縁は薫の座っている椅子を操作し、薫の右手と右足、左手と左足を近づけると、右手と右足、左手と左足の間を一尺半ほどの長さの鎖でつなぎとめた。
これで、逃げようにも走って逃げるわけにはいかないので、逃げ出す可能性はなくなった。
そのような準備をしてから、縁は薫を椅子につなぎとめている拘束具をはずした。
逃げられないと悟った薫は縁のされるままになっていた。
縁は薫に首輪をつけると、二貫目ほどの錘のついた鎖を付けた。
そして、もう一本別の鎖をつけ、それを引っ張った。
首に錘がついているのと、左右それぞれの手足が鎖でつながれているため、薫ははって歩かなくてはならなかった。
薫が引っ張られていった先には、高さ三尺ほどの檻があった。
「ほら、ここがお嬢ちゃんの寝床だよ。布団も入ってるから、ゆっくりと休んでくださいね」
そう言って檻の戸を開ける。
薫は、今反抗しても無駄なのを悟って、素直に檻の中に入った。
檻の戸の鍵をかけると、中にさらしと腰巻きを投げ入れ、
「じゃぁ、お嬢ちゃん。また明日。良い夢を!」
といって、地下室から出ていった。
真っ暗の中、薫はあわててさらしと腰巻きを身につけた。
そして、中にあった薄いせんべい布団に包まると、静かに泣き始めた。
(剣心。早く助けて。このままだと、私どうにかなっちゃう。剣心・・・・)
剣心は助けに来るはずだ。それが今の薫の唯一の望みだった。
(注:1尺=30cm)
(注:一貫目=37.5kg)
To be continued.
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