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  被虐のアマゾネス 女王と王女の戦い                            あーくん 著 

第6章 親衛隊の逆襲!



 新型攻撃犬……
 これぞ、他のアマゾネス民族から借り受けた新兵器。
 従来の匂いを追跡する攻撃犬とは違って、新型の無味無臭の匂いのみを探し当てる攻撃犬。
 その匂いは、アマゾネスたちにはわからない。この新型攻撃犬だけがわかるのだ。

「こっちか……」
 親衛隊たちが、10匹ほどの新型攻撃犬を連れている。
 大きさはみな小型犬だ。しかし、嗅覚は通常の犬のさらに何百倍らしい。

 とある森の中を入っていく。
 ここはまず人が立ち寄らない場所だ。
 カルトバンの本拠地には格好の場所でもある。
 だが、森は異常に広く、まず、この犬たちなしでは無理だろう。


「いた!」

 小声で叫ぶ親衛隊の一人。
 見つけたのだ、カルトバンの見張りを!

 見張りはこちらには気付いていない。
 というか他の見張り兵と雑談をしているようだ。

 とうとう見つけた……
 見つけたのだ……

 カルトバンの本拠地を。
 いとも簡単であった。
 さすがは新型攻撃犬である。



「突き止めたか……」 
 オパの目が光る。

「王女に、使者を出せ。親衛隊全軍でカルトバンを一掃する命をくだされと!」
「はい!」

 シャルテ王女の元に、使いが走る!
 ついに、カルトバンの本拠地を突き止めたのだ。
 数を揃え、一気に殲滅するつもりらしい。

 オパと親衛隊たちの逆襲が始まる。



「たいしたものだな」
 今日の責めが終わったらしい。

 ミアは吊るされてぐったりしている。
 責めが終わって一時間。
 
 その間にオルガはワインを思いっきり楽しんだ。
 そしてそのままミアに近づく。

「本当に強情な女だ」
「おねえ……さま」

 もう、つぶやくだけで精一杯の妹。

「そんなお前に、二人だけの秘密の遊びをしたくなった」

 ――秘密の遊び?

 カルトバンの女達はもういない。
 正確には、外に護衛兵はいるが。

「私のものを受け取って出しておくれ」
「…………」

 意味のわからないミア。
 ポッと顔を赤らめるオルガ。
 何をしようというのか?

 すると、女王は、全裸になる。
 見事な肉体が、あらわれた。
 ツンと上を向いた美乳が、なんともいやらしい。

 そして、じっとある方向を見つめる。
 それは、ミアの股間。

 フッと微笑むオルガ。クルリと向いて、何かを持ってきた。

「あっ……」
 なにやら細い管と判断した妹。
「ふふ……これでお前と私は近づくんだ」
 そして、それを……

 自らの尿道にやさしく入れ込む。
 これは……

 導尿管カテーテルのようなものらしい。
 
「や……やめてください」
「なら、仲間になると言うんだ。オパの粛清に同意すると」

 とても同意は出来ないだろう。

「だったら、続けるだけさ」
 次に、ミアの尿道に……

「んっ……」
 火照った身体の股間に、細い管が入り込む。
 さらに密着する姉オルガ。

 このまま口に舌入れが始まる。
 ミアの口の中を愛撫していく。
 もう、ミアはいいいなりだ。
 そして、口付けが終わった。

「ううんっ……」
 顔をしかめる女王。排泄の欲求が募ってきたのだ。
 さっきからだいぶん我慢していたらしい。

 姉から出る尿道の中の液体が、ゆっくりと管を伝わっていく……
 妹は目をつぶっていた。

「かわいいよ、ミア」
 やさしくミアの顔を撫でるオルガ。
 お互い密着したままだ。

 ついに、管一杯まで、尿が行き渡った。
 後は向こうに行くだけ。

「あっ……くっ……」
 表情が歪む妹。
 ついに、姉の尿が入り込んだ瞬間だった。

「まだ入れてあげる」
 恥ずかしそうにするオルガ。被虐の表情にも見える。
 自分の尿を、妹に与えている。

 この禁断の行為をするつもりだったらしい。

「いっぱい飲み込むんだ。そして、私の前で出しな」
「やめ……て……」
 もうこれが精一杯のミア。
 だが、オルガはやめない。

 排尿を全部終わるまで、出すつもりらしい。

 ――ああっ……んっ……あっ

 強烈な恥辱と排泄の欲求が、オルガを興奮させていく……
 出し終わったオルガは、ゆっくりと妹の管を外す。

 もう、妹の膀胱は我慢できない!

「いやああああああああああっ!――――」
 顔を上に向けて喘ぐミア!

 マゾの表情で喘ぐ!
 同時に、尿から勢いよく放尿を始めた!

 その被虐の表情にうっとりするオルガ。
 そしてさらにワインをがぶ飲みしている。

「言いな、仲間になると」
「あっ……うっ……はあああっ〜」

 ミアは、もう放心状態だ。
 ついに、姉の尿を受け入れて、放尿するという禁断行為までしてしまったのだ。

「強情だねえ〜」
 そう言いながら、さらにワインを飲む。
 どうやら、アルコールは薄めで、かわりに利尿剤たっぷりのワインらしい。

 それを自ら飲んで……尿を与えているのだ。

「ううっ……」
 ブルブルと震えるオルガ。
 太ももの付け根が、ビクビクとする。次の尿意が来ている。
 また、妹に近づき始めた。

 そして、同じ事を繰り返し始めた。



 プシャアアああああっ!――――

 勢いに任せて出る尿!
 姉からのプレゼントのように注入されている。
 両腕を吊らされたまま、放尿を繰り返す妹。

 ――もう……だめ……よ。

 目が逝っている。激しい責めでないが、この行為で狂っている。
 悶えながら次の注入を始める姉オルガ。
 その尿を出す姿は、最高に被虐の表情を出している。

 姉の尿が妹に伝わっていく……

「うああああああああああああっ!――――」
 また出したミア。

 もう十回目だ。

 ――じゃあ……次は……

 今度はミアの後ろに回る。
 そして、アナルに……

 別の管を突っ込んだのだ!
 さっきの管とは違って、中間地点にポンプがついてある仕様。

「あっ!――――」

 肛門に違和感が走ったミア。
 次されることがわかってきた。

「今度はこっちから出してもらおうか」
「お……お姉さま……」

 姉の尿を使って、放尿を繰り返しさせられるだけでなく、今度はそれを肛門から……

 出せと……

「ああっ……たまらない……」
 オルガが苦悶の表情で尿を出す。
 ゆっくりと管を伝わっていく尿。

 それは妹の肛門の奥へと入っていく……

 ――あっ……あははっ……

 ついに目が完全に逝ったミア。
 この異常行動に精神が堕ちたのだ。

 さらに、オルガはポンプを使って注入を加速させる。
 おなかに入っていく尿……

 そして姉の膀胱からは吸い取られる感触がくる。
 これがオルガはたまらないようである。

 姉の尿が……妹のアナルを伝わって便意を募らせる。
 この変態行為についにミアは……

 ――ん……あああっ……

 ポンプを押すたびに、尿を搾り取られる感覚に陥るオルガ。
 この不思議な羞恥悦楽に酔っている女王。
 身体をくねらせ、まるで自分がマゾであるかのようにも見える。

 一方のミアももう限界だった。
 いつでも、噴出oKの肛門に成り下がっているのだ。
 イクと同時の絶頂は、排泄を懇願してしまう身体になっている。

 姉の排泄が終わった。
 管をゆっくりと抜く……

 恥辱の表情をしながら抜くオルガ。
 後は、妹の栓を抜けば、ミアの肛門は排泄崩壊する。

「出して……イクんだ……ミア」
 もうオルガは見抜いていた。
 もはや、排泄だけでもイク寸前になっているという現実を……

 繰り返された排泄行為だけで、ミアの身体は逝く体質になっているのだ。

 プッ……

 ピュッと管が抜かれた……
 もはや栓はない。

「あ……あああっ……」
 目がビクッと開いたミア。

「だめ……」

 駄目だ、もう出せば……

 イク……

「あひゃうんんんんんんんっ!――――」

 放出と同時に、絶頂が一気に襲う!
 これでもかとお尻の穴から、姉の尿液が飛び散っていく!

「ああああああああああああああっ!――――」
 ありったけの雄たけびで絶頂を認めてしまうマゾ王女!

 それを見て……

 イク……女王。

 女王は股間をまさぐりながら……勝利の絶頂に酔っている。
 そして、両腕を吊らされた妹の前に来る。

「仲間になると言うんだ、ミア」
 口付けして舌入れ。

 ミアの舌はただそれに従うだけ。

「お……お姉さま……」
 もう、観念しましたという表情のミア。

「言うんだ」
 お互い顔を近づけて、最後の説得。
 それに妹は答えた。

「は……はい」
 そう言って気を失ったミアだった。
 それを見て、ミアのおっぱいを揉みながら、身体中に愛撫を始めるオルガ。

 この後、オルガは疲れ果てるまで、ひたすらミアを愛撫する。
 ミアが、陥落した瞬間であった……

 後は、これを徹底させれば、ミアはドールになるはずだ。
 しかし……

 女王には危機が迫っていた。 



 数日後……

 ついに……
 ホーリーバンの親衛隊たちが、カルトバンの本拠地を取り囲んだ。
 その群集の中央にオパがいる。
 シャルテ王女の命を受けて……

 敵はまだ知らない。
 森の奥のこのアジトの周りは、親衛隊だらけだと。

「投石車の用意はできたか?」
「はい!」

「よし……攻撃開始!」
「はい!」

 オパの命を受けて、投石による攻撃が始まった!

 まずは城門のようなものから。
 城門といっても、みかけはただの壁だ。
 それが屋敷の周りをぐるっと囲っている。
 正面の城門のようなところから破壊を開始する。

 一投目の巨石が、城門めがけて突っ込んでいく!

 ボコッ!――

 バギャアアアアッ!――――

 凄まじい轟音とともに、城門が崩れた!

「何事だ!」

 休んでいたメーラルが飛び起きた!

「親衛隊の奇襲です!」
「なんだとっ?」

 本拠地を奇襲されるなど、考えられないメーラル!
 だが、二投目の巨石が、城門を完全に破壊した!

 城門付近では、カルトバンの女兵達が大騒ぎである!

「きゃあああああああっ!――――」
 城門の外へ逃げ出す者、屋敷に逃げる者!
 そこへ、あのミレイアがやってきた!

「うろたえるなあああああっ!――――」
 即座に軍馬に乗って、体制を整えようとするミレイア。

 しかし、三投目が……

 今度は屋敷中央に突っ込んでいく!

 バキャアアアッ!――――

 濁音のような轟音が、巨石が当たった瞬間にはじけ飛ぶ!
 窓ガラスが割れ、大黒柱の一本がもげていく……

 部屋は巨大な石でめちゃくちゃだ!

「わあああああああっ!――――」
 もはやカルトバンは混乱状態!

 さらに、投石が続く!

「こ……これは……」
 メーラルがこの状況におののいている!
「なぜ……」

 ――なぜ……ここが……

「なぜここがわかったあああああっ?」
 叫ぶメーラル!
 
 だが、叫んだどころで状況は変わらない!――


 一方のオパ。
 城門付近で逃げ回っているカルトバンの兵達を見ている。
 敵はこのアジトが発見されただけで大騒ぎだ。

 ――うまくいったようじゃな……
「みなの者!」
 オパが叫ぶ!

「忌まわしきカルトバンを今宵、滅する!」
「神はカルトバンに裁きを与えよと仰せである!」

 老婆が、杖を持ちながら両手を広げた。
 そして、親衛隊たちに呼応する。

「全軍、神の裁きを与えるため……カルトバンの本拠地に向かって……突撃!」

 一斉に女騎馬兵たちが、怒涛のごとく城門めがけて突っ込んでいく!
 驚き逃げ回っているカルトバンとホーリーバンの親衛隊との戦闘が始まった!



「なんだ?」
 地下室にいたオルガもこの異変に気付く。
 調教用の黒いレオタードを着ている女王オルガ。
 後ろには、M字開脚をされたまま、床の上にある突起物に股間を犯されているミアがいた。ずっぽりと深く挿入されている黒いバイブ。
 そこからは、ゆっくりと秘淫の液が流れている。

 ミアは悦楽のマゾの表情に変わっていた。
 だが、本気で仲間になるとは思っていない。
 それでも、イかせて、仲間になりますとは平気で何回も言うようになっていた。
 そこまで精神は追い詰められていたのだ。

 だが、そのミアに転機が訪れる。

「女王!」
 カルトバンの一人が、駆け寄ってきた。
「親衛隊の奇襲です!」
「奇襲?」

 どうしてここがわかったと言いたいオルガ。
 しかし、オルガは冷静だった。

 すぐに……
 表情が落ち着いた。

「そうか……わかった」
「では!」
 カルトバンが去っていく。また戦いに戻っていくらしい。

「お姉さま……」
 ミアがじっと姉を見る。目が変わっている。これは逝っている目ではない。

 復活の目だ!

「ふっ……こうも簡単に……終わりが来るとは……な」
 妹に対し、不敵に笑うオルガ。
 このままでは、間違いなくオルガとミアの立場は再逆転するだろう。

「ミア……お前は私と一緒に来るのだ」
「お姉さま……もう……やめてください。お姉さまの……野望は……」

「終わりです!」
 はっきりと言うミア。希望がミアを変えた!
 しかし、オルガはひるまない!

「こい!」
 即座に注射を打って、身体を拘束!
 オルガが強制的にミアを連行していこうとする……



 投石は続いていた。
 城門から奥の建物……屋敷そのものへ。
 巨石による攻撃が続く!

 バキイイイイッという音が、建物を壊していく!
 この調子なら屋敷自体はもう使えないだろう。
 もう屋敷とはいえない状況だ。

 そして、さらに……

 カルトバンのリーダーの心を打ち砕く事が始まった!
「ひっ! ひいいいいいいいいいいいいいいっ!――――」

 自分の隣で、女兵の一人が巨石の下敷きになったのだ!
 そこから大量の血が流れる!

 この血を見た瞬間に、メーラルのある糸が切れた!

 凄まじい奇声をあげながら、下の階へ逃げていく!
 目が普通ではない。
 もはや冷静を欠き、リーダーとしての器を捨てている!

「うぎゃああああああっ!――――」
 精神が飛んだメーラル。

 どんどん降りる!
 そのまま地下へ行くつもりだ!

「メーラルさま!」
 メーラルの気の狂った走る姿を見て、幹部の一人が声をあげるが、聞こえていない!
 とにかく自分さえよければいいという感じで逃げる!

 逃げるメーラル!

 逃げる先は、地下への通路だ!
 同じ地下でも、ミアとオルガがいるのとは別の場所!
 地下には、二つの部屋があるのだ。


 一方……

 一人奮戦するミレイア。
 もう10人ほどだろうか。負傷または殺害で相手を倒した。
 だが、ジリ貧だ。徐々に屋敷の中へ追い込まれる。
 さらに、向こうでは……親衛隊の乙女長が、ものすごい勢いでカルトバンの仲間を倒していく!

「マーラあああああっ!――――」
 ミレイアがマーラへ向かってまっしぐら!

 またもや一騎打ちが始まった!

「うおおおおおおおっ!――――」
 マーラとミレイアが軍馬に乗りながら激しくぶつかり合う!
 またもや一騎打ちだ!
 まるで宿命の二人のように戦いあう!

 お互い剣を交えあいながら、一歩も引かない!

「屋敷の中へ撤退だ!」
 幹部の一人が大きな声をあげる。この一言で一斉にカルトバンたちは屋敷内部に入っていく!
 だが、上に昇る階段は、すべてめちゃくちゃに壊れている。
 逃げ道は、地下室方面だけ。

 みなは、地下室方面の階段を我先に駆け下りていく!

 それを追ってゆく親衛隊!

 その混乱で一騎打ちは終了。
 ミレイアは味方の後を追って、地下方面に向かう!

 そして、その地下に一番最初についていたのは、メーラルだった。
 そのメーラルが……

 もう一つの地下室についた瞬間……
 いきなり部屋のドアを内部から……

 鍵をかけた!――――

 これでは、後のカルトバンは逃げ込む事はできない!
 こうなると、もう一つの地下室であるミアとオルガの部屋に逃げるしかないのだ!

「駄目だ! ドアが開かないぞ!」
「ぐわああああっ!――――」

 追ってきた親衛隊に次々と切りつけられ、無残にも倒されていくカルトバンたち!
 メーラルがいる地下室の部屋が閉められている以上、オルガとミアの部屋に行くしかない!

 メーラルが閉めた部屋の前で、次々とカルトバンの兵士が倒れていく!
「ぐわああああっ!――――」

 悲鳴は扉の向こうのメーラルにも聞こえているはずだ。
 だが、それを無視するカルトバンの最高幹部!

 それどころか、メーラルは、新たな逃げ道を作ろうとしていた。
 部屋の端にある車のハンドルのようなものがある。
 これは、右にひねると、隠し出口が床から出現するのだ。

 ところが……ハンドルが動かない!

「くそっ! なぜだああああっ!――」
 焦るメーラル!
 ハンドルが固定され、まったく動かないのだ。
 ありったけの力を込めても動かない!
 その間にも、部屋のドアの向こうでは、カルトバンたちの悲鳴が続いている。

 だが、全く心は痛まないようだ。
 もはや、自分さえ逃げればよいという心境なのだろう。

 すると、ハンドルには鍵がついている事に気付いた。
 慌てて辺りを見回す。
 額縁の絵が飾ってある。

 そこの裏に鍵があることに気付いた!
 
 ハンドルの中央の鍵穴に鍵を突き刺す!
 カチッという音がした。
 これで動くはずだ。

 今度はグルグルと軽快に動き出すハンドル!
 すると、床のある部分が、動き出し、穴が出現したのだ!

 隠し階段である!
 一人が潜り込んでやっと入るぐらいの大きさだ。

 やったと思ったメーラル。
 しかし……

 バキャアアアッ!――――

 激しい音と共に、ドアが蹴り飛ばされた!
 その向こうに……

 親衛隊がいる。
 そして、乙女長マーラがゆっくりとあらわれたのだ。

「親衛隊、乙女長、マーラだ」
 ガタガタと震えるメーラル。

 ホーリーバンで屈指の強さを誇る乙女長のマーラ。
 とても、メーラルの勝てる相手ではない。

「メーラル殿……王家の家臣の身でありながら、カルトバンに身を染める不届き者。お覚悟はよいか?」
 マーラはメーラルを切る気だ。
 逃げたいメーラル。しかし、脱出口に潜って行くには、ここからでは遠すぎる!
 目の前の親衛隊を振り切って脱出は無理だ。

「うりゃああああああっ!――――」

 その時、ミレイアが特攻を仕掛けてきた!
 マーラたちに背後から単独で突っ込んできたのだ!

 2〜3人に切りつける!
 マーラたちの体勢が崩れた!
 マーラとミレイアが再び一騎打ち!
 今度はお互い馬なしで一騎打ちだ!

 お互い、剣を重ねあっている!

 これぞ、好機と見たメーラル!
 隠し階段に入ろうとする!

 が……

「ぐはああっ!――――」

 強烈なマーラのタックルで、ミレイアの身体が吹っ飛ばされた!
 そして皮肉にも、隠し階段をミレイアの身体で塞いでしまう!
 隠し階段は、立ってそのまま階段を下りれるのではない。
 穴の大きさは、人間一人分であり、そこから梯子が架けてあるのだ。
 そして下っていく階段があり、その先は洞窟のように広くなっている。

 それを吹っ飛ばされた身体で塞いでしまった!

「ばかものおおおおおおっ! どけええええええええっ!――」
 自分だけ逃げようとしていたメーラル。その逃げ道を一時的とはいえ、ミレイアに覆われてしまった。烈火のごとく怒り狂うカルトバンの最高幹部!

 その表情を見て、何かが吹っ切れたミレイア。
 これが、自分達を統率する女の本当の姿と知ったのだ。

「ぐはあああっ!――――」

 その時、親衛隊の一人に、背後から切りつけられるカルトバン最高幹部!
 背中に切り傷ができた!

 死を悟ったメーラル!
 ついに、精神が錯乱した!

 何を思ったか、ミレイアの剣を取り上げ……

「うひゃああああああああっ!――――」

 愚かにも乙女長に向かって突進を始めたのだ!――



 あっという間だった……

 あっという間に……

 メーラルは……
 
 息絶えた……

 一刀両断。
 強烈なマーラの縦切りで、メーラルの身体は割れたのだ……


 カルトバンの最高幹部のあっけない最後。
 ミレイアの目の前で奪われたメーラルの命。

 カキーンッ……

 奪われた剣が、また目の前に落ちた。

 自分ひとりだけ逃げようとした女の最後だった。

 その様子を見たミレイア。
 ゆっくりと己の剣を取り、立ち上がる。
 一人の女戦士として……

 だが、目の前は敵だらけ。
「ミレイア、覚悟!」
 メーラルを切った剣を構えるマーラ。
 その後ろには親衛隊の屈強の女戦士がゴロゴロいる。

 お互い女戦士としての実力は高い。

 すると、ミレイアが気迫のこもった声でこう言った。
「私は……死ぬわけにはいかない!」

「カルトバンの……意志を告ぐのは……この私だ!」
 剣を一瞬、左右に振り、目の前の敵たちを威圧する!

 堂々としたアマゾネスの女の身体。
 鎧の女戦士が脚をドンと突き出す。
 チラッと見えるふとももが非常にまぶしい。

 その威圧感に、親衛隊が一瞬たじろいだ。

 しかし、それを好機と見たミレイア!
 とっさに……

「ぐはあっ!――――」

 爆発玉だ!
 爆発音とともに、煙が充満!

 ミレイアの威圧感に見とれていた親衛隊たちの目がやられる!

「しまったあああああっ!――――」

 おそらく数十秒は目が利かない。
 それは穴から隠し階段に行くミレイアにとって、十分な時間である。

 ミレイアは、脱出した。

 身勝手な指導者の最後を見ながら…… 

 怒りと悔しさを噛み締めながら……



「わかったか?」
「はい、この地下の奥だと思われます」

 オパが屋敷のもう一つの地下室の方へ向かう。
 大勢は決した。カルトバンはほとんどが拘束、殺されている。
 後は、女王と王女と一緒にいるカルトバンの連中だけだ。

 オパが、二人がいる地下室へ向かう。
 部屋の向こうで言い争う声が聞こえる。

 オルガとミアはここにいた。
 移動しようと思ったが、そういう状況ではなかったからだ。


「部屋を開けろとはどういうことだ!」
 カルトバンの残党の一人が、オルガに向かって叫んでいる。

「降伏しろと言っている」
 もはや大勢は決した。命は助けるから降伏しろと言うオルガ。
 ドアは、板を打ちつけて、開かないようにしてある。
 しかし、時間の問題だ。巨大ハンマーでやれば一撃だろう。

「本拠地を攻められれば、組織は終わりだ」
 冷静なオルガ。だが、カルトバンの残党は違う!

「裏切ったな!」
 もはや、オルガは裏切ったと判断!
「粛清する!」
 20人ほどいるカルトバンの一人が、オルガに切りかかった!
 だが、それをかわし、蹴りを入れ込む!

「ぐはあああっ!――」
 あっという間に吹っ飛ぶカルトバンの女!
 美しく蹴り上げたその脚は、畏怖堂々としている。
 その脚が、他の連中の動きを妨げた。

「馬鹿な連中だ。先が読めないとはこのことだ」
 短絡的なカルトバンの狂信者にあきれかえっている女王。

 バキャアアアッ!――――

 ついに、ドアがぶち破られる!

 親衛隊があらわれたのだ!

「降伏しろ! 命だけは助ける!」
 もう一度言うオルガ。
 だが、狂信者たちにはもう聞こえない!

「馬鹿をいうなああああああっ!――――」

 愚かにも、一斉に親衛隊に切りかかるカルトバンたち!
 だが、乙女長を中心とした者たちは異様に強い!


 戦いは5分で決着がついた。
 カルトバンは……ほとんどが戦死した……



「ミア王女!」
 親衛隊たちが駆け寄る!
 そして……

「オルガさま、あなた様を保護し、連行するように言われております」
「連行だと?」

 女王を連行するという言い方は本来おかしい。
「この私は、女王だ」
「いいや! 違いますぞ!」

 オパだ。

 オパがあらわれた。
 オパに目を合わせるオルガ。

 粛清しようとした老婆がここにいる。

「違うだと?」
 オパを睨むオルガ。
「オルガさま、あなたはもう女王ではない。それが家臣一同、親衛隊一同の意志じゃ」
「勝手なことを……平気で言うものだな」
 不敵に笑う女王。

「オパ、あなたは……我が民族の元凶の一つである。それも大元の元凶だ!」
 オパに対して元凶と言い放ったオルガ。
 まずはこのオパを排除しなければ、ホーリーバンの民はよくならないというのがオルガの考え。

「オルガさま、何も言わずに退位してくだされ、そしてゆっくりと余生を過ごされよ」
 まだ即位して半年も経たない、20代の女王に対し……
 退位して、隠居しろというオパ。
「そうやって……価値観の違うものを排除してきたのだな」

「それが、王家のしきたりであり、定めである!」
 はっきりと言うオパ。
 しかし、そのオパや親衛隊のマーラたちに対し、

「私は、この民族を変えなければならない」
 はっきりと言うオルガ。
 
「今のままでは……民は衰退する」
「私は民を変え、世を変える」

 まるで演説のように言うオルガ。
 この威厳はまさに女王である。

 だが、女王の考えは、民には受け入れられないだろう。
 まして、カルトバンと通じた女王など、もってのほかだ。

「女王として命令する、オパを粛清せよ!」
 風格のある命令。しかし、親衛隊は従わない。
 もはや、次期女王は決まっているのだ。

「オルガさま、この婆を殺したいか?」
「あなたを粛清し、意に逆らう家臣を粛清し、民を粛清する」
「それでは、最後には誰もいなくなりますぞ、それこそ滅びる元じゃ」
 オパの切り替えしの言葉が部屋に響く。

 だが、オルガは変わらない。

「みなが動かぬなら……この私、自らが動くまで!」
「ならば……お相手つかまつる」

 オパが杖を構えた。
 オルガと一騎打ちで勝負するつもりだ。



「親衛隊の人達、今日はいませんね〜」
 いつも待機所と呼ばれるところには、親衛隊が必ずいる。
 そこの清掃もやっているアイリ。

「そうね」
 レミリアは、その意味を知っているらしいが。
「オルガ女王とミア王女はご無事でしょうか?」
「大丈夫よ、カルトバンに負けるはずがないわ」
 互いにゆっくりと愛撫しながら話をする二人。

「戻ってきたら……また調教が楽しみ」
 のん気なものだ。アイリは。

 一方の家臣の身分であるレミリアは、この先を考えている。
「あっ……」 
 アイリが家臣の身分の女の股間に潜り込んだ。

 再び、アイリの責めが始まった。



 悠然と構えているオルガ。
 格闘技において、女王オルガはアマゾネス級である。
 アマゾネス級とは、最高クラスの実力者という称号のことだ。

 おそらく歴代の女王のなかでも戦いはトップクラスであろう。
 身分だけでなく、その力も女王であるオルガ。

「どうした? なぜ責めぬ?」
 オパを挑発するオルガ。

「来ないのなら、こちらから……ゆくぞ」
 ゆっくりと間合いを詰める女王。
 オパはじっと杖を構えたままだ。

 二人の距離が縮まる……

「うりゃあああああっ!――」

 強烈な右の回転脚が、オパの顔面へ向かう!
 それをオパは、軽く交わした……

 が!

 その瞬間!

 オパの首の下の衣服が破ける!

 ビリイイイイイイイッ!――――

 凄まじい回転脚の風圧で、衣服が破けたのだ!

 それを見て、親衛隊たちがざわつく……
 まさしく女王の脚だ。

 動きも完璧だった。
 美しい足が、太ももが……凶器のように動き回る。
 オルガは格闘技でも脚技が得意らしい。

 オルガは調教用の黒いレオタード。
 股間がパックリと老婆に見せつけられる。 

 この攻撃を見てさらに目が険しくなるオパ。
 危険だ……なぜなら、これほど女王にふさわしい女はいないからだ。

 だからこそ、カルトバンに近い思想は危険なのだ。
 だからこそ……退位してもらわなければいけない。

「オパ……」
 心配そうにミアが見ている。股間にモノが入ったまま……

 オルガは間違いなくオパを殺すつもりだ。

「杖技か……受け流しでは私は倒せんぞ」
「…………」

 オパは杖を構えたまま何も言わない。
 またゆっくりとオルガが寄る。

 それにあわせてオパが下がる。

「オルガさま、もう決まったことなのです。無駄な抵抗はおやめください!」
 マーラが叫んだ。このままではオパは殺される。
 だが、オパを殺してもオルガが女王のままになることはありえない。

「マーラ、親衛隊の分際で何を言う……」
 ギロッと睨んでマーラを見る。

 その威圧感に縮みこむマーラ。
 あのミレイアともやりあえるほどの親衛隊の乙女長がひるんでいる。
 それほどの威圧感が目から、身体から湧き出ているのだ。

 まさしく、アマゾネス、ホーリーバン民族の女王である。

 間合いを詰めようとするオルガ。
 ゆっくりと引くオパ。

 女王の目が一瞬険しくなる。
 次の瞬間!

 ――なっ?

 一瞬にして、オルガがオパの目の前に出現した!
 あの強烈な踏み込みだ!

 そして、ボクシングのような右のフック攻撃!
 それをかろうじて捌くオパ!

 次に、オルガの脚技!
 天高く片脚を上げ、一気に振り下ろす!

 オパの頭を狙い打ち!

 が、寸前でオパは避ける!
 しかし……

 老婆の額に……

 血がにじみ出た。
 かわしたはずの脚技。
 が、風圧で額が切れたのだ。

 それを見て親衛隊はさらにざわつく。

 ――なんて踏み込みの……速さ……
 マーラは、ただただ女王の動きに感心している。

 王家の人間はみなが戦いに得意なわけではない。
 マーラは兵士としてもトップクラス。
 その戦いのプロのマーラでさえも、やりあえば勝てないかもしれないのだ。

「オパ、最後だ」
 もはやオパの杖技を見切ったと判断。

 次で確実に殺しにくる!

「オルガさま、あなたは私が見てきた女王の中で……」
「もっともふさわしいお方でした」

「なに?」
 オパの意外な言葉にちょっと驚くオルガ。
 オパが仕えていた女王は先代を含め3代。
 そのどの歴代の女王よりも器は上だと言ったオパ。

 つまり……オルガの母よりも……ということだ。

「だからこそ、だからこそ……退位していただく!」
 オパが上に向けていた杖の先を、オルガに向けた。

 これは、杖技での相手を見切ったという合図だ。
 もっとも、ハッタリでも使う合図だが。

「ほう、見切ったというのか……」
 オルガが不敵に笑う。

 そして、落ち着いた声で続けた。
「面白い……そなたを倒し、我が意に従わぬ者をすべて倒し……」
「世を変えて見せる……」
 言葉に間を空けたオルガ。

 そして次の言葉を続けた。

「このオルガ……一人でな」

 ――お姉さま……
 オルガのあまりの堂々とした言葉に、女王としての器を見たミア。
 親衛隊たちまでも、この言葉に聞き入っている。
 これぞ女王の言葉だ。

 だからこそ、だからこそ……

 危険なのだ。
 オパが危機感を持つのはよくわかる。

 オルガが間合いを詰める。
 そして今度は、オパは引かない。
 間合いがゆっくりと詰められていく。

 ――オパ……

 ミアは心配でならない。間違いなく、次の攻撃でオルガはオパを殺すつもりだ。

 詰まる間合い……

 脚技からか? それとも拳か?

「うおおおおおおおおっ!――――」
 脚技だ!

 今度は左回転脚!
 すさまじい勢いで、オパに向かって蹴りが入る!
 その蹴りを杖で払う!

 そして、杖を……

 オルガの顔に向かってそのまま投げつけた!
 だが、オルガは片足をあげたまま、対方向の手で杖を掴む!

 その時、オパがオルガの懐に入った!
 杖を掴む一瞬の隙を利用して……

 次の瞬間……

 オパの4本の指が、胸の下辺りを突いていた……
 美乳の下の部分だ。

 そこは、あるツボなのだ。
 一瞬、オルガの動きが止まる!
 
 そのままオパが、反対方向の美乳の下を突く!

「あっ……あああっ……」
 身体が止まったオルガ。

 今度はオパが、頭を使って胸にぶつかった!
 まるで頭突きをするように……

 硬直したまま吹っ飛ばされる女王!――


 勝負は決した。
 オパの流し技からの攻撃に、見事に女王は倒されたのだった。



「オルガさまを、拘束せよ!」
「はっ!」
 即座にマーラたちが動かないオルガを拘束。
 そして拘束のための注射を打つ。

 これでオルガは囚われの身だ。

「な、なぜ……」
 なぜ負けたのかわからないオルガ。
 見切ったはずのオパの行動……

「オルガさま。あなたさまには……足りないものがあるのじゃ」

 ――足りないもの?
 意味がわからない。

「それは……経験じゃ」

 ――経験……だと?

 修羅場をくぐったオパの言葉だった。
 過去、政治の権力争いなどをやってきたオパ。

 オルガは、オパの経験に負けたのだ。
 だが、政治と格闘技は違うはずだ。

 それでは納得できないオルガ!

「オルガさまを連行せよ」
 親衛隊がオルガを連行していく。

「オパ! わたしは……おぱあああああっ!――――」

 諦めないぞと言いたいオルガ!
 だが、意識がかすんでいく……

「オパあああああああああっ!」
 最後の声を出しながら叫ぶ女王オルガ!

 ミアがよろけながらオパに駆け寄る……

「王女……」
 王女を見るオパ。
 
「辛い経験をされましたな」
 何をされたか、もう悟っているようだ。

「ええ……」
 目をつぶるミア。
 またもや立場は逆転した。
 いや、元に戻ったのだ。

「オルガさまは、女王の器にふさわしいお方。じゃが、あの考えは……ふさわしくない」
「オパ、お姉さまを……」
 何か言いたそうなミア。

 ん? と思うオパ。
 すると、ミアがこう言った。

「亡き者にすべきかと……」
「なんと言われる」
 驚くオパ。

「お姉さまは危険です! ですので……」
 瞬間……

 パチーンッ!

 平手打ちをくらったミア!

「馬鹿者! 次期女王がしきたりを破ってなんとする!」
 ミアをいさめるオパ。

 殺す事は簡単かもしれない。
 しかし、一回でもルールを破れば、そこからほころびが出てくるのだ。
 そのほころびから価値観が変わり、狂っていくのだ。

 それを重々知っているオパ。

「王女よ、次の民族全体総会までに、オルガを自らの意志で退位させねばなりませぬ」
「はい……」
 
「それまでに……調教を施し、意志を変えさせるのです」
「はい……」

 ミアは頬をぶたれて、気付いたようだ。
 しきたりを守ってきた歴代の王家の人々の心を……

「しばらくお休みくだされ。この後の処理は、オパが引き受けよう」

 部屋の周りには、カルトバンの死体がいっぱいだ。
 親衛隊も十人以上が戦死した。
 これから戦後処理が行われる。

 オパは今後の事を考え始めた。



 眠らされ、御馬車の中に収納されたオルガ。
 そのまま、宮殿へ向かうことになった。

「死体もないか?」
「はい、見当たりませぬ」

 探しているのはミレイア、またはその死体だ。
 だが、ないのは当たり前。
 ミレイアは、隠し階段から、逃走したのだから。

 隠し階段から屋敷の裏側に出て、脱出したらしい。
 後を追わせているが、まず拘束は不可能だろう。

「探せ、なんとしても……あの者は殺さねばならぬ」
「はっ!」
 オパの命令を受けるマーラ。

「あの者は……ただの狂信者ではない。人を統べる力がある」
 ミレイアの器は危険と見ているオパ。

 似ているのだ。オルガの眼光と……

 他のカルトバンは、ほとんどがただの狂信者だったが、ミレイアは違うと見ている。
 人を統べる力は、思想によっては、恐ろしい力を持つ。

 戦後処理が進んでいく様子を見ながら、一人オパは……思うのであった……



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