目録へ  悶絶投稿へ戻る  


 第一部(4)<吐息>

とそのとき、何の前触れも無く、突然、右の乳首が強く吸われた。
右の男は唇で引っこ抜くような動作で立て続けに乳首を吸い続けた。
チュパッ!チュパッ!という音が響いた。
すると左の男もつられるかのように、左のふくらみを激しく揉みしだきつつ舌で乳首をねぶるのだった。

「?!」

全身にビンッと電流が走り、麗佳の身体がビクッと震えた。
麗佳は思わず男から目をそらし、あらぬ方を見やった。

「ほれ!姉さん、どうしたよ!どこ見てんだよ!こっちだろ!!」

下品にニヤリとしながら男が叫んだ。
その声に麗佳は気を取り直し、またも男を睨もうとした。
しかし図に乗った男どもの愛撫はますますねちっこさを増していった。
まるで二人とも示し合わせたかのように、乳房全体を大きくグラインドしつつリズミカルに揉み込む。
同時にざらっとした舌で乳首を、ねぶり、吸い回し、舐め上げるのだ。
まだ誰も気付いてはいなかったのだが、麗佳の首筋には少しづつ赤味が射してきていた。
あいかわらず睨みを利かそうとした麗佳だったが、ふっと目をそらすことが増えてきた。
腹筋が上下し、次第に呼吸が大きくなってきたようだ。
固く閉じていた唇がわずかに開かれ、時折大きく息をする。
吸う息と吐く息の息使いが、明らかになりつつあるのだ。
先程からはさかんに唇を舐め、まばたきを繰り返している。

「目をそらすなよ!この野郎!どうした、ええっ!」

勝ち誇ったように男が言う。
麗佳は睨もうとするのだが、なぜかできない。
両胸から発してくる電流は容赦なく全身を貫き、この電流を耐えようとすると、なぜか目をそらし、虚空を見詰めるしかない。
とても男の目を睨み続けてはいられないのだ。

またしても電流がビンッと走った。
「はっ」という息の漏れる音がした。
自分でもまったく予期していなかったが、強い息が思わず口から出た。
声ではなく吐息なのだが、それにしてはだいぶ強い息使いだ。
麗佳はふっと我に帰った。今の息の音を聞かれなかっただろうか?とふと思ったが、期待も虚しく、やはり男達は聞き逃さなかった。

「あれ、なんだよ、感じてるのかよ」周りの男が言う。
「声が出てきやがったぜ」
「乳首、舐められて感じちゃったのさ」
「おい、いま聞いたか? この姉ちゃん、声出したよな?」

男は皆に確認するように言った。

麗佳は「まずい...」と思った。
急いで言葉を探しても頭が回らなかったが、とにかく言い返した。

「うるせえ!出してねえよ!」
「出したじゃねえかよ、なあ出したよな?」

男がニヤニヤしながら言う。
男達はヒヒッと卑猥に笑った。

「出してねえんだよ、この野郎!」
「いま、「はあ」っていったじゃねえかよ、姉ちゃん」
「そうだ、聞こえたぜ」
「うるせえっ!誰が声なんか出すかよ、このアホども!!」

麗佳は再度、怒鳴ったが、初めのころ程の図太さと迫力が無くなって来ていることに自分でも気付いた。
麗佳はどんどん焦ってきた。

「さて、どこまで我慢できるんだ、ええ! おい!」

男達は銘々が麗佳をからかった。

「なに、すぐに感じまくりに決まってらあっ」
「頑張れるもんなら、頑張ってみなよ、姉ちゃん」

麗佳は漏れた吐息を聞かれたことに焦っていた。
そして固く口を閉じて唇を噛み締めた。
だが男達は一層強く、両乳首を攻めた。
そして乳首は正直だった。
初めはほとんど乳輪に隠れていたのだが、次第に隆起してきて、今や固く勃起してしまった。
まるでしゃぶってください、といわんばかりに突き出てしまっている。

「なんだよ、乳首、おっ立ててやがるじゃねえか!」

男が言った。

その言葉に麗佳は思わず自分の胸を見た。
確かにいわれたとおり、乳首は赤黒く充血して、いやらしく突き出てしまっていた。
そしてその乳首からは、強い電流が体中に放射され続けている。
その電流が身体を貫くたびに、どうしてもピクッと身体を震わせてしまうのであった。

「くそ...まずい...まずいよ...このままじゃ...」

麗佳は心の中で思った。

両サイドの男は、麗佳の焦りなど全くおかまいなしに、両乳房を同時に強く揉みしだきながら、左右同時に音を立てる程に強く吸った。
唾液でぬるぬるになった乳首は、激しく吸われた。

「はっ!」
「っくっ!」

全身に衝撃が走り、麗佳は思わず首をのけぞってしまった。
固く閉じたはずの口から大きく息が漏れてしまった。
今度の吐息は、はっきりと聞かれてしまった。
男達はいっせいにはやし立てた。

「ほーら、ほら、声が出たぞ!」
「感じてる、感じてる!」
「どうしたよ、頑張れよ、もっと!」
「こんなんで、もう声出しちゃうの? おめえ、ほんとは淫乱じゃねえの?」

麗佳は焦った。

「まずい...まずいよ...」
「くそ... こいつら、調子に乗りやがって... 」
「こんなことで...感じるかよ... こんな奴等に...」

しかし男達の愛撫はなおも執拗に続けられていく。
麗佳の両乳首はなおも、転がされ、吸われ、噛まれ、押さえつけられ、ねぶりまわされた。

「あくっ!...」
「はんっ!...」

吐息の中に、次第次第にかすかな声が混じって来ているようだ。
しかも声といっても多少トーンが高く、さっきまでの図太い声とは少々異なっている。

「ん!」
「あ...」
「ああ...」

吐息の中にかすかな声が混じる率が次第に増えてきた。
いくら抑えようとしても段々と「声」になってきてしまうのが自分でも分かった。
しかもそれは、次第に上ずり、トーンの高い声になってきているようだ。
麗佳は声が漏れそうになるたびに口を閉じようとするがどうしようもない。
暴れようとしても身体に全然力が入らない。
たとえかすかであっても、どうしても声が漏れ出てしまう自分が、悔しくて悔しく耐えられないほどだった。
それもトーンの高い声を発っしている自分を思うと、今まで味わったことのない屈辱感であった。
虚空を見つめながら「ちきしょう...」そうつぶやいたが、それは誰にも聞き取れなかった。


悶絶投稿へ戻る 第三話へ戻る  第五話に進む