最初に言っておきますが、日本のファンアートだけが無断転載されているわけではありません。
アメコミファンサイトでも無断転載はじゃんじゃんあります。
私の見たことがあるヴァンピレラサイトでは、「トレカ全集」という凄いものがありました。
ええ、数百枚はあるトレーディングカードのイラストが全部(多分)載ってました。
向こうでは、メーカーから文句がこないんでしょうね・・・。
(来るときもあるんでしょうが・・・)
ですから、メーカーイラストの無断転載に関しては、カプコンUSAあたりの判断に任せておきましょう。
それから、海外でも一般に大手のサイトでは「ファンアートの無断転載をしない」ようです。これは日本製作品のファンサイトに限った話じゃありません。
メーカーのイラストは訴えられたら致命的ですが、滅多に訴えられません。
個人のファンアートは訴えられることはなくても、抗議文は結構来そうです。
また、メーカーと「仲良く」できる可能性は低い(というか、普通ない)けれども、ファンアート作者とは仲良く出来る可能性があるという判断ではないでしょうか。
あと、当然自分で絵を描く人はやりませんね。
自分の絵の下に「無断転載禁止」と書いておいて自分がやるわけにはいかないでしょう。
海外では無断転載が盛んだから、アメリカ人のファンアーティストは無断転載に関して「ネットにのせたらされて当然だな」と覚悟完了済み、って訳ではないようです。
むしろ日本よりしつこく「それはやめて」と書いてあります。
日本じゃいきなりトップページから、
「私はこのイラストを描くのに多くの時間を費やしました。もし、無断使用を見つけたらご連絡下さい。もし、あなたが無断使用した場合は私のポケモンのエサにします」なんて大きく書きませんよね、普通。(原文はもっと長かった・・)
向こうでは絵のそばにそれぞれの言葉で「無断使用禁止」と書いてあるのことが多いようです。また「このサイトについて」に相当するコンテンツで画像の使用についてのガイドラインを示していたりします。
某大手投稿サイトも「あなたのメアドかURLを必ず入れて下さい。あなたの絵をHDに保存した人がのちのちあなたに連絡をとれるように」と投稿規定に書いています。
向こうでは「その可能性は大きいもの」と思って警戒するのが普通なんでしょう。
うちがリンクしているペンダコクラブという海外ファンアートサイトではFAQのコーナーに絵を使用したい場合のガイドラインと共に、「無断転載を見つけたら、URLをお知らせ下さい」とはっきり書いてあります。むこうじゃそういうのは「アートシーフ」(絵泥棒)というみたいですね。ついRPGの「シーフ」を思い浮かべちゃいます。で、そのサイトの掲示板に無断転載サイトの告発が実際ありました。行ってみたら、閉鎖された後でしたが。やはり告発されたせいでしょうか? そのケースはなんと、「署名を書き換えて自分の絵だと主張した」というものでした。で、掲示板に告発した人は「彼のサイトには多くの上手い盗まれた絵と彼自身の下手な絵がある。質の差は歴然だ」というんです。そりゃバレるって・・・。
またそこの掲示板で、その後「うちのイラストが無断転載された」というマネージヤー(ファンアーティスト)のカキコが。見てみると、How
to draw Anime for dummiesという本の表紙でした(向こうではマニアを中心に日本アニメ調の絵柄がブームのようで結構こういう「日本まんがの書き方」みたいな本が出てるみたいです)。つーか、どの表紙もなにげにアメコミ入ってるぞ。で、「弁護士呼びましょう。著作権侵害ですよ!」とか常連がレス。
確かに犯罪だ。日本じゃさすがに書店売りする本では、こういうことはないでしょう。それと気になったのがこのシリーズにカプコンの公式イラストが使われているという点。(モリガーン)これ・・カプコンの現地法人の許可をとったんでしょうか? ちなみに日本にも古い(ジム・リー以前の)絵の「アメコミの描き方」という本はあります。その人は弁護士に相談してなんとか料金をとろうとしていたようですけど、結果が気になりますね。だってオリジナルっていっても通じそうですけど春麗の絵なんですもんね、これ。
知人が「海外で好きな作家さんの無断転載を見つけてしまった。けど、いきなり無断転載されてました、と作者本人にいうのも何かイタイ人みたいだし、ちょっと言えない」と言ってましたが、これが海外なら「告発は正義」なんでしょうね、たぶん。きっと悪が多いから。
もしかしたら日本でもそういうページはあるのかもしれませんが、「フリーエロ画像集」なんてサイトも見たことがあります。大手有料ポルノサイト等から無料(free)画像を集めてきたというんですが・・・・それは「見る」のがフリーなのであって、「使用」がフリーって訳じゃないのでは?
私はナイスなページがあったらリンクさせて貰おうと、海外をネットサーフしているんですが、日本のファンアートの無断転載があるのは、ざっと見、ファンサイトの4分の1位でしょうか。海外にも渋い攻略サイトとかはありますから、画像がほとんどないようなページもあります。無断転載はやっぱり向こうでも「誇り高い行為」とは思われていない節があります。ですが、四分の一がやってたら感覚的には「みんなやってること」となりますから、抗議されても「え、何で? みんなと同じ事をしてただけなのに」とおもうでしょうね。
ただ、「英語を話す人間のサイトからは礼儀正しく許可を得て転載、日本語を話す人間のサイトからは無断転載」という、日本人の目からみて、「なめとんのか、コラ!」といいたくなるような素晴らしい(実際海外のアーティストと海外の客からはそうとしか見えない)サイトもありましたね。英語でいいから日本人にもメール出せよ。
もっとも日本が「アレンジャーの地位が高い国」であるというのは事実であれど、一長一短でしょうね。
世界最大の同人誌即売会を持つ国が日本です。
その大半がいわゆるパロディ同人誌であることは皆さんご存じの通りです。
コミケの存在を背景にしているからこそ、「レベルの高い自作ファンアート満載」の日本のファンサイトがあるのです。
それだからこそ、メーカーの公式イラストを使わないでファンページが運営できるのです。(法の運用が厳しいだけじゃここまでメーカーの画像の転載がない世界があり得たかどうか・・・)
そして「画力の平均値が高い」ことは必然的に海外で多くの日本のファンアートの無断転載を生みました。
ですから、「日本人はメーカーイラストの無断転載もしないし、ファンアートの無断転載もしない」というのは単に礼儀や法の問題じゃなくて、「日本人の方が一般的にファンアートが上手い。あるいは上手い人の数が多い」ということがあるわけですね。
そして、その画力(ファンアート限定。風景の油絵とかはわかりませんから)の背景にあるのは「著作権侵害同人誌を有料で販売してきた長い歴史(十数年)」なのです。
本来同人誌の値段っていうのはメディアコストなんですけどね。でもそれでかなりの金を稼いでいる人がいるのは皆さんご存じの通りです。金が稼げるからこそかなりの画力の人が同人作家として活動する・・・・。で・・・海外のファンから見て目立つのはそういう大手エロ同人誌作家のやばい画像満載のサイトだったり・・・・。ですから、海外の人は海外の人で「日本人は変態だ」と結構本気で思ってそうです。
実の所、海外のファンフィクションがすらすら読める日本人女性が、
「日本ほどやおい一辺倒ではなくて好感が持てる」とか言ってたぐらいですから。
yaoiとhentai(日本語では成人向)の語源が共に日本語であるという時点で、ファンによる著作権侵害の先進国であるというのは動かせない事実でしょう。
(海外にもディズニーアニメのエロイラストとかありましたけど・・・)
成熟したパロディ同人誌文化とは「著作権侵害作品の堆積とその結果としての洗練」なのです。
海外で見つけた無断転載サイトの中には、「日本の無料エロ同人誌ダウンロードサイトから無断転載したと思われる英語の有料エロ同人誌ダウンロードサイト」というグレートなサイトがありました。
ミもフタもないトップの説明は「海外から見た日本」を知る上で必読かもしれません。
「もしあなたがお気に入りのゲームのアダルトなバージョンのリリースを夢想しているなら、それはたぶん無理だろう。それでもなかつ我々は好きなゲームスターのアダルトな姿が見たいと強く望む。日本ではこの切なる願いは同人誌の形で満たされる。同人誌はファンアートを意味する日本語の単語であるが、その大半は漫画の形をしている。日本の会社は同人誌の出版に目をつぶっている。そしてファンアートは大衆によって作られるので、ビデオゲーム同人誌は淫らで過激になる傾向がある。我々にとって非常に幸運である!不都合にも日本でしか同人誌は手に入らないが、我々は毎日24時間ネットで探して、それらをあなたに提供する」(訳は私なのでだいたいです)
有料ですから、中は見てませんが、きっと台詞とか日本語のままなんだろうな・・・。エロ同人誌なら関係ないか・・・・。
これは日本人の方が恥じるべきかもしれません。
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