目録へ  


  バットガールとキャットウーマン                             Mr.X 著  いぬかみ訳

バットガールとキャットウーマン by Mr.X
(原題 Batgirl and Catwoman)

訳者前書き
 この作品は、かいまーさんが翻訳してくれた「Take Two」の前作にあたります。しかし、どちらを先に読んでも内容には付いて行けるでしょう。
この作品には、くすぐり(笑いを誘うところ)が沢山あります。笑いながら気楽にお楽しみください。

第一章
 水曜日の午後、ゴッタムシティは晴だった。皆が、日曜日だったらと願う様な日だった。その日は、マダム・ザミアーの世界的に有名な、カタロニアン・キャッツアイ・オパールコレクションの盛大な展示会が催される日であった。

「さて、マダム・ザミアー、貴方のキャッツアイ・オパールは一千万ドルの値打ちが有りますが、誰かに盗まれる恐れは無いのですか?」
高齢の億万長者の回りを、他のレポーター達と一緒に、まるで蜂蜜の瓶に群がる蜂の様に付きまとっているレポーターが尋ねた。
「ええ、少しも」
 よぼよぼのマダムは高慢な笑みを浮かべ、
「私のキャッツアイ・オパールは最も厳重な方法で保護されているんですから・・お見せしましょう」
と言うと、レポーターの群衆を引き連れ、肥満した億万長者は、ゴッタムシティ自然・歴史博物館の中にある宝石展示室の方へ向かった。
一行が部屋の扉の所に到着すると、マダム・ザミアーは立ち止まり、
「ご覧の通り、オパールが展示してある部屋は、厚さ5cmの鋼鉄の板で隙間無く囲まれており、正面の扉は厚さ10cm以上もある鋼鉄の板で出来ています。戦車だって通れませんわ」
マダムが説明した。
「他には出入り口も無ければ窓もありません。この扉を通らない限り、絶対に部屋の中には入れません。」
マダムは誇らしげに言った。

 部屋の外で、マダム・ザミアーが安全さを説明している時、部屋の中では煙が立ち上り始めていた。煙は、タイル張りの床から円形状に、シューシュー、パチパチを音を立てて湧き上がっている。暫くすると、酸で犯された床が落ち、床に円形の穴が開いた。

「例え、犯罪者が部屋に入る事が出来たとしても、部屋の気圧の変化を感じて直ちに睡眠ガスが放出され、どんな犯罪者も意識を失い無力化します」 マダムは続けた。

 梯子の先端が床に空いた穴に現れると、壁から一斉に大量のガスが放出された。梯子から、ダイビングに使うボンベを背負った男の頭が現れ、部屋の中の様子を窺った。そして、梯子を上ってホールに入ると、続いて梯子を上って来る二人の男の手助けをした。

「もし、ガスを突破されたらどうなるんです?」 レポーターの一人が尋ねた。
「馬鹿な事を聞かないで下さい」マダムが答えた、
「そんな事をしても無駄なんです。オパールのケースはハイテク・プラスチックで出来ていて絶対壊せないんです。」

 三人の男は、何かペースト状のものを、丁度車にワックスを塗る様に、ケースに塗り始めた。少しすると、高分子溶融剤が効果を発揮し始め、プラスチックが弱く成ると、男はケースを、プラスチックの買い物袋を叩き破る様に簡単に穴を開けた。

「例え、ケースが破られても、私はそんなことは起きないと確信していますが、オパールをその場から動かす事は出来ません。」 マダムが続けた。
「それは何故ですか?マダム・ザミアー」 レポーターが尋ねた。
「非常に特殊な装置で、オパールの回りに磁場が張り巡らしてあり、実際、その場所からオパールを動かす事は不可能なんです。 それを動かせる力は宇宙には存在しません。無いんです、世界で最も信頼出来るゴッタムシティ発電所からの電力が止まらない限りは・・・」

 数区画離れた所で、小さな爆発が送電塔の上部を吹き飛ばした。支持を失った巨大な電力トランスが地面に落ちると、あちこちで火花が飛び散った。送電塔から走って来た三人の男は、通りの反対側に止めてあったトラックに乗り込んだ。トラックは、軋む音をさせて発進すると、丘を下り暗く成ったゴッタム市の中心部へ向かった。

 その時、博物館の全ての照明が落ちた。暗闇の中で混乱した群衆は、悲鳴を上げパニックに陥った。暫くして、緊急用の赤いライトが点灯した。
「予備の発電機が有ります」マダムが大声で言った。
「警備員さん、直ぐに扉を開けて頂戴!」
マダムの要請に、二人の警備員が駆けつけ、巨大な扉を開けた。扉が大きく開かれると、群衆は唖然として立ちすくんだ。ケースの中は空っぽだった。


「今日は全く最悪の日ですな、署長」オハラ主任は、絶望した表情で頭を振りながら、灰色の髪のゴードンが電話の受話器を置くのを見つめていた。
「全くだ、オハラ主任」署長が答えた。
「とてつもなく高価なキャッツアイ・オパールを盗んだのは、間違いなく・・・」
「ああ、署長その先は言わないで下さい。私の耳は聞くに耐えられません。」
オハラ主任は手を振りながら言った。
「私だってそうさ、主任。悪猫の毒爪にやられたんだ。犯罪の女悪魔・・・キャットウーマンの仕業に違いない!」
「嗚呼、何てこった!」主任は目玉を上に向けて大声を上げた。
「我々に取り返す事が出来るでしょうかね?天は門を開いて我々の希望を全部飲み込んじゃったんじゃないでしょうか?」
オハラ主任、愕然とした表情で言った。
 しばし、瞳に不屈の輝きを浮かべながら外を凝視いていた署長は、椅子から身を起こした。
「今、我々を助けられる者が只一人いる。疫病猫をこの町から除去出来る男がな。」
そう言うと二人は、部屋の向こうの隅に有るガラス容器に入った赤い電話機に眼を向けた。

「お取り次ぎ出来るか確かめて参りますので、少しお待ちください。」
アルフレッドは冷静に英国風な表現でバットフォーンに応対した。

 バット洞窟から飛び出したバットモービルが‘反対車線’を突っ走り、ゴッタム・シティへと突進して行った。彼らが町へ出向く時、何度も繰り返されたお馴染みのシーンだ。大きな黒い車が警察本部の前に止められ、マントを羽織った戦士達が建物の中へ飛び込んで行った。
「キャットウーマン一味がオパールを盗むのを実際目撃した者がいるんですか?」
バットマンが尋ねた。
「えーと、バットマン、それはいないんだ。だが、これはキャットウーマンのやり方だ。」署長が答えた。
「そう、彼女の‘motis?operandi’だ。」少年が唐突に言った。
「‘motis?operandi’?」主任が当惑顔で尋ねた。
「そう、Motisはラテン語で動機とか姿態という意味、Operandiは作戦。つまり彼女スタイルのやり方という意味です。」
ロビンは、お馴染みの、掌にパンチを打ち付ける仕草をしながら答えた。
「ラテン語に親しんでいるのは感心だが、今我々に必要なのは手掛かりで、ラテン語の勉強じゃない。」
そう言うとバットマンはロビンと一緒にドアの方へ向かった。
「バット洞窟に行くのかね?」ゴードン署長が尋ねた。
「そうです、それから博物館を調べます。まだ手掛かりが残っているかもしれませんからね」
バットマンが答えた。
「だが、私の部下が念入りに調べたけど、何にも見つからなかったですよ」主任が言った。
「ゴッタム・シティで最も有能な主任の能力を疑う訳じゃ有りませんが、キャットウーマンは、あなた方の手に負える相手じゃ有りません」
バットマンがドアを開けて言った。主任は、マントを着た戦士の言う事が正しいと認めつつ首を振った。
「キャットウーマン!」
開いたドアの所で悲鳴の様な女の声がした。四人の男達は、ゴードン署長の愛嬢バーバラが入り口に佇んでいるのが眼に入った。彼女は急ぎ足でバットマンとロビンの脇を通り父親の方へ歩み寄り、頬に軽く口付けをした。
「いったいキャットウーマンの何について話しているの?」
バーバラは、大きな茶色の眼をぱちくりしながら無邪気に尋ねた。
「ああ、何も心配する事無いよ、バーバラ。バットマンとロビンは丁度、博物館で起こったオパール泥棒を調べに行く所さ」
ゴードン署長は、娘に心配をかけさせない様、優しく言った。
ゴードンは、いつも娘にはその様な態度を取っていた。いつも、娘が初心な生徒であるという思いを抱いていた。バーバラは、当初この様な父の態度が気に入らず反発した。しかし彼女は、この様な初心なイメージを利用する事を学んだ。行動は悪循環の様に見えた。バーバラがより天使の様に振舞うと、父親は彼女をより子供っぽく扱った。これが、父親からより多くの情報を引き出すため、彼女をより初心に振舞わせた。馬鹿げている様に見えるが、効果はあった。
『私がアパートで何をしているか、お父さんが知ったら・・・』バーバラは心の中で呟いた。
「えーっと、私、丁度仕事から帰る途中なの。それで一緒に晩ご飯を食べに行こうって誘いに来たの」
バーバラは、父親が断るのを知りながら尋ねた。父は、町に邪な犯罪者がいる限り、どんな社交活動も、常に断るのだ。実際、バーバラは晩飯に行く所ではなかった。その代わり、オパールが盗まれた事を聞き付け、父親から情報を引き出そうと初心な娘を装たのである。
「いいわ、読んでおかなきゃいけないものがあるから」
バーバラは同じ調子で言うと、父親の頬に再度口付けをし、バットマンとロビンが通って行ったドアから外へ出て行った。

バーバラのアパートのドアが勢い良く開くと、駆け込んで来た若きヒロインは一直線に寝室へ向かった。「今はお喋りしている暇は無いのよ、チャーリー」
バーバラは、ハンドバッグとコートを長椅子の上に放り投げ、ペットのオームが入った鳥籠の前を通り過ぎた。飼い主から、いつも長い話しを早口で話しかけられるオームは、完全に混乱して何も話せそうになかった。幾つかの理由によって、バーバラは、彼女の計画をオームに話しかけていた。勿論、いつも変わる話しに、オームは一言一句覚える事が出来なかった。
 何年もかけて覚えたたった一つの句は「まあ、どうしましょう!(Oh MY GOD)」だった。この句はだけは、オームが覚えるのに充分な程何度も大声で繰り返されて来たのだ。これだけが喋れる言葉だった。しかし、バーバラが‘その気分’に成った時には、寝室のドアは閉じられ、彼女自身を喜ばせている時の呻き声や悲鳴が部屋中にこだましていた。
 バーバラは非常に内気な性格だった。子供の頃は一人で遊ぶ事を好み、本の虫で何時も本を読みふけり友人を作ろうとはしなかった。バーバラが成長し大学を卒業した頃、バーバラは自分の肉体がとても良く発達しており、適切な服装をすれば非常に魅力的である事に気付いた。しかし、男とのデートは直ぐに止め、バーバラは自慰行為の方が、特にボンデージがらみの異常な状況での性的刺激の方がより大きい事に気付いた。何故か、拘束され猿轡を嚼まされ、意志に反して絶頂を強制される事は、信じ難い程バーバラを欲情させ、体中が性的興奮でゾクゾクするのだった。それは強姦願望だろうか?バーバラは分らなかったが、気にもしなかった。それは愉快で興奮するものであり、又、彼女を知る誰もが抱く、型にはまった見方を壊すものでもあった。お父ちゃんの可愛らしい少女は、実際は悪い子で、その秘密が彼女を興奮させ燃え上がらせるのだった。
 これは、バーバラがバットガールという役柄に魅了される理由でもあった。凶悪な犯罪者の手に落ち、危機的状況に置かれる事は、圧倒される程ゾクゾクする体験をもたらすのだ。
バーバラが幼い頃、誰も彼女の事を気にも止めなかった。バーバラは、無視される虫けらの様なものだった。しかし、定常的に身体を鍛え、エアロビクスを続けて行くと、バーバラは信じ難い程見事な肉体を持った若い娘に成長した。そして、その見事な肉体を人に見せる事が大きな喜びを与える様に成った。
『どう、私きれいでしょ、だけど貴方は私をものに出来ないの!ハハハ』
バーバラは自分自身そう思っていた。
 これが、バーバラがバットガールの衣装を変えた理由だった。古い衣装は機能的だが全くファッション性に欠けている。バーバラは、身体の線や肌を露出する事で、悪党の注意力を少しでも妨害すれば自分に有利に展開すると感じていた。これは効果的な方法だと思われた。殆どの場合、男は眼の前の女の姿に混乱し呆然として動けなく成り、彼女は簡単に先手を取る事が出来た。
 全身を覆う衣装は止め、代わって二つの部分から成る衣装にした。上の部分は、エアロビクス練習着に良く似た黒いスパンデックス製のもので、腕を完全に覆い胸部を横切る様に繋がり、腹部と臍を露にしている。衣装の下に付けた黒いブラが、彼女の両胸全体を互いに押し付け、双丘の間にくっきりとした谷間を造っている。衣装は、顎の直ぐ下迄覆い、タートルネックのセーターを着ている様に見えた。黄色い小さなバット・シンボルが左胸に縫い付けられている。
 下部は、黒いスパンデックス製のショーツで、臍の直ぐ下から腿の付け根の曲線に沿った範囲を覆っている。この為、腿も脚も全体が露に成っている。
 ブーツは、足首から膝の下迄覆うハイヒール型に取り替えた。手には、ピッタリした肩迄届く程の黒い革のグラブを嵌めている。
只一つ前の衣装と同じなのは、腰に付けられたバットガール万能ベルトだけだった。
 いつも身に付けていた重いバットフードは止める事にした。暑く動きにくいし、視界の妨げにも成るからだった。代わって、黒いマスクを付けた。それはロビンのと同じ様な形だったが、一回り大きく眼の部分の穴はより女性的なものにした。赤いかつらも止め、彼女の短い黒髪を、冠の様に纏めて頭のてっぺんにピン止めした。
バーバラは、多くの悪党どもは彼女の肉体を見るのに忙しく、顔迄は見ない事を知っていた。ロビンが、あの一寸したマスクを付けているだけなのに、誰も彼の正体を見破れない事を考えれば、それで充分だろう。
 最後のものは、首の回りを包み、お尻の丸み辺り迄、背中に垂れ下がった絹の小さな黒いマントだ。
バーバラは、両手でマントの端を掴み、寝室に有る等身大の鏡の前で、洗練されたファッションモデルの様に体を捩りポーズを取った。そして、子供の様な笑みを浮かべ、バーバラはバット・バイク置き場の秘密の入り口に向かって悠然と歩いて行った。
「バットマンとロビンより先に博物館に行って、私自身で手掛かりを見つけてみせるわ。」
バーバラは、秘密のドアからバイクを発進させて言った。

 バット・モービルは街を離れバット洞窟へ向かって疾走していた。
「キャットウーマンは何を企んでいるんだと思う?バットマン」
ロビンは、いつもしている様に両掌を打ち付けながら言った。
「古いラテン語の言い回しは知らないが」バットマンが答えた
「キャットウーマンの様な悪い女のやり方は簡単には推測出来ないよ。これは君が子供から大人に成るに連れ学んでゆく事でもあるんだ。」バットマンが父親の様に言った。
「バットマン、この女のやる事には、時々本当に当惑させられちゃうんだ。」
ロビンは首を振りながら言った。
「心配ないよ、先週バット・コンピュータに立ち上げた‘バット式女の考え方分析システム’が間違いなくキャットウーマンの行動を分析し彼女の次の動きを予測する筈だ。」
バットマンが誇らしげに言った。
「あるいは、試みを吹っ飛ば・・・」
バットマン聞き取れない程の小声で言った。
 突然、疾走するバット・モービルの下で大きな爆発音がすると、マントを付けた戦士達を乗せた車は制御不能に陥り蛇行し始めた。
「しっかり捕まっているんだ、ロビン!」
バットマンが命令を発した時、車は傾き、崖から下の木々を目掛け転落して行った。

「マントの戦士達はもう到着しても良い筈なのに」
博物館に通じる窓の下に屈み込んでいるバットガールが独り言を言った。
「兎に角、直ぐに来るでしょう。彼らがここにいる限り、何も心配する事はないわ」
そして、バットガールは窓を開け、音を立てない様に中へ入った。
 バットガールは、博物館の暗い廊下をオパール展示室へと向かった。ドアの近くに来ると、暗闇の中で何者かが動いている音が聞こえた。
「畜生!」
ドアの向こうから、部屋の中で探し物をしている女の声が聞こえた。
『キャットウーマン、とうとう見つけたわ』
バットガールは懐中電灯を取り出しながら思った。光が漏れない様に、懐中電灯の先端を両手で覆い、スィッチを入れ光を眼に近付けた。バットガールは、暫くそのままにして、眼を明るい照明に慣らした。
 懐中電灯の光を消し、バットガールは立ち上がると、忍び足で真っ暗な部屋の中を壁に添って進み、部屋の照明のスィッチを捜した。懐中電灯の光に慣れたバットガールは、真っ暗な部屋の中では殆ど何も見えなかったが、部屋の照明を灯けた時、瞬きもせず部屋の中を良く見渡す事が出来た。
 準備が出来ていなかったキャットウーマンは、部屋に溢れる光に、暫し眼が見えず、部屋の真ん中で固まっていた。
 バットガールは立ち止まり、衝撃を受けている女盗賊を見つめた。明らかにキャットウーマンも、衣装にはバットガールと同じ様な考えを抱いていた。しかし、キャットウーマンの衣装はもっと極端なものだった。
 キャットウーマンは背の高いほっそりした黒髪の美人だった。キャットウーマンはバットガールよりも頭一つ半程背が高く、ハイヒール無しでもバットマンと同程度の背の高さだった。肩幅は非常に広く、それが大きな胸部に乗っている。胸部から下に向かって引き締まった形の良いウエストに向かって滑らかな曲線を描き、そこから外側へ曲がり、幅の有る豊満な腰の曲線を描いて行く。形の良いむっちりとした脚は非常に長く、彼女の身長の半分以上を占めていた。キャットウーマンの全身は、日焼け線が分らない程、小麦色に日焼けしていた。
 バットガールの子供っぽい顔と異なり、キャットウーマンの顔は成熟した女の顔だった。キャットウーマンは広い強そうな顎をしており、顔全体の造作は年齢を言い当てるのが困難で、洗練された印象を与えていた。
 最も目立ち、バットガールが最も注目したのはキャットウーマンの巨大な胸だった。前にバットガールが気付かなかったのは、単に以前の衣装が肉体的特徴を隠していたからだった。しかし、新しい衣装を身に着けた今、それは殆ど剥き出しで、バットガールが思っていた以上に大きかった。
『この女は、こんな胸をして、如何して激しい活動が出来るのかしら?』 バットガールは思った。
二つの豊満な張りの有る乳房が胸に存在感を示し、動く度に微かに揺れ動いた。衣装で締め付けられていても、胸の辺りに突き出た胸の膨らみが背後からでも窺える程だった。
 キャットウーマンの衣装は非常に露出的だった。それは白いスパンデックス製のワンピース入浴着の様で、辛うじて要所を隠していた。首の回りで結ばれた二本の紐は、鎖骨辺りで交差し乳首の辺りのみを覆うだけで、胸は殆ど露出している。紐は脇を通って下半身に向かい、V字型に切れ込んだフレンチ・ビキニに繋がっていた。別の紐が彼女の背中で交差し上方に伸び、衣装を補強していた。この為、腹部を含め彼女の前面は殆ど剥き出し状態に成っている。長い脚は、腿の真ん中辺り迄を覆う薄手のピッタリした、ヒールの高さが10cm以上もあるラテックス製のブーツで覆われている。腕もブーツと同じ材質ので出来た、二の腕迄ある白いグラブを着けている。顔はバットガールと同様だが、黒髪の頭部に突き出た猫耳が付いた薄いマスクで隠されていた。
 光の衝撃を受けたキャットウーマンは眼を覆い、後へよろめいて下がった。バットガールは壁から離れ、両足を少し広げ手を腰に当てて、優越さを示すポーズを取った。
「これ迄ね、キャットウーマン」
バットガールは自信に満ちた声で宣言した。キャットウーマンは手を顔から下した。キャットウーマンの眼は、眩しさを緩和しようとするかの様に瞬きを繰り返した。
「ああ、 蝙蝠女ちゃん、貴方だったの。他に捕まえるべき与太者がいるんじゃないの?」
キャットウーマンは、迷惑そうに手でバットガールに‘あっちへ行け’と言う仕草をしながら低い官能的な声で言った。
「貴方以外にはいないわ、キャットウーマン、さあ、オパールは何処なの?」
バットガールが強く迫った。
 キャットウーマンは瞬くのを止め、毅然とした表情のバットガールの方を向いた。そして、両足を少し広げ、手を腰に当ててバットガールに正対した。両者は殆ど同じポーズだったが、キャットウーマンの方がずっと背が高く、キャットウーマンが若いバットガールを威圧する風だった。少しの間、両者は姿勢を崩す事無く互いに相手の全身を素早く見回した。丁度二匹の猫がフーフー言い合う様だった。やがてキャットウーマンが姿勢を崩し、艶かしい足取りでバットガールの回りを歩きながら、頭から足先迄見回した。バットガールも注意深くキャットウーマンを見つめながら、キャットウーマンの回りを回った。
「素敵な衣装じゃない、お嬢ちゃん」キャットウーマンは冷静に言った。
「どうやらあんた、男は頭じゃなくてチンタマでものを考えると思っているみたいね」
「貴方こそずっと以前からそう思っていたんでしょう」
バットガールは、頭に来た学校の生徒の様に答えた。キャットウーマンは歩き回るのを止めバットガールの正面に立った。
「この衣装は何処で手に入れたの? この素材、気に入ったわ」
キャットウーマンは、手を伸ばし素材の感触を確かめながら言った。
「ああ、これはマッキーのエアロビック用衣装よ。私が自分で縫ったのよ。」
バットガールは笑みを見せ、誇らしげに言った。
「貴方のブーツは何処で手に入れたの?」
「ああこれはグッチのオリジナル製品よ。イタリアで注文しなきゃならなかったのよ。手元に届くのに三ヶ月も掛かったわ。海外からの注文じゃ買えないの、特に衣服はね。」
キャットウーマンが、忌々しそうに眼を上に向けて言うと、
「良くわかるわ」バットガールが答えた。
「このショーツも届くまで一月・・・・嗚呼、こんな事言っている場合じゃないわ!」
バットガールは首を振りながら突然大声で言った。
「さあ、オパールをどうしたの?」バットガールは再度詰問した。
「私がやったと思ってるの?」キャットウーマンは否定する様に大きな声を出した。
「良く聞いてね、お嬢ちゃん、私は、刑務所で最後のお務めをして以来、真っ当な道を歩もうとしているのよ。刑務所の中の事知らないでしょう。食べ物は酷いし、髪がどう成るか想像もつかないでしょう。それに、バットマンと最後に格闘して以来、私は自分の人生について真剣に考えたのよ。それに、もし私が犯罪者のままなら、バットマンは私の様な女と何もする事は何い事も知ってるしね。」
「それ、金輪際悪い事はしないって事?」バットガールは当惑して尋ねた。
「キャットアイ・オパールを盗んだやり口は、貴方の‘motis?operandi’だと思ったけど」
「‘Motis?operandi’ですって?」キャットウーマンは頭を捻る様に答えた。
「そう、ラテン語で、‘作戦形態‘って言う意味よ。」バットガールが説明した。
「へー・・・でも違うわ。」
キャットウーマンは少し頭を振りながら言った。そして困惑した様な眼でバットガールを見た。
『この哀れな女は、お高く止まる様に成っちゃったのね。まるで、何にでも、糞にまで‘聖なる(holy)’を付けて言うロビン坊やと同じ位酷いわね』キャットウーマンは心で思った。
「私は、仲間だった悪党を捕まえる為に、猫盗賊としての才能を使おうとしてるのよ。」キャットウーマンは続けた。「もし、私が償いをすれば、私が善良な人間だってバットマンに分かってもらえると思ったのよ。」
「オパールには手を出していないって誓うわ!」
壊れたショーケースの上で手を振りながらキャットウーマンが説明した。
「分ったわ、でもそれなら誰の仕業だと言うの?」
バットガールは首を傾げ、キャットウーマンを不審の眼で見ながら言った。

「俺達がやったんだ!」 
二人の背後から声が響いた。二人は驚いて飛び上がり振り向いた。ホールの端には、ペンギン、ジョーカー、リドラーそれに彼らの手下達が立っていた。



第二章

「ホーホーホー、ひょっとするとあんた蝙蝠姉ちゃんかい? それに誰なのこれ、ああ、見る度に魅力的に成るキャットウーマンね」
ジョーカーは、新しい衣装に身を包んだヒロインをおどけた調子で眺め、おちょくる様に言った。
「一寸ここへ来てごらんなさいバカ男、その目ん玉を後ろ向きに頭の中に押し込んであげる!」
キャットウーマンは片方の眉を上げ、腰を一方に揺り動かし、落ち着いた官能的な声で言った。
「こういう風にかい」
ジョーカーは笑いながら、眼に手をやり、高校の生徒が冗談にする様に、瞼をひっくり返してみせた。この悪戯にジョーカーとリドラーはケタケタと大笑いした。しかし余りの幼稚さに、女達は首を振り嫌悪感を示した。
「クァッ、クァッ・・・お前、お粗末な道化師の真似なんかやめろ」ペンギンが叱責する様に言った。
「そんな事をしている暇は無いぞ。例の奴らがジョーカーの仕掛けに生き残ってたら、今にもここへやって来るかも知れないんだぞ・・クァッ、クァッ」
「ああ、だが奴らは生きちゃいないさ。爆発はどんな乗り物でも、バットモービルでも充分ぶっ飛ばせる程なんだからな」ジョーカーが答えた。
「バットマンの車に爆弾を仕掛けたですって?」バットガールが声を張り上げた。
「その通り、警察本部の真ん前でだ。ヴァハハハハハハ」ジョーカーは吹き出す様に笑った。
「クァッ・・お喋りはもう充分だ」
ペンギンが割って入り、手下達を二人のヒロインに向けて突き出した。
「畳んじまえ!直ぐにだ! クァッ、クァッ」
 ペンギン、リドラーそしてジョーカーの手下達は束に成って二人の女に向かって行った。最初に襲いかかった男はまともにハイキックを顔に受け、テニスボールの様に弾き返されて後に続く三人を薙ぎ倒した。
 続いて他の四人の男が襲いかかり、一人がバットガールを横殴りに腕を振るったが、バットガールに簡単にかわされ、胸にサイドキックを受けて床に沈んだ。
 キャットウーマンは、飛び上がり二人の男の顔面に回し蹴りを見舞うと、二人の男は、丁度箒で掃かれた埃の様に一塊に成って倒れた。
 しかし、三人目の男は蹴りをかいくぐり、キャットウーマンの顔に強烈なパンチを打ち込んだ。キャットウーマンはよろけて後退し、二人は離ればなれに成った。
 ペンギン、ジョーカーそしてリドラーが、倒された四人の手下に続いて戦闘に飛び込んで来た。バットガールの回りとキャットウーマンの回りとに二つの集団が出来た。
 バットガールは、次から次へとパンチを繰り出し、その度に男達を撃退した。一般に統制の取れてない多数と戦う事は、寧ろ一人と戦うよりも容易で、多くの場合敵は同士打ちをするはめに成る。バットガールは敵の攻撃から身をかわす術を知っており、身軽な素早い動きで敵同士で鉢合わせにさせた。更に都合の良い事に、敵は彼女を捕まえようとしていた為、無防備に成った所をバットガールの強烈な攻撃を受ける事に成った。
 キャットウーマンも、卓越した敏捷さと技術で、素早い身のこなしと蹴りを振るい、うまく戦っていた。バットガールは、キャットウーマンが、衣装をずり落とさずに動ける事に感心した。
 突然、バットガールは背中にズシッとする痛みを感じた。背後からジョーカーに木製の椅子で叩かれたのだ。クラクラしたバットガールは部屋の反対側の壁に向かってよろめいた。それと同時に、キャットウーマンも素早いパンチを続け様に顔と腹部に受け、同じ壁に向かってよろめきながら後退した。
 二人のヒロインは同時に壁にぶつかり、そこに立っている棚にもたれ掛かった。
「まるでバットマンとロビンみたいね」
バットガールは、冒険を楽しんでいる様にニッと笑った。
 キャットウーマンはバットガールを睨みつけ、指をバットガールの顔の前で振りながら
「もし、‘聖なる、何とか’なんて言ったら、眼の玉をくりぬいてやるから」 と声を張り上げた。
 そう言うと、二人は4m程有る棚の両側へ飛びのき、棚を壁から引き離なすと、襲いかかって来る六人の男達の方へ倒した。六人の男は全員棚の下敷きに成り、一瞬に姿を消した。
 リドラーは軽々と倒れた棚に乗り、キャットウーマンの腹に素早いパンチを打ち込んだ。キャットウーマンは部屋の片隅によろけた。 その時、男の一人がバットガール目掛けパンチを繰り出していたが、バットガールは巧みによけていた。
 よろけて後退するキャットウーマンを、ジョーカーが脇から抱き抱え。同時に、倒れていた男がキャットウーマンの脚を掴み、床に引き倒した。直ちにペンギンが近付き、四人の男が無防備と成ったキャットウーマンをめった打ちにしだした。
 敵を撃退したバットガールは、キャットウーマンが窮地に陥ったのを知った。素早く考え、バットガールは部屋の反対側へ走り、棚の上に登った。そこからバットガールは身を踊らせ、吊り下がっているシャンデリアを掴んで、男の集団目掛けて飛び掛かった。
 彼女の強い脚は、四人の男を蹴散らした。そしてバットガールは着地し、キャットウーマンの腕を掴んで引き起こした。
「うわー!」キャットウーマンは頭を振りながら大声で言った
「悪党をやっている方がずっと楽だわ」
 二人は大きな壁掛けが取り付けてある壁の前に後退し、敵の攻撃に備えた。ペンギン、ジョーカーそれにリドラーはゆっくりと起き上がり、ヨロヨロと部屋の中央に進んだ。辺りを見回したペンギンは驚いて眼を剥いた。
「クワッ・・・信じられない。たった小鳥二羽に我々の羽を全部毟られちゃったとは。クワッ、クワッ・・・そんなとこに寝てないで直ぐ起きろ、奴らを捕まえるんだ!」
ペンギンは、床に倒れている六人程の手下を蹴り付けながら命令した。
「あんた一人じゃ戦えないみたいね、ペンギン」
バットガールは手を腰に当て、いつもの自信に満ちたポーズを取って言った。
 バットガールを見ながらキャットウーマンも同じポーズを取った。
「さて皆さん、大人しくする、それとも、痛いめにあいたい?」
キャットウーマンの態度も同じ様に自信に満ちたものだったが、より艶かしく挑発的だった。
 リドラーは、身体を震わせ含み笑いをし始めた。
「フフフフフフフフフフフ、この謎が解るかい姉ちゃん。タップ(Tap) ダンサーとパン生地(pastry)を一緒にしたらどうなるか?」
 バットガールは、首を傾げ直ちに謎解きを始めた。それを見たキャットウーマンは軽く小突き、眼を回した。
「このくだらないなぞなぞは一体なんなの?」
キャットウーマンは、この馬鹿げた状況が信じられないという風に頭を振りながら尋ねた。
「いえ、一寸待って!」バットガールは手をキャットウーマンの肩に当てて言った。
「タップ(Tap)ダンサーでしょう・・・それにパン生地(pastry)・・・壁掛けの事かしら(tapestry)? バットガールは半信半疑の様子で言った。
「その通り、 淫乱蝙蝠!」
リドラーがクスクス笑った。突然、二人のヒロインの頭上目掛けて腰に構えた小さなレーザーガンを撃った。レーザービームは壁にかかっている重い壁掛けを吊るしている留め金を照射した。落下して来た巨大な布が二人を巻き込んで床に広がった。
 間髪を置かず、ダメージから回復しつつある男達が起き上がり、壁掛けの上に重なり合い、床に広がった壁掛けにある二つの膨らみを袋だたきにした。更に三人の男が無抵抗状態に成ったヒロイン目掛け突進した。
 男達は、二つの膨らみを掴み、壁掛けから頭が出て来るまで二人を引っ張り出した。壁掛けから頭を出した二人は漸く新鮮な空気を吸う事が出来たが、身体の他の部分は依然として巨大な布に包み込まれ、もがいていた。
「クァ、クァ・・・良くやったリドラー。だがお前の馬鹿げたなぞなぞで全てを台無しにする処だったんだぞ」ペンギンが声を張り上げた。
「クァ、クァ・・・俺も混ぜてくれ!」
そう言ったペンギンは、手下の何人かを押しのけて二人に近付いた。
「クァ・・・顔を覆え・・・」
そして傘を持ち上げ、その先端を二人のヒロインに向けた。先端から吹き出した青いガスが、二人の顔に吹き掛かった。二人は喘ぎ咳き込んだ。しかしその睡眠ガスは即効性で強力なものだった。キャットウーマンとバットガールは意識を失い、動きも静まった。
「クァ・・・ジョーカー、キャットウーマンとバットガールの面倒をみてくれないか。どっちか一方でも、特にキャットウーマンは我々の計画の邪魔に成るからな」ペンギンが命令した。
「フフフフフフフフ その通りだ、ペンギン。キャットウーマンの犯行という事にしておけば、警察や例の間抜けな二人組は、我々じゃなくてここに居るムショの女王を追いかけるだろうからな」リドラーが付け加えた。
「ホーホー この雌のお客のもてなし方には考えが有るよ」
ジョーカーはうっとりした表情で答えた。
「さあ直ぐに、二人を縛り上げるんだ。それに持ち運びしやすい様にしてくれ。」
「絶対に逃げられない様に緊縛しろよ。クァッ」ペンギンが答えた。「ヘマをするなよ・・・」
そして、傘でジョーカーを小突いて付け加えると、リドラーとその手下と一緒にドアから出て行った。
 ジョーカーの手下は壁掛けを取り除き、気を失っているヒロインを引き出し床に寝かせた。キャットウーマンを俯せにすると、両腕を背中に回し、両手首をそして肘もしっかりと縛り上げた。
 それから、ロープを膝から足首にかけてぐるぐる巻きに両脚を縛り上げた。そしてキャットウーマンを座らせると、上腕部にロープを巻き付け、縛られた腕が脚を擦り抜けられない様にした。
 丸めたバンダナを口の中に押し込み、もう一本で口の回りを結んだ。そして最後に、三本めのバンダナで眼を覆い、キャットウーマンの目隠しをした。
 バットガールも同じ様に縛り上げられた。縛り終えた四人の男は立ち上がり、緊縛されて床の上で眠るヒロインを覗き込む様に見下ろした。
「ホーホー 直ぐにトラックに運ぶんだ。連れて行く場所は決めてある。」

 ゴッタム市に朝日が昇り始める頃、小さなトラックは、市の外れに在る廃棄されたピンキー・ピンクストン 大人の玩具工場の裏口に急停車した。トラックの後部ドアが開き二人のヒロインが運び出され、建物の中へ運ばれて行った。ジョーカーが、体を捩らせてもがくヒロイン達を引き連れ建物の中に入ると、主要商品室のドアが大きく開いた。ペンギンのガスの効き目は、トラックの中で既に失せていたが、ジョーカーは再度ジョーカーガスを使う必要は無いと感じていた。トラックの中で転げ回り、暴れ回る二人を見るのはこの上ない娯楽だった。
 二人は、部屋の中央に置かれた機械の所に連れて来られた。その機械には、鋼鉄の板で出来たベッドが二つ設けられていた。二つのベッドは横並びに配置され、床から約30度程傾いていた。夫々のベッドの上部は平なままだったが、中央付近から下部は45度の角度に広がっていて、鷲が羽を広げた様な格好に成っていた。機械には様々な装置類やコンピュータ・コンソールが繋げられ、横には二組のベルト・コンベアー機構が備わり、そして奇妙な機械が広がったベッドの間に設置されていた。
 ヒロイン達は、無理矢理鋼鉄製のベッドに寝かされると両腕の縄が解かれ、直ちに、頭の上の部分にある金属の輪に繋がれた。同時に両脚の縄も解かれ、広げられたベッドの脚部に取り付けられてある金属の輪で拘束された。
 開脚姿勢で固定された二人は、尚も抵抗の呻き声を上げ、身を捩ったり跳ねたり激しく暴れた。
「ホーホー、猿轡を外してやれ」ジョーカーが二人を指差し命令した。
「二人が降参して許しを請うのを聞きたいんでね」
 猿轡と目隠しが外され、セリーナとバーバラは状況を把握すべく辺りを見回した。
「ジョーカー!ここは何処、どうするつもりなの?」
キャットウーマンは、自分が居る場所が解らず大声で言った。
「ここは廃棄されたピンキー・ピンクストン大人の玩具工場よ。」バットガールが答えた。
「依然良くここへ・・・」
 バットガールが話し始めると部屋が静まり返った。皆、真面目に見えるバットガールが、変態的道具を造るこの様な場所を知っている事に驚き、唖然としてバットガールを見つめた。
「あー・・・えーっと、その・・・何処かの新聞記事で見たの」バットガールは赤面して言った。
「如何して知ったにせよ」ジョーカーは、バットガールに手を振りながら言った。
「お前達二人には、俺の最新の発明を味わってもらう事に成るんだ。」
ジョーカーは、制御パネルにある沢山のスイッチを入れ、ほくそ笑みながら言った。
「大人の玩具工場ですって?」
セリーナはバーバラの方に振り向いて言った。その声には微かな不安と未だ事態が良く呑み込めていないという響きが含まれていた。しかし、辺りを見回し、山積みにされた沢山のダンボール箱に、“バイブレータ”と言うラベルが張られているのが眼に入ると、不安は恐怖へと変わり戦慄が全身を駆け巡った。
 自分達を待ち受けている運命を悟った二人は、悲鳴を上げ激しくもがき始めた。
「ああ、その通りさ、お嬢さん方。お前さん方はこれに犯されるんだ」
 ジョーカーが言うと全員が大声で笑い出した。
 機械全体から擦れる様な機械音が立ち始めると、ヒロイン達の脚の間に有る奇妙な装置が首をもたげ位置に着いた。
「この装置は、元々、様々なバイブレータをテストする為に造られたんだ。」ジョーカーが説明した。「お前さん方が拘束されている場所は、本来、女性の反応をコンピュータに送る為のテストダミーを設置する場所だ」
ジョーカーが説明を続けている間、手下が、電極の付いた小さな丸い白いテープをヒロインの身体に取り付け始めた。
「今は、勿論、お前さん方がダミーという訳だ。」
ジョーカーはからかう様に言い、不愉快な笑い声を上げた。
「だが、俺はこの機械を改修したんだ。以前は、ディルドを使ってダミーの反応を記録するだけだったが、今はお前さんがたの反応をモニタしながらテストを続けるんだ。お前さん方が絶頂する迄な。そう成った時点でバイブレータを交換し、テストを続ける。その都度絶頂する迄な。」
ジョーカーは悪魔の様な笑みを浮かべながら説明した。
「ホーホー、この機械の素晴らしい所は、お前達が抵抗すればする程、機械はより激しくお前達をイカせようとする。そしてお前達が絶頂すればする程お前達の精神は正常で無く成る」ジョーカーは続けた。
「そして最後には、イキっぱなしに成り、お前達の精神は完全に破壊されるんだ。ヴアハハハハハハ!」
 そう言うとジョーカーは、楽しそうに手を叩き、機械のボタンを押し続けた。
「解ったわジョーカー、面白かったわ・・ハハ・・・大目に見てあげるから拘束を外して」
キャットウーマンは拘束を引っ張りながら言った。
「申し訳ないが出来ないね。」ジョーカーが答えた。
「ジョーカー!こんな事正気の沙汰じゃないわ!」セリーナが大声を上げた。
「あんた自分のしている事が解ってるの!」
「実を言うと、はっきり解っている訳じゃないのさ。この機械は人間に使用する様には出来ていないんだ。至る所にその警告のラベルが貼ってある。実際何が起こるのか本当に解らないんだ、ホーホーホー」
ジョーカーは笑いながら答えた。
「お前さんは正義の味方に成った。それに相応しい授業を受けてもらおう」
「これは悪辣すぎるわジョーカー!」バットガールが声を張り上げた。
「この市での強姦罪の罰則を知ってるの!あんたが困った事に成るのよ、おっさん!」
バットガールは毅然とた声で言った。
 四人の男は全員が指をもじもじさせ、たじろぐ様なジェスチャーをした。
「その調子よ」セリーナは口の端から声を出す様にして隣のバットガールに言った。
「奴ら、ブーツの中で足が震えているみたいよ。」
 ジョーカーはセリーナの方を向き、ゆっくりと歩み寄った。セリーナの上に被さる様に伸ばしたジョーカーの顔に、邪悪な変態的とも言える笑みが浮かんだ。セリーナの豊満な胸を見下ろしながら、ジョーカーはゆっくりと手を伸ばし彼女の白い衣装の側面を掴み、それを胸の上に迄まくり上げた。剥き出しに成ったセリーナの胸が溢れる様に揺れた。嫌らしい男に胸を剥き出しにされた恐怖に、セリーナはもがき仰け反った。ジョーカーは右手で彼女の左胸を覆う様に当てがい、さも楽しげに絞り上げ揉み上げた。
胸をジョーカーに弄ばれ、キャットウーマンは動物的な悲鳴を上げた。
 同時に、男の一人がバットガールの衣装を頭の上迄捲りあげた。そして男が彼女のブラジャーのカップを繋いでいる留め金に手を伸ばすと、恐怖と絶望に満ちた眼を白黒させた。やがて、留め金が外され、カップが分離し彼女の丸い胸を露出させると、バットガールは小さな叫び声と共に仰け反った。男は両手で二つの膨らみをしっかりと掴み、嬉々として絞り上げ揉み上げた。ジョーカーの手下に胸を弄ばれ、バットガールは悲鳴を上げ体を捩って空しい抵抗をした。
 ジョーカーは、セリーナの胸を掴みながら身を屈め、口の中に乳首を押し込んだ。そして、ジョーカーは、その中身を空っぽにしようとするかの様に、胸を絞り上げながら乳首を激しく長い間吸い続けた。同時に、左手でセリーナの右胸を掴み、両胸を激しく揉みながら、口をもう一方の乳首へと移動させ、両方の乳首を貪る様に吸い続けた。そして時折、ジョーカーは、セリーナの胸の間に顔を埋め、顔の両側の乳房を絞り上げつつ、小麦色の胸の海に埋もれて天国の気分を味わった。
 バットガールも、男に張りの有る胸を吸われ続け状況は芳しくなかった。男はもう一方の剥き出しの乳首を摘み、性的刺激を与える様なやり方で、引っ張ったり挟みつけたり絞ったりした。バーバラは、熟れた胸を呑み込もうとするかの様に次第に強く成る吸引に、もがき続け、悲鳴をあげ続けた。
 セリーナも、反発の声を上げたが、彼女の叫びは猫のフーという様な挑戦的なものだった。セリーナは、空しくもがきながら、深く重い呻き声を上げていた。他の仲間に一人がジョーカーの隣にやって来て、目配せしながら肩を叩いた。
「分かった、分かった。皆の分は充分有るよ。さあ、乳絞りをしよう!」ジョーカーが声を張り上げ、二人がかりで、巨大な胸を掴み、揉み上げながら、セリーナを空っぽにする様に吸い始めた。もう一人がバットガールの方へ加わり、四人の男は、凌辱から逃れ様ともがき、空しい戦いを続ける二人のヒロインの巨乳との宴を楽しんだ。
 二十分程すると、四人の男は満足し、顔にその表情を浮かべながら引き下がった。
「プファーー、うまかったぁ」ジョーカーが堪能した様に言った。
「キャットウーマン、お前がこんなにジューシーだったなんて知らなかったよ」
「地獄へ落ちるといいわ」キャットウーマンはもがき続けながら叫んだ。女達の胸は、冷酷な乳房凌辱によって汗と唾液にまみれていた。
「絶対に只じゃおかないから!」バットガールが叫んだ。「正義は必ず勝つんだから!」
「もっとましな言い方を教えてあげなきゃならないわね」
キャットウーマンは、口の端でバットガールに向かって言った。
「ホーホー、お前達に勝つチャンスが有るとは思えないね」そう言いながら、ジョーカーと手下達は、女達の衣装の下半分を掴み引き下ろした。バットガールのショーツが、モジモジさせる腰から足へ滑り落ちた。そして、彼女の一方の足の拘束が解かれ、パンツが取り除かれた後、足は元通りの場所に拘束された。
キャットウーマンの衣装も剥がされ、二人の乙女は、今、裸にされ無防備の状態で冷たい鋼鉄のベッドに寝かされている。
 ジョーカーは、制御パネルに近付き、最後のスイッチを入れ、この悪魔の機械を作動させた。ベルトコンベアが動き始めると、機械のライトが点滅しピストンが動き始めた。一本のディルドがベルトコンベアに乗って、脚の間に置かれた奇妙な装置向かって移動して行った。それは、直ぐに機械の正面に現れ、潤滑剤も塗られて準備は整った。そして、ロボットアームが無防備のターゲットに向かって移動し始める。
「嫌、嫌よ!」バーバラが叫んだ「こんなこと許されないわ!」
「私、悪者に戻ることにする!」セリーナは嘆願した。「これは正気の沙汰じゃないわ、ジョーカー」
 二人の絶叫は、最初のディルドが目標に到達し、セリーナ・カイルの無防備な秘所の中にゆっくりと押し込まれて行くと、全く聞こえなくなった。黒髪の女傑は、擬似肉棒が秘所口を引き締めている筋肉を力ずくで通過し、子宮目掛けて奥まで侵入すると、背中を仰け反らせ、豊満な腰を浮かせて抵抗した。
 バーバラは、ディルドが肉襞の間にあてがわれその中に奥深く侵入して行くと、パニック状態に成って悲鳴を上げた。ディルドが一センチずつ進むにつれ、バーバラは狂った様に腰を上下させた。機械はディルドを無作為に選んでいたので、二人は異なった肉棒を体験をしていた。バーバラのディルドは長く反りの有るもので沢山のイボイボやヒダヒダが付いていた。
 セリーナのは、長く太い白い肉棒で、彼女の肉筒を完全に埋めるものだった。それは余りにも巨大で、セリーナは抵抗したり考えたりする余裕が無かった。彼女の状況は、機械が彼女をイカせ様とディルドの抽送を開始すると一層悪いものに成った。
 バーバラも同じ様な状況で、反りの有る擬似肉棒が力強く一定のリズムで抽送を繰り返していた。裸にされ弄ばれた体験と今経験している強制挿入とが一緒に成って、バーバラは最初の絶頂をむかえ、身体を仰け反らせた。
 バーバラの悩ましい嬌声や呻き声、それに絶頂させられた声が、セリーナに最後の一線を越えさせ、巨乳のヒロインも、どうしようもないほどの絶頂に叩き上げられた。
「凄い嬌声ですね、親分」
 手下の一人が、眼前で繰り広げられているめったに見られない光景にあっけ取られる様に言った。
「本当だ、呻き声もたまらないぜ」 もう一人の手下は涎をたらした。
「口を塞げ、二人に猿轡を噛ませるんだ」 ジョーカーが命令した。
「通りがかりの者に聞かれて、彼女達を救出されてはかなわんからな」
「分かりました、親分」
 手下はバンダナを二人の口の中に押し込み、それが落ちない様にしっかりと結びつけた。
「バイバイ、御婦人方」ジョーカーが声高に笑った。
「ここでお前さん方をずっと見ていたいのはやまやまだが、他に仕事があるんでな」
 そう言うと、ジョーカーとその手下は、縛られ猿轡をかまされ、機械によって冷酷に犯され続けている二人のヒロインをそこに残して、去って行った。
 バットガールが絶頂したのを感じ取った機械は、最初の擬似肉棒を引き揚げさせ、新たな物をベルトコンベアに乗せた。今度のは、大きな球が一列に繋がった形をした太い物だった。それが、もがいている腰の奥深く子宮に到達するまで挿入された。そして再び抽送を始め、バットガールに激しい腰の動きを強制するのだった。バーバラはバイブレータを使用した事は有ったが、そんなものではなかった。以前悪党どもの手に落ちた時には何も性的なことは起こらなかったが、今、強制的に強姦されている事がバーバラにエロティックな幻想をもたらしていた。バーバラは、更なる絶頂に圧倒され自分を見失い始めていた。そして、新たなディルドが準備されていた。
 セリーナのは細長い物だった。‘小さい’セリーナはホッとして思った。‘何とか乗り切る事は出来そう・・・・・・」 しかし、考え終わらぬ内に、彼女の腰が飛び上がった。もう一本の太い表面が滑らかな擬似肉棒がやって来て、細い肉棒の下に奥深く挿入されたのだ。挿入された二本を合わせると、前回のディルドよりも太くなり、その二本のディルドが子宮に届くと、制御出来ないほどのエクスタシーに叩き上げられた。
やがて二本のディルドは、二本が互いに反対方向に動く様に抽送を開始した。
「ジョーカー、この救いようの無い悪党野郎!」セリーナは、猿轡を嵌められている口で叫んだ。
二人が狂った様に身を捩じらせている間、絶頂に次ぐ絶頂が彼女達の意思と理性を剥がし取って行った。
ジョーカーは正しかった。このままもし逃れる事が出来なかったら、二人とも精神を破壊されてしまうであろう。
つづく

嗚呼、 悪の手に落ちたヒロイン達の運命やいかに・・・
このまま機械に犯され続け、精神を破壊されてしまうのか?
それとも奇跡的に難を逃れ、新たな冒険(凌辱)が彼女達を待ち受けているのか?
この続きは、同じまんさくタイム、まんさくチャンネルで・・・・


  進む

 戻