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 第3章 乙女の懇願 -4-

薫は、さっきのは助かったのではない、助けられたのだ、と悟っていた。
どんなにがんばったところで、あの姿勢を一日も二日も保てるわけがない。
つまり、薫にとっては勝ち目のない勝負であることに気がついた。
にもかかわらず、処女を失いたくない一心でがんばらざるを得ない。
縁はそういう姿を見て楽しんでいる。
そう思うと薫はやりきれなかった。
といって、処女を失いたいわけではない。
薫はわかっていながら、相手のいうなりにならざるを得なかった。

「卑怯じゃない!か弱い乙女にこんな事をして楽しいの?」

縁が戻ってくるなり、薫はそう言わずにはいられなかった。

「お嬢ちゃん、それは逆でしょう。この期に及んで、そんなことを言えるお嬢ちゃんだからこそ、楽しいんですよ。それに、お嬢ちゃんが『剣心を刺します』って一言言ってくれれば済むんですけどね」
「そんなことするわけ無いじゃない!」
「だから、いろいろするんじゃないですか」

そういって、縁はふと気が付いたようにつけ加えた。

「まあ、その姿勢も辛いでしょう。見てるこっちも飽きてきましたから・・・そうですね。お嬢ちゃんに選んで貰いましょう。あと一日このままつるしておくか、あと一刻耐え切れたらおろして上げるか。もちろん、一刻の場合はいろいろちょっかいを出させて貰いますが」

薫は考えた。
(あと一日なんか持つわけがない)
(でも、あと一刻、何をされるのかしら。それが不安)
(といって、このままじゃだめ。一時も持たない)
結局、一刻の我慢の方を選択した。

「一刻耐えたら下ろしてくれる、って本当でしょうね?」

 薫は確認せずにいられなかった。

「ああ、俺は嘘は言わない。けどね。いろいろ楽しませては貰うよ」

(よし、一刻、絶対耐えてやる!)
薫はそう心に誓った。

「楽しみ方はいろいろあるけれど・・・まずは、匂いを嗅がせてもらいましょうか」

そういうと、縁は薫のあちこちに鼻を近づけてはくんくんとかぎまわる。

くんくん

「おや、わきの下が臭いですね。腋臭ですか?」
「そんなわけないでしょ。さっきから汗をかかせてるのはあんたじゃない!」

くんくん

「うーん、お風呂に入ってますか?お○んこが臭いですよ」
「当たり前じゃない!」
「じゃあ、ここも念入りに洗ってるんですか?ひだひだの1枚1枚を広げて?」
「・・・」

「厠で紙をつかってますか?お尻も鼻が曲がりそうな臭いがしますよ」
「・・・」

途中までは反論していた薫も、恥ずかしい部分に関しては反論できなかった。
最後は顔を真っ赤にしてうつむいて縁の言葉に耐えていた。

「さて、あと半刻ですか・・・。意外にがんばりますね。それじゃお嬢ちゃんの全身をくすぐってあげましょう」
「いや!止めて・・・」
「じゃあ1日耐えますか?」
「・・・・」
「そうですよね。じゃあまずは足の裏だ」
「!」

両足の裏を同時にくすぐられてしまっては避けようにも避けられない。

「そ、それは卑怯よ!」
「・・・そうですか。じゃあ足の裏は止めますね」

薫は、自分の言葉が苦痛を長引かせるだけだということに気がついていない。
縁はあっさり引き下がったのは、足の裏をくすぐりつづけては、すぐに足を下ろしてしまうだろうことに気がついたからだった。

「じゃあ・・・わきの下かな?わき腹かな?」
そういいつつ、その部署のそばでくすぐる真似だけをする。真似であっても、本当にくすぐられるかどうかわからないので、そのたびに薫は力を入れて耐える姿勢をとった。
結局、くすぐられないまま残りが1分となった。
「よし。じゃあお嬢ちゃん。残り1分はずっとくすぐってあげるよ。1分後、お嬢ちゃんは天国にいるか地獄にいるか・・・5、4、3、2、1、はじめ!」
 薫は笑いながら地獄を感じていた。くすぐったいときは、普通は身をすくめるものだが、身をすくめると処女を喪失してしまう。くすぐったさで力を抜いても同じ。だから1分間、身体をピンとしつつ耐えなくてはならなかった。
 はじめは静かにくすぐっていた縁だが、だんだんと本気になってくすぐり始めた。残り30秒。それまで1箇所づつくすぐっていた縁がわきの下とわき腹を交互にくすぐり始めた。そしてついに薫はくすぐったさに思わず足を縮めてしまった。
「ん!!!」
「あと7秒だったな」
 薫の股間からは、処女の証である赤い血が一筋、木刀を伝わって流れてきている。
部屋には薫がすすり泣く音が響き渡っていた。
(ごめん・・・剣心。剣心にあげようと思っていたのに・・・木刀なんかに・・・)。

(注:一寸=3cm)

To be continued.


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