無断転載について

最終修正日 2002.3.6.

賞賛されたいという動機

結局の所海外の無断転載サイトっていうのは、隙間産業のようなものなんです。有料エロサイトならともかく無料の場合は特に。
「本場日本のきれいなファンアートが見たい!」
 こう思う海外の人は多くても、日本語が読めなくては検索も満足にできません。
 検索しまくって、それらしいHPを見つけたところで、絵にたどり着けるとは限りません。
 あと、リンクをたどろうにも、バナーがオリキャラのページにゲームのキャラがいるかどうかなんて、リンクの紹介文を読めない人間にはわかりっこなく、迷いに迷う訳です。
 例えるなら・・そう、オートマッピング機能が壊れ、画面も真っ暗という状態で、広さの見当もつかないRPGのダンジョンを延々とアイテムを探して歩くという様なものです。
 また、エロイラストを見たくない人にとっては、罠満載ダンジョン以外のなにものでもなく、潜るたびに構造が変わっていたり。

 それが「見えない」ってことです。
 ですから日本人おたくが「絵の描けない無礼者」と冷ややかな目を向ける海外コレクターは海外の多くのファンにとって、「深く暗いダンジョンに潜って自分達に宝物を分け与えてくれる親切な人」なんです。
 本人もみんなに喜ばれれば嬉しいじゃありませんか。
 という訳で需要があるのに正常な供給がなされないということを背景に、「仲介者」としてのコレクターが誕生するのです。

 日本のファンアーティストの多くは当然不快になりますが、あなたが韓国語のサイトから50枚以上の綾波レイの画像を集めてくる苦労はどれほどのものでしょうか。日本のパソコンで英語はデフォルトで正常に表示されますが、日本以外で販売されるパソコンのほぼ全てがなんらかの処置をしないと日本語を表示する事すら出来ないのです。

有名になりたいという動機

日本人は「身の丈にあった幸福」とかいう考え方をして「絵はあくまで趣味」とかいいますが、世界中でこの考え方が理解されるわけではありません。かつて台湾から漫画家になるために留学してきた後輩に当たる女生徒がコミケを見て「この人達が全員漫画家になるのか」と聞きました。そんなことはないと答えましたが、彼女が漫画家をめざして日本にまで来るという事情を差し引き、外国ではアニメ絵を描くのは「一般的趣味」ではないでしょう。日本でも二十年以上前は、絵を描く漫画ファンなど漫画ファンなどのうちでも一部で多くの漫画ファンの同人誌は「読んで感想を書く」に近い内容のものでした。(現在でもネット上ではそういうレビューサイトが多いですね。)
なので日本人が無断転載された場合多くの日本人は「相手が礼儀正しくなかった」ことを怒っているわけですが、外国人は「クレジットを入れなかった」ことを不満に思っていると解釈するようです。英語のサイトで日本人のファンアートを作者不明でかざり、「私はあなたの名前をこの絵にクレジットしたいと思っていますので、作者の方はメール下さい」と堂々と言っていたりします。外国人の中には日本人がネットで絵を発表する行為を有名になりたい、 少しでも多くの人に自分の絵を見せたいからだと、考えている節があります。なので「その絵をより有名にする行為」にあまり罪悪感を抱かないのでしょう。

コミケに出展して大手の行列を横目に見ながら自作イラスト同人誌の日の売り部数が数十冊だったりすると自分の限界をいやでも思い知るので、同人経験者などは「無理や野心のないサイト作り」を心がける人も多いようです。が、日本人でもコミケを知らない若いゲーマーが公式画像使いまくり、攻略本を丸写ししまくりでとりあえず情報量の多い「大きな」攻略サイトを作るように、野心を奨励する風潮のあるアメリカや韓国では若いアニメファンが「今すぐにハイレベルで大量のコンテンツのある大きな、立派なサイトを作りたい。そして有名になりたい」と思い、それを実行することも少なくありません。そのようにして公式画像や日本のファンアートが使われるのです。

他の鳥の羽で着飾るカラスのようなものですね。


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