た。再びビンタを食らったのだ。
1発、2発、3発。麗佳は首を左右に振られ一息つかざるを得なかった。
その隙に両足にひっ掛かっていたズボンとショーツはさっと抜き去られた。
そしてすかさず両足は、前よりもいっそう広げられた形で、再びギリギリと固定されてしまったのだ。

「おう、いいカッコだぜ、姉ちゃん」
「そんなに暴れるから、おまんこ丸見えだぜ」

男の言葉にはっとした。
急いで首をおこして下を見ると、両足首は50cmぐらいの間隔で広げられ、台上に縛られている。
黒々とした陰毛がいやに目立つ。
それを見たとき再び麗佳の頭にカッと恥ずかしさが充満した。
すると一人の男が台の足元の方にかがんで、こちらを見た。

「おい、いい眺めだ、丸見えだぜ」


なんと男の目線は麗佳の局部と真正面に向き合っているではないか。
麗佳は恥ずかしさのあまり半狂乱になって怒鳴った。
怒鳴らずにはいられなかったのだ。

「やめろ!見せもんじゃねえ!...見るなよっ!」

首をおこして、その方を見つつ怒鳴った。
そのとき下から卑猥な目つきでこちらを見上げている男と目が合った。
男はニヤッと笑った。

「もういやっ! こんなの...」

麗佳はその視線にとても耐えられず、再び首を横にそむけた。
しかし気丈にも恥ずかしさを振り払うかのように必死に言葉を振り絞った。

「ひ、卑怯だぞ、てめえら...」
「き、きたねえぞ...くそっ...ちきしょう!」
「おやおや、泣きが入ったぜ」男どもはいっせいにニヤッと笑った。
「おい姉さん、やめて下さいって言ってみな。そしたらやめてやるよ」
「そうだ、頼んでみろよ!お願いしますってよ!」

麗佳はすかさず「ふん、誰がお前らに頭なんかさげるかよ」と思ったが言葉には出てこなかった。

「ああ、こいつはやめてほしくねえんだぜ、もっと続けてほしいとよ!」
男がはやした。
「うるせえっ!寝言いってんじゃねえ!」
頭の中ではすぐに反論できた。しかし言葉にならない。
「どっちにすんだよ!やめて欲しいのか、続けて欲しいのか?」
「やめて欲しけりゃ、お願いですから止めて下さいって言えよ!」
「そうだ、懇願してみろよ!お願いしますってさ!」
麗佳は黙っている。
「おーら、やっぱり続けてほしいんだ」
「久しぶりで嬉しいんだろ? ええっ!」
「もっとやって欲しくてウズウズしてんだぜ、こいつ」

「くそっ!」

麗佳は目をそらしてぷいっと横を向いた。悔しくて悔しくてどうしようもなかった。

「何がお願いしますだ、ちきしょう。誰が懇願なんかするかよ」

懇願などできるはずも無かったが、そんなことより、第一、麗佳は別に殴られたり拷問されたりのような、苦痛を受けているわけではなかった。
表面上はむしろ、優しい手つきと甘い愛撫を施されているだけではないか!
もちろんそれらは狡猾で下品で詐欺と欺瞞に満ち満ちているのだけれど...。
そんな甘い愛撫に対して、やめて下さいなどと懇願するということは、感じてしまっているということを自ら明かすようなものだ。
その場にいる全員がそのことを良く理解していた。
男どもも、もちろん麗佳も。
そんな甘く、恥ずかしい、軟弱な仕打ちに対して中止を懇願するなど、麗佳のプライドが許さなかった。
かといって黙っていると、今度は「もっと欲しいんだぜ」などとあげつらわれる。
こんなことはもちろん、まったくの言葉の遊び、戯れ言に過ぎないことは自明だった。
麗佳もこんなばかげたヤジに乗るような軽い精神は持ってはいないはずだった。
そういつもならば。
だがしかし今、麗佳はこだわった。
ムキになって否定しようとした。
言葉にこそ出してはいないが、内心では

「なにが欲しがってるだよ、バカが...んなことあるわけねえだろ...」

と、愚かしい挑発に反論していた。
いつもならそんな挑発になど乗るはずはないのだが..
それは実は麗佳自身、その身にまったく覚えの無いわけではなかったからではないだろうか。
男どもの指が身体を這い回ったとき、奴等の舌がそっと身体を撫でたとき...
考えたくもないことがその身体に生じようとしているのだろうか...。

「ちきしょう...ああ...ほんとに...く...くやしい...」

そのとき、自分自身でもまったく意外だったのだが、なんと思わず涙が出てきた。
それは横を向いた顔をツーと伝い流れ落ちていった。

「あーあ、泣いちゃったよ」
「泣き顔がまた可愛いぜ、姉さん」

麗佳はひどく動揺した。

「?!」
「どうしたっていうの!」
「こ、このあたしが、な、泣くなんて...」
「今まで人前で泣いたことなんか無いのに...」
「なんでだよ、ちきしょう...なんで涙が出るんだよ」
「今までどんなに苦しい訓練でも...根を上げたことなんか無いのに...」

男どもはそんな麗佳を見てニヤニヤしながら言う。

「おい、俺たちは別に殴ってなんかいないぜ」
「そうさ、逆だよ。「やさしく」してやってんだよな」
「それなのになぜ泣くんだよ、ええっ!」

いざ涙が出てみると、いっそう麗佳は動揺した。
どんどん追いつめられてゆく自分を感じていた。そしてその元凶は、こともあろうに自分のこの身体なのだ。

そんな麗佳の苦悶も省みず、男どもは入れ替わり立ち代わり特等席を交代すると、眺めを楽しんだ。

「けっこうピンク色じゃねえか、見かけによらず使ってねえのか」
「だけど、この濡れかたを見ろよ、半端じゃないぜ、溢れちゃってるぜ」

両足が大きく左右に開かれたせいで、麗佳の局部はあらわに晒されていた。
左右で大きさの違うやや赤黒い肉舌が陰毛の中にあり、その奥にはかすかにピンク色の色彩がちらちらと見え隠れしていた。
肉舌も陰毛もびっしょりと濡れて、ヌラヌラと光っていた。
そしてあふれ出た液体は一部がお尻の方まで滴っている。
最後に覗いた男が、しゃがんだそのままの姿勢でにじり寄ってきた。
羞恥に打ち震えた麗佳は相変わらず顔を背けていたが、何か気配を感じた。

「?!」

急に生暖かい指が陰毛を撫ぜるのを感じた。
それは恥丘あたりの陰毛を分けるようにもてあそんでいる。
右手の3本指でぐるぐる円を描く様になぞっている。
ついで指が下に降りてきた。
左右の肉舌を撫で回し始めた。
指は無遠慮にも、ビラビラと無抵抗の肉舌をもてあそび、引っ張り、ねぶった。
麗佳はなんとかその手から逃れようと、さかんに腰を振って抵抗した。
男の指はすぐにヌラヌラと光った。

突然、衝撃が鋭く身体を駆け抜けた。
今までとはまったく違う衝撃だった。
それは麗佳の大事な中心から脳天までをも貫いた。
無遠慮な指が、もっとも敏感な突起に触れたのだ。
麗佳の全身を高圧電流が走り、麗佳は激しくのけぞった。
完全にアゴが上がって天井を向いた。

「あうっ!!」
「あっ!...ああっ!!...はあっ!!...」

閉じようとする口からは強い息が漏れる。

「ああ、しまった...くそ...」
「...声なんか...出しちゃ...いけない...声なんか...」
「声なんか...出したら...こいつらの...思うつぼだ...」

一生懸命、口を閉じて歯をくいしばろうとするが、身体の奥の方から突き上げてくる吐息は閉じようとする口元からどんどん漏れ出てくる。
もはや唇を閉じていることは不可能だったが、それでもなお口を閉じようとするので、鏡で前歯を見るような口元になった。
その必死であわせた前歯の間からも、絶え間無く息が漏れていくのだが。

男の指はますます傍若無人になった。
右の三本指のうち両側の2本が肉舌を左右に開くと、遊んでいた真ん中の指が、一気に突起を責め立てた。
どろどろの汁を指の腹にすくうと、そのままそれを突起に塗り付けるようにするのだ。
ゆっくりと丹念に...。
その後、その無礼な指は突起に居座り、そこでぐるぐると回りはじめた。
指の腹に、突起をしっかりと捉えてゆっくりと、大きく回りはじめた。
そのうちに、段々と動きが細かくなってきた。
今度は上下にブルブルと細かく振動する。
それがすむと、また回転だ。これが何度も繰り返されていく。
これだけの攻撃に対しても、麗佳はなおも抵抗していた。
いつのまにか目もつぶっていた。
首は完全にのけぞり、アゴは天井を向いた。
腹筋が激しく上下し、体中にうっすらと汗をかいた。
両足の爪先にまで力が入り、両手は固く拳をにぎりしめている。
全身の力を振り絞ってジンジンと鳴り響く快感に抵抗しようとする麗佳だったが、その決意と努力も虚しく、愛しい突起を揺らされる度に強い息と短い声とがどんどん漏れていった。
呼吸はどんどん乱れていく。
その呼吸の乱れに連動するように、心も自己も消え去ろうとするのが、麗佳にはたまらなく恐ろしかった。

「このまま、この快楽に溺れていってしまうの?」
「このまま、こいつらに感じさせられて、我を忘れてしまうの?」
「エリート隊員で名を馳せたこの自分が、
みんなから尊敬と賞賛を受けてきたこの自分が、
並み居る男なんか屁とも思わなかったこの自分が、
こんな奴等の薄汚い手だけで、ただの女に成り下がるの?」
「男っぽい外見や、頑健な鍛えた肉体の内に隠された、女としての自分、女としての快楽...。
ああ、確かにそれはある。それは認める。あたしだって、そう、あたしだって女だから...。
でも、それは、あたしだけの秘密。誰にも見せたことなんかない。そんなそぶりさへ...。
あたしのその「女」を開くのは、きっといつか現れる大事な人だけ。そう決めていたのに...」
「それが、こんな貧相な憎たらしい奴等の手で、勝手にあたしの「女」が開かれる?」
「大事にしまっておいたあたしの「女」が、安っぽく呼び起こされて、もてあそばれる?」
「あたしは嫌なのに、あたしの中の「女」が勝手に目を覚ますの?こんな男どもの手で?」

こんなことは麗佳にとって、決してあってはならないことだった。想像もしたくなかった。

指が突起に触れているあいだは、呼吸も止まり頭の中は真っ白になって何も考えられなかった。
男の指がちょっと離れたとき、大きく息をつくと麗佳の思考が戻ってきた。
「...ちきしょう...こいつら...」
「...ああ...クリを...攻めやがって...ちきしょう...」
「...いちばん...敏感な...とこ...」
「...ちきしょう...無理だよ...そこは...」
「...そこは...どうしたって...声が...」
「...声が...でるよ...ちきしょう...」
「...悔しい...くそっ...悔しいよ...」
「...ど...どうしても...声が...出る...出ちゃうよ...」
「...それに...くそっ...すごく...響く......響くよ...」
「...無理だよ...誰だって...女なら...」
「...あんなに...クリを...責められ...たら...誰だって...」
「...でも...あたしは...自分を...捨てない...」
「...ちきしょう...感じるもんか...感じたら...負けだよ...」
「...自分を...明け渡さなけりゃ...いいんだ...」
「...そうだよ...ちょっとくらい...声が...出たって...」
「...こんな最低の...奴等に...自分を...明け渡すなんて...プライドが...許すかよ...」
「...絶対に...自分を...失なっちゃ...いけない...んだ...」
「...そんなことなら...舌を...噛んでやる...」
麗佳の自己は、容赦無く襲ってくる快感に、必死に抵抗し続けた。


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