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 1.課長の甘罠

「御無沙汰してまあーす」

明るい声で入ってきたのは、先月リストラで退職した村山恵理香と大下朋美

「元気そうじゃない?」

「島田課長!すっかり課長がお似合いで…」

「やーね、まだ1ケ月よ、ふうふう言ってるとこ、で、就職どうしたの?大丈夫?」

「それがね、あの駅前のスポーツクラブとエステサロン一緒のM&Tに、うまい事潜りこんじゃって…ふふ」

「わあ、凄いじゃない。M&Tと言えば今流行の最先端ですもの」

「でしょ?でしょ??村山先輩の特技が役に立って」

「それで、今日御挨拶がてら、営業活動って訳。ねえ、課長、美顔のサービス券あるんですけど、会社の帰りにでも寄って戴けません?」

先輩格の恵理香

「特技って??でもしょうがないわね。村山さんと大下さんが勤めているんじゃ。是非にでも寄らせてもらおうかしら」

「特技は後の秘密・・ふふ。私も20年以上、このアルカンシェル・ジャパンでOLばっかりやっていた訳でも、ありませんし…」

(よかった、この前リストラで辞めてもらったんだけど……職も見つかったようだし…)

日用品雑貨の商社、アルカンシェル・ジャパンもフランスの本社から強いリストラの圧力があり、結局勤務年数の長い、言わばお局様格の彼女等に影響が及んだ、という訳なのだ。

(ふふふ、私の特技を知ったら課長、絶対にビックリするって。まあ、それが判った時は、課長転落の始まりかもネ。まあ、今までが順風満帆だったから、それも人生と思って…)

「それじゃあ、皆さんもM&T、メディカル・アンド・タフネス宜しく御願いしまーす……」

「おいおい、すっかり営業ウーマンだね、こりゃあ、ハハハ…」

「何と言っても、営業はアルカンシェル直伝ってネ、それじゃあ、課長さん、お待ちしてまーす…宜しく…」

…………

M&Tレディーの待ち合い室

(うわああ、凄い混んでるのね、さすがM&Tってとこかな)

「課長、コッチ、コッチ!!」

人込みを掻き分けるようにして、大下がブルーの美容師のような衣服で駆け寄ってくる。

「わああ、課長来てくれたんですね、今村山先輩は他で手が離せなくて…」

「いいじゃない、商売繁盛で…」

「課長、では美顔コース、と言っても「お試しバージョン」ですけど。でも、それ以外はね、VIPコースですからね、こちらへ…」

「その「課長」ってのは止めて、島田でいいのに…」

「ふふ、ではVIP御一名、御案内―ッ…」

「あらあら、凄いのね…」

(ふふ、もう元の世界には戻れないんだから、今のうちに良く見ておくことネ。これが見納めってところ…・)

育美が案内されたのは、瀟洒な個室。美容室のような大きな鏡など何を見ても世界の一級品…

(うわあ、お金掛かっていること、凄いわね)

「すいません、課長。お顔のパックなんで、ジャケットとディバッグ預からせて戴きます。お帰りの時に、フロントでこれと引き換えて…」

「はい、判ったわ」

(もうジャケット着ることはないのよ。ジャケットばかりか下着だってネ。楽しみだわあああ)

「これがM&T特製の美顔パック…このまま30分です。その間、クラシックとアロマテラピーで御ゆっくりなさってて下さい…お肌に一番悪いのはストレスだそうですから…30分たったら参りますので、では」

と言って、朋美が部屋を出て行く。後に残った育美は、リクライニングにゆったりと寝そべり、イヤホンからはショパンのポロネーズそしてハーブ、ラベンダーの香りが何とも心地良い……

(うわああ、のんびりするわあ。久しぶりねえ、こういうのも…。何だか眠くなって……)

ラベンダーの香りに何時の間にか笑気ガスが濃くなっていく。

笑気ガス、別名麻酔薬、あるいは催眠ガス……

 

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