その1
いつものように部活動のフェンシングで汗をながしていた樹璃は、教頭によびだされて、職員室に出向いていった。 「先生、お呼びですか?」 しかし夕暮れで薄暗くなりつつある職員室に人の気配はない。 あきらめて帰ろうとしたところで、後ろから口元にあてがわれてた布の甘い刺激臭により意識を失ってしまった。 気がついた時には、見知らぬ部屋の中に居た。 目の前に透明なガラスのようなものが見える。 四方をそれに囲まれているので、いってみればあながちガラスの檻という風情か。 しかし余裕をもって回りを眺められたのもそこまでだった。 ふと身体を動かそうとしたときに感じる不自然さ。 なに....体が動かない.... よく見ると樹璃の両腕は後ろ手にまとめて拘束されており、スラリと延びたその美脚も太股と足首がガッチリ金具で固定されているのだった。 しかもあろうことか下半身は裸であって、やや毛深い茂みを隠すこともできずにさらけ出すままになっていた。 そこに見たこともない男が顔を出した。 年はまだ30に届くかどうかというところか。 いや、もしかしたら40くらいかもしれない正体不明の不思議さもある。 整いすぎた顔立ちは逆に酷薄そうな印象を与えていた。 今も冷然と樹璃を見据えている。 「誰だ! 貴様は」 負けじと樹璃もねめつけながら一喝する。 しかし男にどうじる気配はない。 「私は、この学園の本当の理事長だ。いつもは暁生君に代行として運営は任せてあるがね。これまではなんの問題もなかったが、生徒会の中でも君の存在は目立ちすぎるようになってきた。そこで君にはこの学園より退場してもらおうと思ってね」 「何をいってるんだ! そんな勝手な振る舞いが許されると思っているのか?」 「まあ、何とでも言いたまえ。この私の学園の中では思い通りに動いてくれるコマこそ必要なのだよ。騙しているつもりが騙されているようなね。あまりにも君は聡明で気丈過ぎる。それが周りにも波及するのは好ましくないんでね。 独自のやりかたで、その高慢なプライドを徹底的に破壊してやろうと思ったのさ。 もちろん君にも楽しんでもらえるように仕掛けは工夫したがね」 「!!」 新たに登場した人物を見て樹璃は驚きを隠せなかった。 高槻枝織...同性でありながら樹璃が秘めた思いを寄せる少女。 しかもそのことが逆に彼女を傷つける結果になっていることも充分わかっているつもりだった。 「枝織! 君までがこんなところに...」 しかし空ろな目をした枝織は芳しい反応は見せない。 「ここにいる枝織君にはちょっと細工をしておいた。精神をいじくってね。今や君に対する憎悪と性的虐待の要求しかもってないはずだ。もし君が最後までその”気高い精神”とやらを維持できれば、彼女の閉ざされた意識を取り戻せるかもしれないが、果たしてどうかなぁ。せいぜい頑張ることだね。」 「やりかたが卑劣じゃないか! 貴様」 怒りを顔面ににじませて、不自由な身を揺すりたてながら言い放つ。 しかし枝織は静かに樹璃の傍らに寄り添ってきて焦点のあわない目を向ける。 「フフフ、樹璃さん。私はこれまでどんなに頑張ってもあなたには勝てなかった。 完璧すぎたのよ、何から何まで。 だから決めたの。私が努力するのではなくあなたをとことん汚しぬいてあげるの。 その気高いプライドを生きていくのも嫌になるくらいずたずたに引き裂くのよ。楽しそうね。あなたがその屈辱にまみれてのた打ち回る姿を見るなんて」 「な、何を言ってるんだ、枝織! 私達は友人じゃないか。こんな奴の口車に乗って馬鹿なことはよすんだ」 「友人ですって?ただの友達ならなぜその胸のロケットに私の写真なんか入れているのよ? もうウンザリだわ、こんな茶番。もう終わらせましょうよ」 そういうと枝織は、巨大な水槽の裏ブタを外した。 そこにははちきれんばかりに発達した樹璃の臀部が露出していた。 「これがなんだかわかる?」 枝織が小悪魔的な微笑と共に手にしているのは巨大な浣腸器だ。既に内部にはおぞましい液体が満たされている。500mlは入っているだろうか? 「樹璃さん今まで浣腸なんてされたことないわよね。人にされるなんて恥ずかしいですもの。しかも初めてでこんなにいっぱいの浣腸...耐えられるのかしら?」 樹璃はややひきつったような眼差しでその忌まわしい器具を見つめるだけだ。 「でも、勘違いしないでね。樹璃さん。私はあなたが心配でこんなことを言っているんじゃないのよ。その反対。もっともっといじめてあげたいのよ。ウフフ、かなりつらいと思うけどたっぷり苦しんでね」 樹璃の抗議は最後まで言葉にはならない。 |