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 第八話:屈辱の撮影会(後編)

「顔のアップもしっかり撮っておけよ!」

パシュッ...パシュッ...。
目を固く閉じていても、強烈なストロボの閃光は防ぐ事はできない。
美佐代は、可能な限り自分の姿をレンズから顔を背けひたすら耐えた。

「森川先生、今度は座ってくれるかのぉ〜」

一通りの撮影が済んで腹田は、次のポーズを美佐代に指示する。

「・・・はい」

ここまで来てしまっては、従うしかない。
美佐代は、目を閉じたままその場に正座をした。

「いや、そうではなく、体育の時の座り方じゃよ」

カッと見開いた。
だが逆らう事はできない。
唇を噛んで座り直す。

「で、脚を大きく開いて・・・」
「えっ!・・・そ、それは・・・」

この体勢で脚を開くと言う事は、局部を自分がもっとも嫌っている男どもにさらけ出すようなものである。
いくらレオタードを身に纏っているとはいえ、ワン・サイズ小さい上に純白の生地である。
しかもその下には、何も身に付けていないのだ。
そう、薄い生地の下には直接、美佐代の局部が張りついているのである。

「出来ないのなら結構じゃよ、ここで中止にするからのぉ〜」
「分かりました・・・」

美佐代は、透けて見えはしないかと心配しながらゆっくりと引き締まった脚を開いていった。

「こ、これでいいですか?」

彼らから顔を背けたまま尋ねる。返事はなかった。
代わりにシャッターを切る音が何度も耳に届いて来た。
パシュッ...パシュッ...。
きっと局部だけを写している。
美佐代は、死にそうなほどの恥ずかしさに耐えながらも決して女としての恥じらいだけは彼らに見せなかった。
ここで、恥ずかしがっていては余計に彼らを喜ばせてしまう。
今の彼女にできるささいな抵抗であった。

「最後は、四つんばいじゃ」

メス犬のようなポーズを取らせれても平然とした顔を意識的に作った。

「ど、どうぞ・・・」

カメラを手にする陰山は、美佐代の背後に回り込むとレンズが密着しそうなほど美佐代の局部に近づけ
何度もシャッターを切っていった。
パシュッ...パシュッ...ウィィィィン・・・。
フィルムを巻き上げていく音が聞こえる。
何度目だろうか

「よ〜し、きれいに撮れたようじゃ、森川先生」
「もう・・・着替えても・・・」

立ち上がり再び胸のふくらみと股間を隠していた。
その姿を穴が空くほど見つめている腹田の顔が醜く歪む。

「もちろん、着替えて結構じゃよ」

脂肪のかたまりの腹田と、骨と皮だけの陰山は、満足そうに薄ら笑いを浮かべていた。
今までどのような手を使っても、自由にできなかった彼女をしばしの間だけだが思いのままにできた。
彼女のその美しい体に手を出す事はできなかったが、素肌に食い込む純白のレオタード姿で目を楽しませてもらった。
美佐代は、自分の前でニタつく二人と目を合わさないまま再び隣の部屋へ移った。
トン...。
後ろ手で薄い襖を締めて薄暗い部屋の一番奥へと向かった。
いっその事、この上から洋服を着てもよかったのだがあの醜い二人に体中をさわられているようで気持ちが悪かった。
上着のポケットへとしまい込んだ下着を取り出すと、さっそくワン・サイズほど小さな純白のレオタードを脱ぎにかかった。
両肩にかかる紐を外すと一気にウエストのラインまでずり下げる。
するとツンと上を向いた形のよいバストが露わになった。
美佐代は、すぐさまパンティと揃いのシルクのブラジャーを豊かな胸のふくら
みにあてがい慣れた手つきで背中のホックを止める。
そして両手を使ってブラのカップの内側に、弾力のある胸肉をしまい込む。
時折ふれる胸の先端は、不思議と固く尖っていた。

『きっと写真に写されているわね・・・』

薄い生地のレオタード
胸の先端が固くクッキリと浮かび上がる。
先にブラウスに袖を通してから残った下半身の着替えに入った。
丸みをおびた腰を左右にクネらせながら純白のレオタードを脱ぎ去った。
大事な部分は、先に着込んだブラウスの裾に隠れて見えない。
美佐代は、脱ぎ去ったレオタードの生地の股間の部分を覗き込んだ。

『やだ・・・少し濡れてる・・・』

撮影の途中でその事には気が付いていた。
小さく折りたたんで上着のポケットに忍び込ませた洒落たレースで飾られたパンティを穿き、続いてパンストにも脚を通す。

「ふぅ・・・」

けだるい溜め息をつきながら、スカートと上着を身に着け軽く全体の乱れを整える。
キリッと引き締まった表情に戻し、再び彼らの元に戻る。

「やぁ、お疲れ、お疲れ!」

空調が整っているにもかかわらず汗まみれの脂肪のかたまり
せっせと撮影済みのフィルムを整理している骸骨の標本模型
美佐代は、自分が座っていた場所に腰を降ろした。
腹田と目が合った。
ニンマリと下心丸出しの笑顔

「ところで、突然じゃが、さっき着ていたレオタードをすぐに返してくれんかのぉ〜」
「えっ!?」

美佐代は、驚いて言葉を失った。
先ほどまで着ていたレオタードを渡すという事は、撮影の間に出来てしまった恥ずかしいシミの存在がバレてしまう。
ただ写真を撮っただけで濡らしてしまったという事が彼らに知られてしまうのは女としては裸を見られる以上に恥ずかしい事である。

「理事長からの指示でのぉ〜、それも一緒に送らないといけないんじゃよ」
「で、でも・・・今晩、洗濯してからお返ししますから明日では・・・?」

美佐代は、取り乱さず冷静に尋ねた。
決して無理な事をいっている訳ではない。
相手が良識のある大人ならば、納得してくれるはずである。
しかし、すでに冷静な判断が出来なくなっている彼女
相手に良識などある訳がない。

「今から、送るからのぉ〜・・・現に理事長の使いの者が来ておるし・・・」
「でしたら、レオタードだけを明日、送るというのは・・・」

無理だと分かっていながらも、望みを失わずに食い下がった。
だが、腹田は余裕の表情で彼女の願いを聞き流している。

「別にワシは、それでもかまわんのじゃが、もしレオタードが届かなかったら、さて理事長はどう思うやら・・・」
「くっ・・・」

弱点を巧みに突かれ、美佐代は唇を噛んだ。
自分の妹である美加の高校入試がかかっている。
下手に自分を守る為に逆らってしまえば、大事な妹は高校に進学する事ができなくなる。
それは、他の高校に進路を変えても同じ事である。
妹の進学予定の理事長が、裏から手を回せば全ての高校は彼女の妹を拒んでしまうからだ。

「わ、分かりました・・・」

完敗である。
小さく折りたたんだ純白のレオタードを上着のポケットから取り出し、テーブルの上に置くとスッと腹田の前に差し出した。
腹田は、差し出されたレオタードに早速手に取り脂の浮いた頬に押し当てた。
微かではあるが彼女のぬくもりと匂いが残っている。

「無理を言ってすまんのぉ〜、森川先生、これも妹さんの為じゃて!」

ニタニタと笑いながら、先ほどまで美佐代の裸体を包んでいた純白のレオタードを自分の目の前で広げた。
その瞬間、美佐代は絶望の表情で頭を垂れてしまった。

「おや、何でこんな所が濡れているのじゃろうかのぉ〜」
「くっ・・・」

見つかってしまった。
もう少し時間が経てば、渇いてしまい分からなくなるはずだ。
腹田は、レオタードの股間の部分、そう美佐代の局部と密着していた部分を指先で広げながら照明に向けて、透かすように見ている。

「汗にしては不自然じゃし・・・」

目尻が下がっている
覗き込む教頭の陰山も淫猥な微笑みを浮かべている。
腹田は、丸いシミが残っているその部分を自分の鼻先にあてがった。

「う〜ん・・・いい匂いじゃ・・・」

彼は、鼻先にあてがったまま何度も胸いっぱいに空気を吸い込んでいた。


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