『タナトスの囁き』 (3) 久遠 真人作
【3】晒される被虐の欲望 ハッと気が付くと真帆はスポットライトに照らされたステージの上に全裸の上に片帆が着ていた黒革のボンテージを纏わされて立たされていた。 白い柔肌に真っ黒な革ベルトが巻きつき、折れそうなぐらい細い腰を更に締め付け、豊かな乳房を根元から絞りつけるように食い込んでいた。 「なっ! なんで?!」 とっさに両手でその豊かな胸の膨らみと、ひっそりと生える股間の茂みを必死で隠すと、ステージの周りの薄闇の中には、欲望に目を血走らせた男たちがひしめいているのに気がついた。 「……ヒッ!!」 無数の男たちの視線に全裸を晒される恥ずかしさに、真帆は羞恥心で白肌をピンク色に染め上げしゃがみ込んでしまった。 そんな真帆に、男たちは罵声を浴びせかけてくる。 「マゾのくせに隠すなぁ!」 「マゾなら見られて嬉しんだろうがぁ!!」 「自分で大股開いて広げて見せろ!!」 男たちの言葉が、容赦なく真帆の心、そして体に次々と突き刺さる。 「違う! 違う! 違う!! 私はマゾなんかじゃない!!」 「いいえ、貴女も私と同じマゾなのよ!」 突然、耳元で囁かれた言葉にハッとして振り返る。そこには自分と同じ姿が立っていた。 「………片帆なの?」 「ビデオを見て、ゾクゾクしたでしょう? 体の芯が疼いたでしょう?」 彼女は妖艶な笑みを浮かべ真帆の両腕を掴むと、いきなり後手に捻りあげ拘束具を巻きつけ始めた。 「あっ! い、いやぁ……グッ?! ンッ、ンンゥゥゥ!!」 肩に走るその痛みと嫌悪感に思わず悲鳴を上げようとした真帆であったが、その開いた口に今度は素早く口枷を押し込まれ言葉を封じられてしまった。 「うふふ……さぁ、貴女がマゾだって事を皆さんに見てもらいましょうねぇ」 「ンッ! ウンンッ!!」 首を振り嫌がる真帆の首筋にしっかり嵌められた首輪に鎖を繋げると、それを乱暴に引きステージの先頭まで真帆を引きたてていった。鎖が強く引かれるたびに、首輪が真帆の首を締め付けてくる。 ステージの先頭は客席にせり出しており、その周りには薄暗闇の中、欲情した目をギラギラとさせ大勢の男たちが真帆を見上げていた。 真帆は、その全身を舐めるように見つめられる視線に恥ずかしさのあまり、身を縮めて少しでも裸体を隠したかったが、少しでも抗おうとすると首輪の鎖を強く引かれ、その度に首に嵌められた首輪が強く締まり、激しく咳き込む事となった。そして、ステージ先頭まで連れて行かれると首輪から伸びた鎖を天井から垂れ下がったフックへと引っ掛けられ、ユックリを巻きあげれられていった。 「ウッ、ウンッ!!」 「ふふふ、ほーら、しっかり立ってないと首が絞まっちゃうわよ?」 必死に目で訴える真帆の様子を横目に見ながら、彼女はツンと引き締まり吊りあがった尻肉をバンッと平手で叩くと楽しそうに微笑んだ。そして背後から真帆に纏わり付くと、左手で革ベルトによって無残に搾り出された豊かな乳房を鷲づかみにし、荒々しく揉みあげながら、右手の指を真帆の裸体に這わせながら、ゆっくりと秘部へと降ろしていった。 「あーら……嫌がっている割には、しっかり潤ってるわねぇ」 「ンッ?! ウッグゥゥゥ!!」 そう彼女は耳元で囁くと真帆の秘肉を人差し指と薬指で掻き分け、ズブズブッと中指を中に押し入れていく。そうして中指を掻き回すように動かす度に、グチュグチュと卑しい音が周囲に響き渡った。そして、その音は首を振り必死に否定する真帆の耳にも届いていた。 (そ、そんな……こんな状況なのに……嫌なはずなのに……) 真帆の想いと裏腹に、掻き回される肉壺からは次々と愛液が溢れ出し、卑猥な音色をますます奏でていく。その音を聞き、ステージを取り囲む観客の男たちは歓声を上げ、益々真帆をはやし立てていく。 「俺たちに見られて、上からも下からも涎が垂れっぱなしだぜ!」 「縛られて引き立てられて奴隷のようだな!」 「嫌がってる割には、もう洪水状態じゃねぇか!」 「後から後から溢れ出してやがる!床まで滴ってるぜ!!」 (ウソ! そ、そんな訳がない……そんな訳はないわ……) 必死で否定するも、秘部に入れられた指が動くたびに、男たちの視線を感じるたびに、背筋を流れる電流のような被虐の快楽が走り抜ける。 「あらあら、いやらしく腰を振ってオネダリかしら?」 耳元で囁く彼女の言葉に真帆はハッとした。被虐の快楽に酔いしれ知らず知らずのうちに腰が動いてしまっていたらしい。そんな自分の恥ずかしい姿を認識した途端、真帆は今まで以上に激しい羞恥心を感じると共に、電流のように走り抜ける激しい快楽が全身を駆け巡った。 (ダメぇ! 感じちゃダメぇぇ!! こんなに多くの人に恥ずかしい姿を見られて……こんなに虐められているのに……) 真帆は自分の中でムクムクと目覚めようとしているモノを必死で抑え込もうとする。だが、そんな努力も空しく、今まで感じたことも無いような官能の波が押し寄せてくる。 (違う! 違う! 違うぅぅぅ!! 私は……私は…………そんな女じゃない!!) 「心は否定しても、体はこ〜んなにも正直だわ。ほーら!」 「ヒッ! ヒッィィィィ!!」 秘部を弄る彼女の指が、プックリと痛いほど充血している肉芽を軽く擦る。そうされただけで、仰け反るように状態が跳ね上がり、足に力が抜けガクガクと震え始めた。 「どんなに否定しても、これは貴女の本当の姿よ。どんなに知的に清楚に振舞っても、貴女の中にはマゾの本性が潜んでいるのよ。さぁ、曝け出しなさい!」 まるで真帆の考えている事がわかるように、彼女は耳元で甘く囁く。 真帆は……その囁きにもう抗う事ができそうに無かった。 「いやぁぁぁぁ!!」 絶叫を上げて真帆はベッドから跳ね起きた。気がつくとそこは見慣れた真帆の部屋のベッドの上だった。室内にはアロマでも焚いたのだろうか、甘いイイ香りが部屋の中に立ち込めている。 服は薫がパジャマに着替えさせてくれたのだろう。だが着ていたパジャマは全身汗でグッショリと濡れて、ズッシリと重かった。 「だっ、大丈夫?!」 真帆の声にビックリしたのであろう、慌てた薫がドアを開けて飛び込んできた。 「あっ、えっ?……あ、あのぅ………ごめんなさい」 「うわぁ、大丈夫? 真っ赤っかよ? 熱は? あー…でも汗を拭く方先ね。ちょっと待ってて、タオルでも持ってくるから」 薫はタオルを取りに再び部屋を出て行くのを見送ると、真帆は夢の中の事を思い出し、身震いする自分の肩を必死に抱きしめた。 (どんなに知的に清楚に振舞っても、貴女の中にはマゾの本性が潜んでいるのよ。さぁ、曝け出しなさい!) 「そんなはずは……そんなはずは………ハウッ!!」 だが、グッショリと濡れた下着の中で大量の愛液がゴプリッと吐き出され感触を感じ、真帆は……否定の言葉を最後まで言い切ることが出来なかった。 |