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(き、気持ち悪い……)

 手首に感じるヌメヌメ感。そのイヤらし過ぎる軟らかさに、玲子は吐き気を催していた。
 湿っぽさ・生ぬるさ、そして不定形さ――走根が与えてくる刺激は、そのように表することができるだろう。
 腐肉色した有機綱。彼女の自由を奪ったそいつらは、堅固さや形態、つまりは秩序だったモノとは無縁だった。
 こんな、こんな醜悪なヤツらに身体を汚されるというのか!

『そんなにイヤそうな顔しないで欲しいわ。何事も、試してみなければ分からないじゃない』 

 いけしゃあしゃあと言う摩耶。

「……試したくないんだけど」

『あらあら……若いんだから、見聞を広める機会を放棄しちゃダメよ』

 ケタケタケタ……病的に明るい笑声。 

「……どんな見聞が広まるってのよ?」

『女体の奥深さ』

 即答だった。

『うふふふ。玲子さんは、まだ気づいてないハズだわ……あたしたち女が、「どれほど悦べるのか」ってコトにね。
丸みを帯びた、脂肪分の多いこの肉体が、どれほどの快楽を紡ぎ出してくれるか……』

「あらあら……年なんだから、色狂いを治す機会を放棄しちゃダメよ」

 セックス賛歌を始めた女科学者。玲子はそのセリフを真似て、彼女を揶揄した。

『ま、教え込まれるまでは、分からないでしょうね。それに……ひょっとしたら、喜ばしいコトなんかじゃなく、
惨いコトなのかもしれないし……呪うべきは女の性、かしら』

 まあ、いいわ。独り言をそうまとめると、摩耶は小さく口笛を鳴らした。

「…………!」

 突然のスタート――〈ペド〉による凌辱の、だ。
 股間に集っていた〈触手ハンド〉が、獲物の柔肌に着地する。第一陣は双肩に降りると、
 そこから鎖骨沿いに移動して、疑似レオタードの内側へ潜りこんだ。

(ああッ……い、嫌ッ……)

 伸縮性に富んだ特殊繊維は、隙間への無理な侵入も受け止めていた。
 切れたり破れたりせず、生地は伸びて盛り上がりを形づくる。歪な釣鐘が、黒布の下にくっきりと浮かび上がっていた。
 触手たちが蠢くのに合わせて、その輪郭が動いていく。布地に生まれた膨らみはヌチャヌチャという音を立てつつ、
 女にとってよりクリティカルな場所へ歩み出していた。

「……く、くうッ」

 鎖骨から分け入ってきた萼が、そのまま下へ降りてくる。外側から見れば、たわわなふくらみの上に、更にコブができたみたいなものだろう。そのコブたちが、拭き掃除しているみたいに、胸乳を撫で回してくる。
 気色悪さはすぐに、擽ったさと隣り合わせの掻痒感へ変わった――厳密に判ずれば、それは「湿かつ粘」という特質上、痒みとも違っている。もっと"うるさい"もの。神経を苛み、心をかき乱す情感。
 ヒクン・ヒクンと、玲子の瞼が痙攣する。奥歯を噛み締めている朱唇も、時折、小さくわなないた。鼻息の温度が上がっていく。

「……う……うぅ……く……くぅ……う、あッ!」

 こらえ切れずに飛び出した淫声。萼たちがいきなり、双丘を縦断してきたのだ。
 輪と柱とで構成された授乳の器官――敏感な尖端を撫でられて、喜悦の小爆発が起こった。桃色のパルスが、ふくらみから全身へ走り抜けていく。

『あ〜ら、感度良好ねえ……これなら、見込みあるわぁ』

 摩耶のからかいが、第二陣の号砲だった。腿の切れ目から、襟刳りから、腋下から、ネトつく触手たちが潜り込む。玲子とレオタードの間には、8匹(?)もの肉具たちが住まった。
 それぞれが思い思いに動き回り、内側からレオタードを押し上げる。ボコボコした輪郭のダンス。それに合わせて、生白い女体がくねり始める。
 また、外に現れていたのは「形」だけではなかった――レオタードに使われている繊維は吸湿性に優れ、内側の汗を吸い上げ発散するという特殊機能を持っている。これが作動し、黒布はビショビショになりかけていた。内側で塗りたくられた粘液を吸い上げて、外側へ滲み出させていたのである。ジワッと湧いてくる粘っこい分泌液。

「……う、うあッ…うあ、ああッ…あ、ふッ…ふ、ううッ……」

 玲子が肩を揺すり、首を振り始めた。瞼の痙攣は間断なきものとなり、鼻息のみならず吐息まで熱く湿り出している。ピクン・ピクンと、まるで鞭打たれたみたいに全身が硬直し、

 カラァァァン。

 甲高い音。杖術士が、その得物を取り落としたのである――恐らく、その手に握力すらこめられなくなったのだろう。それは玲子の蕩けぶり、つまりは「屈服」を象徴する、鎮魂歌にも似た音色だった。

『……もういいかしらね』

 摩耶の見透かしたような発言。すると〈ペド〉は、獲物の両手を解放した。
 だが……女諜報員は「立てなかった」。全身に力が入れられないのか、ヘナヘナと崩折れる。いわゆる婆座りになり、更にはそれにも耐えられなくなったらしく、俯せに倒れこんだ。そこで蠕動しつつ、

「うあ…あ…ああッ…ン…ンくッ…くあ…ああ……」

 ヌチャ・くちょ・グチュ。戦闘服の内側で、萼どもが暴れ回る。玲子の乳房を撫で、股間を摩り、美尻を弄い、背筋を伝った。

『うーん……剥かずに嬲るってのも、また別な趣があるものねえ……』

「……く、くあンッ…へ…ああッ…へ、変態めぇッ!」

『変態? あらまあ、言ってくれるじゃない』

 鼻息。途端に、「盛り上がり」の動きが素早さを増した。

「ンああああッ!」

 玲子がゴロゴロと転がり回る。戦闘服の上から萼たちを押さえようしたが、もちろん無駄骨だった。「ヌルン」という効果音がつきそうな動きで、触手たちは玲子のガードを躱していく。

『うふふふ。イクときに漏らされでもしたら、その特注品が汚れちゃうから……そろそろ脱がしちゃおうかしら』

 キレイに剥かれたその瞬間、

 玲子はエクスタシーを迎えた。


   *


 ちゅぷ…クチュ…にゅちっ……
 
 女の裂け目を、〈それ〉が何度もこすりあげてくる。
 触手――人間の男には決してついていない器官。粘液と繊毛と、そして嬲り手の淫欲とに覆われた、特殊過ぎる肉具。
 異形の肉器がもたらしてくる悦楽は、恐ろしいくらいに強烈だった。スピーカーの声が言っていたように、「たまらない」もの。人間の男が注いでくる快美など、コレの前では比べ物にならない……。

「ひあッ…あッ、あくッ…くひッ…ひンッ!」

 秘唇の狭間を這いずられるたびに、玲子は大袈裟なくらい、反応していた。その艶腰を跳ね上げ、全身をガクガク痙攣させ、愛蜜をあふれこぼす。立ちのぼる性の匂い……。
 彼女が今、処されている肉刑は――俗に言う「すまた」というヤツだった。粘液まみれの触手に、太腿の峡谷へ雪崩れ込まれ、会陰部・秘裂、さらに裂け目の上でわなないている肉芽を、執拗にこすり上げられているのである。

 ジュプ…ぬぷ…ヌプ…ぬぷ…ヌプ……

 仰向けの寝姿――まるで抱え込まれているかのように、化け物にのしかかられている。他のよりも太めな触手で膝と肘を結わえられ、その結び目を思いっきり、左右に引っ張られていた。その結果、足で「M字」・手で「W字」を描かされている。ナスカの地上絵の登場人物にでもされているかのようだ。
 
「……くひっ、ひぃあぁっ、や、やめっ…くあっ、ああぁっ!」

 会陰部をその先端に弄られる――これだけで、子宮に熱い疼きが走った。蜜の狭間をその横腹になぞられる――これだけで、体の芯に電流が走った。狭間の上、そこにある快感神経の塊をその繊毛に掃き回される――これだけで、脳の奥深いところにマグマが噴出した。

(だ、ダメッ…ダメエェッ…こ、このままだと…あ、あたし…あたし…く、狂わされちゃうッ……)

 ひとこすりごとに、自分のなかの「牝」が開発されていく――玲子は心のなかで絶叫し、体のそとで悶泣していた。
 牝・めす・メス・雌。その語が体現しているのは、彼女が今まで押し殺してきた獣性であり――つまりは、「女の脆さ」と裏合わせの淫欲であった。それが現状では、ブスブスと燻り始めているのである……。

『うふふふ、もう準備はいいみたいね……玲子さん、下の口に咥えさせてあげるわ』

 スピーカーからの、おぞましい宣告。
 その送話が終わるや否や、股間を這いずっていた淫蛇は前後動を止めた。秘蜜だらけの部位から離れ、〈彼〉は鎌首をもたげる蛇のように先端を起こす。
 そして、腔所の手前でピタリ。微動だにせず静止している様は、号砲を待つアスリートのようだった。

「……ふはぁン…い、いや…あふ…いやよ…ヤだぁ……」

 玲子が、涙をこぼしながら首を振った。コイツに胎内で暴れられたら、自分はどこまで蕩けてしまうのだろう?

『……あらあら、「イヤ」だなんてウソ言っちゃって。恥を忘れてよがり狂ってる女が、いったい何を言うのかしら』

 クスクスという微笑。それが「GOサイン」だった。

 ずちゅっ……

「ふあんッ!」

 触手の先端部分が、秘唇のなかに潜りこむ。充血したラビアを内側にまきこみつつ、〈彼〉はゆっくりと、穴の奥へ侵入していった――己の征服地を踏みしめていく支配者のように。

 プチュ…ぐちゃ…ニュチョ…ずちょ……

 愛涎がたまっているヴァギナからは、粘液をかきまわす音が聞こえてくる。圧服された肉襞たちが、自らの境遇に泣き喚いているかのごとく。

(あああッ…くる…く、くるぅッ…は、入ってきちゃうッ……)

 玲子はバタバタともがいた。肘から先を回して股間に手を伸ばし、侵入者をつかんで押し止どめようと努力する。しかし、力の入らぬ腕が……防波堤役を果たせるハズもない。
 キメラの性器は躊躇も何もなく、ただ蜜穴の奥へと進み、
 進み、
 進み、

「あああッ…こ、こんなッ…ふああッ…こんな…お、奥ぅ…ふぅッ…奥までェッ……」

 貫いた。
 串刺しにされた女が、あられもなく絶叫する。口端から涎を垂れ流し、彼女は早くも咽び始めていた。手の指をわなわなと震わせ、爪先を小刻みに痙攣させ……見事なくらいの乱れぶりである。
 だが、それも当然だった。
 なぜなら。
 なぜなら、彼女は……。

 普通なら犯されないだろう最深部――女肉の蘊奥まで、埋め尽くされていたのだから。

 どれほどの巨人であろうと、「ペニスで子宮を一杯にする」という芸当を実行するのは、物理的に不可能である。人間男性の「持ち物」では、その構造上、人間女性の「欠け物」を完全制圧できないのだ。
 しかし。
 玲子が体験しているのは、その「不可能」であった。触手は、人間の牡器官では不可能なことを、やってのけたのである。
 正真正銘、百パーセントの充填――彼女は今や、蜜襞という蜜襞を残らず潰され、子宮壁をつつき揺すられていた。女の部分を徹底的に支配されていた……。

「ふあああッ…あ…あ…あッ…ふあああッ…ふあ、ああッ……」

 自分の内部に、絶対の「芯」を挿入された充足感。玲子は痺れるような愉悦とともに、それを強く感じていた。「女」を実感させられる、甘やかな陶酔……。

『……あらあら。これからなんだから、そんなに悦ばれても困るわねえ』

 蔑みの笑い。
 そして、「これから」が始まった。

 ぬにゅ…ヌチャ…ぬちゃ…ヌニョ……

 胎内を蹂躙した蛇身が、ゆっくりと引き返していく。その表面に生えている障害物たちで、玲子の内側をえぐり回しながら。

「あひ、ひ、ひッ、ひぃッ…ひ、ひっぱ…ひ、引っ張られ……」

 左右の肩をシーソーのように揺らして、彼女は見悶えた。知らぬ間に、奥歯をカタカタと鳴らしている。

 ぬぽん……

 肉具が引き抜かれると、胎内にたまっていた愛液と粘液とが、ドプッとあふれ出てきた。まるで小川だ。
 間髪おかず、凌辱の塊が再突入を始める。

 ずぶ…ズチュ…ずぬぶ…ヌブヌブ……

「うくァ…くあ、くうンァ…うン…んあ、あ、ああッ……」

 秘口のなかに存在感が戻ってくる。玲子は髪を振り乱し、細腰を痙攣させ、犬のように「はふはふ」と呼吸した。

(わ、わたし…ふうッ…き、鍛えてた…のにッ、つ、強く…な、なったのにぃッ……)

 霞んでいく意識の隅で、彼女は被虐的な淫酔に浸りつつ思った……いくら強くなろうとも、ココを埋められたらダメなのかしら……女は、屈服するしかないのかしら……。

 ずんっ……

「くああああああああーッ」

 触手の先端が、子宮の壁を突き揺らす。秘壁の振動は雷光のように脊髄を駆け上がり、四肢の先までシェイクし、魂までも揺すってきた。
 悦楽の波動。それを受けて、玲子はまたも昇天していた。艶腰を浮かし、全身をアーチのようにしならせて、数度痙攣する。高まりの声がフェイドアウトしていくと、ようやく、汗と粘液まみれの美体が沈んでいった。

『うふふふ……こらえ性がないのねえ。保つかしら?』

 淫ら蛇の動きがいきなり、そのスピードとパワーとを増す。

「ふあッ、ああッ、あひッ…ンああッ……」

 ズチュッ、ぐちゅっ、ブチュッ、ぬちゅっ……

 宇宙翔けてきた獣欲は何度も何度も、獲物の蜜壷を貫き、えぐり、弄り回した。女の穴を満たしては突き、満たしては揺らし……。

(あああああッ…だ、だめ…ダメッ…ダメェェッ……)

 玲子は、ワンストロークにつき一回ずつ、まるで規則的な反応のようにオルガスムスを迎えていた。
 苦悦に支配されたその美顔は、脆さと悩ましさとを露骨に見せている。以前の凜とした彼女の面影は、そこには――微塵もなかった。

『……玲子さん、ちょっと感じすぎじゃない? ここまでだったら、そんなに悶えることないと思うんだけど……うふふふ、今からがホントの責めよ。狂っちゃわないでね』

 スピーカーが不吉なことを告げる。
 そのとたん、触手の動きが変わった。

「あ?…ああッ?…あ、あ、あ……」

 普通、ペニスの抽出運動は「腰」を使って行われるものである。腰は力強い動きを生み出せるが、その反面、稼働範囲が狭い。それゆえ、ペニスのピストン運動では、加えるベクトルや動きを複雑化することなど、できなかった。
 しかし。
 しかしながら、その抽出は……。

「……あ、あ、あああああああああッ」

 玲子の女体が、電気ショックでも受けたかのように跳ね上がる。その段階で、彼女はもう、今までのどんなアクメよりも凄まじい境地に駆け上がっていた。

(ああッ…な、なによ…なによ…これェェッ!)

 侵入者は考えられないようなところで折れ、信じられないようなところで曲がり、嘘のような動きをしてきた。腰の動きでは到底できない、自由自在な淫撃を加えてきたのである。

(ひぃッ…う、うそぉッ…こ、こんな…ふあン…こん…こんなぁぁぁぁぁッ)

 まさに、限界のない「魔の肉突き」だった。蕩かすことを至上命題としているような、「淫らの拷問」だった。こんな愛虐を加えられて、痴れずに済む女がいるだろうか?

「あーーーーーっ!」

 肘と膝が違いに、別の向きに飛ぼうとする。二点を結ぶ縛りの触手が、弓弦のようにビンッ、と鳴っていた。

「あーーーっ、はぁっく、くあっ、あーっ、あーーーっ!」

『あらあら、すんごい顔しちゃって……』

「あーっ、だめっ、だっ、だだ…だ……

『……目玉がひっくり返っちゃいそうねえ』

「……だあああーっ、あーっ! はあああーーーっ!」

『あはははは、ノドのチンコさんまで丸見え……』

「はああーっ! らっ、らめええっ! らあめえぇぇーーっ!」

 所在なげに暴れていた玲子の手が、つかまるものを探してクモのように床を這い回る。肘を中心とした円の動きは、やがて自分のムネに到達していた。救命具を見つけた溺れ人のように、膨らんでいる肉丘をわしづかむ。

「ひぐああっ!……だめっ、これっ…これえぇぇっ、あーーーっ!」

 白いノドが、惜しげもなくさらけ出されていた。唾液に覆われているせいで、ヌメヌメと光って見える。

「あああーっ! にっ、にぎるのっ、む、ねぇにぎふのおぉ……」

 ガッチリと食い込んだ指。その隙間から、真っ赤に燃えた肉房が飛び出している。

「……にぎうのっ、だっ! ら、らめえっ! あーーーっ!」

 叫びに合わせて、その房たちも揺れていた。

「あーっ、ああーーーっ! らめっ、らめてええっ!」

『はあ?』

 呆れたような笑い声。

『玲子さん……自分でつかんどいて、何言ってんの?』

「らめええっ! これっ、これえええっ! あーーっ!」

『……あのー、ちょっと玲子さん?』

「ああーーっ! くっ、くるううう、くふのおぉぉっ!」

『あのねえ……感じちゃってツラいんだったら、放せばいいじゃない』

「あーーーっ! らめえっ、あーっ! た、たすへっ、らすけてえっ!」

『だから、自分で放しなさいってば……』

 傍から見れば、「何をやっているのか」と思うことだろう。
 だが、玲子は乳房から手を放せなかった――何かをつかんでいないと、どうにかなってしまいそうだったのだ。それが返って、自分を追い詰めることになるとしても……玲子は命綱にすがっているみたいに、自分の膨らみをわしづかみ続けた、続けるしかなかった。

「あーっ、あーーーっ、あああーーーっ!」

 ムネの上に錨を降ろした手。その代わりに、足があられもなく揺れ始める。カミキリムシの触覚じみた上下揺れ。膝の振れに合わせて、

「あーっ、い、イクっ! あーっ、い、イックううう!」

 内腿の筋肉がひきつれる。腿のひきつれに合わせて、

「イック!……っくぃ、イクうっ!…ッ…イッ、い、イックううう!」

 玲子は昇天を迎え続けていた。

「っく! いっ、いぃ…っく! ッくううう!」

 やがて……腿のひきつれが、

「うひ、ひぃッ! ッく、っくう! ックうう!」
 
 止まらなくなった。
 常に震え続けることになった。

(……ッックうぅあーーっ、ああっ、あーっ、し、しっ……)

 ずっと、

(……し、死ぬううぅっ!)

 どこまでも、
 
(わっ、わらひいいっ! あらひいぃーっ! ひぃ、ひぃぃぬううぅっ! ひぃんじゃ、っ、じゃふううう!)

 果てしなく、

(あーっ、し、しひいぃーーーっ、ひぬっ、ひぬうううううっ!)

 ひきつれ続けることになった。

「っく! っっっクっ、っク! ッく!……ッ!…ッ! ッ!」

『……あらら』
 
 口笛。

『乗っちゃったか……連続絶頂による脳内麻薬ジェットコースター。なんとかミン類のドプドプ垂れっ放し状態〜』

「ッ! ッ!…!…! ! !」

『もう、何をしてもされてもイッちゃうのよねえ……今、信じられないくらい幸せ一杯でしょう、玲子さん? 頭のなか真っ白……いや、光そのものって感じじゃないかしら?』

「! ! ! !!!!!」

『うふふふ、不整脈だらけねぇ。脳波とったら、オモシロそー』

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

『あははは、ステキなイキっぷりだわぁ……コレに陥っちゃうと、脳のなかの回路がかわっちゃうんだけれど』

(ヒグぅっ、ひぃ、ひぬうっ、ヒグッ、しぬっヒグひぬヒグうううぁあああああーーー!)

『そうねえ、ちょっとお休みしてもらおうかしら……〈ペド〉』

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 !!! !! !! ! ! ! ッ! ッ! ィッ! ック! クぅ! ッ! ックぅ! っ、はッ! はッ、はッ! ック! ヒグッ!
 ヒィグうううッーーーッ! っあ、あ…あぅ……ぅ、うあふ……ふ、あ…………あ、あぁ…………あぁぁ……………」

『うーん……どーしよーかなー』

 暫しの沈黙。

『ま、別にいっか……〈ペド〉、続けて!』

「…………………あぁぁ…………あ、あぁ……ふ、あ……ぅ、うあふ……あぅ…あ……」

 再び、

「……ヒィグうううッーーー!」

 責めが、始められた。

「ヒグッ! ック! はッ、はッ! っ、はッ! ックぅ! ッ!クぅ! ック! ィッ! ッ! ッ! ! ! !! !!!
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

『うふふ……玲子さん、たぁんと脳内革命起こしてね〜』

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!……………………」


   *


 ぎゅっ…モギュッ…ぎゅむっ……
 グニュッ…ぎゅううっ…グチュウッ…… 
  
「ふああッ…だ、だめぇ…だめぇっ……」

 玲子は、革命後の表情で叫んでいた。

「だめぇッ!……もう、むね…ムネを……」

 そこまで言って、女諜報員[スパイ]の発言はハタと止まった――次に何と続ければいいのだろう?

揉まないで?
 縛らないで?
 それとも吸わないで、か? 

『うふふふ……胸をどうして欲しいのかしら?』

 と、スピーカーの女。相変わらずの冷嘲だ。
 玲子の胸――女の象徴は今、スッポリと覆われていた。巨大な「萼」によって、まるごと飲み込まれていたのである。それはまさに、搾乳器を被せられているかのようであった。

 ぐちゅ…ギュムッ…ぐにゅうううっ……

 摩耶から『魔乳』と呼ばれた双丘。釣り鐘型をしたその柔肉は、「人外の搾乳行為」によって、淫靡に変形させられていたのである。
 まずは、萼の縁についている触手たち。
 巨大化したナメクジみたいな彼らが、玲子のふくらみをわしづかみ、その稜線を歪ませていた。さぞや力がこめられているのだろう、間からはみ出した乳肉が、破裂しそうに盛り上がっている。
 続いて、触手たちをつなぐ間膜。
 それらは乳肌にピタリと張りつき、触手の蠢きに合わせて柔肉を包みこんでいた。膜が動くたびに、ペタン・ペタンと音がする。どうやら、スパンキングに似た行為になっているらしい。 
 最後に、萼。
 釣り鐘状の肉器のなかで行われていたのは、乳輪と乳首への責めだった。お猪口状に膨れ上がった乳輪・小指の先ほどに勃起していた乳首――敏感な色違いの部分を、それは頭から飲み込んで、貪っていた。その中身を搾り出すかのように、萼全体を蠕動させていたのである。

(ふあああッ…むね…ムネがこんなに…気持ちよくなっちゃうなんて……)

 ジャマだとしか思ってなかった、未来の子ども食堂。それが今は、快楽をもたらしてくれている――しかも、今まで感じたことのないほどに濃密な肉悦を。
 乳房責めによって痴れ狂わされるのは、玲子にとって初めてのことだった。慣れていなかったために、彼女の狂い方は制御を外れ、より激しいものとなっていたのである。

 ギュッ…ぐちゅっ…ブニュッ…ぢゅぷっ……

「ふあッ…ああッ…い…いいッ…いいのッ…む、ムネが…おっぱいが……」

 それまでの容赦ない肉刑[リンチ]により、玲子の心は――もはや蕩けていた。彼女の頭はピンクに痺れ、自他の見境すら不分明になって、

「……き、きもちいいのッ!」

『ようやく、素直になってくれたみたいねえ……』

 スピーカーからのニヤニヤ声。

『……じゃあ、プレゼントをしてあげましょうか』

 その何げない一言が――玲子の「乳獄」の始まりだった。

「……あ、ひいッ!」

 悦楽に震えていた女体が、急に硬直する――萼内部で、異変が起きたからであった。
 乳果を弄んでいる触手や萼には、無数の繊毛が生えている。その繊毛が、なんと、乳首を貫いてきたのだ。乳口を突破し、乳管洞を遡行――つまり、乳腺内に入りこんできたのである。

「ひいッ、ひいいいッ」

 "鴇芽を犯されている!" 苦痛と――そして何故か湧き上がってくる快楽とに挟まれて、玲子は半狂乱になっていた。口をパクパクさせ、両目から涙を流す。
 しかし、ニプル=ファックはそれで終わったワケではなかった。むしろ、それからが本番だった。双乳を貫いた繊毛の先から、何かが噴射されてきたのである。

(な、なんなのぉッ…な、なにが…はじまるのよぉッ……)

 ぶしゅ…ブシュ…ぶしゅ……

 繊毛からの注入は、なかなか終わらない。その間、玲子の白柔は更なる膨張を遂げていた。乳肌のあちこちに血管が浮かび上がり、セックスフラッシュを見せ始める。
 しばらくして、繊毛が引き抜かれた。と同時に、萼たちが乳房を解放する。ようやく自由にされた果実は、前よりいっそう、張りとボリュームとを増していた。

「……あ…あ、あ、あ…ああッ……」

 玲子がすぐに、全身を震えさせ始める。

「ああッ…む、ムネが…ムネが張って…んぁッ…ヘン…へンなのぉ…なんか…なんか、つまってるぅ……」

 「爆乳女」が、悩乱した顔でわななき始めた。細腰を淫らにくねらせつつ、胸の痼ぐあいを哀訴する。

『へえ、そう……玲子さん、せつないんじゃない?』

 やがて、萼たちがよってきた。嬲りの器官は、対象を完全に飲みこむことなく、触手冠だけで包みこんだ。

「……あはぁ…そうなのぉ…せ、せつないのぉ…んぅ…お、おかしくなっちゃいそうなのぉ……」

『うふふふ……じゃあ、解放してあげるわ!』

 スピーカーがそう言うなり、合計24本の触手たちが乳肉をわしづかんだ。
 ぶしゅぅぅぅっ……!

「んあああああッ」

 玲子の絶叫とともに、その膨れ上がった肉筒の尖端から「何か」が噴き出してきた。白っぽい液体――乳蜜である。

「あ、あ、ああ…うそぉ…む、ムネから……」

『ウソじゃないわ、それは玲子さんの乳汁よ……五割は違うけどね。うふふふ……射乳の快感と封乳の苦悶。女の悦びの究極を、たっぷり味わわせてあげる』

 ぎゅうっ……
 プシャアアッ……

 触手の揉みこみに合わせて、乳首から内容液が噴き出てくる。それは小川のようにあふれ出て、乳輪・乳肌、そして触手をびしょ濡れにした。

「ふあああ…し、しぼられてるぅ…んふぁ…し、しぼられるの…き、きもちいぃ……」

 胸の尖端からの放出。玲子はそれにより、かつて経験したことのない――妊娠したことがないのだから当然だ――ほどの爽快感と悦楽とを感じていた。
 胸乳が、私のふくらみがこんなに気持ちいいなんて。
 そこには、未知の肉弄に溺れていく女の、哀れにして淫らな姿があった……。

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