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 第一部(3)<視線>

麗佳はリーダー格らしいその一人の男をじっと睨み付けた。
恐ろしい目つきだ。
手足を縛られていなかったら、とても近寄れないほどの迫力ある目つきだ。
激しい訓練に裏付けられた、精神と肉体の自信の現れでもある。
だがしかしその頼みの肉体はいまや、がっちりと拘束されてしまい、男どもの手でねちねちと揉み解されそうとしているのだ。
麗佳は補えられたとき拷問を覚悟したが、彼女にとっては痛みを伴う拷問のほうがまだ良かったかもしれない。
精神は最後まで耐えられるだろう。
そう、死ぬまででも。
しかしこの甘い手つきは何だ。
これはまったく彼女の想定外のことだった。
麗佳はなおもその一人の男をじっと恐ろしい目つきで睨み付けたままだ。
歯を食いしばり、まばたきもしない。
ただではおかない、という怒りが両目からほとばしっている。
男は麗佳の両目ににらまれながら口を開いた。

「おー、恐い目だな。たいしたガンを飛ばしてくれるじゃねえか」
「よーし、そのままどれだけ頑張れるんだ、おい」
「そうやってガンをつけ続けていろよ、できるまでな」

男はそう言いつつ、麗佳の視線の強烈さに押されるように平台の横を左右に移動した。
麗佳は一時もそのいまいましい男の顔から目をそらさず、激しく睨み続けた。

「ったく、恐え目をしてやがるぜ。なんだよ、この女はよ」

男達は一瞬顔を見合わせると卑猥に薄笑いを浮かべ、そして左側の男が乳房を揉む手を放すと今度はヒゲ面の顔を近づけ、いきなり乳首をしゃぶりはじめた。
ざらっとした舌が乳首をずるっとねぶった。
その瞬間、麗佳の神経は一気に左乳首に集まった。
麗佳ははっとしたがすぐに気を取り直すと身体をねじるようにして激しく抵抗した。
男はその抵抗にもめげずに麗佳のよじる身体についてゆき左乳首に食らいついた。
麗佳はなおも拘束された身体をよじって抵抗した。
突然、頭の方に移動していた先刻のリーダ格の男が麗佳の顔に平手打ちを食わせた。
顔が振られる程激しい殴打だった。
麗佳は「てめえ!」と叫んだが身体をよじるのは中断せざるをえなかった。
そして右横に来たその男の顔を、前よりいっそう怒気を含んで睨み付けた。
男は薄ら笑いを浮かべつつ、落ち着きなく足元の方に移動してゆくが、麗佳はまるで誘導ミサイルのように男を目で追いかけた。

左側の男はそんなことにかまわず、いきなり舌先を回転させると乳首を激しく転がした。
再び、麗佳の全神経は左の乳首に集中してしまった。
男はなおも休まず激しく左乳首をねぶりまわした。
麗佳は思わず唇を噛んだ。
恐ろしい目でその左側の男を睨み付ける。
ところが今度は右にいた別の男が、右の乳首を吸いはじめた。
強弱をつけ、強く、弱く、強く..。
チュウッという、まるでキスでもするかのような音が響いた。
麗佳は今度は右側にも神経を向けさせられた。
体を左右にくねらせて何とか逃げようとしたが、男達の口は執拗に追ってくる。
わずかに身体をねじって避けると、今度はその位置から舌が追ってくるのだ。
しばらく攻防が続いた。
麗佳は男達の舌から逃れようと身を捩るがあまり効果は無く、乳首は執拗に舐め回され、ねぶられ、吸われ、転がされた。
麗佳はますます両乳首に意識を集中せざるをえなかった。
神経質にうろつきまわっているリーダ格の男が再び視線に入ってきたので、麗佳はまたその男を睨んだ。
両乳首には髭面の男が食らいついているが、歯を食いしばり恐ろしい目つきはなおも変わらない。

「さてな、いつまでそうやって恐い目で睨みつづけられるか? いつまでつっぱれるんだよ、この野郎!」

男は下品に唇を歪めつつ穿き捨てるように言った。
麗佳はなおも睨み続ける。

図に乗った両側の男は両乳首への愛撫を続けている。
しかしそれは、無骨で薄汚い男ども、そしてその汚い部屋にはまったく似つかわしくない優しい手つきだ。

麗佳は両乳首に男を食らいつかせながらも、なおも足元の男を凝視していた。
だがもちろんいつまでもカッと目を見開いたままでいることはかなわず、時折はまばたきをする。
唇は固く噛み締めているが、時折は下唇を舐めるようにして噛み締め直すのだ。
しかしそれでも麗佳はガンを飛ばし続けた。
その間にも、麗佳の両乳房はタプタプと揉みしだかれ、つかまれては下から上にしごかれる。
しごいた指が今度は乳首をきゅっとつまんだとき、麗佳は瞬きをした。
そしてちょっと唇を舐めた。
しかし目付けは変わらない。
つまんだ指はそのまま乳首をねじり回し、引っ張り上げられた。
麗佳はまた瞬きをした。
もう片方の男は逆に乳首を押さえつけると乳房に押し込むように揉んだ。
するとまた瞬きだ。
乳首が執拗に弄ばれるにつれ、段々と麗佳の瞬きの回数が増えてきている。
しかしそれでも麗佳は憎たらしい男から目をそらさない。あいかわらず強い視線を送り続けていた。


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