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 第二話:拘束

はぁ、はぁ、はぁ......
物陰に身を潜めて肩で息をする静香。
彼女は今、薄暗い倉庫のような片隅に追い詰められていた。
作戦指示どおりに潜入した部屋には誰もおらず、代わって現れた敵工作員の姿をみて、今回の静香の潜入が敵に漏れていたことがわかったのだ。

「なぜ・・・・・・」
静香は腑に落ちなかった。
しかし考えている時間は無かった。今や彼女は地下の倉庫のような広い部屋に追い詰められており、もはや逃げ場はくなっていた。しかも周りを敵に取り囲まれている。
「まずいわね。」
弾薬の残りを確認しながらつぶやいた。そもそも破壊活動に来たわけではないので持ち合わせは多くない。それもこれまでの戦闘で、すでに使い果たそうとしていた。

ヂューン
耳元を跳弾がかすめる。
静香は見をかがめ、冷静さを取り戻そうとした。
状況を再度分析すると薄暗い倉庫には味方は自分一人。ただひとつの出入り口は敵が固めている。通常では脱出は不可能だ。そう通常ならば。
こんな時のためにエージェントには身体能力を数倍に高めることができる特殊なアンプル薬が渡されていた。若干の副作用があるため多用は禁じられていたが、いざというときには抜群の効果を発揮した。薬の力を借りて敵をなぎ倒し
なんとか逃げ切るしかない。
「一か八かやってみるしかないわね。」
静香はアンプルを口に含んだ。そして敵の様子を探る。
そのとき突然体に異変が起きた。指先にしびれるような感覚が走る。思うように手が動かない!! 同様に自慢の足にもしびれは感じられ、静香はよろめいた。
「な、なんなの、これ!?」
静香の反撃が止まったことを見て、敵の工作員がいっそう包囲を狭めてくる。まさに絶体絶命だ。静香は動転した。しかし気ばかりあせるが体は動いてくれない。
「ダ、ダメ!!」
ついには立っていられなくなり床に倒れこんでしまった。しかしなんとか逃れようとして必死にもがきまくるが、まるで大きな芋虫でも這っているようなものだ。
それを見ていた共和国工作員は
「よし、いまだ。憎い敵の雌豚を捕獲しろ!!」
四方から一斉に捕獲用のネットが投網のごとく投げかけられる。
これは、体に触れると粘着力を増し、網目がしまって獲物の体を締め付ける特殊な網で、これに狙われると身動きが取れなくなる。
静香に触れるや否や、いくつもの網ががんじがらめに体を締め付け、ただでさえ体がしびれて動けない彼女から完全に自由を奪ってしまったのだ。
静香は悔しさに歯噛みした。
あの薬のせいだわ−−−−
そう、彼女に渡された薬は時田作戦部長によってしびれ薬にすり返られていたのだ。
罠にはめられた−−−−
そう彼女が気づいたときにはもう麻酔ガスをかがされ急速に意識が遠のいてしまっていた。


次に静香が気づいた時には、薄暗い部屋の中だった。
静香は大きなベッドの上に大の字に四肢を拘束されており、試しに腕をねじってみたが、ビクともしなかった。
ここはどこかしら?
そう考えたとき、部屋の中に二人の若い女性が入ってきた。
二人とも目を見張るような豊かで扇情的な肉体を持っており、女の目から見ても明らかに美しいといえるとびきりの顔立ちをしていた。モデルをしていてもおかしくない二人だがなぜかラバースーツのようなものに身を包んでいた。しかも目には尋常ではない光が宿っているのだった。
「ようこそ、共和国へ。私は麗美。彼女は亜美。ともに対工作員特殊調査官よ。早い話がスパイの尋問係ね。しかも女性専門の。」
ネットリしたような意地悪な微笑を浮かべながら、麗美は言った。
「あなた、帝国のトップエージェントの南条静香さんでしょ。あなたはこれまで我が共和国に大変な損失を与えてきたわ。ようやく捕縛できてホッとしてるけど今度はあなたがこっちに利益を与える番。あなたが知っている帝国の情報を洗いざらい教えてもらうわ。」
静香は身体をこわばらせたが、ここで弱みを見せるわけにはいかない。
「そんな国家を裏切るような真似は出来るわけないじゃないの!」
「話すなら今のうちなんだけどな。今ならなにもしなくて済むわ。」
「いやよ、絶対いや!」
静香は拘束具を引き千切らんばかりに身をゆらし、二人をにらみつけるようにして明確に拒否する。
「あら、強情ねえ。さすがはトップエージェント。簡単には話してくれないわね。やっぱり身体に聞くしかないのかしら?」
「そう、たっぷりとね。」
二人の尋問官は顔を見合わせうれしそうに笑った。こういう状況をむしろ楽しんでいるようだ。
「ふん、拷問でもなんでもすればいいじゃないの!」
静香も負けずに言い返す。
麗美はフフフっと笑って、
「あら、そんな野蛮な真似はしないわ。痛いじゃない、かわいそうよ。」
「そう、それに拷問なんかには訓練である程度耐性があるんでしょう?つまんないわ、そんなの。女にはね、いくら訓練しても鍛えられない個所ってあるのよ。たとえばココよ。」
そう言うと亜美は静香の女の部分を手でポンポンと叩き、
「ここを女のやり方で、ゆっくり解きほぐしてあげるわ。下の口から白状するようにね。」
「な、なにをバカな言っているのよ!」
静香は尋問官の常軌を逸したような言動にうろたえた。
「フフフ、怖いの?いくらあなたが生意気なこと言っていても所詮は女。私たちのテクニックでそのことをいやというほど思い知らせてあげるわね。」
「私達はその専門エキスパートなの。優秀なエージェントといえども、女の部分への責めには案外もろいものよ。みんな潮を噴き出すとともに泣いて白状したわ。」
麗美は服の上から静香の乳房を撫で上げていたが、ピンと乳首を指ではじいた。
「くぅうううっ!」
静香は思わず仰け反った。
「あなたいい身体をしているうえに感度もよさそうね。これじゃ早いところ自白したほうが身のためよ。」
意地悪く麗美が言う。亜美がそばで笑った。
静香は早くも自分の秘められた急所を探り当てられたことに背筋が寒くなった。自分でも人一倍感じやすい身体であることは自覚していた。しかも最近男性との交渉も途絶え、身体の奥に何か煮えたぎるようなフツフツとしたものが
渦巻いているのを感じている。そこをこれから容赦なく責められるのだ。
我慢できるかしら?
ふと弱気な考えが浮かぶが、いや、そんなことではダメよ。最初からまけちゃダメ、とその考えを振り切るように
「あなたたちにどんな卑劣なことをされようとも、私は絶対耐え切って見せるわ!」
そうなの、ヘェと感心したふりをしながら亜美は、
「どんなに卑劣なことにもねぇ....じゃあ、例のアレ、使っちゃおうか?」
「自分から大丈夫って言ってるんだからいいんじゃない?」
それを聞くと亜美が後ろの戸棚から何やら怪しげな瓶を取り出した。なかには不気味な褐色の液体が満たされている。それを静香の口元に近づけた。彼女は危険を感じとっさに顔をそむけようとするが、きっちり拘束されているために逃れることは出来ない。亜美に鼻をつままれ苦しくなって開けた口に瓶をねじ込まれ、大量に中身を注ぎ込まれてしまった。
「な、何を飲ませたの?」
ゴホッ、ゴホッとむせながらもなんとか吐き出そうとするが、既に大半の液体は胃の中に収まってしまっている。
「ふふっ、新種の自白剤よ。それもとびきり強力な媚薬作用を持ったね。しかも洗いざらい自白しない限りどれだけ感じててもイクことができないの。あなたみたいな強情な人にはぴったりね。」
麗美は静香の服を器用に脱がせながら楽しそうに説明した。
「自白しない限りあなたは地獄の苦しみを味わうことになるのよ。本当に我慢できるのかしら?」
亜美も楽しそうにいった。
不安げな表情を見せ始めた静香を嬲るように、麗美が恥辱の言葉を強要する。
「どう、情報提供する気になったかしら?」
「わ、私はあなた達には負けないわ。」
早くも身体に怪しげなほてりを感じながらも、静香はそう答えるしかなかった。
「あっさりしゃべられても面白くないわ。時間はたっぷりあるもの。果たして勝負に勝つのはどちらかしらね。」

こうして屈辱の宴が幕をあげたのであった。


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