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  ミズ・アメリカーナ:首輪                                          いぬかみ訳

ミズ・アメリカーナ:首輪
(原題:MS Americana:The Collar by Dark One)


第五章 雪辱のヒロイン

 それは晩春のある暑い夜、朝の三時頃の事だった。その夜、クラブ・ガーガは閉まっていた。最後まで残っていた従業員は帰途についていた。しかし、二階、“聖域”は未だ活動している。
 ミズ・アメリカーナは、赤い唇全体を歪ませ、彼女の“意志力”を、最も憎むべき場所に向け、怒った様な低い唸り声を上げた。そこは、彼女の一生の不覚を取った場所だった。
彼女が再び自由を獲得してから二週間しか経っていなかった。それ以前、ダ・ランスの稼ぎ頭の娼婦として活動した記憶の幾つかを繋ぎ合わせたものは、考えるだけでも吐き気を催すものだった。

 拷問の様な二週間、ミズ・アメリカーナは、彼女のパワー・ベルトが効果を発揮するのに十分な時間、性行為とその悦楽を断って来たのだった。百パーセントとは言えなかったが、スーパーヒロインのフル・パワーの九十パーセント以上は回復していた。それは、彼女が、普通の男の十倍の強さを持つ代わりに、九倍の強さを持つ事を意味していた。
 これは、ブレンダが捕まって以来、ミズ・アメリカーナの衣装を着ける最初の機会だった。
星を散りばめ、赤と白の縞模様が入った青いビキニは、体の大部分を露出していたが、彼女にとっては強さと正義の象徴であり、快適さも感じていた。
ビキニの他に、前と最上端に白い筋が入り、上部の外側に金の星が付いた赤い膝下までのブーツを履き、赤い革手袋が、指紋を隠し、悪者の鼻を叩き潰す際拳の柔らかい繊細な皮膚を守っている。
金色に輝くパワー・ベルトが、豊満な腰に乗り、縊れたウェストを取り巻いていた。星を散りばめた青いマスクが彼女の正体を隠し、金のティアラは、彼女が“正義の女王”である事を知らしめていた。
赤い星のイヤリングと、金の星のメダルが付いた青いチョーカーは、はっきりと装飾目的であり、彼女の好みである事が最大の理由だった。

「今晩、奴らに思い知らせてやりましょう、タップリとね、ミズ・アメリカーナ」
フラッグ・ガールが若さをはちきらせ、やる気満々な声で言った。
フラッグ・ガールの衣装も、ミズ・アメリカーナと同様、愛国的なデザインだった。
マスクは青一色で、彼女の美しい青い眼と良く合っていた。更に青いチョーカーを着けていたが、衝撃的な38Dsを支持する部分は、紐が無く、半分は赤白の縞模様、半分は青地で星が散りばめられていた。その下に、ミズ・アメリカーナと同様、金色に輝くパワー・ベルトを着けていたが、そのパワー・ベルトは男の五倍の強さを与える物でしかなかった。
彼女の豊満な腰は、体にピッタリした超ミニスカートで、赤白の縦縞が入っていた。
溌剌とした相棒のオペラ・グラブは、光沢のある踵の高い脹脛までのブーツの色と同じ真っ赤だった。
髪は、黒く長い髪を束ねていないミズ・アメリカーナと事なり、フラッグ・ガールは絹の様に輝く金髪を、活動しやすい様にポニーテールに束ね、精悍な印象を与えていた。

「正にそうしてやるわ」
ミズ・アメリカーナは怒りの声を上げ、彼女の元気一杯の相棒に向かって、笑みを作って見せた。
「この街では法を破らない様、邪悪なワンダに思い知らせてやりましょう」
「今晩、“懲罰の邪悪な女王”に懲罰を与えるってわけね」
フラッグ・ガールは、青い眼を輝かせ、絹のような金髪を波打たせて言った。
ミズ・アメリカーナの腹の奥底から緊張感が沸き上がって来た。ミズ・アメリカーナはその感覚を、自分にひどい仕打ちをした女をやっつける事に興奮してる為だと自分に言い聞かせた。その女は、特に美しい女性を傷付けて悦ぶ、自分を淫らな世界へ落し、売春組織へ売り飛ばした残忍な雌犬魔女なのだ。

「奴らの破廉恥で堕落した組織を今からメチャメチャにしてやるわ」
ミズ・アメリカーナが言った。首に首輪を着けている間の事は良く思い出せなかったが想像する事は出来た。あの夜捕まった美女達は、縛り上げられ猿轡をされて売春宿の主人やマダムに売り飛ばされる為の準備をされていたに違いない。恐らく、奴等は彼女達を性的に虐待しただろう。

「さあ、行くわよ」
「よーし!」
元気な相棒は、グラブを着けた拳を空中に突き上げて叫んだ。
「一つ、奴らを大きく驚かせてやりましょう!」
「いや、二つよ」
ミズ・アメリカーナはニヤリとして言った。
「ミズ・アメリカーナとフラッグ・ガールが一緒に!我々は無敗の無敵のコンビよ」

自意識を高揚させた後、二人はクラブ・ガーガの正面ドア目掛けて走り始めた。
早朝の三時には守衛はいなかった。少なくとも外側には。しかし、正面ドアと“聖域”の間には番人がいるに違いなかった。エレベータの前には確実に二人の番人がいるだろう。
「二人は素早く確実に倒しましょう」
ミズ・アメリカーナは、正面ドアに向かって疾走しながら叫んだ。
「奴らに気付かれる前に二階に潜入しなければ・・・」
 ミズ・アメリカーナはドアが施錠されているかどうかを確かめもしなかった。彼女はそのままドアに向かって飛び蹴りをかまし、派手に壊した。想像していた通り、サムソンとランスが“聖域”への入り口の番をしていた。
 フラッグ・ガールは、ドアを蹴り破り少し速度を落とした正義の女王を見ながら、ドアの処でミズ・アメリカーナを追い越した。そこで二人は二手に、フラッグ・ガールは右手、ミズ・アメリカーナは左手に別れた。そして素早く、そこにはランスとサムソンしかいない事を確かめると、二人を両側から攻撃した。
 サムソンがフラッグ・ガール目掛け力強いパンチを振るったが、フラッグ・ガールは、超人的な速さで横にかわしその手を掴んだ。そして、梃子の原理と卓越した武術の技を使って、サムソンを部屋の半分ほど向こうまで投げ飛ばした。
その間ミズ・アメリカーナは、ランスの猛烈な一撃を身を低くしてかわし、尖ったヒールでランスの足を踏みつけた。ランスは苦痛の悲鳴を上げたが、その後の超パワーの拳を受け気を失った。
ミズ・アメリカーナが眼を上げると、丁度フラッグ・ガールがサムソンを壁に投げ付け、ランスの様に気を失わせた所だった。
「良い動きね」
ミズ・アメリカーナが言った。
「ジウジツ?」
「違うわ」
フラッグ・ガールは明るく笑いながら言った。
「ジャザサイズよ」
 ミズ・アメリカーナがボタンを押しエレベータのドアを開けながら、二人は笑った。二人はエレベータに乗り込み“2”のボタンを押した。エレベータは直ぐに動き始めた。ミズ・アメリカーナは、ドアの反対側の壁にある小さな引き出しを示した。
「あれが、魔法が掛けられた首輪がしまってある場所よ」
ミズ・アメリカーナが言った。
「触っちゃ駄目よ。留め金で止める必要があるのか、触るだけでも効果があるのかはっきりしないから。兎に角警察は、あれを証拠として必要に成るでしょうけど」
「貴方の言うとおりだわ、ミズ・アメリカーナ」

チーン!
エレベータのドアが開き、元気一杯の戦士は一緒に踏み出した。
その光景を見た二人はその場に佇んだ。呆然とする二人は自分の眼が信じられなかった。
四人の希に見る美女、金髪、赤毛、ラテン・アメリカそしてアジア人の女が緊縛され、眼の前に一列に成って跪いていた。金髪とラテン・アメリカ系の女はボール・ギャグを着けられていた。その金髪の女は、背後から尻をジェフリー・アバーナシーに犯され、ラテンアメリカの女は、私服を着た、いや寧ろ私服を脱いだ警察官の警部補に背後から乳房を弄ばれていた。その美女達の顔は、半乾きの精液で滑っていた。
アジア人の女は、もう一人の女の股間の口奉仕を強要されていた。赤毛の女は、三人の男に乱暴に凌辱されていた。一人の男に跨って股間を押付け、もう一人に尻を、そして3人目を口で奉仕していた。二人のヒロインが見守る中、男は赤毛女の口中に射精し、更に残りを彼女の既に汚れている顔に噴きかけた。
「ウーッ!」

ミズ・アメリカーナは気分が悪くなった。
『自分はあんなに無礼に扱われたのか?自分はあんなに淫らなやり方で犯され凌辱されたのか? それにあのジェフリーの様な嫌な奴も参加したのか?
「何と恐ろしい!この悪辣で邪悪な怪物め!」
「ウワー、おぞましい!」
フラッグ・ガールが叫んだ。
「ここは破滅の地下牢獄みたいだわ」
全ての者が動きを止め、二人の愛国的衣装を身に着けたスーパー・ヒロインを見詰めた。
二人の出現は、明らかに、彼らがしたかった行為を終らせるものだった。
「直ぐに止めなさい、悪党ども!」
ミズ・アメリカーナは、可能な限り強い命令的な声音で言った。
しかし、それは期待したのとは反対の効果をもたらした。群衆はパニックに陥り、一目散にエレベータに向かって走り出したのだ。
「止まりなさい!」
聞き覚えのある声が呼び止めた。その声には、直ぐには説明出来なかったが、不気味な怪しい力を感じさせるものが有った。
狂った様にエレベータへの暴走が一瞬にして止まった。
ミズ・アメリカーナもその命令に従いたい気分に成った。そしてフラッグ・ガールでさえ少し硬直した事に気付いた。
「お前達には、我らが“正義の味方”さんを歓迎するのを手伝ってもらいたいんだよ。ミズ・アメリカーナとフラッグ・ガール、ずっと待ってたんだよ。何故、こんなに遅かったんだい?」
「道路が渋滞してたのよ」
ミズ・アメリカーナは、自分を取り戻し、怒りと嫌悪感を抱きながら言った。邪悪なワンダの下劣なケツの缶を開ける時が来たが、ミズ・アメリカーナは、一つの些細な場所に留まりたくは無かった。
「待っていてくれて嬉しいわ」
「どう致しまして」
邪悪なワンダはウィンクをして、嬉しそうに邪悪な笑みを浮かべて言った。
「さあ、ダンスを始めましょうか?」
「勿論よ、それにはっきり言っておくけど、悦びは全部私のものに成るわよ」
ミズ・アメリカーナが言った。青い眼がキラッっと輝やいた。

 四人の男達が進み出て、左右二人ずつ邪悪なワンダの横に並んだ。全員とも筋肉隆々の大男で、殆ど肌を露にし、体にぴったりした黒革の服を着ていた。ミズ・アメリカーナの正面にいたのは巨躯の黒人と、更に大きな白人男だった。フラッグ・ガールは、太い首をした凶暴な風貌をした双子のアジア人と対峙していた。
 ヒロインの仕事はいつも冒険的だ。フラッグ・ガールが最初に動いた。フラッグ・ガールは鬨の声を上げて双子のアジア人、チョンとワンに向かって突進した。双子のアジア人も鬨の声を上げたが、フラッグ・ガールが、彼らの頭上を宙返りをして通り過ぎ、スーパーパワーの腿を使って背後から攻撃すると、驚きと苦痛の悲鳴に変わった。
 ミズ・アメリカーナは、皆が驚くほど素早く前進した。彼女はダミアンに向かうと見せかけ、急に体を右に移動させて邪悪なワンダの手首を掴んだ。正義の女王は掴んだ手を強く引っ張り、驚く魔女のバランスを崩し、直接壁に向かって放り投げた。邪悪な白人奴隷商人の魔女は床に倒れ蹲った。
その時、怒り狂った番人達がミズ・アメリカーナに襲い掛かった。彼女は顔から壁にぶつけられた。もし、パワー・ベルトが与えた強さや耐久力が無ければ、邪悪なワンダの様に意識不明に成っていたであろう。しかし、今はスーパー・ヒロイン正義の女王なのだ。
 二人の番人は、ミズ・アメリカーナが、足元に蹲る姿を見ようと、ニンマリと笑みを浮かべて後退した。しかし彼らの期待に反して、ミズ・アメリカーナは壁にもたれかかったまま、肩越しに怒りの表情を見せ、唸り声を上げた。番人達の醜い顔に浮んだ驚愕の表情は、極めて希にしか見られないものだった。
ミズ・アメリカーナは左に回転すると見せかけ、右に回転し、回転力を利用した強烈な一撃がダミアンの頭を直撃した。踵が頭の上に来るほどぶっ飛んだダミアンは顔から床に落ちた。呻き声を上げ、そして意識を失い静かに成った。
「一丁上がり・・・残ってるのは汚い虫けら野郎が一匹だけね」
ミズ・アメリカーナが言った。そして、その男の股間を蹴り上げた。しかし、男はその動きを読んでいた。男はそのブーツを着けた足を捕まえた。
今度は蹴り上げたスーパー・ヒロインが驚く番だった。かつてこの様な事が起こった事は無かった。男は顔を紅潮させ息が止まっている事から、股間への一撃で彼は完全に苦悶に身を震わせる状態に成る筈だった。それが、彼女の足を抱えたのだ。
「放しなさい、この脳ナシの野蛮人」
ミズ・アメリカーナは、後退する男に引かれ、ぴょんぴょんと跳ねバランスを取りながら男の後に付いて行った。バランスを取り戻すまで、片足立ちのミズ・アメリカーナは効果的な動きが出来なかった。
しかし、素早く考えを巡らし、
「良くやったわ!今度はこの男をボコボコにしてやって、フラッグ・ガール!」
 男は立ち止まり、心配げに肩越しに辺りを見回した。
フラッグ・ガールは部屋の反対側で、双子を、あっちこっちに投げ飛ばして楽しんでいた。双子はヨタヨタし、何時倒れてもおかしくなかった。
しかし、男はフラッグ・ガールが近くにいない事を知らなかった。男の躊躇いと不安は、ほんの少ししか続かなかった。だが、それで十分だった。
 ミズ・アメリカーナは一歩跳ねると、身を翻し後ろ蹴りを放った。ミズ・アメリカーナは、右足をしっかりと掴まれた状態で、この技を決めた事は無かった。しかし男は、彼女の左足が顎に向かってくる事を予測しておらず、頭を仰け反らせた。男は足を放し、二人は床に倒れた。ミズ・アメリカーナだけが立ち上がった。
「かーーっこいい、ミズ・アメリカーナ」
フラッグ・ガールは、相棒であり、人生と、それ以外のあらゆる面でのお手本でもあるヒロインの方へ歩み寄りながら明るい声で声を掛けた。
「奴らに、我々が優秀な女のコンビだって事を見せ付けてやったと思うわ、そうでしょう?」

「優秀なだって・・・ウー・・・娼婦のケツの欠片じゃないか」
邪悪なワンダは、身を起こし膝立ちに成って呻く様に言った。ワンダは鼻に付いた血を拭い、その血を口で舐め二人を睨み付けた。
「お前達が姦落する様子を存分に楽しんでやる。お前達に、私を怒らせた償いをさせてやる!誰も!誰もだ!私の許しを得ないで邪悪なワンダに手を触れる者はいないんだ」
ワンダは、幾つかの魔法の言葉を口にし、空中に魔法の文字を描き、ミズ・アメリカーナを見据えた。
「さようならスーパー・ヒロイン、そして、こんばんは、衣装を着けた売女マンコ」
 突然、邪悪なワンダの手から、純粋エネルギーの塊が一直線にミズ・アメリカーナに向かって放出された。スーパー・ヒロインは左によけた、しかし、そのエネルギーの塊は彼女を体をかすった。
「アァァグッ・・・」
電撃を受け痺れた様な感覚にミズ・アメリカーナは悲鳴を上げ、壁にもたれかかり片膝を付いた。
「嗚呼、自由の女神よ!」
「ミズ・アメリカーナ!どうしたの・・・・!」
フラッグ・ガールは彼女の方へ掛け寄りながら言った。
邪悪なワンダは、近くにある椅子を指差し、魔法の力でそれを掴むとフラッグ・ガール目掛けて突き出した。椅子はフラッグ・ガールの脚の横側に強く当り、フラッグ・ガールは宙を飛んだ。
「ウウグググ・・!」
「フラッグ・ガールを捕まえて!」
邪悪なワンダは、周囲に集まって来て見惚れている仲間達に言った。
フラッグ・ガールに気を取られている間、ほんの一瞬だが邪悪なワンダはもっと大きな脅威の事を忘れていた。それは、ワンダにとって致命的とも言えるミスだった。
ミズ・アメリカーナがワンダに向かって襲い掛かったのだ。邪悪なワンダは巨乳ヒロインにタックルされた。復習の女神は、仰向けに倒れたワンダのウェスト辺りに跨り、ワンダの拳に妖しく光るの魔法の光を消し去ろうと、赤いグラブを着けたワンダの拳を引き寄せた。
「止めろ」
魔女は言ったが、魔法を使う余裕は無かった。
 ワンダは素早く彼女の黒革で覆われた長い両脚を蹴り上げ、意表を突かれたミズ・アメリカーナの首に絡め、くるぶしを交差させた。そして、踵を床に打ち付け様と渾身の力を振り絞った。
踵は床に当らなかったが、スーパー・ヒロインの後頭部を、したたか硬いタイル張りのフロアに打ち付けた。
「ウグッ!」
邪悪なワンダは、ミズ・アメリカーナが気絶した事を悟って一瞬動きを止めた。

ミズ・アメリカーナのダメージは数秒間しか続かないだろう。ミズ・アメリカーナのパワー・ベルトは、苦痛への耐性だけでなく、回復力をも与えるのだ。
魔女の意識は依然、混乱していて適切な魔法を思い付かなかった。しかしワンダは、直ぐ近くの床に落ちている出来合いのものに注目した。それは魔法が掛けられた首輪だった。
 その首輪を掴むと、邪悪なワンダは床を転がり巨乳の美女に飛び掛った。黒い革に収まった38Dがサテンで覆われた44DDsとぶつかり合った。ワンダはミズ・アメリカーナが眼を開けており、意識が戻っている事を知った。ワンダは、危険に気付き始めたスーパー・ヒロインの首に犬首輪を巻き付けるべく素早く行動した。
ミズ・アメリカーナの青い眼がその首輪に釘付けに成った。
 邪悪なワンダは、魔法が掛けられた首輪の一端を、ミズ・アメリカーナの首の下側、絹のような黒髪と、しゅすの様な白い肌の間に滑りこませた。
「駄目よ!」
ミズ・アメリカーナは嗄れた大声を上げた。
首輪の一端が反対側に現われると、もう一方の手が素早くそれを掴んだ。
「止めなさい!」
 ミズ・アメリカーナは真っ直ぐ身を起こし、魔女に頭突きを喰らわせた。
邪悪なワンダは苦痛に悲鳴を上げたが、首輪の両端は放さなかった。
敵に頭突きを喰らわせ跳ね返ったミズ・アメリカーナの頭は首輪の中に落ち込み、その勢いで邪悪なワンダの両手を一つにまとめる結果を招いた。
邪悪なワンダは、熟練した早業で首輪の端をバックルに滑り込ませて強く引き、一瞬の内にミズ・アメリカーナの首にしっかりと首輪を装着してしまった。


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