美樹が振り向くと、神父のような黒い修行服を着た園田がにやにやと笑いながら立っていた。
「君をロボット化している間に、危険量ぎりぎりの催淫剤を注射させてもらった。あと1、2回うてば君は完全に中毒になるだろうな。頭の中は常にセックスでいっぱいになり、ちょっとした愛撫で喘ぎ声をあげるメス奴隷にな、くっ、くっ、くっ・・・。それにしても、なかなかいいかっこうだ。そのままPCゲームのヒロインとして通じそうじゃあないか。」
「はぁ・・・はぁ・・・」息が荒い。美樹は片膝をついたまま、園田をにらみつけた。体が自分のものではないかのように重く、そして熱い。
「なんと、まだ挑戦的な目をしておるわ、くっ、くっ、くっ・・・。自分を正義の味方とでも思っておるのか?まぁ、それでこそ屈服のさせ甲斐があるというもの。しかし、これを見よ!」園田が、美樹の足元にぽんと新聞をほおった。かすむ目でその新聞を見つめた美樹が、はっと青ざめた。
「こ・・・これは!」
ちょうど社会面を表にして折りたたまれた新聞の記事の中に、こんな見出しの記事が美樹の目に飛び込んできた。
”・・・暴漢に襲われ学生らが重傷・・・市の郊外にある城西公園で、昨日深夜、散歩中の学生ら5名が突如現れた女の暴漢に襲われ重傷を負う暴行事件が発生した。女は意味不明な言葉を叫びながら、いきなり学生たちに襲いかかってきたという。5名のうち、2名は頭を強打されており、意識不明の重体。学生たちは、女は空手のような武道をつかったと話しており、警察では目撃者がいないか、夜明けを待って捜査を行う方針で・・・”
「くっ、くっ、くっ・・・、その暴漢というのは、君のことだよ。」
「ま・・・まさか・・・」美樹は呆然として園田の顔を見つめた。
「得意の中国拳法を悪用して、罪の無い若者たちに暴力をふるうなど、とんでもない女だな、君は。」
昨夜、まさに陵辱される寸前の美樹を、園田はロボット化し、コマンダーを使って若者たちを攻撃させたに違いなかった。ロボット化されていたとはいえ、自分の誇りとする中国拳法で、人に暴力をふるい傷つけてしまったとは・・・。美樹は犯罪を犯してしまった罪の意識に打ちのめされた。これでは、たとえここを脱出できても、元の教師には戻れない。全身の力が抜け、美樹はがっくりと両手を畳の上についたきり、動けなかった。両目から涙のつぶが、1つぶ2つぶと落ちていった。
「くっ、くっ、くっ・・・ようやく自分がどんなに罪深い女か、わかったようだな。さぁ、金蛇様に、たっぷりと仕置きをしていただくのだ!」園田が勝ち誇ったように叫んだ。いきなり、ひゅっという風を切る音がしたかと思うと、美樹の背中にびしっと鞭が振り下ろされた。
「きゃああっ!」美樹が激痛に身をよじらせた。まるで胴を両断されたかのような痛みに、美樹は畳をころげ回った。金蛇様が手に皮の鞭をもって立っていた。仮面からわずかにのぞく目がサディストの欲情に濡れたように光っている。
「うっ、ふっ、ふっ・・・お前の体内に巣食う邪悪な魂を叩き出してあげるわ。」金蛇様と呼ばれる女が口を開いた。再び、女の手が一閃した。美樹の腹に鞭がぱしーんという音とともに命中した。
「きゃあっ!」美樹が体を折ってうずくまった。周囲の信者たちからおーっという歓声があがる。
「多量の催淫剤によって、君の皮膚は極限まで過敏になっている。ちょっとつねられただけでも、口から泡を吹いて失神するかもしれんな、くっ、くっ、くっ・・・」園田がにやりと顔をゆがめて、苦悶に悶える美樹を見下ろしている。
さらに、女の鞭が容赦なく、二度、三度と美樹に振り下ろされた。美樹は逃げる余裕もなく、激痛に悲鳴をあげて畳をころげ回った。周囲の信者たちから、そのたびに歓声があがった。
「はぁ、はぁ・・・もう・・・やめて・・・きゃああっ!」今度は鞭が太ももに打ち下ろされ、美樹は脚を押さえたまま、仰向けに倒れた。痛々しいみみず腫れが全身に走っている。回りを取り囲んだ信者たちは、生贄の女が痛めつけられるのを興奮に顔を輝かせて見守っていた。股間を勃起させている男性信者もおり、明らかに性的に欲情しながら、美樹の美しい肢体に鞭のあとがついていくのを楽しんでいるのだ。
「うっ、ふっ、ふっ・・・それっ!」女が狙いすました一撃を美樹の胸に放った。意識の朦朧となった美樹には避けるすべもなく、ぱしーんと音がしてメタル製のブラジャーが吹っ飛び、美樹の乳房があらわになった。さらに、間髪を入れず次の攻撃が美樹の巨乳に振り下ろされた。
「ぎゃああっ!」乳房の最も敏感な突起を鞭で一撃された美樹は一瞬、海老のように全身をのけぞらせると、がっくりと気を失った。
ばしゃっと冷水を顔にかけられ、美樹は意識を取り戻した。仰向けに倒れた美樹の背中側に、たくましい体つきの男の信者が入り込み、美樹の腕を羽交い締めにしている。全身に赤いすじがつき、その部分に焼け火箸を当てられているような痛みが発していた。
「ふふっ・・・もう降参のようね?あなたは我が教団の下僕となるのよ。寝ろと言われれば誰にでも股を開き、殺せと言われれば得意の中国拳法でやっつけてくればいいの。それがあなたの宿命・・・。うっ、ふっ、ふっ、ふっ・・・」女が仮面に手をやり、とりはずしていく。
「ああっ!・・・あなたは・・・」美樹は絶句した。金蛇の仮面の下から現れたのは、生徒に暴行されて学園を去ったはずの南条玲子の顔だった。しかし、今はあの真面目で清楚な南条先生とは別人のような、加虐の喜びに顔を歪めた女教祖の姿となって、美樹を見下ろしていた。
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