美樹が接待を命じられた部屋の隣には小部屋があり、その部屋の中には二人の中年男が
イスに座って小さなモニター画面を眺めていた。
「けっ、よくやるよ。いつまで嬲り者にしてりゃ気が済むんだ?」
画面には隣の部屋が写っており、全裸の美樹がベッドに大の字に縛られて、代議士に陵辱され続けていた。手首と足首にまかれたロープが、ベッドの四隅に向けて両手と両脚をぴんとひっぱっている。そして、ピンク色のワレメが裂けそうなほど太いバイブレータで貫かれた上に、アナルにも深く黒いバイブが突き刺さっていた。代議士は、美樹の巨乳を押しつぶすように、太った尻を美樹の胸の上にのせてまたがり、腰を振ってイチモツを激しくフェラチオさせていた。
「もう2時間も休み無しに、ヤリっぱなしだぜ。あの代議士先生のほうもぶっ倒れるんじゃないか?」
大量の催淫剤をうたれた上に、身動きできないからだを弄られ、犯されながら、美樹は悲鳴のような喘ぎ声とともに何十回となく達していた。白濁した意識には、オスにひたすら奉仕し、自らも被虐の喜びを感じるメス奴隷の欲望しか残っていない。代議士のほうも恐らくは催淫剤をうっており、異常な性欲の虜になっているのであろう、ときおり、獣のような叫び声をあげながら、美樹の白い肢体に飽きることなくむしゃぶりついている。
隣の男たちも最初は興奮して見ていたが、さすがに辟易として、今は音を消してこの異常な陵辱の光景を眺めていた。美樹が逆らった場合に備えてコントローラーも渡されていたが、これではまったく必要がなかった。
「あーあ、もったいねぇ。あの女、きっともうダメだぜ。あれで気が狂わねぇほうがおかしい。いい女なのによー。」
「へっ、おれはかまわないぜ。気が狂っていても、いい体だ。あー、やりてぇなー。」
その時、男たちの背後のドアが音もなく開いた。風のように部屋に入りこんだ侵入者が、あっという間に、短い棍棒で二人の監視員の後頭部を強打した。男たちは声を上げる間もなく床に倒れた。
隣の部屋では、男が美樹の口の中に、大量な精液を放出していた。ここ2時間ですでに何度も射精しているのに、そのイチモツはすぐに硬度を取り戻して勃起する。ノドの奥深くに精液を注がれて苦しげにむせる美樹を見て、代議士はにやりと顔をゆがめた。
「ふっ、ふっ・・・いいカラダだよ、お前は。何度犯しても飽きんぞ。だが、そろそろ趣向を変えて、スカトロで遊ぼうじゃないか。開脚させたままダルマのように緊縛し、噴水のようにクソを噴き出させてやる。」
「ごふっ・・・」むせたとたんに、美樹の口から大量の濁った精液が流れ出た。美樹は目をとじて力なく横たわっている。
男が浣腸の道具を取り出そうと、自分のカバンをあけた。
「ぎゃぁっ!」という叫び声をあげて、突然、男が体を硬直させ、どしっという音とともに床に倒れ伏した。その背後には、いつの間に忍び入ったのか、さきほどの侵入者がスタンガンを手に立っていた。美樹がこの建物に侵入したときに、声をかけてきた男だ。白髪の中年男だが、からだは引き締まっている。油断のない冷たい目が、全裸で縛られた美樹の肢体を見つめていた。
「おい、しっかりするんだ!」
侵入者は、横たわった美樹に声をかけながら、手早く手足の縄をほどいていく。汗と精液にまみれた美樹の体を、ベッドから抱えるように起こした。
「白鳥君だな?わたしは公安の佐竹というものだ。我々も以前からこの教団を内偵していたんだ。もうすぐ、夜明けとともに、この建物に機動隊が突入する。その前に早くここから脱出するんだ!」
美樹は佐竹に力なく目を向けたが、動こうとしない。
「おい!しっかりしろ!」佐竹がいらだって、2度3度美樹の顔をひっぱたいた。
「うう・・・わたしは・・・もう・・・だめ・・」美樹がつぶやくように答えた。
「元気を出すんだ!我々の組織なら、君のそのリングだって取り外せるかもしれん。とにかく、早くここを出るんだ!」佐竹は全裸の美樹に修行着を着せ、肩を貸して歩き出した。
二人がドアを出たとたん、建物中が震えるようなどーんという大きな衝撃音がおこり、人の叫び声とぱーん、ぱーんという銃声がこだました。
「ちっ、もう始まったか・・。さぁ、急ごう!」
廊下の電気がふっと消え、人の叫び声が大きくなり、信者たちが右往左往するざわめきが聞こえてきた。佐竹は暗い中でも建物の構造を知っているらしく、窓から差し込むわずかな光を頼りに、迷わず前に進んでいく。
「襲撃だーっ!」という叫び声とともに、数人の信者たちがうしろから美樹たちを追い越していった。ぱーんぱーんという銃声がさらに続き、階下から催涙ガスの鼻をつく臭いがただよってくる。
「ここの階段をおりれば、すぐ出口だ。」佐竹が美樹を助けながら、叫び声とガスが充満する闇の中を手探りで階段を下りていく。そのとき、二人の上のほうから突然、女の叫び声が聞こえてきた。
「お待ち!どこへ行くんだい?お前はわたしのメスの奴隷のはずだよ!」
階段の上に、南条玲子の姿が暗闇の中にぼんやりと見えている。
「あの女・・・わたしの人生をめちゃくちゃに!・・・うおおおおおおおっ!」
美樹が信じられないような力で佐竹の手をふりほどいて、階段をかけあがっていく。
「おい!待つんだ!」佐竹が叫んだ。
その時、どかーんという激しい爆発音がして2階の廊下から炎と白煙が噴出し、佐竹は衝撃で階段の下に投げ出された。ようやく立ち上がったとき、すでに一歩も進めないほど、噴煙が建物に充満し始め、美樹の姿も南条玲子の姿もどこにも見えなかった。
エピローグ
新学期が始まり、残暑が厳しい日が続いている。島津美雪は校庭のベンチに座り、放課後の運動場をながめていた。学生たちが楽しげにクラブ活動をしている。
「みんな楽しそうだな・・」美雪はぽつんとつぶやいた。
白鳥美樹は戻ってこなかった。金蛇教団の建物は、機動隊の突入と同時に激しく燃え上がり、逃げ遅れた信者の多数が死傷した。死亡した信者の遺体は、性別も分からないほど焼け焦げ、その中に美樹がいるのかどうかまだ調査中だった。南条や園田も行方不明のままだ。しかし、美雪には不思議と美樹が死んでしまったような気がしなかった。
「先生は生きている・・」美雪は自分に言い聞かせるように、またつぶやいた。
END
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