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  バットガールとキャットウーマン(6)                             Mr.X 著  いぬかみ訳

バットガールとキャットウーマン by Mr.X
(原題 Batgirl and Catwoman)

第六章


 奇怪な植物に、乱暴に胸を揉みしだかれ乳絞りをされているキャットウーマンは、絶望的な状況で身を捩じらせもがき続けていた。外見的には自由に成ろうと戦っている様だったが、心の奥底では、性的な快感を感じていた。キャットウーマンは、男に胸を掴まれ乱暴に扱われた事は有った。しかし、今体験しているのとは違っていた。それは、より野性的で動物的だった。より本質的で乱暴でそして制御出来ないものだった。ルールも規範も無く抵抗する術も無かった。キャットウーマンは何時も自分を女神の様な存在、どんな男も、その女の為なら死んでも良いと思う様な完全な女と考えていた。この様な思いは、あまりの野性味溢れる凌辱によって、信じられない様な興奮をもたらし始めていた。
 暫くの間、頭を前後に動かし首を振り回して抵抗していた後、キャットウーマンは、状況を確かめようとそっと眼を開けた。あちこち眼を動かし、先程は頭の上有り、今は顔の直ぐ前に来ている蕾に焦点をあわせた。その蕾は、彼女の胸に取り付いている物とは異なっており、一瞬ほっとし怪訝な思い出その浮んでいる蕾を見詰めた。
突然、その蕾の中心から、長い、白い、触手がキャットウーマンの顔を目掛けてくねくねと伸びて行った。始めは全く訳がわからず、眼を寄せて鼻の先に迫った触手の先端を見詰めていた。そして、その触手が何をしようとしているのかが完全に分かった時、キャットウーマンは戦慄を覚え息を呑んだ。キャットウーマンが叫び声を上げようと口を開けた瞬間、白い触手が一気に前進し、口の中奥深く侵入した。それはヘビの様にうねりながら、奥へ奥へ喉に向かって進んで行く。触手から分泌される粘液が、キャットウーマンの口から漏れ、顎の先端から頬にかけてを濡らした。瞬く内に、白い触手が口腔内を完全に埋め尽くすと、抽送を開始した。
「ムムムムム・・・・!!!」
口の中に侵入されたキャットウーマンは叫び声を上げた。この新たな快感が、既に陥っている切羽詰った危険な状態と一緒に成り、キャットウーマンは頭を前後に激しく動かして悶えた。この“未知の物”が口の中で蠢きうねる感触は、極めて衝撃的だったが、それはより危険な、そしてより心地よく興奮する体験をもたらすのだった。
 暫くの間、植物に口中と、胸を弄ばれる状況が続いた。その性的苦悶に、キャットウーマンの身体は、触手に拘束されたまま、これ以上出来ない程身を捩じらせ続けていた。キャットウーマンは、意識が朦朧とし、視界も、臭いも音も遮断され、圧倒的な触手による快感を感じる事しか出来なくなっていた。しかし、この半ば恍惚とした状態も、何者かに内腿を撫で上げるのを感じた時、弾け飛んだ。恐怖を感じたキャットウーマンは直ちに大きく見開いた眼を股間にやった。無防備状態の秘所の上に不気味に浮んでいるのは、今現在、盛んに口を凌辱しているのと同じ様な別の蕾だった。
「ンンンンンムムムムムムーーーー!!!」
新たな蕾から、剥きだしの秘孔に向けて白い触手が真っ直ぐに力強く伸びると、キャットウーマンは、首を振って大声を上げた。
「ヘーヘヘヘヘヘヘ!」
リドラーが、又もからかう様な声を上げた。
「どうやら春の種まきの時が来た様だな。畑を耕し、とうもろこしを植える時期がな」
 それを聞いたセリーナは、怖気を振るって眼を丸くした。そして、悍しい結果を避け様と死に物狂いで腰を揺り動かした。しかし、この努力も空しかった。植物は、獲物を見据える猫の様に、その時が来るまでじっと待っていた。
 その奇怪な肉棒もどきが、秘裂を掻き分け、身を捩りながら胎内に入り込み、力ずくで少しずつ侵入して行くと、キャットウーマンは猛烈な動物的な叫び声を上げた。触手に侵入されたヒロインは、拘束された腰を狂った様に上下に動かし、触手の侵入に抵抗した。しかし、この抵抗も、触手の粘液、力強く且つ巧妙な捩るような動きの前には何の効果もなく、肉棒に、その標的、無防備の子宮への到達を許してしまった。触手は、標的に到達するや否や、口腔での動きと同様に抽送を開始した。何度も、何度も、触手のピストン運動が繰り返される。
 その性的快感は圧倒的且つ凄まじいものだった。全ての触手による刺激が限界を超え始めた。刺激が彼女を次第に快楽の深みへ深みへと引きずり込むと、キャットウーマンの心は、羽目を外した性的妄想で溢れかえった。
 突然、全身が飛び跳ね、硬直した。もう一つの蕾が腰の下側を動いて行き、第三の肉棒が、肛門目掛けて尻の間に押し入って来たのだ。キャットウーマンは、肉棒による責めを止め様と、全力で尻の筋肉を引き絞った。しかし、これも、植物の侵入を少し遅らせる一方、快感をより高めただけだった。触手は肛門目掛けて圧力を増し、ゆっくりとそれを開かせて行く。触手は、切羽詰って狂乱状態のヒロインが腰を押付ける度に、一センチずつ領域を獲得して行った。
 逃れようとする必死の抵抗も空しく終わり、今やキャットウーマンの身を捩じらせもがく動きも弱まっている。植物は、突き上げ、抽送運動を、キャットウーマンの腰の動きに合わせ始めた。丁度、二台の性機械が完全に調和した動きを見つけ出そうとする様に、抽送、突き上げのリズムが次第に一致して行く。この時、植物はその動きを倍増し、肉棒は、ヒロインをより強く、より深く突き上げた。
 長い苦悶の間、植物と人間の女は一つに混ざり合い、完全に調和した一つの音楽を奏でた。やがて、
押さえ切れない、考えも及ばない事態が起こった。セリーナは体を強張らせ、ウェストから腰を次第に高く持ち上げて行き、日焼けした体の全ての筋肉の緊張を高めて行く。これを感じ取った植物は、ペニス触手の抽送を速めて行く。そして三本の肉棒の動きが止まり、植物も身体を強張らせブルブルと震えた。長い間二者を取り巻く沈黙を緊張の波が満たした。圧力が頂点に達した。その爆発を止める術もなかった。
 各々の触手肉棒がキャットウーマンの体内に噴出させた瞬間、触手全体が振動し始めた。触手からの放出がとどめと成った。セリーナは嬌声を上げ、圧倒的な性的快感の渦の中に急速に呑み込まれて行った。
 口から溢れた精液が顎の先端に流れ出た。同様な白い液体が秘裂から腿へ、そして脚へと流れ出ていた。臀部も又白い粘性の液に覆われていた。
「ムムムムムムムムム・・・・」
キャットウーマンは深く呻いていた。植物が、抵抗も出来ない犠牲者に、一滴も残さず悪魔の種を全て注ぎ込み続けている間、キャットウーマンは両脚をゆっくり前後に滑らせ、腰をヒク付かせていた。植物が受精を終え、秘孔から触手を引き抜いた時、キャットウーマンは意識朦朧として横たわっていた。
 最初の触手が事を終えると、直ちに次の触手がキャットウーマンの中に侵入し熱っぽく抽送を始めた。
連続絶頂状態、キャットウーマンは、再度強烈な絶頂に導かれるのに抵抗も出来なかった。
『駄目!凄すぎる・・・早過ぎる・・・』
キャットウーマンは絶望的な気持ちで思った。
『どうにも成らない・・・もう耐えられない・・・』
しかし、彼女の叫びは、三番目の肉棒の仕事によって答えられた。何度も、何度も、キャットウーマンは絶頂を強いられた。休む間も、回復する時間も無かった。状況は過酷すぎ、そしてセリーナは遂に敗北した。意識は粉々に壊れ意識を失った。
ここにキャットウーマンは敗れたのだった。


「ウウウウーーーグッ!」
アンドロイドに胎内奥深く激しく突き上げられ、バットガールは長い悲鳴を上げた。アンドロイドは今、バットガールの後ろから巨大な左手で肩を抱きしめ、右手はウエストの周りを包み込んだ後、股間の奥深く埋め込んでいた。その指は、容赦なく陰核を擦ったり押したりした。そして、巨大なペニスは肛門に向かっていた。そして、それを肛門の中に押し込むと、バットガールの腰は跳ね上がり、両脚をばたつかせた。そして突然仰け反ると、バーバラの胎内に束の間生命を長らえるだけの解毒剤を放った。
『解毒剤を一気に全部放出させる方法が、何かあるんじゃないかしら』
アンドロイドに、人形の様に振り回され、その正面からのしかかられたバットガールは思った。既に、何度も激しく絶頂させられ、疲労困憊だった。バットガールは、今や凌辱者の前で、弱弱しくもがく人形でしかなかった。
 もし状況が異なるのであれば、バーバラは、何度も何度も夢見て来た様なこの体験を好きに成ったであろう。この様な無力な状態に陥るとバーバラは欲情して興奮するのだが、今の場合は危険すぎる。あるのはジョーカーやその毒薬だけではなく、調教されると言う危険もあった。自分の能力を超えた者に支配される状態に。
『緑色の道化師みたいな奴の玩具に成るなんてとんでもない!』
バーバラは、何とか自力で脱出する決意を固めた。
 バットガールが巨大な凌辱者に床に押さえつけられていると、突然、奇抜なアイデアが閃いた。
『あそこにもう一体のアンドロイドが。未だ、しっかと勃起させたまま仰向けに倒れてる・・・』 
しかし、彼女の思いは、アンドロイドが再び絶頂に達し、バットガールをも制御不能の性的快楽に突き上げられて、中断させられた。
 アンドロイドは、放出を終えるや否や、バットガールの髪を強く掴み、肉棒を彼女の口の中に押し込んだ。
犯されるヒロインは、今、凌辱者の前に跪いている。
「良いか、女。お前が口にした物を行動で示す時が来たぜ」
(訳者注:原文put your money where your mouth is (慣用句、本来は、言った事を行動で示せの意) 
 新たなエネルギーを噴出させ、バーバラは、自動機械をぶっ飛ばそうと仕事にかかった。それはかつてないほどのものだった。アンドロイドが身を硬直させ始めると、バットガールは絶頂が近い事を感じた。アンドロイドが、ピークに達すると、バーバラは残っていた全ての力を結集してアンドロイドに飛び掛った。絶頂して既にバランスを崩していたアンドロイドは、ヨタヨタと後退し、お尻から床に倒れた。しかし、床には落ちなかった。アンドロイドが落ちたのは、バーバラの目論んだ通り、正に、もう一体のアンドロイドの勃起した肉棒の上だった。
 直ぐには何事も起こらなかった。床に倒れていたアンドロイドのペニスが、倒れてきた大型アンドロイドのお尻に深々と突き刺さっていた。強力なアンドロイドは完全に動きを止め、そこに座っていた。やがて、火山が噴火する様に、アンドロイドは、その能力全開で放出した。その過程でアンドロイドのメカに過負荷がかかり、アンドロイドは機能を停止した。バットガールは熱っぽくそれを最後の一滴まで飲み干し、解毒剤を全て飲み込み、毒の影響から回復した。
「駄目だーーーー!!!!」
ジョーカーは怒りと欲求不満が混ざった様な悲鳴を上げた。
「この雌犬め!よくもアンドロイドを二体も駄目にしてくれたな!」
「ジョーカー私を飼い慣らせるものを持ってないみたいね、えーっ」
バットガールは、ゆっくりと立ち上がり顎の精液を拭いながら言った。
「貴方、さあ、降参するほか無いんじゃない。私を飼い慣らそうったって無理よ」
「ああ、そうかい! それじゃお前さんがどうするか見てやろうじゃないか!インキー、ブリンキー、ドッド!」 
ジョーカーが大声を上げた。その時、部屋のドアが再び勢いよく開き、三体のより巨大なアンドロイドが入って来た。
「その雌馬を手篭めにしろ」
ジョーカーが命令した。直ちに三体のアンドロイドが重なり合ってバットガールに襲い掛かった。バットガールは、必死にパンチと蹴りを繰り出したが、抵抗も空しく、アンドロイド達はバットガールを床に押さえつけた。
 アンドロイド達は容赦なく、最初のアンドロイドがした様に彼女を犯し始めた。押さえつけ、出来るだけしっかり且つ力強く、押付け侵入して行った。三体のアンドロイドは一塊に成って、その下に埋もれたバットガールに突き込み、身体をうねらせた。バットガールは、二体のアンドロイドの隙間から手を伸ばし、アンドロイドの身体を掴んで抵抗した。しかし、数分後には彼女の掴む力は弱まり、腕もなまってきた。そして、完全に敗れて山の中に沈み込んで行った。
「二、三時間そうして輪姦されていれば、お前、バットガールも元気を失うだろう」
ジョーカーが声を立てて笑った。ジョーカーが照明のスイッチを落すと、暗闇が、破滅のヒロインを包み込んだ。


「クァッ、クァッ!そろそろずらかった方が良いぞ、あのうすのろ署長とオハラ馬鹿主任がここへ来る前にな」
ペンギンが、手下の一人の頭を叩いて急がせながら言った。羽ハタキ工場の裏に待たせているトラックの荷台にもう一つ箱を載せている男は、怖がったひよこの様にあたふたした。
「全部運ンだべ、ペンギン」
もう一人の手下が報告した。
 暫くの間、木箱の通路を往復した後、ペンギンは倉庫の片付いた場所へヨチヨチと歩いて来た。ジョーカーも、嬉しそうに手を叩きながら走り出てきた。
「ホーホー最高だ。ただただ最高だ」
ジョーカーは、彼のうまく行った仕事を振り返りながら言った。
「よくやったぞ、ジョーカー」
ペンギンが言った、
「だが、二匹の“メス”達はどうした?」
「ああ、二人は心配ないよ」
ジョーカーが答えた、
「眼を覚まして逃げ出す時間は無いさ」
ジョーカーは肩の上で手を振りながら言うと、トラックへ向かって歩き始めた。ペンギンは後についてヨチヨチ付いて行き、厳重に封印すると、二人は建物を後にした。
 片付けられた場所にでは、全てが、二人の我らがヒロインにとってうまく行ってなかった。二人は、別々の鋼鉄製の支持棒に向かって縛られていた。夫々、両脚は足首と膝で一纏めに縛られ、両腕は背中に回され手首と肘で縛られ、肩とウエストが各々の支持棒に縛り付けられていた。厚い目隠しは、顔と頭のほとんどを覆っていた。そして、鼻と口をクロロホルムが染み込ませてある厚い綿の束で覆われ、その上から嵌められた猿轡でその場所に固定されていた。二人とも、マスクを除いて全裸にされ、深く眠り込んだまま、立ったまま支持棒に縛り付けられていた。
 各々の支持棒に、そして工場にある全ての支持棒に結わえ付けられていたのは、大型のダイナマイトだった。電気ヒューズがいたるところに走り回り、丁度薬で眠らされているヒロイン達の直ぐ傍にある木箱に貼り付けられたタイマーに繋がれていた。
タイマーの表示は刻々とゼロに近付いて行く。後わずか数分しか残されていなかった。


「クァッ、クァッ!信じられない程の収穫を上げたな!」
ペンギンが自慢げに言った。
「ああ、全くだ、ペンちゃん」
ジョーカーが答えた
「それに、素晴らしい点はキャットウーマンが全部泥を被ってくれる事だ」
「そうだ、もう蝙蝠コンビも、メス蝙蝠共々排除したから、俺達は大手を振って歩けるって訳だ」
リドラーは、札束がぎっしり詰まった傘を撫でながら付け加えた。三人の悪党達は、魚工場にある隠れ家に座り、先週盗んで得た莫大な収穫を讃え合っていた。悪党達は、どうやってキャットウーマンとバットガールを破り、打ち負かしたかに思いを馳せると、悪魔的な爆笑の渦に包まれた。
「例の間抜け女どもも、今度こそは本当にやられたって訳だ、そうだろう、ペンギン?」
暫しクスクス笑うのを止められなかったジョーカーが言った。
「クァッ、クァッ、全くその通りだ」
ペンギンはパイプをふかしながら言った。
「眼を廻している御婦人方は、もう直ぐ天高く吹っ飛ばされるんだ。警察署長のゴードンとオハラ主任それに制服を着た部下と一緒にな。リドラーがキャットウーマンの手下のふりをして署長に電話を掛け、証拠品とキャットウーマンを提供したいと申し出たのは素晴らしいアイデアだった。」
「ヒヒヒヒヒヒ。勿論、素晴らしいさ。奴ら冗談を真に受けやがった!」
リドラーが答えると、クククククッ・・・と痙攣した様に笑い出した。

「冗談を真に受けたアホは貴方達よ!」
部屋の反対側から妖艶な女の声が付け加えた。三人の悪党とその手下全てが振り返り、背後にいる二つの姿を見た。魚工場の戸口には、尊大な笑みを浮かべたキャットウーマンとバットガールが毅然とした態度で立っていた。
「そんな!そんなはずは無い、クァッ!」
ペンギンが声を張り上げた。
「お前達は縛り上げられ、眠らされた筈だ!どうやって眼を覚ましたんだ?」
「私達は、貴方が思ってたより、少し余分にスタミナが有ったのよ」
バットガールは自信に満ちた態度で答えた。
「あの程度のクロロホルムじゃねずみ一匹だって眠らせられないわ」
「しかし、ダイナマイトはどうした!建物全体が吹っ飛ぶ筈だ」
ジョーカーが聞いた。
「バットガール・バイクを考えれば良いのよ」
バットガールが答えた。
「私のバイクに搭載してある、自動ヒューズ消滅装置が時限装置を検知して、建物全体の電力を停止したの」
「この糞ったれが!」
リドラーは大声を上げ、ジョーカーの腕を叩いた。
「俺が、タイマーを壁のコンセントには繋ぐなと言っただろう」
「ブァーッ!それならお前と、あのへんてこな植物はどうなんだ。あれをあそこまで運ぶのに何時間もかかったんだぞ」
ジョーカーは、リドラーの小さな身体を床に押付けながら答えた。そして、二人はキャットウーマンに眼を向けた。
「えー・・・何故お前は孕んでいないんだ?」
二人が尋ねた。
 キャットウーマンは、腰を片側に動かし、ベルトから掌サイズのピル・ケースを取り出した。
「私は、90年代の男性の女よ。その手の防御無しには決して外出しないわ」
キャットウーマンは自信に満ちた妖艶な声で答えた。
「クァッ!それならお前達は今、絶対に防御が必要に成る!野郎ども、こいつらを子供の産めない身体にしてやれ!」
ペンギンは、命令すると、やる気の無い手下を前に押し出した。
 ヒロイン達は直ぐに行動に移った。男達の背後の壁の前に積み上げられている魚を詰める木箱の山に向かって真っ直ぐに突き進んだ。そして、力一杯木箱を押すと、山が四人の男達の上に崩れ落ち、男達は、何百キロものヌルヌルした魚に埋まった。
 そして二人は二手に別れて、悪党達とその手下への攻撃を開始した。暫くの間は両者互角の戦いだったが、技術、鍛錬度が数の多さを圧倒し始め、最期の悪党が床に倒れた。
 ペンギン、ジョーカーそしてリドラーは全員束に成り、苦悶の呻き声を立てながら、投げ捨てられた人形の様に互い寄り添うように座っていた。

突然、二人のヒロインの背後の窓が大きく壊れた。バットマンとロビンが、ヒーローらしく窓から部屋の中に飛び降りた。
「“聖なる”(Holly)超特大・・・」
ロビンが言い始めるのを、バットマンが手で口を封じた。
「どうか、ロビンを許してやってください」
バットマンが謝った。
「未だ育ち盛りの少年です」
「育ち盛りも色々あるみたいね」
キャットウーマンは、腕を組み、さり気無く少年の股間に眼を落として言った。

その時、ゴードン署長とオハラ主任が警官の一群を引き連れ部屋に入って来た。
「良くやってくれた、バットマン。ゴッタム・シティの全員が君達の素晴らしい働きに感謝するだろう」
ゴードン署長は、バットガールとキャットウーマンの前を素通りして、マントを着けた戦士に歩み寄りながら声を張り上げた。
「正義の味方として当たり前の事をしただけです、署長」
バットマンはそう答えると、顎を少し上げ中空を睨んだ。
「我々は、善が悪に勝利するまでは絶対に休みません」
「あなたが我々の味方で本当に良かった」
オハラ主任が付け加えた。警官達が三人の悪党と手下たちを連行して行った。
二人のヒロインは、眼を点にしてこの光景を見守っていた。バットガールは手を握り締め、眼前で繰り広げられた、トンビに油揚げをさらわれた様な光景を、全く信じられないと言う表情で眺めていた。
「ああ、バットガール」
ゴードン署長が言った。
「貴方にもほんの少しは助けて頂きました。有難う」 
そして宙空を見つめながら続けた、
「娘のバーバラも、結婚する良い男が現われるのを待って家事ばかりしていないで、少しは我々の社会を助ける事に興味を持ってくれると良いんですが・・・」
三人の男が全員揃って首を振った。
「まあ、しょうがないか・・・」
「ヌアアアアアアアアアア!」
バットガールは、歯軋りして叫んだ。そして足を踏み鳴らすような足取りで部屋を出た。キャットウーマンも直ぐその後に続いた。
「男なんて大っ嫌い!」
二人は背後に向かって叫んだ。
「少し感情的に成り過ぎるんじゃない、どうバットマン?」
掌にパンチを打ち付ながらロビンが言った。
「その通りだ。これで、女は決して良い“正義の味方”には成れない、と言う古い諺が証明された。こういう仕事は男の方が適しているんだ」
バットマンは頭を振りながら答えた。

外では、怒り狂った二人の女が警察官を押し退け、犯罪者達の前を通ってバットガールのバイクへ向かった。二人が悪党達の前を通ると、男達は臆病な子供の様に、互いにしがみ付き、犬から身を守る様に少し手を上げ、ワーワー泣き始めた。
「車に乗るんだ」
オハラ主任が命令し、全員を黒いトラックに押し込んだ。
「皆に見せつけてやりましょうよ!」
大声を上げると、バットガールはバイクに跨った。
「言ってやるわ!衣装を着たネアンデルタール人だって私達を舞台の端に追いやったりはしないって」 答えると、キャットウーマンはバイクの後部座席に乗りバーバラに捕まった。
「だけど、言わせてもらうけど、これ、私が見た中で最も醜く、最も愚かに改修されたバイクね。このフリルが付いたレースとピンク色は何のためなの?」
「何の為・・・そうね・・・お祭り気分に成る為かしら」
バットガールは自信なさげに言った。
「こんなのはどう!黒っぽい色で、大きなスポイラーと機関銃が付いてるやつ。今じゃそれがバイクよ!」
キャットウーマンが示唆した。
「そうね・・・貴方、一図書館員の予算でそんなバイク買って見せてよ」
バットガールが答えた。
二人は暫くの間無言で座っていた。
「貴方の所、それとも私の所にする?」
バットガールが尋ねた。
「私の所。だけど今度は貴方が私を縛り上げる番よ」
答えたキャットウーマンは、バットガールにしがみ付いた。既にバイクは走り出していた。
「修理されたアンドロイドを手に入れる方法はないかしら?」
走りながらバットガールが尋ねた。
「ヘーンだ、私、何時か、あの植物を手に入れるわ」
キャットウーマンが答えた。
二人は夜の闇の中へ疾走して行った。




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