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 初日その7

 ファインダーから顔を離して、大石は牧田と顕子の方に足を運ぶ。

 目の前には、両腕を頭の上で手錠によって一つにされ、両足を開くように縛り付けられ、人の字型に固定された顕子の姿がある。

 自分たちの罠の中に転げ落ちた美しい獲物を見ながら、大石は大声で牧田達に話しかける。

 「お前らには感謝するぜ……。流石の紺野顕子も、自分の教え子にここまではめられるとは思ってもみなかっただろうからな。俺一人じゃあ、こうは行かなかった。本当、お前らは最高の教え子だぜ」

 大石はそこまで言って、顕子の表情を横目で見る。眉間に深い皺を刻み、口元をへの字に歪ませている。屈辱感と怒りのない交ぜになった滑稽な顔だと、大石は思う。

 「……そこで、礼って訳じゃないが、お前らに生身の教材を使って、女って生き物の浅ましさや醜さ、恐ろしさを教えてやろうと思うんだ。ここまではお前らも好き勝手やってこれたが、女ってヤツは、怖いもんだ。底が見えねえんだよ……。どんなにこいつはもう俺に逆らえないだろうって思っても、簡単に逆らいやがるし、男がどんなに飽きても、いつまでもセックスしたがったりするんだ。もっとも、これは生まれ持っての性質で、多かれ少なかれ、女っていう生き物にはそうした部分があるのさ。何て言うのかな?難しい言葉で言えば、種の保存の為にそう仕組まれてるんだな」

 大石の言葉を牧田達は神妙な顔で聞いていた。おそらく、普段の授業などで見せる彼らの顔の何倍も素直で真剣な表情だったろう。どんなに悪辣な手を使って顕子を罠に落としたとしても、彼らはまだまだ子供だった。先程顕子の胎内に射精できたのは清治だけだったし、その清治だとて、たった一回の交情だけで、女性を知ったと言うにはあまりに頼りない経験に過ぎなかった。

 彼らは彼らなりに顕子を責めようとしている。そのために、大石から盗めるものは全て盗もうと考えていた。そんなところに大石自身から女について教えてやると言われたのだから、彼らが真剣に聞かないはずがなかった。

 「教材選びと、教材を手に入れるまでは、お前ら全員合格だ。こんないい女、なかなかいねえからな。俺も小学校の時にこんな女が先生やってたらお前らみたいに、やったと思うぜ。もっとも、失敗しただろうけどな。そうだな、お前らには俺が居たから、成功したってことを忘れンなよ」

 子供達に自分の価値を認識させようとでもいうかのように、大石は目を剥く。だが、そんな大石の態度にもある種の愛情が感じられる様な気がして、牧田達は声を出して笑った。先程まで感じていた大石への疑念や恐怖に近い感情は、顕子を罠に落とした瞬間から、強い仲間意識へと変化を遂げて、子供達の心の中を充たした。

 「さてと、まずはガキどもの出したヤツを綺麗にしねえとな」

 大石は微かに笑いながら、自分のバックの方に戻って、その中から白い布と、スプレーの缶を取りだした。

 「さ、身体を拭いてやるから、暴れるんじゃねえぞ、紺野先生」

 しゅっと布にスプレーを吹きかけてから、大石は顕子の傍らに立つと、おもむろに顔に布を当てた。

 「な、何?いや!」

 顕子は、布から鼻腔が爛れるような甘さの匂いが漂ってきたことから、本能的に顔を捩った。きっと、スプレーに何か妖しげな成分が含まれていると、警戒したのだ。大石という男は、妖しげなクスリやスタンガンなど、普通の教職員が持たないようなものばかり持っている。しかも、それを遠慮なく顕子に使うのだ。顕子が警戒するのも仕方のないことであった。

 「馬鹿、何びびってんだよ。この匂いは、お肌を綺麗にする成分が入ってるから出てんだよ。お前、若い女のくせに、そういったものを付けたことねえのか?まあ、しょうがなえか。素がいいヤツは、下手に化粧したり、余計なものを塗る必要はねえもんな。まあ、安心しろよ、変なものじゃねえから」

 大石の言葉を心の底から信じたわけでは無かったが、大石の出すものを必要以上に怖がって見せても、逆に喜ばせるだけではないかと顕子は思い、だまって布で汚れを拭ってもらい始めた。顔から首筋に付着した牧田の撒き散らした精液を、甘怠い匂いの布が拭い去っていく。スプレーから発せられた液体がどんな成分のものかはわからなかったが、それが肌に触れた瞬間、微かな電流に似た刺激を感じる。さらに、空気に触れて乾き出すと、その刺激が微かに痒いような痛いようなものに変わっていくような気がした。

 その感覚が一層強く感じられ始めたのは、布が乳房に付着した精液を拭い出してからであった。
 ……また、何かおかしなものを使ってるに違いない!
 顕子はその思いを強くして、大石目掛けて、鋭い気迫を込めた言葉を叩き付ける。

 「もう、止めて下さい!身体を拭ってやるなんて言って、おかしな薬を塗ろうとしてるんじゃないですかっ?」

 だが、その言葉は大石の薄ら笑いに弾き返された。

 「格好つけてんじゃねえよ、いつまでも。お前、自分の立場わかってんのか?さっきお前がカメラに向かって喋ったことは全部撮ってあるんだからな。そういう自分の立場をきちんと理解してねえってんなら、こっちにも考えがあるぜ。それに、お前、小学校の先生だろう?教え子も見てるんだってことを忘れんなよ。一旦約束したことは守らねえといけねえって、お前も教えてきただろうが?あン?」

 大石の言葉自体は他愛のない屁理屈に過ぎなかったが、ビデオに自分の奴隷宣言を撮られてしまったということが、顕子の気持ちを急速に萎ませていった。

 「……ひ、卑怯よ……」

悔しげに口の中でそう呟いて、顕子は頭の上方で手首を固定されている二の腕に顔を擦り付けた。自分の迂闊さ。そして、自分を陥れた大石と教え子達への恨みと怒りで下唇をぎゅっと噛み締めながら。

 大石は、そんな顕子の屈辱を察していながら、ねっとりとした手つきで顕子の乳房を布の上からこねくり回す。最早その手つきは、汚れを拭き取るなどといった状態のものではなく、明らかに性的な意味合いを持つものに変わっている。

 下からくびり出すようにして、重たい乳房を持ち上げ、乳首のある頂点まで布を運び、手を一旦離す。すると、持ち上げられた乳房が、まるで雪崩を起こすようにして、一気に胸元へ弾みながら落ちていく。布に吹き付けられた液体に光る乳房のそんな蠱惑的な情景は、当の大石だけでなく、傍らで見守る子供達まで魅了した。

 「すげえ、やっぱり先生のおっぱいはやらしいなあ」

 北原が思わず溜息混じりに声を漏らすと、皆が深く頷いてその言葉を首肯する。思えば、顕子の胸が彼らを子供ながら、こんな行動に走らせたのだ。顕子本人は意地でも認めないだろうが、やはり顕子の標準を遙かに超えて美しく巨大な胸は、教育者には向いてはいなかったのだ。

 大石は二つの乳房の中間、丁度胸骨の浮き出た辺りに布を運ぶ。顕子の巨大な乳房が自然と作り出してしまう深い谷間の谷底に当たる場所だ。仰向けになっている今はそれ程谷間がくっきりとはしていないが、左右から盛り上がる乳房は、十分な張りと迫力を持って大石の視覚を楽しませる。思わず口元に笑みが浮かぶのを意識しながら、大石は布を左右の乳房の裾の部分に交互に何度も丹念に擦り付ける。

 ……ククク。悔しそうな顔してやがる。たまんねえなあ、やっぱり。とにかく、どんな表情してもそそりやがる……
 下唇を噛んで、自分の二の腕に顔を押しつけている顕子の表情は、大石の嗜虐欲を存分に刺激し続けた。それだけに、布越しに胸を揉み込む掌にも熱が籠もっていく。

 びくっと大きく顕子の上半身が動いたのは、布が上半身で最も敏感な部分に触れた瞬間だった。可憐な桃色の突起に、殆ど無造作に大石は布を押しつけ、そのまま突起を扱くようにして、掌を動かす。

 「う……ふう……」

 思わず顕子の口から溜息に似た声が漏れる。先程から、布に拭かれた肌の感覚に異常を感じていた。布が肌から離れて空気に触れた瞬間は、まるで湿布でも貼り付けたようにスースーするのだが、その内ちくちくとした刺激に変わる。大石が何かおかしなものを自分の肌に刷り込んでいることは、最早明らかであった。

 「も、もう、止めて……変なものを塗るのは止めて……」

 顕子は先程大石にビデオを楯に脅されたことを忘れたわけではなかったし、頼んだからといって止めてくれるような甘い男ではないと知ってはいたが、思わず声をあげていた。先程から、布からしみ出した得体の知れない液体が、上半身最大の性感帯をじわじわと犯していく感覚は、顕子を極端に落ち着かなくさせた。最初に拭かれた首筋の肌は、ちくちくとした刺激から、掻きむしりたいほどの痛痒感に変化している。やがてこの痛痒感が敏感な乳首にまで及ぶかと思うと、焦りに似た感情が心の中を占めていくのだ。

 そんな顕子の焦りが手に取るようにわかる大石は、一層口元をだらしなく歪めながら、巨大な乳房と比べてあまりに可憐な薄桃色の乳首を布越しに撫で回す。

 「ん?おい、もう吹き付けた分がなくなっちまったぞ。またスプレーを使わねえとなあ。こんだけ乳がでかいと、まったく足りねえよ」

 大石は、布に吹き付けた液体をほとんど顕子の胸を中心とした上半身に塗りきってしまったことに気づいた。すっかり水っ気を失った布を、顕子の目の前でひらひらとさせて胸の大きさをからかった後で、再びスプレーを布に向けて噴射する。

 「どうも、一回くらいじゃ全然足りないみてえだからな。たっぷり吹き付けとくか」

 シュッシュッという音がして、妖しげな霧が布に吹き付けられていくのを、顕子は身体を小刻みに揺すりながら、見た。すでに、首筋の皮膚には、平静を保つにはあまりにもむずがゆい感覚が襲っていた。

 顕子には、空手をたしなんでよかったと思うことがいくつもあったが、その中で最大のものは、忍耐強くなったということであった。だが、いくら忍耐強いと言っても、それはあくまで、悪い誘惑を絶つとか、目標のために苦しくとも努力し続けるといった、優等性的な場面で発揮されたものに過ぎなかった。今回のように、苦痛とも言えないようなもどかしい感覚を堪え続けたことなど一度もない。顕子にとってみれば、そうした不意打ちのような感覚にいつまで堪え続けていられるかどうか、正直自分でも見当がつかなかったのである。

 そして、その考えが自分の中でゆとりを失わせ、さらに自分を追いつめていくということに、顕子は気づいてはいなかった。

 「ほう?お前、なに胸をぶるぶる震わせてんだ?ったく、やらしい乳だぜ。お前が身体を少し動かしただけでも、乳の方は倍以上の動きを見せてるじゃねえか……ひょっとして、そんなに、拭いて欲しいのか?ああ、わかったわかった。ガキ共の精液を早くふき取って欲しいんだろう?ケケケ、あいつらも、ここまで嫌われちゃあなあ。お前に惚れてるんだぜ、あいつらみんなよ」

 大石は、顕子が切なげに身体を小刻みに揺すり始めた原因が何にあるか知っていた。何しろ、彼が今日のために昔の仲間から買い求めたスプレーである。その効能も充分に知っていた。だから、顕子の反応を見て、漸く顕子が肌を襲う異変を感じ取ったのだと理解した。その上で、関係のない話をして顕子を更に追いつめていく。

 ぶるぶると巨大な乳房を揺すって、身悶えする顕子の姿を見ながら、大石はたっぷりスプレーを吹きかけた布を震える乳房の根元に押しつける。

 「どうれ、胸は途中だったからな、きちんと拭いてやるぜ、くまなくな」

 そう言って、大石は根元から乳房を押し上げるようにして布を滑らせる。そして、一旦頂にまでたどり着いた布を、今度は別の面に押しつけて、一気に裾野まで滑り落とさせる。

 そのまま、大石は同じ作業を何回も繰り返した。その様は、まるで高価な骨董品を磨き続けているかのような錯覚を、傍らで見ている子供達に与えた。実際、顕子の白く肌理の細かい肌は、上質の陶器のような印象を見るものに与えていたし、大石によって上方へと下から持ち上げられて形の歪んだ乳房は、奇抜なデザインの美術品であるかのようにも見えた。

 「おいおい、また足りなくなったぜ。デカ過ぎんだよ、お前の乳はよう」

 何度めかの同じ作業を終えてから、大石は腹ただしげにそう言って、三度スプレーを布に向けて吹き付けた。だが、その大石の行動は、客観的に見ればおかしな行為であった。何故なら顕子の胸全体が、布からしみ出した液体で、妖しく光っていたのである。もう塗るところなど無いことは明らかだった。しかし、大石は下卑た笑みを浮かべながら、三度スプレーがたっぷり吹き付けられた布を乳房にあてがった。

 「あ……はあ……」

 その途端、顕子の口から本人すら予期していなかった音が漏れた。それは、明らかに官能的な熱と艶を持った切なげな声だった。

 ……か、痒い……痒くて、痒くて、おかしくなってしまう……
 顕子は自分の口から漏れた音に気づくことはなかった。それだけ顕子の感覚は皮膚を襲い続ける理不尽なまでの痛痒感に向けられていた。今や、その痛痒感は首筋だけではなく、大きく張りつめた乳房にも、可憐な風情で尖っている乳首にも襲いかかっていた。固定されていない、かろうじて動かすことの出来る部分を何とか揺すって感覚を誤魔化そうとするのだが、身体を揺すれば揺するだけ、余計に痒みが、微かな痛みに似た爛れたような感覚が、ざわめくようにして顕子を襲い続ける。

 一方大石は、顕子がたった今あげた声を、沸き立つような気持ちで、心の中で反芻していた。明らかに、顕子の身体の芯がスプレーの効果を受けているのがわかった。

 昔、共に夜の盛り場を暴れ回っていた仲間から、林間学校出発前夜に手に入れたスプレーだった。くれた仲間本人も、どこから廻ってきたかわからないものだし、具体的にどんな成分が入っているのかもわからなかったが、その効果だけは知っていた。昔、おもしろ半分にナンパした女に使ったことがあったが、あまりの効き目に、使った大石達まで怖ろしくなって女をホテルに置き去りにして逃げ出したことがあったのだ。

 あの時の女と顕子の反応を比べてみると、顕子の方がまったく正常な感じだった。あの時の女は、スプレーを吹き付けた布で身体を拭いてやって五分もしない内に半狂乱になって刺激を求め、貪婪に大石達にむしゃぶりついてきたのだ。それに比べれば、顕子の瞳にはまだまだ理性の光が灯っていたし、肉体の震えも、汗のかきかたも少なかった。あの時の女は最初盛んに痒みを訴えていたのだが、やがて正気の無くなった瞳を大石達に向けて獣のように叫んで挑んできたのだ。どうやら、強烈な痒みの後で、何らかの効果が現れるものらしいと、大石は思っていた。だから、顕子が身悶えしているのは痒みのせいだと承知していたのだが、今あげた顕子の声は、痒みを堪える辛さからあげたものとは到底思えないほどの艶めかしさを秘めていた。

 ……ククク、いいぞいいぞ。そうやって、自分で情けない声を出して、男を招き入れるようにならけりゃあ、面白くねえからな

 大石は胸の中で舌を出しながら、何食わぬ表情で、顕子の胸を拭いている布をそのまま動かし続ける。

 ……いやあ!う、動かさないでっ!

 顕子は唇をかみしめながら、その大石の動きによって体内から沸き上がってくる感覚に堪えようとする。いつの間にか、自分が額や鼻の頭にじっとりと汗をかいていることに不意に気づく。大きな乳房全体を責め苛むざわざわとした言いようのない感覚をふりほどくかのように、思わず身体を揺すってしまう。途端に、乳房の頂点の乳首がぶるぶると小刻みに揺れる。そうした微かな刺激すらも顕子には、たまらないものに変わっている。

 まるで体内の細胞一つ一つに何か小さな虫のような生き物がわいて、一斉に蠢きだしたかの様な感覚。ざわめくその感覚一つ一つが大きなまとまりになって一度に襲いかかって来るようでもあり、同時に一つ一つの感覚が個々に意識されるようでもある。

 「あ……ひゃ……あっ!」

 ぶるっと大きく体を震わせた瞬間、顕子は声をあげていた。今回は、自分でもはっきりと声を出してしまったことが感知できた。だが、それも仕方のないことだと、自分でも思う。首筋から、乳房から、そして上半身で最も敏感な部分である乳首からわき起こり、全身を犯していく妖しい狂おしい切ない感覚に、顕子は抗う術を持たなかった。ふと、空手の寒中稽古を思いだした。足を切り裂くような道場の床の冷たさ。打ちつけられる相手の打撃が寒さで何倍もの威力に感じられ、何度と無くその冷たい床に腰を落として伸びてしまった、厳しい練習。だが、その苦しみとは完全に別種の苦しみが自分を襲っている。この苦しみに比べれば、空手の稽古の苦しみの、なんと健康的で清々しいことか。爛れるような、不健康な、自分で自分の身体を引き裂いてしまいたくなるような、絶望的な苦痛が顕子を襲い続ける。どうしたら、この苦しみから逃れることが出来るのか?その方法を思い浮かべて、一つの道しかないことに気づかされて、また身悶えする。

 ……いや……もう、こんなヤツらに身を屈するのはいや……私は、教師なんだ……教え子を正しい方向へと導き、悪辣な同僚を訴えなければならない……だから、私は……ま、負けられ……ない……

 自分の体中に飛び火した痛痒感を鎮める方法は、どう考えても、目の前でにやにや笑いながら自分の身体の上で布を動かす男しか知らない筈だった。だが、それはこの憎々しい男の軍門に降ることを意味していた。

 先程、奴隷宣言のビデオを撮られたが、それのもたらす屈伏は一時に過ぎないことを、顕子自身が理解していた。この拘束から逃れることが出来れば、どうとでもなる。しかし、今、この場で大石に無様にすがりついたら、どうなるだろう?ビデオを取り返し、大石を追いやったとしても、自分で自分が許せないだろう。たとえそれが、自分を救い出すための仕方のないことだとしても、顕子は、堪えられないと思った。それは、正しくまっとうな生き方を選んできた自分自身を辱める行為であると、顕子は強く自分に言い聞かせた。

 最早、そうした自分自身に対する誇りのようなものだけが、今現在の顕子を支えていた。教え子に裏切られて、教師としての自分に絶望し、日頃歯牙にもかけていなかった同僚にいいように扱われることで、自分の学業や空手での成績に無意味なものを感じずにはいられなかった。だが、素の、裸の自分自身に対する誇りだけは失ってはいなかった、いや、失いたくはなかった。学業成績や、試験の結果、空手の入賞など、そんな表面だけの勲章ではない、自分自身の矜持に対する限りない愛おしさ。大石のような人間はけして歩んでこなかった筈の、正しく活力に満ちた自分の前半生を、顕子は誇った。人間としての生き方の正しさを、顕子は誇りとして、それにすがったのだ。

 だが、大石が乳房を揺すり立てるように布を動かす度に、襲い来る言い様のない、極彩色の苦痛は、顕子をともすれば追いつめて、屈辱の言葉を吐かせようとする。

 大石は飽きることもなく、延々と顕子の胸ばかりを布で拭いている。実は、顕子が自分自身の体内からもたらされる苦痛に必死で抗っている隙に、スプレーを直に乳房に吹きかけてしまっていた。顕子はそれだけ、嵐のように吹き荒れる苦痛に、感覚を狂わされていた。むしろ、一瞬吹きかけられたスプレーの冷たい感触に、痛痒感が薄らいだような気になって、声を漏らしてしまったほどであった。もっとも、本人は何が起こっていたのかは、切なげに目を閉じて苦痛に耐えていたので気づきはしなかったのだが。

 直に吹き付けられた妖しげな液体が、顕子の白く光る乳房の上からたらたらと脇腹や下腹の方へと流れ落ち始めていた。それだけ、多くの量の液が吹きかけられたのだ。吹き付けられた瞬間は霧状だった液体は、小さな水滴同士で結びつき、汗よりも大きい粒を形成して、顕子の身体を流れ落ちていく。無論、その流れの往くところ、新たな皮膚を痛痒感が犯し、弄んでいく。

 へそのくぼみに溜まり始めた液体を見ながら、大石はそろそろ仕上げにかかるべきだと思って、布を漸く胸から離した。

 「どうれ、胸の辺りについたヤツはこれで綺麗になったし、お前のお肌も大分つやつやと色っぽくなったな。よし、最後に一番汚れのひどそうな所を拭いてやる」

 布が離れた途端、今まで大石の手の動きを恨んだことが間違いだったことに顕子は気づいた。今までは、大石の手の動きという刺激があったから、まだ痛痒感を忘れられたのだ。あれほど、乳房を好き勝手に弄ぶ大石の手の動きとそこからもたらされる痺れに似た刺激に苦しんだのだが、その刺激が無くなった瞬間、遮るもののなくなったざわめくような感覚が、一斉に顕子を襲ったのだ。

 「ぐうう……」

 顕子は歯を食いしばった。だが、噛み合わせた歯すらも、その根の方からがくがくと震えてくる。

 汗が瞼を伝い、目に入る。だが、それすらも人の字型に固定された顕子にはどうすることもできない。その「どうすることもできない」という感覚が、目に入った汗の痛みによって、一気に思い知らされる。

 自分の身体を自分でどうすることもできないということの恐ろしさ、救いがたさに今更ながらに気づく。その辛さは、全身を襲う苦痛と相まって、一層顕子を責めたてる。

 「ああ!そ、そこはっ!」

 不意に、顕子が先程待ちに待った刺激が身体に加えられる。だがその場所は、顕子が望む上半身ではなく、下半身の、それも女性にとって最も大事な場所であった。

 「そんなに警戒すんなって。高橋のヤツが撒き散らしたものをふいてやるってんだよ。ん?なんだ、おい。これは、なんだ?」

 大石はすっとんきょうな声をあげて、大げさに驚いて見せた。大石が布を当てて拭こうとした顕子の淫裂は、明らかに高橋が撒き散らしたものとは異なる、新しい粘液を奧から吐き出していた。

 「濡れてる。濡れてるじゃねえか、オイ。さっき高橋にぶっこまれた時のヤツじゃねえよな、この濡れ方はよ。しかも、高橋の出したヤツでもねえ。お前、俺に身体を拭かれて濡れてたんだな?ったく、何考えてんだよ!いや、そうか?お前、さっきのビデオの撮影の時から濡らしてたな?あんな言葉を吐いたり、俺に身体を拭かれたりして、濡れやがったんだ!お前……ククク、こいつは、いいや!俺のことを散々ののしりやがったくせに……お前も俺と同じだ!そして、あの色ガキたちと同じだよ!あのことばっかり考えてる、どうしようもねえ人種なんだよ!」

 大石は顕子の淫裂が濡れていても実際は驚いてはいなかった。それは顕子に塗布した液体の効果を知っていたからだし、自分が布で拭きながらも、官能的に指や掌を動かしながら、顕子の胸を弄んでいたからだった。たとえ液体を塗られていなかったとしても、女は濡れるはずだと、大石は顕子の胸へ施した自分のテクニックに自信を持っていた。

 そこまでわかっていながら、大石は顕子を口汚く罵り、辱めたのだ。その喜びに、大石の目は血走り、口元は涎が垂れそうなほど醜く歪む。

 それに対して、顕子は無抵抗だった。実際には大石の言うような理由で濡れたわけではなかったが、狂うような痛痒感を堪え続けることが、どういう作用をもたらしたのか、顕子の芯を濡れそぼさせてしまっていたのだ。けして大石に弱みは見せまい、その軍門には意地でも降るまいと決意した矢先のことだけに、顕子はそんな自分の生理が恨めしく、情けなかった。

 だが、荒れ狂う痛痒感を堪え続けても逃れることは出来ないのだという絶望感や焦りが、濡れたことの原因の大きな部分を占めると顕子は同時に気づいていた。つまり、知らず知らずの内に、自分で自分を追いつめていたのだ。そう思う分だけ、顕子は大石のあざけりの声に対して強く反抗する気を無くしていた。

 「しかし、お前のおつゆは、ヘンに粘っこくねえか?こりゃあ、精液の粘りじゃねえなあ……そうだ、お前、ひょっとして、今日あたり排卵日なんじゃねえのか?」

 その言葉を吐いた瞬間、びくっと顕子が大きく体を震わせたのを大石は見逃さなかった。
 ……こりゃ、いいタイミングの時に林間学校になってくれたもんだ。そうか、排卵日か……おもしろいことになるぜ、こいつは
 大石は心の中で一人ごちながら、次の瞬間には実際に声を出して、傍らで見守っている子供達を呼びつけた。

 「おい!おまえら、いいもの見せてやる!排卵日の女のアソコだぞ!お前ら、見たことねえだろうが?」

 大石の言葉に、牧田たちは慌てたように顕子の下半身の方に集まってきた。彼らの視線を満足げに見回しながら、大石は顕子の女自身を指で広げて見せる。

 「見えるか?ぬるぬるしてんだろ?女は興奮すると、チンポを受け入れやすいように濡れてくるんだが、このぬるぬるはそういったぬるぬるとも違うんだ。見てろ」

 そこまで言って、大石は指を顕子の胎内に突っ込んだ。

 「ああ!ひっ!」

 途端に顕子が甲高い声をあげる。その反応を楽しみながら、大石はぐるりと指を胎内で回すと、そっと引き抜く。

 「ほうら、見ろ、すげえ粘りだろ?糸をずっと引いてるが、切れてねえ。わかったか?女は排卵日がくると、液も濃くなって、身体が勝手にいやらしくなるんだ。それもこれも、排卵日にチンポをもらわねえと、子供を作る精度ががっくりと下がるからな」

 顕子は、大石の言葉をどこか不思議な感じで聞いていた。教え子にレイプされ、好き勝手に肉体を弄ばれても、これほど恥辱的なことはされていないと思う。だが、大石はよりによって、排卵日で妖しく潤んでいる淫裂を、小学生の教え子にじっくりと観察させているのだ。もはや、恥ずかしさや惨めさを通り越して、諦めの様な感情が心を充たしていく。

 ……どうして、どうしてこんなことに……?

 意味のないことだとは思うが、そう自分に問いかけてしまう。しかし、その後で聞こえてくるのは、先程牧田の放った言葉である。

 ……先生が綺麗で、そのくせ胸がそんなに大きくなければ、僕らだってこんなことはしなかったんだ

 全ての原因がこの胸にあるのだとしたら、いっそのこと今胸を切り落としてしまいたくなる。この胸が必要以上に大きくなければ、自分が美しく無ければ、全ては起こらなかったことなのだ。

 だが、もう遅かった。顕子の最も大事な部分は、小学生の教え子達にじっくりと見回され、大石が許したのか、時には指でつつくようにして粘液をすくって弄んでいる。

 ……いっそ、いっそ誰か殺して!

 燃えるような屈辱感と、狂うような痛痒感に心と体を同時に責められながら、顕子は心の中で叫んでいた。

 「よし、お前ら、ようくわかっただろ?女ってのは生まれ落ちた時点で、こういうメカニズムを体の中にもってるわけだ。それも男を欲しがるように仕組まれてるんだ。その証拠はこれから見せてやる。この女が、さっきまでどれだけ俺やお前らを罵っていたか、思い出せよ。ビデオの件もあるだろうが、そうした脅迫だけだったら、絶対女ってのは、よろこばねえんだ。少しでも望む気持ちが無けりゃあな……だから、今からやることでこの女が喜び始めたら、それはおそらく、排卵日のせいか、もしくはこの女が淫乱なヤツだったってことだ」

 大石はそこまで言うと、顕子の淫裂におもむろにスプレーを直接吹きかけた。

 「先生、僕らも何かしていいですか?」

 先程からただ黙って顕子の身体が拭かれていく様を見せられていた子供達は、辛抱堪らないという血走った瞳で顕子を見つめていた。その全員の意を汲んだように、リーダー格の牧田が大石に尋ねる。

 大石は、牧田の申し出に対して、ほんの数瞬考え込んだあとで口を開く。

 「そうだな、お前らはお前らで好きにこの女の身体を責めてみな。その様子を見て、俺がつっこむからよ、それまで好きにしてみていいぞ」

 その言葉に、子供達は、それぞれ感極まったような声をあげて、素直に喜びを表した。そんな姿だけ見れば、明るく快活な小学生にしか見えないところが、余計にその奇怪さを大石に意識させる。

 ……こんなガキばっかり出てくるとなると、これからの先生って職業は辛いなあ

 今回顕子を罠にはめたことで、すでに大石は教職へのこだわりを無くしている。これからは、同じ職場でなくとも顕子を好きなときに呼び出してなぶることも出来るだろうし、何より学校には、牧田達監視役が居るのだ。それだけに、大石の牧田達を見る視線は乾いていたし、一種投げやりなほど客観的だった。

 大石の言葉を受けて、子供達は我先に顕子の拘束された裸身にむしゃぶりついていく。

 「ぐっ!や、やめな……さいっ!」

 それに対して顕子が怒鳴りつける。だが、その言葉は弱々しく掠れていて、教室の時のように子供達を圧倒することは出来なかった。

 「んっ!ふうっ!はああっ!」

 顕子の艶めかしい声があがる。吹き荒れる痛痒感は最高潮に達しており、少しでもそのざわめきを薄れさせてくれる刺激を体中が求めている。そんな状態の豊満な裸身に、子供達の無遠慮で荒々しい手が、指が、伸びる。

 牧田はベットに上がると、そのまま顕子を跨いで、先程自分の性器を挟んだ乳房の谷間に顔を付けて舌を伸ばす。塗りたくられた液体の甘怠い匂いが鼻を突き、舌の先には痺れるような感覚が伝わってくる。だが、牧田の舌は止まらない。顕子の心臓の上を擽る様に蠢き、流れ落ちる汗と、スプレーの混じったものをぴちゃぴちゃと弾き続ける。

 清治と北原は、両脇から、左右の乳房をそれぞれ好き勝手に弄ぶ。互いに逆方向に乳房を引っ張ってみたり、その大きさを味わうかのように掌全体でねじってみたり、指で乳首を弾いたり、根元を掴んでぶるぶると勢いよく振り回してみたりと、好き放題である。

 寒河江は、他の三人とは異なり、二の腕を引き延ばされて固定されている顕子の剥き出しの腋窪に舌を伸ばす。寒河江は自分の母親の腋窪などには、グロテスクな汚いもののような感想しか持たなかったが、顕子の腋窪には、ずっと密かに憧れ続けていた。いつだったか、垣間見た白いブラウスの襟元から覗いた顕子の腋の下は、それまで見たどんな女性の腋窪よりも、清楚で美しく、いやらしく見えた。二の腕からのまろやかな曲線と、胸へと繋がる筋肉の作り出す美しい調和を覗くことは、他の「紺野顕子を乳奴隷にする会」メンバーには教えなかった寒河江一人の密かな楽しみだった。その憧れの腋窪を、寒河江は熱に浮かされた様な声をあげながら夢中で舐め回す。

 「……あっ!……んんふっ!……いやっ!……」

 体中を襲い続けていた痒みと痛みのブレンドされた、狂ってしまうかのような感覚が、子供達の動きによって、痺れるような感覚に変化していく。そして、それまでの焦りや苦痛が、途端に甘美なものに変わりつつあることを、顕子は知る。

 子供達の動きは一層熱を帯び、激しさを増していく。巨大な乳房は、思い切り引き絞られ、ねじられ、揉み込まれ続けていて、一瞬たりとも原型を留めはしない。だが、その荒々しい動きが乳房に加えられる度に、痛痒感は消え、じーんとした痺れと共に、電流のような熱く甘い感覚が体中を駆け抜けていく。

 「ぐっ!はうっ!」

 いきなり清治が顕子のすっかり張りつめて尖った乳首を口に含んで、がりっと噛んだ。いつもなら、そんな荒々しい行為は、顕子に苦痛しかもたらさないはずだったが、稲妻のような快楽が、背筋を駆け上がっていく。清治は、そんな顕子の内部の変化がわかるかのように、さらに荒々しく歯で乳首を何度も噛み、強く吸い、そして舌で叩いた。

 「おおうっ!おおうっ!おうっ!おうううーっ!」

 まるで獣そのものの様な声が顕子の口から吐き出される。清治の口の動きは留まることを知らず、乳房を口いっぱいに吸引し、歯全体で、口の中に詰め込んだ乳房を食べ物のように噛み始める。それのもたらす刺激は、大石の塗りたくった妖しい液体の効果で、ざわめくような快楽に変化し、顕子を襲った。

 最早、顕子の体内に明らかな変化が起こっていた。今まで顕子を責め苛んでいた痛痒感は、より一層強い刺激を受けるための、刺激そのものを貪婪に味わうための、必要不可欠な感覚だったかのようである。そして、加えられる刺激は、たちまち吹き荒れるような歓喜へと変化し、顕子を押し上げ、解き放ち、甲高い声をあげさせた。

 牧田が、乳房の間から顔を起こして、今度は揺れ動く乳房の根元に噛みついた。北原は清治と同じように、顕子のもう一方の乳首に吸い付き、味わうようにして舌で敏感な突起を転がす。寒河江は、片方の腋窪を唾液でべとべとにした後で、もう一方の腋窪に顔を押しつけている。

 四人の子供達の、四十本の指が、四本の舌が、顕子の上半身を所狭しと動き回る。白く巨大で、美しいフォルムを持った胸の上は勿論、腋窪や脇腹、首筋、鎖骨の周りなど、あらゆる場所を子供達の舌と指が席巻していった。

 「ひぃーっ!ひいいっ!あひいっ!」

 身体の奥底から沸き上がり、津波のように押し寄せる淫らな感覚に、顕子の形相はすっかり変わってしまっている。黒髪は顔の至る所にべったりと張り付き、普段はすっきりとした眦は、淫らに歪み、充血し、潤んでいる。あえかな唇はだらしなく開き、端からだらりと唾液を漏らしている。

 ……そろそろ突っ込むか

 大石は子供達の責めで、官能の高ぶりにすっかり追いつめられた顕子の様を見ながら、ジャージのズボンを下ろしていく。

 そのまま大石は顕子の淫裂を指で開いてみる。途端に、びゅっという勢いで、淫液の飛沫が飛び出た。先程吹きかけたスプレーの効果だろうか、それとも顕子はもともと官能が高まってくると、こんな風に際限なく濡れるのだろうか。
 大石は顕子のあまりにいやらしい淫裂の様子に、舌なめずりを繰り返す。

 「おい!顕子、見ろ!」

 大石が名を呼ぶと、顕子は切なげな表情のまま、視線を向ける。ふと、顕子の視線が一点を凝視して止まる。次の瞬間には、瞳が驚愕の色に染まり、大きく見開かれる。

 「どうだ?いいチ○ポだろう?さっきお前がくわえた高橋のヤツもなかなかなもンだったが、俺の比じゃねえだろ?」

 顕子の目に飛び込んできたそれは、確かに持ち主が誇るように、巨大で赤黒く熱化してそそり立っていた。逞しく、グロテスクで、必要以上に攻撃的な印象が顕子を怯えさせる。軽く見積もっても、30センチはあろうかという巨砲に、顕子は泣き出しそうなほどの恐怖を感じてしまっていた。

 「おい、お前ら、一旦離れろ」

 大石は、小さな暴風のように顕子の上半身を弄ぶ牧田達に命令する。牧田達は、大石の言葉に、皆静かに従った。だが、皆股間をいきりたたせ、目は血走ったままで、名残惜しげに顕子の裸身を見続けている。

 「そんな顔すんな。もうすぐ、みんなやらしてやる。だが、その前に、女の責め方を見せてやる」

 大石は子供達に一応フォローのような言葉をかけてから、おもむろに顕子の淫裂を指で貫いた。

 「……う!……うはっ!」

 顕子は喉を絞って呻いた。先程までの子供達の玩弄によって高ぶった官能と、直接吹きかけられたスプレーが原因である淫奧からにじみ出てくる痛痒感が、ブレンドされ、顕子を責め苛む。そんな中、大石の指はまさに救いの神のように、顕子の身体には感じられる。大石の指が淫奧で動く。途端に、顕子の体の中で最も敏感な部分を襲う痛痒感が鈍い痺れへと変わる。その一瞬の変化が、顕子に言い知れぬ快楽を運ぶ。跳ね上がるように上半身を反らせる。豊満な乳房が、ぶるんと大きく揺れる。大石の指の本数が増える。二本、三本と一本一本じわじわと秘奧へと滑り込ませる。その指を伝って、顕子の悦びの証が滴り落ちる。

 「クククク。すっぽりのみこんじまったな。三本全部入ったぜ。ったく、やらしいマ○コだなあ、オイ。ただでさえ、やらしい乳して、男好きのするツラしてんだからよ、せめて此処だけはおしとやかでいて欲しかったぜ、俺はよ!」

 ぐいっと三本の指を押し込むように奧へと突き入れる。

 「ああっ!はうっ!ひぐっ!」

 妖しげなスプレーで狂わされた顕子の感覚は、そんな乱暴な動きを快楽へと変化させる。人型に固定された裸身を、切なげに捩り、顕子は声を出して悶えた。

 「ええ?欲しいんだろ?お前、欲しいんだろ?」

 大石は三本の指で顕子の秘奧をかき混ぜながら、ささやく。顕子にはその言葉がまるで天使の囁きのように聞こえている。すでに、ざわめくような苦痛は去り、そのかわり、焦れるようなじくじくとした甘怠い感覚が体中を襲っている。何か、強力で暴力的なものに無理矢理自分を引き裂いて欲しいと思えてくるような、蠱惑的で不健康な妖しげな感覚。

 その感覚に、今の顕子はどっぷりと浸かってしまっていた。ついさっきまで、理性的な色を宿していた瞳は、薄く膜のかかったようにとろんとしてうつろであった。体中の震えや、滝のように流れる汗はそのままで、白い肌は、酔っぱらったかのように桃色に染まっている。無論、ひときわ目立つ巨大な乳も、薄桃色に染まって微かに震え続けていた。

 凄艶な眺めだった。大石は、女を責める際に、自分で自分の欲望をコントロールできてこそ、女泣かせでありジゴロだと、昔その道の大先輩から聞いたことがあったが、自分はジゴロ失格でも構わないと強く感じていた。今、この美しく淫らな獲物を味わうことを、体中が欲している。胸の中が熱く爛れ、吐き気のような狂おしい欲望が大石を突き動かす。

 急かされるような気持ちで、猛り狂った自分の逸物を、顕子の淫らな密をはき続ける淫裂に副える。

 「おい!入れてやるぞ!こら!何とか言えよ!」

 大石が興奮で甲高くなった声で怒鳴り散らすと、間髪入れずに、顕子が返事を返してくる。

 「ああ!お、お願い……!おおっ!い、入れて下さいっ!」

 ぼうっと霞むような視線を大石に向けつつ、淫らな声で催促し始める顕子の姿に、大石は我を忘れて逸物を突き入れていった。顕子は漸く得られた最大の衝撃に身を震わせて悦びながら、喉を絞る。

 巨大な大石の逸物は、簡単に顕子の秘奧に呑み込まれ、あっという間に子宮を押し上げ、突き上げる。

 「おがああっ!」

 顕子が、はしたなく咆哮する。とてつもない衝撃だった。子宮に亀頭が達した瞬間、顕子は軽く上り詰めてしまっていた。だが、それだけでは、スプレーに狂わされた感覚は満足しなかった。かえって、軽く上り詰めたことで、顕子が意識するまでもなく、ぬるぬると幾重にも大石に絡みつき、締め上げ始める。

 妖しく痙攣のようなざわめきを見せる顕子の胎内を感じながら、大石がおもむろに動く。

 「はおっ!はああうっ!……あがああっ!」

 狂った官能は、顕子を獣に変える。大石の巨大なものが、引き抜かれ再び突き入れられる。絡みつく襞が全てめくり出され、再びねじ込まれる感覚は、まるで内蔵そのものを引き出され、また押し込められているような怖ろしいまでの衝撃を顕子に与え続ける。

 「くううっ!……くああ!ひいーっ!」

 顕子の澄んだ声が大石の動きを知らず知らずの内に、速く重くしていく。人型に固定された顕子の細腰の下に手を回し、腰だけを持ち上げるような形で、大石は狂ったように巨大な自分自身を叩き付けていく。

 ぶるんっと、大石が一突きする度に巨大な乳房が揺れる。それがたまらなく大石の官能を刺激する。調子に乗って下腹を叩き付ける度に、顕子の胎内はうねり巻き込み、大石を逆に責め立てる。

 ……しかし、なんていい味だよ!可愛くて乳がでかいだけが取り柄かと思ったが、肝腎のここもこんなに飛び抜けてやがるとはなあ……これだけ苦労した元手は、しっかりいただけるってことだな!

 ともすれば顕子から発せられる嵐のような官能に、呑み込まれ吹き飛ばされそうになる大石だったが、頭の隅で顕子の秘奧の評価をすることは忘れていなかった。しかし、その評価を下せば下すほど、顕子への想いは熱く深いものになっていく。女など自分の性欲を充たすための存在にしか見ていなかった大石には、驚くべき感情だった。

 だが、そんな感情も今の顕子の肉体の妖艶さ激しさ、淫猥さの前では、致し方なかった。たとえ、大石でなかったとしても、顕子の整った顔が快楽に激しく歪み、汗をべったりとかき、長い黒髪をあらゆる場所にへばりつかせて、甲高く澄んだ声をあげていれば、同じ様な感情を抱いただろう。さらに、顕子には抜群のスタイルの良さが付いてくるのだ。長くて美しい適度に脂の乗った脚。細く瑞々しい腰回り。そして、世の中の官能の全てを詰め込んだようないやらしく張りつめた巨大な乳。

 ……責め殺してやりたい……!

 けっしてそんな趣味は無いはずの大石であったが、思わずそう胸の中で呟いてしまう。この美しい獲物を、官能の果ての果てまで突き上げ、悶絶させ続けて精を搾り取り、殺してしまったら……。あらぬ妄想が大石を突き動かす。

 一方、何度も自分がはしたない声をあげて、固定されて不自由な腰を大石の侵入に合わせて突きだしてしまうことを、顕子はほとんど意識していない。とにかく、体中の細胞全てが、刺激を、快楽をもたらす衝撃を求めて叫び声をあげているかのような感覚の中につま先から髪の毛の先までどっぷりと浸かってしまっているのだ。

 巨大なものが自分の子宮を押し上げ、全ての襞を擦り立てていく、圧倒的な官能。顕子はその快感を貪り、しがみつき、酔った。

 「あひゅっ!ひゅっ!ひゅぐうっ!」

 鼻水が、鼻の穴をふさぎ、唾液が喉元を充たし、顕子の口からはおかしな声が漏れる。ずっと仰向けに固定された顕子には、そんな状況を自分ではどうすることもできない。激しく咳き込んでは喘ぎ、声を出しては咳き込む。そんな顕子の口元に、不意に大石の口が触れる。

 「あはあ……!あふっ!」

 大石が、鼻腔から溢れ出た顕子の鼻水を舌で拭い、さらに口を思い切り吸って、唾液を呑み込んでいく。途端に、呼吸が落ち着き、顕子は喜悦の声をあげる。

 そんな互いの粘液を舌でねぶりながら腰を激しく振り合う二人の交情を見て、子供達は圧倒されていた。

 大石は、女の責め方、女という生き物の恐ろしさについて教えてやると彼らに言った。だが、今現在の大石を見るとき、それは責め方云々を通り越した、責めるも受けるも無い、ただ女の素晴らしさに圧倒され、責めずにはいられない男の哀しさが子供達の心の中に沸き上がってくる。

 「……あんなに、なってしまうんだ……」

 清治が溜息のような言葉を吐くと、牧田も同じように大きく息を吐き出しながら、言う。

 「ああ。あんなに。……厳しくて、格好いい顕子先生だったけど、ああなると、ただの気の狂った女みたいだな。でも、俺は好きだ。あんな先生が好きだ。俺も先生をああしたい。いや、してやるさ」

 牧田は、口元を微かに上へ吊り上げて笑って見せる。その視線の先では、大石が顕子を何度も何度も突き上げている。

 顕子は、突き上げられる度に喉を絞り、固定された二の腕を切なげにたわませ、跳ねるように悶える。やがて、その度に激しく揺れる乳房に、切ない疼きが生まれ始める。身体の一番奥に、巨大な熱の固まりを突き入れられ、舞い上がるような快感に身を委ねていた顕子にとって、胸の奥から沸き上がる切なさは、まったく予期していなかった新しい感覚だった。

 ……ああ、おっぱいが……おっぱいが、熱くて、切ないィ……!

 顕子の快楽の靄に覆われた頭の隅がそう叫ぶ。先程子供達に好き勝手に弄ばれたことで胸を中心に沸き上がった感覚は、大石の胎内への侵入によって、いったんは消えたような気がしていたが、そうではなかったのである。大石が塗ったり吹き付けたりしたスプレーは、最初は痛痒感を引き起こし、やがて刺激を快楽に変化させる効能を持っていた。だが、それと同時に、塗った部分を揉み込み血行を盛んにすることで、強烈な催淫剤へと変化するのである。

 そのことは、大石すら知らないことだった。偶然先程子供達に上半身を好き勝手扱わせたことで、顕子の巨大な乳房全体が、性器に変わってしまったかのように、いやらしく熱化してしまったのだ。

 ぐいっと大石が顕子を深く抉る。その衝撃で、顕子の乳房は、頂の乳首共々、ぶるぶると小刻みに揺れる。その細かな震動すら、顕子を激しく感じさせ、思わず声をあげてしまう。

 「あああっ!おっぱいぃーっ!おっぱいが、気持ちいいのーっ!」

 ろれつの回らない鼻声が大石の耳元に届く。試しに、片方の胸を鷲掴みにしてみる。

 「ひっ!ひぐっ!うううっ!」

 ぎりぎりとねじるように乳房をこね、乳首を指で弾くと、途端に秘奧の襞という襞が大石のものを怖ろしいほどの強さで締め付ける。

 「くそっ!なんて、貪婪な乳だよっ!ええっ?お前、乳にも人格があるんじゃねえのかよっ!」

 まるで、奥底に吸い込まれ、抜け出せなくなるのではないかと思ってしまうほど、顕子の秘奧は大石をくわえこむ。それも、すべて胸への刺激によるのだと気づいて、大石は思わず叫んでいた。

 「もっと……もっと、おっぱいに、ちょうだあい……もっと……!」

 顕子は最早痴女そのままに、大石に胸への愛撫をねだり始めていた。普段は、幾分きつめに感じられる清楚な美貌が、だらしなく崩れている。

 ……畜生!こいつが、こんなに胸の感じる女だったなんて……。でかい女はみんないまいちなのによ!こいつ、胸を責めると、途端にすげえ締め付けやがる……。このままじゃ、俺だけイっちまうぞ。ガキどもの手前、そんな無様なところは見せられねえ……そうか!ガキどもか!

 大石は、自分を襲う顕子の肉体からの官能の嵐に対抗すべく、牧田達に声をかける。

 「お前ら!こいつの乳をやっちまえ!そうだ!なんでもいいから、やっちまってくれ!」

 ほとんど、哀願のような声に、牧田達は驚いた。見れば、大石の形相は凄まじいものに変わり、まるで授業で見た、快慶作の金剛力士のようだと牧田は思う。

 大石が腰をびくびくとびくつかせているのが、子供達にも見える。とにかく、大石は彼らにずいぶんと偉ぶって見せた割には、顕子の肉体に圧倒されつつあるのだ。

 子供達は、数秒牧田を中心にして小声で何か話し合った後で、先程から天を衝いてそびえ立ったままの幼い性器をおもむろに顕子の巨大な乳房に突き刺し始めた。

 右側の乳房に、牧田と北原の勃起がぐさぐさと突き刺さるようにして、埋まっていく。左側は同じようにして、寒河江と清治が自分たちの性器を、柔らかく弾力に満ちあふれた乳房の側面に埋め込んでいく。

 「おおっ!いいっ!おっぱい、いいっ!」

 顕子が、子供達の勃起を感じ、漸く全身を充たされた快楽に、喉を絞りながら叫ぶ。子供達は、その声に促されるようにして、無茶苦茶に性器で乳房を突きまくった。まるで、堅く熱を帯びた棒で、つつき回されているような、被虐的で刺激の強い感覚は、顕子に凄まじい快楽を届けていく。

 「すごい!柔らかくて、ぷにっと跳ね返してきて、最高に気持ちいいよお!」

 北原が叫ぶ。清治は無言で遮二無二、自分のものを乳房に埋め込んで快感を味わう。牧田は時折手を伸ばして乳首を弾いてやりながら、性器が折れるのではないかと思えるほどの勢いで乳房を犯していく。そして寒河江も、短く息を吐きながら、擦り付けるようにして乳房を味わう。

 子供達の性器でもみくちゃにされ、激しく形の変わった乳房を見ながら、大石に限界が近づこうとしていた。子供達の刺激がよっぽどいいのか、顕子の秘奧は、激しく大石を締め付け、痙攣のようにざわめき続けている。

 ひときわ大きく重い一撃が顕子の子宮を襲う。子供達の灼熱の棒が、左右の膨らみを押しつぶし、ひしゃげさせる。

 「うがああっ!ひいいいいっ!」

 灼けるような快楽の一撃が、顕子を襲う。次の瞬間、顕子は、ひときわ激しい絶叫と共に、人型に固定された裸身をびくんびくんと何度もバウンドさせ、白目を剥いて絶頂を極める。

 それに誘われるかのように、子供達が次々に限界を迎えていく。譫言のように、清治が、先生好きだよと繰り返しながら、白濁した粘液を噴射させる。牧田が乳首を掴みながら、びくびくと下半身を震わせ、勢いよく筒先から乳房目掛けて射精する。北原が、泣き声のような声をあげながら、白い飛沫を顕子の乳房に撒き散らす。寒河江が、太い唸り声のような声をあげて、それに続く。

 子供達の白い青臭い粘液に巨大な胸すべてを汚された顕子を見ながら、大石は思わず叫ぶ。

 「畜生!いいか、お前ら!これが……これが、女だ!メスって生きモンだああっ!」

 ぐぐっと大石のものが顕子の胎内で膨れ上がり、熱い飛沫を撒き散らす。

 一瞬、そそぎ込まれたものを飲み下すかのように、顕子の裸身が大きく動いた。だが、それ以上の動きはなく、後には、子供達と大石の荒い息遣いだけが部屋の空気を充たしていた。                                                        


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