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   第2章

「ええっ!覚えていないですって?そんな、まさか!」美樹は絶句した。その日の午後、教頭の園田に呼ばれ、南条先生を襲った生徒たちが、レイプなどをした覚えはないと主張している、という話を聞かされたのだ。
園田は失踪した権田教頭の後釜として着任した男で、背が高く、いつも高級そうなスーツを着こなしていて、ちょっと見では市会議員のような男ぶりだった。しかし、美樹の目から見ると、蔑んだような目付きで人を見る態度や、小馬鹿にしたような話し方が鼻につき、イヤなタイプの男だった。
「信じられません!私自身も暴行されそうになったのですよ!」
「ふ〜ん・・・君自身もねぇ。しかし、あの生徒たちは気がついたら裸だったと言っているし、そもそもF組の生徒がそんなことをするとは信じられんがねぇ。」園田が疑い深そうな目つきで美樹をみつめた。

確かにF組というのは各学年の成績優秀者が集められるクラスで、まじめで成績の良い生徒の集まりだった。暴行をしていた3名も常に成績ベスト10に顔を出す優等生だ。
「こんなことは言いたくないが、南条先生は生徒たちと男女関係をもっていたのではないだろうね?」
「そ・・・そんな!ばかなこと言わないで下さい!」美樹は思わず叫んだ。
「ばかとは何だ。ここにいる卑作もレイプにしては様子が変だったと言っているんだがね。」園田は、傍らに控えている用務員を指差した。卑作という名の用務員は、最近、教頭の園田が雇い入れた中年の用務員で、貧相で目立たない男だったが妙な噂が多かった。体育時間中の女子更衣室をウロウロしていたり、頻繁に女性トイレの掃除に来たりするので、女教師も女生徒もあからさまに毛嫌いしていた。

グレーの用務員服を着た卑作は、上目使いに美樹たちを見ながら、にやっと笑って言った。
「わしが駆けつけた時は、南条先生はほとんどオールヌードで寝そべってるし、白鳥先生も下は白いビキニパンティ1枚でねぇ、ひっ、ひっ・・・。男の子たちは、アレをおったてて横になってるわで、ま、わしの口からこれ以上は言えませんがね。ひっ、ひっ、ひっ・・・。」
「へんなことを言わないでください!」怒りのあまり、ぎゅっと握られた美樹の拳が震える。
「まぁ、南条先生も白鳥先生もなかなかごりっぱなお体をお持ちなわけで、そのう、お若いお体がたまにウズいたところで何の・・・」
「お黙りなさい!」叫ぶや美樹の手が卑作の頬にとび、ぱしん、といういい音が響いた。
「ひーっ!い、いてぇじゃないか・・・何しやがるんだ!」卑作が頬を押さえながら悲鳴をあげた。
「失礼な言い様にもほどがあるわ!」美樹が卑作をにらみつける。
「やめんか!」園田が割って入り、不機嫌そうに美樹を見つめた。
「白鳥君、何があったにせよ、君はいつも騒ぎのタネになるんだ。暴行した生徒たちの親も逆に学園に抗議するといっておるし、少し自重したまえ!それに、南条君だって何もなかったと言っておるんだぞ!」
「なんですって!そんな・・・」美樹は再び絶句した。

翌日、美樹は南条先生と話をしようとして授業の合間に探したが、南条は美樹を避けているかのように姿を見せなかった。ようやく、放課後、早足に帰ろうとする南条を見つけ、美樹は走り寄った。
「南条先生!ちょっとお話があります!」
「あ・・・白鳥先生。昨日はありがとうございました。す、すみませんが、私急いでいますので・・・。」南条が消え入りそうな声で言った。
「待ってください。昨日の朝のことを、何もなかったとおっしゃっていると聞いたのですが、どうしてそんなことを?」美樹が強引に話しかける。
「それは・・・すみません。あのことは、もう忘れてください。」
「なんですって!あんなにひどい目にあったのに・・・」
「私には婚約者がいるんです・・・。この学校も辞めることにいたしましたし、噂にしたくないんです。それに・・・あの子たち、様子が変でした。」
「どういうことですか?」美樹が聞いた。
「何かにとり憑かれているみたいで・・・まるで誰かに操られているかのようだった・・・それに、金蛇様のお清めだ、とか言いながら、私の言葉なんか耳に入らないみたいで・・・」南条は恐怖が蘇えったのか、体を震わせた。めがねの奥の瞳が怯えたように揺れている。
「金蛇様・・・」そういえば最近、市の郊外に金蛇教という宗教団体ができ、信仰すると成績が急によくなるという噂が学園に流れていた。しかし、そのことと今回の事件の間に何か関係があるのだろうか。
「とにかく、私怖いんです。もうこれで勘弁してください!」そう言うと、南条は小走りに去っていった。
確かに、普段はマジメな生徒たちがあの時は別人のように凶暴で、美樹の言葉にも全く反応せず、女体を貪るように襲ってきた。
いったい何が起こっているのか。漠然とした不安が美樹の胸に広がっていった。


「私その話、聞いたことあります。」夜になって訪ねてきた美雪に昼間の話をすると、生徒の間ではけっこう評判になっていると言う。リアルイメージトレーニングと称する、機械を併用した教義のレクチャーを受けると、試験の点数が明らかに上昇するというのだ。
「何か胡散臭い感じなので、私は行ったこともないの。でも、あの3人を含めてF組の子はかなり通っているという噂よ。」美雪が言った。
「そうだったの・・・。いかにも学生の弱みにつけこんだ商法という感じね。でもその教団と今度の事件が関係あるのかしら?」
「私のクラスの洋子という子がその教団に出入りしているみたいだから、明日それとなく様子を聞いてみるわ・・・それより・・・早くお風呂に、は・い・ろ!」美雪が美樹の後ろから抱きついた。
「もう、美雪ったら・・・」美樹は苦笑した。
最近、美樹と美雪は浴室でのシャボンプレーにはまっていた。裸になって、お互いの体にボディシャンプーを塗りつけて、体をこすりつけあって愛撫するのだ。香りのよいローションなどを併用して、乳房や秘裂をこすり合ったり、舐め合うと互いに何回でも達した。何時間やってもお互いの体に飽きることはなかった。
「しょうがないわねぇ・・・また、寝不足になっちゃうわ、ふふっ」美樹は美雪に手を引かれるままに浴室に入っていった。


「くっ、くっ、くっ・・・」美樹のマンションの下で、双眼鏡で美樹の部屋の窓を覗いていた男の口から低い忍び笑いが響いた。居間の電気が消え、浴室の明かりがともる。
「教師と教え子のレズビアンか・・・あの小娘を餌に白鳥美樹を誘き寄せるか・・・くっ、くっ、くっ」


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