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  第十三章

その日、良太は隣町の駅にきていた。
 駅前ロータリーに停めた黒塗りセダンに寄りかかって、せわしなく煙草を吸っている。
 やがて、構内にアナウンスが流れ、二両編成の列車がホームに滑り込んできた。良太は煙草を吐き捨て、改札口に向かう。
 小野寺の姿はすぐに認められた。白布で包んだ白木の箱を持っていたからだ。
「やあ、ごくろうだったね」
「お、おつかれさまです……」
 小野寺に五日前の面影は微塵もない。肩の荷が降りたというか、ふっ切れた表情をしているのだ。
 ふと、小野寺が言った。
「実は道中ずっと考えていたことがあるんだ。ぜひとも、きみの協力を仰ぎたい」
「はい?」
「士朗は銃を使おうとしていたようだが、わしは薬を使おうと思う。わしにはその機会があるからな」
「あ……」
「わしは士朗の意志を継ぐ。きみはどうかね?」
 問いかけられた良太は、頷くよりも早く、白木の箱に手を置いたのだった。


          *          *


「わしらに恥をかかせおって、このメス豚が!」
「きゃっ!」
 風間に脇腹を蹴られて、全裸の森下瑞枝は床の上に転がった。汗で濡れた四肢をしどけなく投げ出して、仰向けになる。
 蹴られた部分は相当痛いはずだが、もはや呻くこともなく、顔をわずかに歪ませただけだった。瑞枝の全身はおびただしい量の白濁液で穢され、自身の脂汗と交じり合いドロドロになっている。
「さ、次の仕置きだ……」
 風間がソファに腰を下ろし、他のふたりの老人たちとアルバムをめくりはじめた。
「これなんかどうでしょう?」
 林の問いかけに、風間が鷹揚に頷いた。
「うむ、それでやるってみるか」
 藤波がすかさず相槌を打つ。
「お、いいですな。あのときは確か風間さんが上を受け持って、わたしと林さんで下を責めたんでしたね」
「ええ。そうでした、そうでした」
 林と藤波は頷き合い、高齢ゆえ黄色く濁った目を瑞枝に向けた。と、でっぷり太った風間がアルバムから一枚の写真を剥がして、瑞枝に投げつけた。
「次はこれでやれ」
 その写真はひらひらと宙に舞い、瑞枝の白い腹の上に落ちた。仰向けに寝転んだままの瑞枝は薄目を開け、喘ぐように息をしている。左右に広がった美乳がゆらゆらと上下し、白い下腹が波打つ様は、達したばかりのアクメの充実を物語っていた。
 壁を背に休んでいた三人の若者が、ふらりと立ち上がった。彼らは一様に全裸で、瑞枝同様しっとり汗ばんでいる。いずれも筋骨逞しい肉体をしており、その眼光もするどい。若者のひとりが写真を拾い上げ、他のふたりもそれを覗き込んだ。
 その写真は色あせたセピア色だった。どぎつい男女の絡みが写っている。まだ幼い少女が三人の男に嬲られているのだ。男たちの服装や家具調度から、戦中か戦前を思わせる一枚だった。
 三人の男たちは写真を見ながらボソボソ言葉を交わし、やおら倒れたままの瑞枝の身体に手をかけた。
「ほら、先生。続けるぞ」
「お、お願い……。もうちょっと休ませて……」
「十分休んだろ。さっさと立てよ」
 男たちは、腰が抜けている瑞枝をまるでマリオネットのように扱い、四股を踏ませる姿勢を取らせた。瑞枝の下肢はガクガク震えて、ひとりで立てない。
「ほら、先生。しっかりしろよ」
「あ、ああ……」
 と、そのとき、股間の肉溝から精液がとろりと流れ落ちた。瑞枝がか細い声で訴える。
「す、すみません。おトイレに……」
「しょうがねえなあ」
 男のひとりが老人たちの方を見た。忌ま忌ましげに頷いたのは風間だ。
「かまわん、行かせてやれ。ついでに瑞枝の身体を洗ってこい」
 三人の男たちは瑞枝を立たせ上げると、左右と後ろから支えて、部屋の外に連れ出した。腰の砕けた瑞枝を歩かせるのために、左右の男たちは乳房を鷲掴みにし、後ろの男は肛門に指を立てている。瑞枝は乳房と尻の三点で持ち上げられているのだ。
 廊下にはさらに別の三人組が控えていた。この男たちは衣服をまとっている。そのうちのひとりが嬉々と声を上げた。
「お、やっと交替か?」
「マンコ先生は便所だとよ」
 瑞枝の右の乳房を引っ張り上げていた男が、わざと指先に力を込めた。うなだれていた瑞枝は乳房を潰される痛みに力なく呻く。
「す、すみません……」
「もう一回戦あるから、交替は三十分後だな」
「そうか……。ま、しゃあねえな……」
 尋ねた男はがっかりした様子だったが、すぐにニタリとほくそ笑むと、瑞枝の股間に手を伸ばしてきた。精液と淫水でグチョグチョになった肉ビラを、まさぐりながら言う。
「そんじゃ、便所はおれたちに任せてくれないか?」
「ああ、頼む。あ、済んだら軽く水をかけといてくれ」
「よし、分かった」


          *          *


 瑞枝は控えていた三人組の手に渡り、広々とした風呂場に連れ込まれた。
 新しい三人組は、ふらつく瑞枝を排水口の上にしゃがませると、さっそく三方から彼女の股間を覗き込んだ。
「ほら、マンコ先生。早くション便しろよ」
「は、はい……」
 目を伏せた瑞枝は下腹に力を込めた。だが、なかなか排尿が始まらない。尿意はあるが、あらゆる角度から股間を覗き込まれているため、羞恥心が邪魔をしているのだ。焦れば焦るほど、尿意さえも遠ざかるようだった。
「なんだ? もしかしてクソのほうか?」
「あ、いえ……」
「だったら早くしろよ。マンコを洗う時間がなくなっちまうぞ」
「す、すみません……」
 瑞枝は深々とうなだれた。眉間に皺を寄せるほど力んだが、どうしても尿が出てこない。
「まだかよ、マンコ先生。早くしろよ」
「す、すみません。も、もう少しで……」
 見かねた男のひとりがこっそり瑞枝の背後に回り込んだ。風呂桶に湯船の残り湯を汲み上げ、瑞枝の臀部にぶちまける。
「きゃっ!」
 瑞枝が身を縮こませたその瞬間、股間からプシャーっと小便がほとばしり出た。
「へへっ! ほーら、出たじゃねえか」
「あ、あ、ああっ……」
 朝から延々続いた荒淫のためか、その尿はビールよりも色濃く、臭いもきつい。止めどもなく噴出する尿に、瑞枝は身をよじらんばかりの羞恥を感じている。ついつい閉じ気味になる太腿を、左右に陣取っていた男たちが強引に割り開いた。
「へへっ、すげえ勢いだぜ。相当溜めてたんだな」
「さすがはセックスマシーンのマンコ先生だ。ション便姿も色っぽいぜ」
 左右の耳元でそう囁かれて、瑞枝は顔を真っ赤に染めている。次第に尿の飛沫は緩やかになったが、細くなった分、なかなか切れそうにない。
 すると、男のひとりが尿道口を指先で塞いだり、てのひらに尿を溜めたりして遊びはじめた。ついには、てのひらにすくった尿で瑞枝の股間を洗い出す始末だ。
「ひゃはは、人間シャワーだぜ。ほれほれ、マンコ先生。マンコを洗ってやるからな」
「ああ、そんな……。ひどいわ……」
 荒淫三昧で腫れ上がった粘膜には温かい尿でさえも染み入り、瑞枝はヒクヒクと下肢を震わせた。
 長々と続いた放尿がやっと終わると、瑞枝は直立させられた。
「ほら、マンコ先生。股を開け」
「は、はい……」
 おずおずと開いた股間に、風呂桶で汲んだ残り湯がかけられた。
「あっ……」
 だが、一度かけられただけで、立っているのもやっとの瑞枝はへなへなと洗い場に座り込んでしまう。
「仕方ねえなあ……。ほれ、そこに手をつけよ」
「す、すみません……」
 瑞枝は湯船の縁に手をかけ、尻を高々と掲げる姿勢を取らされた。そこへふたりの男が群がり、ムッチリした下肢を抱えて左右に広げてしまう。もうひとりの男は残り湯を汲んだ風呂桶を尻の真上に掲げ、チョロチョロと垂らしはじめた。
「へへっ、きれいに洗ってやるからな」
「あーあ、こんなに腫れちゃって。何回イッたの、マンコ先生?」
 瑞枝の下肢を割った男たちが、精液まみれの肛門と膣口を洗いはじめた。すぐに男たちの指先は直腸や膣の奥深い所までもぐり込み、中に残留している精液を掻き出そうとする。爛れた粘膜を手荒にまさぐられて、瑞枝の真っ白い尻は悲鳴を上げた。
「あ、あん……」
「随分とまあ、中に出されたもんだな……」
「おい、ケツの穴はゆるゆるだけど、そっちはどうだ?」
「ん、大丈夫だな……。緩んでるけど、まだガバマンじゃないな」
「へへっ、そうこなくっちゃ。最後の方の組になると、ガバガバでつまんねえからな」
 風呂桶担当の男は、空いている片手で瑞枝の乳房をこねくり回していたが、ふたりのやり取りを耳にして、ふと不満気に吐き捨てた。
「そうだよな。一番手の組は得してるよな……。なあ、知ってるか? 朝一だと、マンコ先生のマンコとアナルはかなりきついんだとよ」
「へえ、そうなのかよ……。一晩寝るだけでしまりが戻るんだ。マンコ先生のマンコって、名器なんだな」
 三本指で瑞枝の肛門を掻き回していた男が、薄い粘膜越しに膣の方へちょっかいを出した。同じく三本指で膣をえぐっていた男も、指をくねらせてちょっかいに応じる。
「あ、あんっ!」
「へへっ、マンコ先生が感じてるぜ」
「ほれほれ。ここが感じるのか、マンコ先生?」
「んっ! んあっ!」
「へへっ、多分よ。ケツと太腿がムッチムチだから、股の筋肉も発達してんじゃねえのか?」
「そりゃそうかもな。こんなでかいケツを毎日上げ下げしてりゃ、筋肉もつくわな」
「へへっ、ケツとボインでウェイトトレーニングってか。どうりでよくしまるわけだぜ」
 瑞枝を囲んだ三人が笑いこけていると、先の三人組のひとりが風呂場に顔を覗かせた。
「おい、まだか? 遊んでると風間さんに怒られるぞ」
「あ、悪い、悪い……。ちょっと待ってくれ」
 風呂桶担当の男はそう言うなり、桶に残っていた湯を全部ぶちまけて、瑞枝を幼女の小便スタイルで抱え上げた。
「よーし、後は拭くだけだな」
 だっこされた瑞枝の股間はパックリと割れ、しとどにほころんでいる肉溝が丸見えになっている。
「へへっ、もうマン汁があふれてるぜ……」
 膣を洗っていた男が、瑞枝の股間をタオルで拭いはじめた。肉ひだの一枚一枚から水気を吸い取り、最後に肛門をごしごしと擦る。あまりの乱暴さに、瑞枝は内腿を引きつらせている。
「あっ、いっ……」
「よーし、こんなもんだな。ほれ、マンコ先生。マンコもきれいになったことだし、たっぷり回してもらえよ」


          *          *


 瑞枝は最初の全裸三人組の手に戻り、老人たちが控えている部屋に連れ戻された。
 お茶を啜っていた風間が、ぐったりした瑞枝を見るなり、意地悪げに言った。
「瑞枝、遅かったじゃないか。さては、便所でマンズリでもしてたか?」
「あ、いえ……」
「まあいい、さっさとはじめてくれ」
 男たちが再度例の写真を確認して、それぞれが配置についた。まず、ふたりの男が松葉崩しのように下肢を合わせて横たわった。二本の男根はピタリと寄り添っている。若いだけあって荒淫もなんのその、まだまだ十分に固い。
 次に、残ったもうひとりの男が瑞枝の柳腰を支えて、そのいきり立つ双頭を跨がせた。その際、老人たちの方に瑞枝の尻を向けさせたのは、結合部分がよく見えるように配慮したためだ。つまり、二本の男根が狙っているのは瑞枝の肛門なのである。
 だが、まだそのことを知らない瑞枝は、いつものように前後のふた穴を嬲られると思い込んでおり、大きく白い尻を右に左に動かしては立ち位置を探している。迷っている尻に男の平手が飛んだ。
「きゃっ!」
「ケツを窓の方に向けるんだ」
「は、はい……」
「よし。じゃあ、ちょっとだけしゃがめ。ほら、股をもっと開けよ」
「す、すみません……」
 瑞枝は重たげな臀部を落として、四股を踏む姿勢を取った。老人たちの位置からも、緩んだ肛門とその奥のふやけた肉饅頭がよく見える。男は瑞枝の上体を自分の胸で支え、両手はまん丸の尻に回した。そして、グッと割り開く。
「あっ……」
「こら、動くな」
 男の手は瑞枝の肛門を探り当て、無遠慮に指をねじ込んでゆく。朝から続いた輪姦ですっかり緩んでいる肛門は、人差し指を楽々咥え込み、一本が二本、二本が四本、そしてついに六本になっても拡張し続けた。
「へへっ、底無しのアナルだぜ」
「あ、ああ……」
 最初はえぐるだけだった六本指の動きが次第に円運動に変わり、やがて肛門を左右に押し広げた。ここに至って、瑞枝はこの責めの趣旨を悟ったようだった。だが、だからと言ってもうどうすることもできない。爛れた排泄器官を男たちに捧げるしかないのだ。
「よーし、じゃあ、はじめるぞ。ゆっくりケツを下ろせ。ゆっくりだぞ……」
「は、はい……」
 瑞枝の声は上擦っている。これまで前を二本刺しで責められたことはあったが、後ろはこれが初めてなのだ。だが、考えてもみれば男の六本指を楽々と受け入れているではないか。しかも、さらに二、三本は入りそうなほど隙間が開いているのだ。
(だ、大丈夫よね、きっと……)
 瑞枝はそのことに安堵したものの、自分の肛門のあまりの変わりように自然と目頭を熱くしてしまった。
(ああ、わたしのお尻、こんなになってしまって……)
「よーし、そろそろ入るぞ。そっちの用意はいいか?」
「ああ、大丈夫だ。そのまま下ろしてくれ」
 寝そべっているふたりの男は互いに男根を擦り合わせ、落ちてくる瑞枝の臀部中央に狙いを定めた。じわり、じわりと瑞枝の白球は下降を続け、やがて肛門を広げていた男の指にふたつの亀頭が接触した。
「先生。あとひと息だぞ……」
「んっ!」
 男は瑞枝の尻を下に引っ張るようにして、直腸に入れていた六本指を抜き取った。入れ代わりに二本の亀頭がぽっかり開いた肛門を捉え、先を争うようにしてズブズブとめり込みはじめた。
「あっ、ああっ……」
 瑞枝が悩ましげな吐息を漏らす。痛みはほとんど感じていない。それだけに、惨めさがひとしおだ。
(ああ、わたしのお尻、二本でも楽々飲み込んでしまうのね……)
「よーし、そのまま、ゆっくり……」
 両手が自由になった男は、瑞枝の一直線に開いた太腿を慎重に押して微調整をはじめた。片一方の男根が押し出されてしまわないよう、じわりじわりと大きな臀部を下ろしてゆく。
 一方、下になった男たちは、まるで筆下ろしをする少年さながらに目を丸くしていた。きつい肉筒の中で互いの男根の熱を感じ、同時に瑞枝の体温も感じ取ることの妙。前後の穴を同時に嬲るときとはまた違った肉のせめぎ合いが、男たちの逸物をさらに活気づかせている。
「へへっ、こりゃすごいな。キチキチだぜ……」
「ああ、チンポが潰れそうだ……。よお、先生はどんな感じだ? やっぱ、たまらねえか?」
「あっ、ああん……。す、すごいです……」
「へへっ、そうだろ? おれだって驚きだもんな」
「お、お尻が、壊れそう……」
「なーに、大丈夫だって。マンコ先生のデカ尻がこれしきのことで壊れるもんかよ」
「ああ、ま、まだ入るの……? わたし、怖いわ……」
 ミチミチと直腸を押し広げる男根の猛々しさで、瑞枝はおののき、白い太腿をわななかせた。散々に陵辱され続けたこの身体だったが、またひとつ大事なものを汚されてしまったと、諦観が新たに沸いてくる。
「さーて、こんなもんかな……」
 瑞枝の太腿を押していた男が立ち上がった。支えを失って倒れそうになる瑞枝の頭を掴み、己が男根を鼻先に押しつける。
「ほれ。舐めろよ、マンコ先生」
「は、はい……。いただきます……」
 瑞枝は男の腰にすがりつき、赤黒い男根を口に含んだ。もう反射とも呼べる行動だった。口中に熱い唾液をたっぷり溜めて、グチュグチュと男根に舌を絡ませる口淫奉仕ですら、意識せずにできる。
 さながら娼婦の技巧だろうか。そこまで堕とされた瑞枝だったが、依然、女の恥じらいは捨て切れておれず、勝手に動く自分の肉体を恨めしいと思うことも度々だった。それらの仕草が男心をそそって止まない。
「くっ……。きつすぎて動けねえぜ……」
「おい、マンコ先生が動いてくれよ」
 下になった男ふたりが難儀している。極めて不自然な姿勢なので、調子を合わすことができないのだ。無理に腰を動かせば男根が抜け出てしまうだろう。
 と、機転を利かせた男の片割れが、瑞枝の尻たぶを下からすくい上げた。
「ほれ、先生。手伝ってやるぜ……」
 ムッチリした尻が浮き、二本の男根がズルズルと抜き取られる。
「んっ、ふぐっ……」
 直腸粘膜をズルズルと引きずられ、瑞枝がくぐもった声を漏らした。腰砕けになっている瑞枝は、もはや自身の臀部を支えるだけの力が残っていない。男が手を離すと、すぐに巨大な尻は下降をはじめ、粘膜をズルズル押し込まれながら、二本の男根を再度根元まで咥え込むのだった。
「ほれ、もう一丁……」
「ふむっ……。むむむっ……」
「へへへ、そらそら。どうだ、腹一杯か?」
 臀部の昇降が何度も続けられるうちに、残り湯で清められた瑞枝の肌にポツリポツリと玉の汗が浮かんできた。
「くーっ! マンコ先生のアナルは絶品だ!」
「んっ……。むっ……。くっ……」
 瑞枝にはもう、激しく達するだけの体力は残っていないが、直腸の粘膜はお構いなしに悦楽を送り続けてくるのだ。それがさざ波のような小さなアクメを生み、瑞枝の裸体は一層汗ばんでゆく。
 連続するアクメが肉体的な快感からくるものなのか、それとも精神的な自虐が作用しているためなのか、当の瑞枝でさえ分からなくなってきていた。
 その様子を飽くことなく眺めているのが、いずれも齢八十を超す長老たちだ。のんびり番茶を啜りながら、アルバムと瑞枝を交互に鑑賞している。世間一般の老人であればテレビでも眺めて暇を潰すのだろうが、この長老たちは贅沢にも、日がな一日、女体嬲りを余暇に充てているのだ。
 茶を飲み干したところで、風間がパンパンと手を打った。
「よーし、おまえたち。上下交替して、一本抜いたら終わりにしろ。ごくろうだったな」
 かれこれ四時間近く瑞枝を嬲っていた男たちは、安堵半分、名残惜しさ半分で身体を入れ替えた。瑞枝の肛門をえぐっていたふたりが立ち上がり、左右から口淫奉仕を強いる。
「ほれ、先生。きれいにしろや」
「は、はむっ……」
 虚ろな目の瑞枝は汚れたままの男根を躊躇なく頬張り、すぐに二本同時フェラチオをはじめた。これもまた、身体が自動的に反応しているのだ。
 これまで口淫奉仕をさせていた男は仰向けに寝転がり、ぽっかり緩んだ瑞枝の直腸を狙っている。瑞枝は左右の男たちに乳房をぎりりと掴み上げられており、相変わらず四股の姿勢を保っていた。
 下になった男が、浮いたままの尻に狙いを定めて、逸物を突き上げた。
「そりゃっ!」
「ん、むふうっ……!」
「そりゃ! そりゃ! どうだ、先生。仕上げの一発だぜ」
「むふっ、むふっ、むふっ……」
 男の腰が暴れに暴れ、ビタン、ビタンと床を叩いている。それに交じって瑞枝の肛門もグチュ、グブッと淫らな音を奏ではじめた。
「お、マンコ先生、イキそうなのか? ケツがしまってきたぞ」
「むふっ! むふっ! むふっ!」
 二本刺しを食らった揚げ句、とことんまで緩んでいた直腸も、十回、二十回とこねられるにつれて、次第にすぼまっている。突き上げが三十回を超す頃には、男根をしっかり包み込むほどに筋力は回復していた。
「おりゃ! おりゃ! おりゃっ! いいぞ、先生! ケツに気合いが入ってるぞ!」
 男は床を抜かんばかりに腰を上下動させている。四時間に渡った輪姦の総仕上げであり、四日後の次の輪番まで悔いが残らないよう、瑞枝の体内に精液をぶちまけようとしているのだ。それに応えるかのように、瑞枝も疲労困憊の身体を打ち震わせ、塞がれた口から喘ぎ声をこぼしている。
「ふむっ! ふぐっ! ふむっ!」
 そんな瑞枝の口腔を蹂躪するふたりの男も、気持ちよく最後をしめくくるために、がむしゃらに腰を繰り出した。鷲掴んだ瑞枝の豊かな乳房をもぎ取らんばかりに握りしめ、か細い首が折れよとばかり口を犯す。
「せ、先生! もっとだ、もっと吸うんだ!」
「むふうっ! むぐうっ!」
「こ、こっちもだ先生! し、舌でやってくれ!」
「もごっ! むごっ!」
 全身汗みずくの瑞枝は、連続する小アクメでヒクヒク痙攣しはじめている。と、そこへ真下から熱い精を注がれて、白い背中がピーンとしなった。
「食らえっ! マンコ先生っ!」
「むふうううっ!」
 だが、口に含んだ二本の男根への愛撫は途切れることがない。
「よーし、マンコ先生、こっちもだ! こぼすんじゃないぞ!」
「むっ、むぶっ!」
「お、おれもいくぜ! ほらよっ!」
「ごぶっ! げふっ!」
 続いて口中にもたっぷり白い飛沫を注がれるに至って、瑞枝は半開きの目をうっとり潤ませた。そして、自身もアクメの歓喜に身を震わせる。
「ふうーっ……。へへっ、いいケツしてるぜ、まったく……」
「ほれ、全部飲み干せよ、マンコ先生」
「むっ……。むふっ……」
「へへっ、またヤってやるからな。愉しみにしてろよ」
 最後の一滴まで欲望を吐き出した男たちが、満足して瑞枝から離れてゆく。一方、とことん嬲り尽くされた瑞枝はボロきれのように床に伏して、微動だにもしない。わずかに肩が動いているので、息をしていると分かる程度だ。
 アルバムを開いていた老人たちが、新たな一枚を抜き取った。
「次はこれがいいな……。おーい、四番手! 入ってこい!」」
 風間の声に呼ばれて、次の三人組が部屋に入ってきた。散々に待たされたために、男たちの目は血走り、すでに全裸になった身体の中央に肉棒をそそり立たせている。
「ちょっと失礼……」
 と、そこへ良太を連れた小野寺がやってきた。
 風間がアルバムから目を上げ、少し驚いた顔になっている。
「おや、小野寺さん。これはまためずらしい」
 小野寺は瑞枝を一瞥し、苦笑した。
「ちょっと様子をと思いまして……。ま、本当のところは見物にやってきたんですが」
「そうかそうか。ま、ゆっくりしていってくれ。いま、あんたが撮った写真を見ていたところなんだ」
「ほう、これはまた懐かしいですな……」
 そう言って踏み出した小野寺は、ふと思い出したように良太を振り返った。
「……そうそう、沖縄土産があったんでした」
 小野寺は良太から泡盛を受け取り、老人たちに掲げて見せた。風間以下、林と藤波が顔をほころばせる。小野寺も茶目っけたっぷりに微笑んで、風間にその泡盛を手渡した。
「さあ、みなさんでどうぞ」
「これはありがたい。さっそくいただくとするかな。あー、ときに小野寺さん、沖縄は大変だったでしょう?」
「ええ、まあ。物騒この上ありませんでした。ひっきりなしにB52が飛んでましたし……」
「へえ、そんな最中に学会とは、いやはや医者も大変だ。ま、小野寺さんは生涯現役というわけですな」
「いやあ、学会なんてもんじゃなくて、ただの同窓会ですよ。言わば飲み会です……」
 小野寺は謙遜して笑ったが、その目は妙に醒めており、冷気すら含んでいた。それは良太も同様だ。なぜなら、彼らは過去を見ていたのだ。いまから八ヶ月前を……。




    −終−

 


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