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 第一部(6)<ショーツ>

その時、今までまったく沈黙を守っていた男の一人が突然口を開いた。

「おい、見てみろよ、濡れてきやがったぜ」

その声にあわせ、男どもはどれどれと、麗佳の局部に顔を近づけた。
麗佳ははっと我に帰った。
嘘だ、そんなはずはない、こんな状況でそんなことはあるはずが無い、いや、あってはいけないんだ、そう自分に言い聞かせた。
しかしショーツの局部は、初めは小さな一点の染みだったものが、次第に広がってきていた。
触れられるたびに、濡れて変色した布の面積が広がっていった。

「おっ、濡れてきた、濡れてきた」
「けっ、ざまあ無えよな」
「気持ちよく濡らしてやがるぜ」

男どもの卑猥な声は、麗佳の怒りに火をつけた。

「うるせえ... 濡れてなんかねえよ...変態野郎...」

麗佳は再び気力を振り絞って叫んだ。
しかし最初の頃の迫力はまったく無くなっていた。
声も小さく、少しかすれ声だ。
男どもは、もはや少しも動じなかった。

「おう、おう、元気のいいことで...」
「いくら頑張ったって、濡れてるものは濡れてるんだよ」
「おめえ、感じてるじゃねえかよ、身体は正直だよな」
「なかなかいい顔になってるぜ、姉さん、うっとりしてるじゃねえか」
「うるせえっ...クソ野郎...濡れてねえって言ってるだろ...」

麗佳はからかわれて動揺した。
フンというしぐさで鼻先をそむけて目をそらした。
だがそのしぐさはとても筋金入りの女スパイのものではなく、まったくの女のしぐさであった。

麗佳はもちろん、自分が感じているなんて認めてはいなかった。
だがさっきから、思わず吐息をついてしまっている自分に気付いていないわけではなかった。
胸から太ももへの愛撫では、まだ頑張れた。
一瞬、意識を集中してしまった自分だったが、何とか耐えたと思っていた。
しかし厄介なのは、あの一番切なくなる部分への指の振動だ。
鋭く身体の中をかけぬけてゆく快感に、一瞬頭の中が白くなってしまうことに気付いていたからだ。
小さな声が出てしまったことにも気付いていた。
もしかしたら、少しぐらいは濡らしてしまっただろうか?とふと考えた。

「クソっ...あんな所...触られたら...誰だって少しは...そうなるさ...」
「少し...ビクッときただけだよ...少しだけさ...」

麗佳は身体を駆け抜けた電流を認めないわけにはいかなかったが、男どもの卑猥な言葉は否定したかった。

「でもそんな...見て分かるほど...濡れてるはずない...嘘だ...そんなの...」
「そんなこと...あるはずないさ...」

そんな動揺を隠そうとして、麗佳は大声でわめこうとした。
思い付く限りの悪態をついた。
大声で怒鳴り散らし精一杯強がっていないと、襲ってくる快感にふと我を忘れそうになってしまうからであった。

「そうギャアギャアわめくなよ、姉さん」

それを黙ってみていた別の男はそう言うが早いか、右手を伸ばすと手のひら全体を、麗佳の優しい盛り上がりに軽く押し当てた。
まるで、濡れてすっかり染みになった股布をそっと覆い隠すかのようだ。
一見優しそうなその暖かい手のひらは、しかし次の瞬間、まるで痙攣でもするかのようにブルブルと振動し始めた。
しかもぐいぐいと、その濡れた局部の中心に押し付けられながら。
掌の根元は一番力を掛けやすいのか、男の掌は元気一杯に振動した。
指先は軽く曲げられ、恥丘の膨らみに添えられている。

「この変態野郎...ふざけるなよ...」
「この野......んっ!......ああっ...あああ...あぐっ!...」

それまで何やらわめいていた麗佳だったが、この手のひらの振動が始まった瞬間、言葉が途切れた。
目を閉じ、首をのけぞり、唇をしっかりと噛み締めている。
むき出しの腹筋がいっそう激しく上下した。
麗佳は腰から胸、肩にかけてを左右にねじるように身悶えて、何とか耐えようとした。
だが男の分厚い手のひらは、しっかりと麗佳の濡れた柔らかい中心を捉えていて、まるで強力な電動仕掛けのようにブルブルと激しく振動している。
とうとうたまりかねた麗佳の口からは吐息が漏れ出した。

「...はっ...はっ...はあっ...」
「...ちょ...ちょっと...」
「...ああっ...うん...」
「...ちょっと...まて...よ...」
「...うあっ...ああはっ...」

男の手はなかなか許してくれなかった。
その手のひらは執拗なまでに密着した振動を続けて麗佳の呼吸を大いに乱し、また麗佳の一番気にしていた中心部を、さらにさらに湿らせた。
切なく、とても困ったような表情のまま、麗佳は攻められた。
男の手は面白がるようにグリグリと押し付けられ、揺らされ、グラインドした。
そのたびに麗佳の口からは、驚いたときに発するような、短い母音の音声が漏れ出てくる。
やっと手が離れたとき、麗佳はぜいぜいと大きく荒い息をつき、ごくりと喉を鳴らして生つばを飲み込まねばならなかった。
薄く目を閉じ、唇を半開きにした、ぶざまな表情であった。
顔はすっかり上気して真っ赤になっており、肌にはしっとりと汗をかいていた。

男は、いましがた散々責められた麗佳の中心部に右手指の背側をこすり付けた。
手を返すと今度は指の腹側を塗りたくるようにこすった。
触れられたとき麗佳は、またびくっと身体をそらした。
思わず爪先に力が入った。

「おい姉さん、これを見な」
「おい、これを見ろよ、何だよこれは!」

そう言うと男は指先を麗佳の顔の前に突き出した。
その指はぬめぬめとした液体で光っていた。
親指と人差し指をあわせ開くと、つーと糸をひいた。

「パンティもびしょびしょだぜ」
「おまんこに張り付いてるよ、姉さん」
「透けて見えちゃってるよ!」

男達はわっと笑った。
残念ながら麗佳の心中の願いとはうらはらに、先刻からの執拗な愛撫のせいで、ショーツの股布にはべっとりとした染みが広がり、それはもう股布の幅いっぱいにまで広がってしまっていた。
どうしても認めたくなかったが、麗佳にも、その「じゅん」と来る感覚があった。
特に先刻の中心部全体を覆うようにして施された、掌による振動は効いた。
頭の中が白くなり、何も考えられなかった。
全ての神経は局部に集中し、ジンジンと響いてくる快感が全てを支配した。
自分がどんどん濡れて行く感覚を麗佳は否定できなかった。

「ほら、自分のだ!よーく見ろよ」

男は濡れて光った指先を麗佳の鼻先に押し付けた。

「いやっ!」

麗佳は思わず顔をそむけたが、男は指先を麗佳の鼻や口にぐいぐいと押し付けてくる。
はしたなくも相当に濡らしてしまったであろうことは、今さっきの快感の強さから自分でも気付いていた。
しかし、それをあらためて確認させられたくなどなかったから、突き出された男の指など見たくなかった。
しかし男は、嫌がる麗佳の鼻や口をふさぐように、ぬらぬら光る指を押し付ける。
息苦しくなった麗佳は、思わずちらっと男の指を見た。
それはまるでサラダオイルに浸したかのように、粘り気のある液体で濡れそぼっていた。
男が指を開閉するとその間で糸を引いた。

「ああ...いや!」
「いやだ、もうこんな屈辱は耐えられない...」
「こんなに...あたし...濡らしてたなんて...」

麗佳はぷいっと顔をそむけると、男達を見ようとしなかった。
もはや、とても男どもの方になど顔を向けられなかったのだ。

男は手を引っ込めると「どれ、じゃあそろそろ拝ませてもらうとするか」と言いつつ、ショーツのゴムに手をかけた。
麗佳はさっと青くなった。
あわてて男を見た。

「いやだ、それだけは...絶対...絶対に見られたくない...」

麗佳は、小さなパステルブルーのショーツだけが、今や自分の誇りを守っているように感じた。
そして今まで強がってこれたのも、この小さな薄い最後の一枚があったからなのだ、と気付いた。
急に麗佳は、これを取られたらもうおしまいのような気がしてきて、とにかく焦った。
せめてもの抵抗に、お尻を必死に台に押し付け、両ももをきつくあわせる。

「やめろ! やめろよ!」
「やめろって言ってんだろっ!」
「やめろーっ!!」

夢中でわめいた。
今までの強がりとはうって変わって「これを取られたらヤバイ」と麗佳は本気で思った。
なにがあってもそれだけは嫌だ、こんな奴等の面前に、大事な部分をさらすなんて絶対に、絶対に嫌だ。
しかも肝心のそこは自分でも今までに経験が無いほど、ぐっしょりと濡れてしまっているのだ。
そんな恥ずかしいこと、絶対に、絶対に耐えられない。
そう思ったら、もうなりふりなどかまっていられなかった。
麗佳は本気になった。本気でショーツを取られたくなかった。
本気になったとたん、思わず女の言葉が出た。

「だめっ! やめてよっ!」
「よしてよ、いやよ! 絶対いやっ!」
「お願い! いやだってばっ! いやーっ!」

声は上ずり甲高い女の声になった。
その自分の声を聞いたとき、麗佳は自分の中の別の女が叫んだように感じた。
無力な敗北感を感じた。

「やめてよ! いやらしい!!」

麗佳がまるで泣きべそをかくような調子で叫ぶと、男どもが応じた。

「いやらしい、だって? 今ごろになって? もうとっくに、さっきから十分いやらしいことしてるじゃねえか?」
「最初からいやらしいこと、してんだよ!」
「なに、清純ぶってんだ、こいつ!」
「そういうお前だって、いやらしいだろ! いやらしいこと大好きじゃねえか!」
「これは何だよ!ええっ!こんなに濡らしやがってよ!!」
「おまえだって、声だして感じてたじゃねえか!」

形勢はすっかり逆転し、今や男どもは言いたい放題であった。
麗佳が言い返すこともできずにいると、男はかまわずにぐいと力を入れた。
ショーツの前側が引き降ろされた。
だがお尻の部分が引っかかっている。
すぐに別の男が麗佳の腰を持ち上げようと手を差し出した。
そうはさせじと麗佳も必死に腰を振り、お尻を押し付ける。
突然、ビンタがとんだ。
頭の方にいた男が1発、2発と麗佳の顔を平手で打った。
一瞬ひるんだそのすきに、麗佳の最後の砦だったショーツはさっと膝まで引き降ろされてしまった。

「ああ、いや!」と小さく叫んで足の方を見ると、ショーツは膝のあたりまで下げられ、しかも裏返しにされ、べっとりと染みがついた股布の白い裏地が、おおっぴらにむき出しにされているではないか。

「ああ...クソッ...」悔しさのあまり、喉の奥から言葉が絞るように出てきた。
自分でも、とてもその部分を見ていられなかった。
見てしまうと余計に恥ずかしさが増加するようで思わず顔を左に背けた。
両目はキッと見開いたまま、唇を固く噛み締めた。

台上には、さっきまでの威勢のいい女闘士ではなく、震えるほどの羞恥と惨めな敗北感にさいなまれた麗佳がいた。濃緑色の戦闘服は左右にはだけられ、オリーブグリーンのTシャツは喉までまくられているし、同様にブラも喉元近くまでずり上げられている。
しわくちゃにされているズボンは、ひどくだらしなく、脛あたりまで下げられている。
極め付けは、はしたなくも裏返しにされ、やっとこさ膝にひっかかっているショーツだ。
しかもその一番大事な部分は、自分の恥ずかしい分泌液でべっとりと濡れているのだ。
麗佳はこの屈辱と羞恥に耐えられなかった。
けなげにも必死に両太ももを合わせ、お尻をよじるのだが無駄な努力であった。


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