目録へ  悶絶投稿へ戻る  


 二日目 その1

 頬を叩かれて、顕子は重い瞼を開いた。いつの間にか拘束されていた身体は自由になっている。
 目の前には大石の顔が、笑っていた。

 「おい、そろそろここの職員が起き出すだろうから、その前にシャワーを浴びてこい」

 大石の言葉と、どこか自分を見下した表情が、昨夜のことを強く顕子に意識させる。

 ……夢ではないのだ
 絶望のような強い思いが顕子の胸の中を充たしていく。どこかで、悪い夢を見ているのかもしれないという、愚にも付かないことを、凌辱を受けている時に、希望のように思い続けていたのだ。だが今、目の前で下卑た笑みを浮かべる大石の顔は、顕子を完全に現実に叩き付けた。

 途端に、昨夜からつい先程まで続けられた悪魔の宴のような凌辱を思い起こす。

 ベットに人型に縛り付けられ、大石に責められ、そしてその後は小学生の教え子達に責められた。全員が、排卵日である顕子の子宮目掛けて自分の子種を放った。

 ……ギャハハハ!こいつは、いいぜ!これこそ、林間ならぬ、輪姦学校ってヤツだ!
 大石の哄笑と下手な駄洒落が、未だに耳元で鳴り響くかのようだ。よりによって林間学校で、同僚や教え子に輪姦されてしまった自分の情けなさ、哀れさに、顕子は思わず涙ぐむ。

 「おいおい、泣いてる暇はねえぞ。さっさとシャワー浴びてこい。あ、そうそう、今日の野外散策な、オレ、いかねーわ。何しろ、一晩に五発は、初めてのことで、ふらふらなのさ。まあ、誰がお前を孕ませるかって、賭けたからな。思わずガキ共には負けられねえと、がんばりすぎちまったって訳だ」

 顕子は大石の言葉を聞きながら、信じられないものを見るかのようにしてその顔を覗き込んだ。

 昨夜、顕子が排卵日であることを知った大石は、子供達に怖ろしい提案をし、実行した。その内容は、ロシアン・ルーレットの様なもので、皆が顕子に子種を放ち、そのまま妊娠した場合、一体誰が孕ませたのかを調べて、孕ませたものに優先的に乳奴隷の所有権を与えるという賭けであった。

 こんな悪魔のような所行を考え、実行する人間が居ることでも信じがたいことなのに、それがこともあろうに、教師で、しかも小学生の教え子を巻き込んでいることに、顕子は嫌悪感を通り越して絶望を感じて、大石の顔を力無く睨み付けた。

 「おい、早くシャワー浴びてこいって!言うこときけねえってわけじゃねえだろ?昨夜のことは全部ビデオにはいってんだからよ!」

 大石の言葉に、顕子は思わず辺りを見回してビデオを探した。

 「馬鹿、お前が気分よくいびきをかいている内に、ビデオは厳重にしまっておいたよ。……変な考えはもたねえほうが身のためだぞ。わかったら、さっさと行って来い。ああ、そうそう、このガキどもは、きちんと起こして今日の活動に参加させろよ……じゃあ、また今晩な……」

 そこまで言うと、大石は先程まで顕子が縛り付けられ、何度も絶頂を極めさせられたベットに横になると、いびきをかきはじめた。

 部屋の床に視線を移すと、そこには牧田達が、寝息をたてていた。四人がそれぞれの身体をよけるようにしておかしな体勢を取って眠っている。寝顔を見るだけなら、本当に子供らしい純真な表情をしている。だが、今の顕子にとっては、もっとも頭の痛い存在になってしまっていた。

 この子供達を大石の悪影響から脱却させ、健やかに成長させるにはどうしたらいいのか。今の顕子には何一つ浮かんでは来なかった。とにかく、自分が早く彼らや大石に好き勝手にされないような方法を見つけだすことが先決であった。

 ……いつまでもこの子達をこんな風にさせて置くわけにはいかないもの

 おかしな薬はどうやら抜けているらしかった。もう体中が妖しくざわめくこともないし、巨大な乳房全体が熱をもって淫らな感覚を発し続けていることもなくなっていた。そのことが顕子に、ゆとりのようなものを感じさせている。あの妖しいスプレーを塗られなければ、自分はまったくいつも通りの自分でいられるのだと、逆に大石への敵愾心や侮蔑感を強くしていく。

 ……とにかく、今夜もまた私に襲いかかってくるに違いがない。でも、今度は好きにはさせないわ……

 顕子は下唇をきゅっと噛み締めると、ずっと裸だった自分の身体にティーシャツとハーフパンツを身にまとい、そのまま凌辱の場を後にして、シャワー・ルームを目指して廊下を歩いていった。

 まるで小さい頃親に連れられていった近所の銭湯を思い起こさせる、幾分黄ばんだタイルに囲まれたうそ広いシャワー・ルームで、顕子は熱いシャワーを浴びた。

 雪原の野ウサギの毛を思わせる様な、肌理の細かい乳白色に近い美肌が、シャワーの熱で、徐々に赤みを帯びていく。

 不意に、顕子はシャワーの温度調節のコックを高い方へとひねると、昨夜、あれだけ大石や子供達に掴まれ、もみくちゃにされ、挙げ句に性器まで挟まれて凌辱された乳房に、シャワーを当てた。

 「……ぐっ!」

 あまりの熱さに、顕子の口から声がもれる。だが、顕子は敢えて熱湯に近いシャワーから身をよけようとはしなかった。

 顕子には、この熱の奔流が、大石達の凌辱を洗い流してくれる様な気がしている。いや、すがるような気持ちでそう思おうとしていた。

 ……このまま火傷でも負ってしまえば……!

 自分の身体に傷を負うことも、子供達の目を覚まさせるためには致し方のないことなのかもしれないと、顕子は思う。きっと子供達は顕子の身体に醜い火傷の痕が残れば、もう変な気は起こさないだろうし、何より自分たちのしでかした悪行の凄まじさに、十分な反省心を持つだろう。

 ……でも、そうしたら、立ち直れない子は一生立ち直れないわ

 顕子は逡巡する。なにせ、相手はまだ、ほんの子供なのだ。残り何十年あるかわからない人生を、これから彼らは生きて行かなくてはならない。その出発点とも言うべき小学生の頃から死ぬまで、自分のしでかした罪の十字架を一生背負わせるのは、顕子としては忍びなかった。たとえ自分を性の玩具の様に弄んでいても、それは大石にそそのかされた部分も大きいだろうし、何より興味本位と幼い欲求を抑えきる術を知らなかったことに大きな問題があるのだと、顕子は考えた。

 子供達のしたことは憎い。だがそれでもなお、彼らは顕子の大事な教え子だった。何回裏切られても、自分に地獄のような屈辱を与えても、それでも教師という自分に誇りをもつ顕子は、彼らを導かなくてはならないという思いが強かったのだ。

 ……とにかく、大石、あの男をまずどうにかしないと

 顕子はきゅっとシャワーのコックを閉める。

 典型的とも言えるほっそりとした撫で肩から、途端に肌の密度のボリュームが増す胸元に至るラインを、水滴が滴り落ちていく。散々凌辱を受けて幾分萎んだような形になっていた乳房は、シャワーを浴びたことによってすっかり瑞々しさを取り戻していた。

 顕子がシャワー・ルームを出ようと歩を進める度に、張りを取り戻した白く美しい巨大な肉塊は、柔らかそうに、ふるっと、震えるように揺れ、床に水滴を撒き散らす。

 ……!?
 不意に、視線を感じると思った顕子は、目を上げてみる。

 「牧田く……ん……?」

 シャワー・ルームの入り口には、何時の間に目を覚ましたのか、牧田がにやにやと口元にいやらしい笑みを浮かべて立っていた。

 「おはよう、先生」
 「お、おはよう」
 「ふふふ……やっぱり、先生の裸はいやらしいよ。思わず朝っぱらからシャワー・シーンを覗いちゃった。それでね、危うく、オナニーしたくなったんだよ。あんなに先生とセックスしたのにね」

 牧田はそう言うと、短パンの上からもはっきりとわかる股間の膨らみを、これ見よがしに掌で撫でさすって見せた。

 「や、やめなさい……!」

 弱々しく、窘めるような口調で注意することしか顕子にはできなかった。先程までの決意はどこへやら、途端に牧田の余裕綽々のペースに巻き込まれようとしている。怒りや教育者としての誇りなど、先程まで頭の中でぐるぐると回っていたこと全てが、牧田の登場でどこかに消し飛んでしまっていた。

 恐怖と屈辱感と、母性本能の混じったような複雑な感情が顕子を支配していく。

 「ねえ、シャワーを浴びてすぐのお肌に塗り込んだ方がいいって言うよ」

 そう言いながら牧田が短パンのポケットから取りだしたスプレーの缶を見て、顕子は顔を堅く強張らせた。

 「そんなもの……しまいなさいっ!早く!」

 顕子は強張った表情のまま、牧田の方に大股で歩み寄ると、スプレーの缶を取りあげようとする。手を伸ばした途端、砲弾に近い張りを見せる見事なまでの胸元の膨らみがせわしなく揺れる。

 「あんなに僕らが舐めたり噛んだりしたから、お肌のケアしてもらおうと思ったのに……。先生、どうしてそんなに怒ってるの?」

 顕子を嘲笑うかのように、牧田は後足で下がりながら、とぼけた声を出した。

 「どうしてって……。わ、わからないって言いたいの?それを使って、散々先生を……!」

 怒りと惨めさで、色素の薄い白晢の美貌が紅潮する。

 「先生を……なんだって言うの?」

 居直ったような傲慢さを顔に浮かべながら、牧田は口の端だけを歪めて笑ってみせる。

 「……先生を、りょ、凌辱したわっ!」

 吐き捨てるような顕子の言葉を、牧田は鼻先で笑いとばす。

 「凌辱?先生、難しい言葉をつかわないでください。そんな言葉、習ったこと無いですよ。まず、どんな意味か教えて下さいよ」
 「……わからないの?そんなわけないじゃない!自分たちがしたことでしょうっ!先生の胸が大きいのがいけないとか何とか言って、大石先生と一緒になって、先生を辱めたでしょう?」

 吠えるような顕子の激昂を真正面から受けても、牧田の薄ら笑いは消えなかった。そればかりか、傲慢な態度は何一つ変えず、さらに見下したような視線を裸の顕子にぶつけてくる。

 「辱めた……?。それは要するに、僕らに胸をもみくちゃにされたり、オ○ンコにチ○ポを突っ込まれたりしたことを指しての言葉ですか?それだったら、違うと思うな」
 「違う?何が違うの?あなた達が、私を、私を汚したのよっ!?それを、言うに事欠いて、違うと思う?じゃあ、なんなのよ!言ってごらんなさい!何をしたというの?昨夜したことをなんだったと説明する気なのっ?」

 顕子の声は、激しい怒りからなのか、それとも言葉を紡ぎながら昨夜の屈辱を思いだしたからなのか、涙声になっていた。その涙声にとくに心を動かされた様子もなく、牧田は両肩をすくませて、乾いた視線を顕子に送ってから口を開く。

 「あれは、先生が僕らに望んだコトじゃないですか。忘れたんですか?先生自身が、僕らに頼んだんですよ。言ったじゃないですか、先生自身が……。なんなら、暗唱して見せましょうか?今、ここで、昨日先生が言った言葉を?どうです?」

 顕子は牧田の言葉に、哀しく項垂れるしかなかった。
 今ここで単純に怒りの中に身を任せてしまうことを、顕子自身は望んでいた。だが、教師としての顕子がそれを許さなかった。怒りの奔流に任せたまま、ここで牧田に対して暴力的に振る舞うことも充分に顕子には出来た。何せ、インカレで上位入賞したこともある腕前の顕子だ。自分が昨日受けたような肉体的苦痛を牧田に与えて、ビデオを差し出させることもできるはずであった。しかし、それは教師として教え子にしていい行為ではなかった。たとえ教え子の方が師弟の枠組みを大きく超える行為を行ったとしても、師の側からそれを認めて、さらにそれに対抗するわけにはいかなかったのだ。

 「さ、お肌のケアをしましょうよ。せっかく綺麗な先生の肌が、ガサガサになるなんて、哀しいじゃないですか。ほら、胸を僕の方に出して」

 顕子が、塩らしく項垂れているのを見ながら、牧田はほとんど道化のような明るい声を出して、昨夜顕子を屈辱的な快楽の渦の中にたたき込んだスプレーの缶をその胸元に運ぶ。

 ……そりゃ、そうだよな。あんな台詞カメラの前で言ったんだし、散々イキまくったのも撮られてるんだ。逆らえる訳ないよ

 心の中でほくそ笑みつつ、牧田は顕子の裸の肩を引き起こす。魅力的というよりも圧倒的と言った方がいい乳房が、その動きで左右に大きく揺れる。その蠱惑的な風情に、思わず牧田は胸の膨らみを、空いている方の手で掴んでいた。

 「いやっ!もう、こんなことは……」

 ぎりっと、牧田に力を込めてもみ上げられて、顕子は声と同時に顔を上げた。だが、その視線は嗜虐に酔った薄笑いを浮かべる牧田の切れ長の視線にぶつかって跳ね返された。

 「いやなんて言って……、嘘ついちゃだめだって。昨日、何回このおっぱいにチ○ポ突き刺されて、イッたか覚えてんの?まったく……。僕たちのものをこの谷間に挟みながら、自分で乳首摘んだり、揉みこんだりして、勝手にイッてたじゃない?それにさ、何本もチ○ポを使っておっぱいぐりぐりされて、イッたりもしてたじゃないの?先生のこの立派なおっぱいはね、もの凄く淫乱なみたいだよ。大石先生も言ってたでしょ?お前の乳は凄い淫乱な人格をもってるみたいだって」

 耳を塞いでしまいたかった。このままこの場所から、たとえ裸とはいえすぐに飛び出したくてしょうがなかった。
 何故なら、牧田の言うことに何一つ嘘がないからである。確かに顕子は、昨晩、通常通りの性交渉でも絶頂を極めたが、牧田の言うとおり胸への責めだけでも、何度と無く絶頂に追い上げられていたのである。

 ……お前の、乳はとんでもねえ、ド淫乱だよ!その馬鹿デカさの中に、目一杯スケベな感覚を詰め込んでやがんだよ!
 半ば呆れたようにして大石が、罵ったのを思い出す。顕子は無論反論したかった。そんなことはあり得ないのだと、叫びたかった。実際、恋人とのセックスで、胸に対してこれだけ感じたことはなかったのだ。偏に、大石に塗りたくられた、おかしなスプレーから吹き付けられた液体が原因の筈だった。

 しかし、もともと胸の大きさが極端なコンプレックスとなっていた顕子である。子供の頃からその美貌を褒めそやされ、成長してからは、知性と努力とで、常に周囲から一目置かれてきた紺野顕子にとって、唯一の泣き所とも言えるのが、その巨大な胸であった。胸が大きいと言うだけで、何度あらぬ誤解を受けたり、執拗に肉体関係を異性から迫られたことかわからない。この胸のもたらす異性への影響に負けないように努力することが、思春期を迎えた頃からの、顕子の重大な課題だった。

 だからこそ、この胸で性的な絶頂感を得てしまったことに、顕子は凄まじい自己嫌悪を感じていた。生殖に伴う神秘が、性的な絶頂感を導き出すのだと思いこんでいる顕子にとって、生殖とは直接関係のない胸だけで高みに達してしまったことは、今まで考えたこともない、まったく信じられないことであり、屈辱的なことでもあった。

 ……この胸さえなければ……!

 情けなくて悔しくて、顕子は唇をかみしめる。例え媚薬の様な液体を塗られていたとしても、それに流されて、胸からもたらされる淫らな感覚に意識を占拠されたのだ。胸さえなければ、大石たちに凌辱されることもなく、同時にそれによって何度も絶頂を極めさせられる様な、屈辱的なこともなかった筈なのだ。

 だが、自分が大石達に屈しない強さを持っていれば、それで済む話であった。強さを持たない自分のふがいなさ、自らの官能の御しがたさに、顕子は悲嘆にくれる。

 「さあ、吹きかけるよ」

 顕子が何一つ口を開かずに自分の物思いに沈んでいることを、とくに気にした風でもなく、牧田は笑顔でスプレーをシュッと、掴んでいる左乳房に吹きかける。

 ヒヤッとした冷たい感触が、乳房の上で弾けたことで、漸く顕子は、スプレーを吹きかけられたことを知る。

 「ああ、また、そんなものを……」

 先程あれだけ拒否したものを吹きかけられても、顕子は小さな声で嫌悪の言葉を発しただけで、牧田のなされるがままになってしまっていた。

 牧田は、もう一方の乳房にもスプレーを吹きかけると、その水滴を伸ばすようにして、両の掌で揉み込むようにし始めた。

 「うーん、やっぱり先生の胸は、柔らかくて温かくて、すべすべして、最高だね!」

 いつの間にか、顕子の胸を弄ぶ牧田の顔はうっとりとした表情に変わってしまっている。

 牧田の掌は、勿論顕子の乳房全体を掴むことは出来ない。だから、掌全体を使って、撫で回すのだ。まるでラグビーボールを輪切りにして、その切断面を胸元にくっつけたような、見事なまでの砲弾状の乳肉を、磨くようにして扱き上げる。顕子の地肌の滑らかさは、そのまま触り続けるだけで射精感のようなものを牧田に感じさせ、何度と無くその作業は中断された。時にはスプレーを吹き付けて、全体に液体を擦り付ける。スプレーのぬめりが、一層顕子の肌の滑らかさを増し、牧田を陶然とさせた。

 ……ようし、もう全体に行き渡っただろう

 スプレーの缶を床におくと、下から持ち上げる様な形で、乳房の裾の方を両手で掴む。そのまま、乳房の柔らかさを確かめるように、左右の手首のスナップを利かせて、交互に揺さぶってみる。

 ……ううーん、やっぱり凄い!こんだけ柔らかいからなあ

 牧田が胸の中で感嘆するように、顕子の乳房は白い肌に青い血管を薄く浮き立たせたまま、小刻みにぶるぶると震えてみせる。色素の薄い地肌のままに、薄桃色の乳暈が、愛らしい突起と共に、乳房の激しい揺れによって、あちこちへ場所を移動しているかのようにも見えてくる。

 その一所に留まらない突起を捕まえようと、牧田は手を乳の裾から離す。牧田の掌の圧迫から逃れた乳房が、ぶるっと弾けるようにして揺れる。その揺れる乳房の上の突起を摘もうと、張り手を繰り出すようにして牧田は乳房に掌をぶつけていく。

 パチン!という乾いた音と共に、顕子が身を捩る。
 まるで、餅つきの様だと、その感覚も手伝って、牧田は思う。心地よい弾力が、掌が乳房と衝突した際に沸き上がり、牧田の脳髄をとろけさせていく。

 「つかまえた!」

 波の様に揺れ、様々な表情を見せていた乳房の大海原から、漸く牧田は愛らしい突起を摘むことに成功した。きゅっと人差し指と親指の間で挟んだ瞬間、顕子が切なげに身を捩ったのを、牧田は見逃さなかった。

 「先生、どうしたの?大好きなおっぱいを僕に触られて、感じたんじゃない?」

 牧田の意地の悪い質問に、顕子は答えなかった。口を開いてしまえば、正直に今の気持ちを口走ってしまいそうで怖かったのだ。

 ……ああ、昨日とも違う……痒くないけど、すごく熱くて、切ない……

 顕子の乳全体を襲う感覚は、昨日のはじめに感じたものとは異なっていた。昨夜は、凄まじい痛痒感に狂った顕子だったが、今朝の感覚は、痒みはそれ程でもなく、昨晩の後半感じたような熱と爛れたような切なさを早くも生み出している。

 ……だめ、駄目よ……こんないきなり感じたりしたら、本当に胸が淫乱なみたいじゃない

 牧田が乳首を指の腹で扱く。それのもたらす電流の様な快楽を面に出すまいと、顕子は必死で堪える。だが、牧田の、たった一晩で見違えるほど淫らな愛撫に巧みになった指先が、乳首をくりくりと回して擦り立てると、閉じた口の奧からくぐもったような声をあげてしまう。

 「ほーら、先生。無理しなくたって、いいんだよ。何せ、奴隷って自分で宣言したんだから、声を出してもいいんだよ。感じてない訳はないんだからね。ほら、おっぱいが綺麗に三段重ねになってるじゃないの」

 牧田の言葉に、顕子は顔から火が出るのではないかと思われるほどの恥ずかしさを感じて、思わずいやいやと首を横に振ってしまう。

 牧田の目の前では、乳房の巨大さに比べて、こじんまりと愛らしい風情の顕子の乳暈が、充血して鮮やかなピンク色に染まり上がると同時に、むっくりと盛り上がり始めていた。そして、そこから愛らしい乳首が、天を衝いて屹立せんとするように、堅くなっている。

 「あー、先生のおっぱいって、本当、いやらしいよね。こんなに大きくて、無茶苦茶柔らかくて、そんでもって鏡餅みたいに、三段重ねなんだから……」

 次の瞬間、くぐもったような音が聞こえてきたと思った途端、顕子は自分の乳首に強烈な甘い刺激を受けて、声を漏らしてしまう。

 「あン!」

 牧田が顕子の乳首に吸い付いていた。ペロペロと舌で扱き、ツンツンと叩き、そして時には前歯を使って甘噛みする。胸の先からわき起こり、子宮まで直通しているかのような甘く鋭い感覚に、顕子の身体は確実に反応していた。

 「ううっ!す、吸わないでっ!」

 顕子が上半身をぶるぶると振るわせながら、寄りかかるようにして自分の胸元の牧田の頭を抱きかかえる。牧田は、顕子の乳首だけではなく、その周りの乳肉ごと口いっぱいに吸引して、赤ん坊が懸命に母乳を飲むようにして口を動かして刺激を与えていた。顕子に抱きかかえられた形の牧田は、そんな風情も相まって、第三者が見れば、まるで大きな赤ん坊か何かのように見えた筈であった。

 ぶほっ!というはしたない音と同時に、牧田の口の中から吸引されていた乳房が弾かれるようにして外に飛び出る。自分の唾液に濡れた顕子の乳首が、蠱惑的に震えている様が牧田を激しく興奮させ、もう一方の乳房に、またかぶりついていく。

 「ああっ!もうっ!もうっ……や……ああっ!」

 顕子の弱々しい喘ぎ声に対して、牧田が胸元を蹂躙する音ははしたなく、そして大きくシャワー・ルームに響きわたった。ずるずるという、乳房を形成する繊細な脂肪の固まりが牧田の口に吸い込まれていく音。牧田の舌が、乳首に唾液を叩き付け、それを吸い上げる音。それらが耳元に入ってくるだけで、顕子は惨めな気持ちに襲われ、同時に激しい快美感に、瞼の裏に火花が散るような錯覚を覚えて、がくがくと身体を振るわせてしまう。

 ……駄目だわ、こんなんじゃ、ズルズルこの子達の言いなりになってしまう……でも、胸が、胸から来るこの、感じが……

 先程あれだけ自分の胸の淫らな感覚に対する敏感さに自己嫌悪したはずなのに、顕子は牧田から与えられる胸への快楽を、理性とは離れた部分で存分に貪ろうとしていた。

 理性の及ばない肉体的なものの象徴として、巨大な胸は顕子の中に存在する。先程から、理性では牧田のする行動全てを否定しているのに、思わず胸元を牧田に押しつけていってしまっている。ぼんやりと頭の中に膜がかかったようになり、気づけば、乳房や乳首にもっとはしたない責めを加えて欲しいと思っている自分が居る。最早、あのスプレーのせいなのか、それとも元々胸に官能の源泉が存在していたのか、顕子には判別がつかなくなっていた。その胸の持つ貪婪なまでの敏感さが、大石をして「乳にも人格がある」と言わしめたことすら曖昧な記憶となり、まるで乳に思考能力を受け渡したかの様に、快楽の奥底へと沈んでいこうとしている。

 「ふーっ!先生、早く子供産んで、たっぷりミルクを飲ませてね」

 顕子の胸元から顔を離しながら、牧田がそう言うと、漸く顕子は自分を取り戻し始める。

 「子供……?いきなり、何を言うの?」

 身体の芯は、甘く爛れ、視界もどこかぼやけている。しかし、顕子の頭の中は急激に理性を取り戻し始めていた。

 「子供って言ったら、子供だよ。昨日の晩、みんなで賭をしたじゃない?ほら、先生を妊娠させたヤツが先生を優先的に奴隷にできるってヤツ。覚えてないの?」

 その牧田の言葉に、顕子はめまいを感じるほどの怒りに心を煮えたぎらせた。女性の肉体の摂理を利用して、顕子をさらに責め立てようとする大石の悪知恵だった。いや、単なる即興の思いつきだったのかもしれないが、女性そのものを馬鹿にした許せない遊びだった。排卵日に無理矢理輪姦した挙げ句、誰が父親であるかを賭けるなど、およそ人間の所行ではあるまい。その片棒を子供達にまで担がせた大石という人間に対して、更なる怒りが沸き上がってくる。

 「覚えてるわよ、牧田君。でもね、そんな馬鹿なことは忘れなさい」

 途端に顕子の言葉遣いが、いつもの教師然としたものに戻ったことに気づいて、牧田は驚く。

 「忘れる?忘れられないよ。だって、大石先生以外のオレたち四人の誰が父親でも、先生は四人のものにするし、生まれた子供はオレたちの大事な子供にしようって話したんだ。そんな大事な約束をしたんだ、忘れられるわけない」
 「ど、どういうこと……?」

 怒りが顕子に冷静さを取り戻させたのに、あっという間に牧田の刺激的な言葉がそれを崩そうとする。顕子は、自然身構えるようにして牧田の表情を見つめていた。

 「僕たちはね、大石先生を出し抜くことに決めたんだ。四対一で戦うことにしたんだよ。何故かって?そんなの、みんな先生が好きだからに決まってるじゃないか。先生をずっと僕らだけの先生にしたかったんだ。だから、大石先生がこの賭を口にしたとき、僕たちは団結したんだ。実際、大石先生には色々今回のことで世話にはなったけど、結局このままじゃ、言い様に使われて終わってしまう。この夢のような状況を、ずっとこのまま続けるには、大石先生を出し抜くしかないんだ。だから、四人誰でもいいんだ。先生を妊娠させることが出来れば……」

 ぎらぎらした牧田の視線が、顕子の裸の下腹部に注がれている。まるでそこに本当に赤ん坊が入っているかの様に牧田は睨め付ける。

 「先生は……先生自身の気持ちはどうなるの?無理矢理赤ちゃんを作らされてしまう先生の気持ちはどうするの?それに、そんな形で仮に赤ちゃんが出来ても、そんなことで生まれてくる子は不幸だわ!だから、先生、絶対産まないわよ!」

 牧田の獣めいた視線を正面から睨み付けて、顕子は叫んだ。

 「いや……、産むみますよ。産ませます。先生、確か恋人が居るよね。前に、ウチの女子とそんな話をしていたのを聞いてたんだ。どう?その人に、あなたの子よって言うのは?先生が言うのがベストだけど、この調子だと言わないだろうから、僕が言っておくよ。そうすれば、晴れて先生の子供は、望まれてこの世に生まれてくることが出来るわけ」

 これが小学生の言う台詞だろうかと、顕子の心の奥底から原初的な恐怖が沸き上がってくる。牧田という児童は、この本性を見せるまでは、取っつきにくい部分はあったが、クラスのまとめ役として、何度も顕子を助けてくれた。無論顕子は優等生として信頼していた。だが、目の前で顕子を見つめながら言葉を吐きだしていく少年には、そんな部分は微塵も感じられない。まるで、昔見た映画の様だと、顕子は何故かぼんやりと思った。確か、悪魔の子が次々と周りの大人を残酷に殺していく話だった。その悪魔の子に、目の前の牧田がだぶって見える。

 「子供が産まれたら、たっぷり頂きますよ、先生のミルク。ああ、楽しみだな!ミルクまで僕らに与えてこそ、本当の乳奴隷だ!そうでしょ?」

 そう快活に言った後で、かじりつくようにして、牧田が再び顕子の胸に顔を埋めた。

 「ああ……先生のおっぱいの匂い、たまんないな……。頭の中がおかしくなってしまいそうだ。うーん……」

 頬ずりするようにして、顕子の滑らかな乳房の上で顔を左右に擦り付けていた牧田は、次の瞬間には、先程口の中で味わった愛らしい頂をまたくわえる。

 「いやっ!」

 咄嗟の行動だった。牧田に対して、言い様のない恐怖を感じてしまった顕子は、まるで毒虫か何かの様に、必死で少年を胸元からはねのけた。それ程力を込めたつもりはなかったのだが、元々体重の軽い子供のことで、勢いよくタイル張りの床に背中から倒れ込んでしまっていた。

 「ぐっ!な、何するンだよっ!」

 自分の言葉に酔い、顕子の胸の素晴らしさに酔っていた牧田は、突然くわえられた痛みに、成す術無く声をあげた。

 「あ……ご、ごめんなさい。大丈夫?牧田くん……」

 顕子は、その途端前屈みになって、牧田に声をかける。いつの間にか、恐怖心は消え、床に転がった牧田への切ないような、感覚に急にとらわれる。

 「大丈夫なわけ、ないじゃない!」

 牧田の顔が、怒りに歪むと、前屈みで覗き込んできたために、牧田の目の前でぶらぶらと揺れていた顕子の乳房を掴んで立ち上がろうとした。

 「いたっ!やっ!離してっ!」
 「僕だって、痛かったんだよ!」

 ぎりっと、まるで憎い相手の首を絞めるかのようにして乳房を握りしめながら、牧田は立ち上がる。しかも、立ち上がってもその力を緩めようとはせず、一層力を込めていく。

 「ああっ!や、やめてっ!」

 空手の稽古の時に味わう打撃系の痛みとは明らかに異なる、脂肪繊維が引きちぎられるような痛みに、顕子は声をあげずにはいられなかった。

 「ふふふ。痛そうだけどさ、先生、こういうの好きだったでしょ?ほら、こんな風にすると、凄い声出して、悶えてたじゃない?」

 指の爪が乳房にぎりぎりと食い込んでいく。青い血管の浮き出た雪白の肌には、すでに痛々しい真っ赤な痕が刻みつけられている。だが、見た目の痛々しさに比べて、確かに牧田の言うように、痛みよりも微かに疼くような感覚の方が強くなってきていた。

 ……あのスプレーが、効いてるんだわ

 昨夜の屈辱が脳裏に蘇る。こねくり回され、ねじりこまれ、引きちぎられるように引っ張られたのに、その刺激が激しい快感となって、顕子を襲ったのだ。その時の恥ずかしくも切ない感覚とそれほど変わらないものが、乳房から起こってくるのを感じて、顕子は焦った。

 「あうっ!」

 牧田は、左右の乳房をそれぞれ掴むと、ダンベルで運動するときのように、交互に上下に動かした。無論、乳首は人差し指と親指によって締め付けられている。上に持ち上げられるときの圧迫感が、胸の奥に牧田の荒々しさを直に伝え、下に引っ張られるときの引きちぎられるような感覚が、顕子に恐怖と同時に、被虐的な快感に近いものを感じさせる。

 「そら!そら!」

 左右の手をリズミカルに挙げたり下げたりする牧田は、つきたての餅をこねたり、引っ張って千切ったりするときのような感覚に、すっかり舞い上がっていた。自然、掌に込められる力は増していき、上下に動かす動きも速く荒々しくなっていく。そして、その動きの暴力的な部分が、顕子の胸に吹きかけられた妖しげな液体を一層深く皮膚の中に染み込ませ、感覚を淫らなものに変化させていく。

 「そうら、一回転!」

 掌いっぱいに掴んだ乳首とその周辺の乳肉を牧田は、顕子の胸板に平行な形でぐるりと一回転させる。牧田には、その行為が、はっきりとした円になって見えたが、それは顕子の乳の人並みはずれた大きさと、柔らかさによるものだった。

 すっかり胸を玩具のように扱われていることに、顕子は唇を噛んで堪えた。だが一方で、牧田という少年の気を損ねまいとして、敢えて抵抗せずにいる自分に気づかされて、激しく動揺する。

 ……どうして、私はこの子のすきな様にさせているんだろう?

 大石が同じ行動をとっていたら、顕子は激しい怒りに身を焦がしていたことだろう。昨日からそうだったが、牧田達子供にいいように扱われることに関しては、大石に比べて抵抗が少なかった。しかも、今のように、胸を好き勝手に子供に弄ばれていることに、あの液体云々を取り去っても、十分な程甘い快感を感じている。

 それは、今まで、自分の一挙手一投足に、子ども達が畏れ反応してきたからではないかと、顕子は思う。自分は知らず知らずの内に、教師という部分を子供達に押しつけ、その上に君臨していたのではなかったか?子供を自分の意に従わせようと、常に飴と鞭で臨んでいたのではなかったか?そしてそのことに自分で気づいていたにも関わらず、結局は周りの教師や父兄の意見に流されるがままに、子供達に対していたのだ。

 その自責の念が、子供達にいいように扱われることに対する抵抗を失わせているのではないかと、顕子は思う。そして、そう思うと気が楽になる。自分が子供達に性的な凌辱を受けたことは忘れることは出来ないが、それも子供達が悪いのではなく、大人達が悪いからだと思えば、今後もこの子供達に希望を抱いていられると、顕子は思う。そして、先程床に転げた牧田の表情を思い出す。牧田の表情は、突然の顕子の行動に驚き、怯えていた。その表情を思い出すことで、顕子は牧田の中にはまだ少年らしい繊細で憶病な部分が十分に存在しており、好きだといった自分に裏切られることを極端に恐れているように思えたのだった。

 だがそれは、顕子のあまりに教育者的な四角四面の自虐的な陶酔にしか過ぎなかった。大人達が悪いなどという考え云々の前に、彼らの心の中に巣くっているのが、偏に自分の肉体への憧れと飢餓感なのだということに、顕子は敢えて目を背け、擬似的で性的な意味合いをもつ母性の高ぶりへと自らを導いていったのである。

 「はあっ!」

 牧田の荒々しい動きに対して、顕子の肉体は熱くそして何か溶けていくような反応を見せ始める。自分の乳房を弄ぶ掌の感触と、時折吸い付いてくる唇の感触とが、脊髄の辺りでぶつかり合い、小さな火花を何度も上げる。

 牧田の肩の細さと、幾分掠れがちな高めの声が、さらに甘い感覚を降りかけていく。

 「どうしたの?先生、途端に積極的になったね。やっぱり、おっぱいはきつく責めてもらった方がいいみたいだね。ふふふ、おっぱいマゾって感じかな?」

 牧田の他愛のない軽口すら、今の顕子の脳髄をとろけさせ、肉体の奧の埋み火を燃え上がらせようとしているかの様である。

 「あひっ!か、噛まないでっ!ひぐっ!」

 ぎちぎちと、牧田が顕子の乳首を前歯で噛み続ける。激しい痛みが乳首から脳神経に繋がる前に、まるで乳房がその感覚を濾過しているかの様に、妖しい疼きと共に、激しい淫らな快感へと変化する。

 牧田は、顕子の体内の変化を敏感に感じ取った。昨夜も、突然乱れはじめ、後は延々淫らなままだったのだ。今がその変化のときだと判断した牧田は、一層強く乳首を噛み締め、そして乳房に荒々しく爪を立てていく。

 「ああっ!おっぱいがっ!熱っ!」

 途端に、顕子の声が艶っぽさを増し、シャワーを浴びた後だというのに、全身に汗をじっとりとかき始めている。

 ……やっぱり、おっぱいだけでこんなに感じるんだから、凄いよ

 心の底から感嘆しつつも、牧田の口と手は動きを止めなかった。むさぼるようにしゃぶりつき、唇と舌で自らの唾液を顕子の乳肉の上で弾かせ、さらにそれをじゅるじゅると吸いたて、しっとりとした肌に歯をたてて、紅い痕を残す。

 「ひいっ!ひうっ!」

 顕子の肌の色は、しっとりと濡れ、紅く上気する。その表情もまるで性器を繋いでいるときのような、だらしなく淫らなものに変わってしまっていた。牧田の乳房への責めが、スプレーの効果を激しく且つ満遍なくさせているのである。

 ……わ、私、胸がおかしくなってる……っ!

 昨晩からの胸に対するスプレーの塗布と重点的な責めは、顕子の体内の性感に大きな変化をもたらしていた。ある程度胸を弄ばれ、乳房内の血行が良くなると、まるで乳自体が性器のように敏感に、淫らなものに変化してしまうのである。それはスプレーを手に入れてきた大石も知らなかったことだが、このスプレーが一過性の刺激物の入っただけのものではなく、強烈な催淫剤の効能をもつ麻薬に近い習慣性の強いものだということに関係していた。

 一度でも大量に塗布されると、体内の神経を冒しその奥底に巣くっていく。その淫らな感覚は、通常は感知出来ない程微小な感覚として体内にあるが、肌を揉んだり擦ったりして刺激を送ることで、表面に現れてくるのである。その際、スプレーに入っている成分を身体の底から欲しくなる。スプレーを擦り込んでもらうことで、身体の奧から沸き上がる淫らな感覚を満足できるような錯覚に陥るのだ。もっとも、スプレーを塗布されることもそうだが、直接肌に刺激を与えるだけでも感覚的には充たされることができた。

 乳首がまるで、下腹部の陰芽の様に感じられ、左右からせめぎ合う乳房の谷間は、敏感な胎内の襞の様に感じる。時折牧田が乳房を舐め回すだけで、まるでクンニリングスを受けているような、微妙ながら鮮烈な快感に顕子は身を焦がしていく。

 「先生……またおっぱいがたまらなくなったんだね?どう、欲しいんじゃない?」

 下方から乳房を持ち上げ、ねじりあげながら、牧田は顕子に微笑みかける。「欲しい」とは、何を指しているのか、顕子にはすでにわかっていた。大石は違うが、子供達は顕子の胸を性器に見立てている様なところがあった。昨夜も、胎内で果てるよりもむしろ胸の間で果てることを望んでいるようでもあった。それは子供達にとっては性器よりも胸の方がなじみが深く、かつ性的にも精神的にも充足感を深く得られるからだろうと、顕子は思う。

 ……要は、甘えん坊なのよ

 今まで弄ばれてきた悔しさも相まってそう思うと、頭の奧が捻れるような、不思議なほど甘怠い気持ちになってくる。それは明らかに胸の性的な感覚の高ぶりと連動しており、顕子自身には無論経験はないが、授乳の際における母親のもつ悦びに似たものであった。

 シュッと、牧田が顕子の胸にまたスプレーを吹きかける。胸の谷間にはじっとりと汗が浮かび、スプレーの液体がその汗と混じり合い、野性的とも言える淫らな匂いを辺りに充満させる。

 その匂いに誘われるようにして、牧田はすっかり硬化して熱を帯びている自分の幼い突起を短パンから取り出す。

 まだ亀頭の大部分を包皮が覆う牧田の少年らしいものが、包皮が中から破けてしまうのではないかと思われるほど膨張しているのがわかる。包皮の先からかろうじて除くピンク色の部分は、キラキラと先走りの液体で濡れて光っている。

 昨夜の屈辱が頭の中でフラッシュバックする。何度止めてくれと頼んでも、大石や牧田達は顕子をあざけり、弄び、自分の欲望を満足させる為だけに荒々しく肉体を扱った。しかし、顕子の肉体は、スプレーの助けも借りて、ある瞬間を契機にそれらを深く受け止め、逆に自らの快感へと変化させていった。

 その、たった今まで自己嫌悪の対象となっていたことが、何故に自分の肉体の上に起きたのか、顕子は牧田の性器を見ながら直感的に悟る。

 ……なんて、可愛くて、凛々しいの!

 昨夜、彼らに胸を性器で押し上げられ、胸の谷間で扱き上げながら絶頂を極めた理由。何故それが大石では駄目で、彼らでなくてはならなかったのか。それは先程考えたような、教育者的な自虐性とは違った、ある意味倒錯的な性向に基因していた。

 ……ああ、欲しいのね。そんな愛らしいもので、私が欲しいのね!

 麻薬のような感覚が顕子の脳内を冒し、同時に何かが心の中で弾けた。

 次の瞬間には、巨大な白い繊細な肉のかたまりが、牧田の幼い性器を呑み込んでいく。牧田の前に跪いた顕子は、自分の乳房を左右から持ち上げて、そのせめぎ合う膨らみの間に幼い勃起を導いたのだ。

 「ああっ!、せ、先生っ!」

 牧田が途端に、泣き声のような、セクシュアルな匂いのする声をあげる。先程までの小憎らしいほどの責師ぶりから、180度転換したとも言える姿に、彼の顕子の胸への思い入れと、その快感の深さが窺い知れる。

 乳房から乳首へ至るラインと平行な形で、牧田の性器は顕子の胸の谷間に覆われてしまっていた。牧田の幼い勃起は、顕子の乳房の長さよりも無論短く、そのままでは胸骨にまで至ることはなかったが、顕子が胸を牧田の足の付け根の辺りにぐいぐいと押しつけることで、胸骨の辺りに裏筋がこすれ、激しい圧迫感と性感を感じる。

 先程牧田が顕子の乳房を左右それぞれ一回転させた様に、顕子は自らの乳房を持ち上げて交互に牧田に押しつけ始めた。ローリングのように、今までの人生で味わったことのない程の柔らかく弾力のある固まりが押しつけられたかと思うと、離れ、さらに片方の膨らみが逆から押しつけられる。

 「ううっ!凄いっ!」

 牧田の声を聞きながら、顕子の動きは更に貪婪さを増し、今度は胸の真ん中の牧田の性器に対して、拍手するように左右の乳肉を勢いよく叩き付ける。

 ……胸が、胸が凄く、感じる……ああ、おかしい、私、おかしくなるわ……こんな、はしたない行為を、自分からするなんて……

 憑かれたように、顕子の乳房を操る手の動きは激しくなり、荒々しい波のように乳肉が軋み、波打ち、牧田をその奔流に巻き込んでいく。

 「あうっ!」

 牧田がおもむろに顕子の両肩を掴むと、ぐいっと下半身を擦り上げるようにして突き出す。その途端、それまで乳房に平行な形で挟まれていた性器が、垂直になり、顕子の首筋目掛けて先端が突き出された。

 顎の下辺りに突き出された牧田の包皮を被った愛らしい突起を、思わず顕子は懸命に首を折り曲げて口に含もうとした。だが、もともと子供のものであるため、長さが足りず、舌を伸ばしても、先端を舐めることしかできなかった。

 しかし、顕子の舌が触れるか触れないかの状態でも牧田に与えた悦びは深いものだった。

 びたんびたんと、牧田の足の付け根から腿にかけての肌が、顕子の巨大な乳房に叩き付けられ、形を大きく変化させる。まるで顕子の胎内を犯すかのような牧田の腰の動きは、顕子の上半身に重々しい衝撃を与え続ける。

 「うふっ!はふっ!」

 顕子の乳房全体が、痺れるような感覚に包まれ、それを押し、ひしゃげられる度に、妖しい火花が脳内に飛び散る。さらに、牧田の性器の感触がその妖しい感覚に拍車をかけた。最初は何か肉の詰め物を挟んでいるような感覚しかなかったが、やがて爛れるような熱を感じ、肌に擦り付けることが、堪らない悦楽を産んでいく。

 「うはっ!凄いっ!やっぱり、先生はおっぱいを犯るのが一番だっ!」

 牧田が叫びながら、自分でも顕子の両の乳房を鷲掴みにして、無理矢理中央に乳肉を寄せ集めて快感を貪る。

 「ああっ!ひっ!」

 牧田の指がいきりたった乳首を摘むと同時に、乳肉同様中央に引っ張る。それのもたらす荒々しいまでの淫らな衝撃に、顕子のすらりとした内腿がぶるぶるとわななく。一度も触れられたわけではないのに、すでにその奧にある秘部にはおびただしい粘液が湧き出している。その粘液が牧田の腰の衝撃を受ける度に内腿を伝わってタイル張りの床に落ちていく。

 乳房を犯す牧田も、犯される顕子の表情も、白痴の様に純粋で輝いている。ぐっと腰を押しつける牧田の動きに合わせて、顕子が舌を出してその先端を擽り、さらにきゅっと自ら乳首を指で押し込む。

 「ぐっ!あっ!いやっ!そ、そんなっ!」

 顕子の掌の上に自分の掌を重ねた牧田が、両脇から乳房を激しくシェイクする。もみくちゃにされる感触と、自分の手でありながら他人に、それも小学生の教え子に手を副えられて勝手に動かされるという妖しい感触に、顕子が思わず声をあげる。

 スプレーと顕子の汗と牧田の先走りの粘液の混じり合ったものが、二人の肌の間をかなり高く、そして淫らな音をあげて滑っていく。牧田の手の動きと腰の動きは一層狂おしさを増していき、顕子の乳肉も軋むようにひしゃげながらその衝撃を呑み込んでいく。

 「ううっ!で、出るっ!せ、先生っ!」
 「ああ!先生も、一緒にっ!あ、はっ!」

 がくがくと少年らしい華奢な身体を振るわせて絶頂の瞬間を告げる牧田に対して、顕子もまた、文字通り左右から乳房を押しつぶした衝撃で、絶頂を迎えようとする。

 「あっ!おっぱい、すご……いっ!」

 ひときわ甲高い声を上げた瞬間が、顕子の最後のときだった。性器同士の交わりとは完全に異なった、どこかもどかしいような、それでいて満ち足りた刺激に心と肉体を焼かれながら、顕子は最後の力を振り絞って牧田のものを握ると、自分の右の乳首に押しつける。

 「おお!先生っ!」

 牧田の歓喜の声。それとともに、昨晩あれだけ出したというのに、圧倒的な量の白い飛沫が顕子の巨大な乳房を覆っていったのだった。
       


悶絶投稿へ戻る  戻る    進む