調教〜TRAIN(トレーン)〜S−1
「おのれ、またしても!」 漆黒の中作戦失敗の報を聞いたシスタージルは、その唇を口惜しそうに噛みしめた。 「それだけあんたの部下が無能揃いだってことさ」 難癖をつけてくる部下を一瞥で黙らせ、新たなる刺客を求めた。 澱んだ空気がわずかに揺らいだかと思うと、苔むした岩場から一つの影が現れた。 「私目にお任せ下さい、ジル様」 今までの部下とは少し雰囲気の違う、その美しい姿をした見慣れぬ部下に素性を尋ねた。 「トレーンクローと申します。必ずやジル様のご期待に応えられるかと」 銀色の髪をしたその女は、恭しく跪き、血のように赤い唇から自分の名を告げた。その淫靡な姿はシスタージルですら一瞬言葉を失うほどのものであった。 「・・・自信がありそうだな。しかし、あやつは手強いぞ?」 漆黒の闇からは、返事はなかった。 |