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 第一部(2)<乳房>

麗佳の怒鳴り声が響き渡ると、まるでそれが合図でもあるかのように男達はさっと台の両脇に陣取った。麗佳は思わず両サイドを何回も見回し、精一杯にらみ付けた。
右上手の男がおずおずと手を伸ばすと今度は戦闘服の上着のボタンを外しはじめた。
麗佳は身体を激しくよじって抵抗しようとするが、両手両足がしっかりと固定されているのでどうにもならない。
5つあるボタンがあっという間に外されるとコンバットジャケットはさっと左右に開かれた。
ジャケットの下はアーミーグリーンのTシャツだったが、大柄な麗佳の見事な胸の膨らみがTシャツの布地をグイと持ち上げている。
すると今度は左側の男がTシャツのすそを持つと、上にまくり上げようとする。
麗佳は必死に背中を台に押し付けて抵抗するが、すぐさま別な男が横から手を貸し、Tシャツはさっと喉元あたりまでまくりあげられてしまった。
鍛え込まれた腹筋と豊かに発達した両胸があらわになった。
その豊かな胸を包んでいたのは、ショーツとそろいのパステルブルーのブラだった。
カップの上側にはショーツ同様、白いレースの縁取りがしてあった。
ヒューと一人が口笛を吹いた。

「おお、でかいな」
「姉さん、いいおっぱいしてるじゃねえか」
と男がニヤついて言う。
麗佳の恥ずかしさは頂点に達していた。なんだかショーツよりブラのほうが余計に恥ずかしかった。
ブラのほうは怒りというより、とにかく恥ずかしさのほうが強かった。
さっきショーツのリボンを摘まんでいた奴が、今度はブラの真ん中についているリボンをもてあそび始めた。

「さわるなって言ってんだろ、この変態野郎!」

麗佳は怒鳴った。

男達はしばらくの間、下着姿に剥かれた麗佳を舐めるように鑑賞していた。
特に触ろうとはしないのだが、麗佳はその複数の卑猥な視線に耐え難さを感じた。
部隊ではエリートだった自分がこうしてあられもない格好をさせられ、じろじろと好奇の目で見られているのは我慢できなかった。

「なに見てんだよ!この野郎!見せもんじゃねえよ!!」

麗佳は怒鳴らずにはいられなかった。
しかし、そうこうするうち、肩口にいた二人がそろそろと手を伸ばすと乳房をつかみ、ブラの上から揉みしだき始めた。
一瞬「うわっ」と思ったが、麗佳はすぐに反撃に出た。
首を思いっきり前に伸ばして、ねとねとといやらしく動いている手首に噛み付こうとしたのだ。
だがその瞬間、頭の方にいた一人がさっと髪の毛をつかみ頭を押さえた。
強い力で乱暴に、頭を台に叩き付けるように押え込んだのだ。
後頭部に鈍い衝撃が伝わってきた。
「くうっ」とうなり声をあげると麗佳は再び、いい気になって胸を揉みまわしている奴等をにらみ返した。
男はそんなことには一切かまわず、いきなりブラの下方を持ち上げるとそのままズリズリとTシャツと同じ位置までずり上げた。
麗佳は思わず、はっと緊張した。
仰向けに寝ているのでひしゃげているとはいえ、それでも豊かな膨らみがぽろりとあらわになってしまった。
麗佳は首をおこし自分の胸を見た。
やや色の濃い乳首が天井を向いている。
男どもの視線が強烈に集中する。

「ああ、くそっ! ちきしょう!」

麗佳は舌打ちした。
叫ぼうとしたが一瞬声が出ず、ごくっとつばを飲み込んだ。

「この下衆野郎! てめえっ!」

精一杯ダーティーな言葉でわめき散らしたかったが、なかなか汚い言葉が出てこない。
こんな奴等、絶対に許せねえ、という怒りが頂点に達し、うなり声をあげつつ睨み付けた。
しかし男達はまったく臆する様子も無い。
麗佳はこの怒りと憎しみをどうぶつけようかと思いつつ、満足の行くダーティーな言葉がなかなか出てこないことに、イライラしていた。
そして同時に、もう一つのことにもイライラしはじめていた。

両サイドの男はさっきから執拗に胸を揉みしだいている。
時には強く、時には押しつぶし、そして時には乳首をつまみあげる。
麗佳は怒鳴り言葉を考えつつも、なんとなく胸のほうが気になり始めた。
腹の立つようなイライラ感が次第につのってくるのだ。
右側の男は、麗佳の右の乳房を下から包むようにつかむと、下から上へと持ち上げるように揉みあげていく。強く、弱く...。
ごつい手には似合わず、優しくなまめかしい動きだ。
そのうちに、つかんだ手を滑らせるようにして乳房の根元から乳首までを上下に優しくしごき始めた。
滑らかで、なかなか手慣れた動きだった。
麗佳は身体の奥の方からやってくる、密かなツーンとした感覚が気になりだした。
それは麗佳をイライラさせ、腹が立って仕方無いのだが、気にすまいと思っても、どうしても気が胸に行ってしまう。
そのうち左側の男もマネをするように同じ事を始めた。
男は手のひらで片方の膨らみをそっと押しつぶすと、そのままグリグリと揉みしだいた。
ついで下から上へと大きくグラインドさせ、一番力の入れやすい親指の付け根で乳首を優しく押しつぶすように揉みこんでいく。
さらにはその乳首を、今度は親指と人差し指で挟み込み、まるで上に引き抜くようにこすり始めた。
乳首がキュッとつままれたとき、麗佳は、自分の体の中にツンと電流が流れるのをはっきりと感じた。
ほんのわずかだが両肩がピクッと動いてしまったことも自分でわかった。
もちろん麗佳の頭の中は怒りと憎しみで一杯であったが、さっきから少しづつ、まるで男の手の動きに合わせるかのように、身体の中に鋭い電流が流れ始めていることに気付いていた。
その電流が身体をビッと走るとき、ついつい肩や腰がピクッと動いてしまう。
麗佳はこの身体の反応を気付かれたくなかった。
自分の中にこんな電流が走っていること、そしてその電流が走るたびに、何か身体の力が抜けていくような感覚があることを気付かれたくなかった。
だから余計に大声で怒鳴った。

「この野郎、調子に乗ってんじゃねえ!」

男の一人がニヤニヤと薄笑いを浮かべつつ、口を開いた。

「そうわめくなよ、姉さん。みんないい男だろ」
「ふざけるなよ、この野郎! テメエら!」麗佳もやり返す。
「そう突っ張るなよ。突っ張ったって無駄だぜ」
「やかましい、この野郎!」

優秀な戦闘員である麗佳は怒りと憎しみに歯噛みしながら男どもを睨み付けていた。


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