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 序章

序章

夜の帳が下りたダウンタウン。満天の夜空を彩る星々もあいにくの雨で見る事はできない。
そんな中、一人の男がビルの間から走り出てきた。その後ろから彼の影を追うように現れた人影が数体。双方無言だが、明らかに男は追われていた。

(Xホテルの106にいるエージェントに早く連絡しなければ・・・)

男はアジアのJ国のスパイだった。特命を受けてこのA国に入国した。この日、彼は重要な情報を地元のエージェントから入手するために外出したが、自分の正体がばれたのに気がついた。そこで追っ手を巻こうとしていた。いくつもの曲がり角を曲がって追っ手を振り切ろうとしたが、相手も執拗に食らいついてきているようだ。
不意に男の悲鳴と、車のブレーキの音が響いた。男は道路を横切ろうとして横から来た車にはねられてしまった。
送れて到着した秘密警察部員は舌打ちをした。是非とも生かして捕まえて口を割らせ、国内のスパイを一網打尽にしなければならなかったからだ。彼らは死体の持ち物を探る。男が紙を左手に握り締めてあるのに気がついた。106と書いてあった。

(901か・・・)

秘密警察の部長は901号室の滞在者を拘束する事に決めた。

To be continued


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