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  −西部の女保安官 マーサ・ドレイク−

        第2章 ハクソー一家 

ハクソー兄弟は新任の女保安官マーサ・ドレイクに散々な目にあわされて家に逃げ帰った。
「それでおまえらたった一人の女になめられて、おめおめ帰ってきたのか」
一家の長のダグ・ハクソ-は不甲斐ない息子どものはなしを聞いて、頭から湯気を立てて怒った。
ダグは中背だが頑丈そうな体つきで,ひたいから後頭部までがピカピカに禿げ上がっている。
精力抜群で太い眉とヒゲもじゃの顔はいかにも意思が強そうで、けして人を信用しない細い目が冷酷に光っている。
「その女、どんな汚い手を使ってでも引っ捕らえてハクソー一家のセックス奴隷にしてやらねえときがすまないな」
「し、しかし相手は女と言えど保安官だよ、いくらなんでも・・・」と長兄のビルが言う。
こいつは冷酷なサディストで、女を虐めるのがなにより好きという変態である。
しかも、その女は自分より強いサッソウとした女が好みだというから、マーサなどは彼にとってはヨダレたらたらなのである。
やつの事を町の人は「ガラガラ蛇」と仇名している。
「なあに、今日はちょっと油断したが次はおれがマーサをふん縛ってみせるよ」
と「グリズリー」ジョンが言う。
「おまえときたら,まったくの能無しだ、策を用いるということをしらねえんだな。イヤラシイ作戦を立ててな、女を絶体絶命に追い込んでいって捕らえるのが、あとの楽しみも大きいんだよ」
「へえ、そんなもんかねえ。なんだかめんどうだね」
「いや、あのマーサに限ってはそんな悠長なことを言ってられないぞ。あの女は強い、強すぎるよ。油断したらこっちがやられるかもね」
自分たちがマーサに撃退されたので言い訳がましくビルが言う。
「あ、あの女の弱点はなんだろうね。だれにでもか、必ず弱点があるよね。それと、あ、あいつたぶん自分から仕掛けてくるぜ」
「あにき連中より弟のほうがよほどマシなこと言ってるな。そうだ、弱点をさがせ!」
三男坊のトムはドモリで、まだ十六歳の少年だがスケコマシにかけては妙な才能があり、オヤジのダグさえ、ときに感心してしまうこともある。
臆病なくせに窮地に陥った女にはシツコクつきまとうので「コヨーテ」と仇名されている。
「も、もひとつ、マーサは,ど、どこかで見たことがあるような気がするんだけどな・・・」
「まさか、はるばるニューヨークから来たんだぜ。なんでトムがあったことがあるんだよ」
「・・・・」
夕食のあとハクソー一家の楽しみは決まっていた。母屋のとなりにもう一つの建物があって、そこはこの牧場の奴隷棟なのだ。
奴隷といっても女、しかも若い女だけがそこに住んでいるのだ。
いや、捕われていると言ったほうが正確である。
二十人ちかくの女奴隷がいるのだが、そのうち一家が散々弄んだ奴隷たちはカウボーイたちの慰み者として別棟に移されている。
一家は十人ほどのとくに美人の奴隷をこの建物に監禁している。
そしてときには町長やその他の町の名士もハクソーに招かれて、ここでタップリと女を抱いたり、SMプレイに耽ったりしているのだ。
しかし、じつはさらにチョー美人の二人がいる。この二人だけは建物のさらに秘密の地下室に厳重に捕えられていて、一家だけが嬲り者にするのだ。
一人はインディアンの大酋長の孫娘マヨ・カウイである。彼女の名は「太陽の乙女」という意味である。一ヶ月前、狩に出た一家に運悪く捕まり、調教を受けている。
その名の通り、気性の激しい野生の娘である。まだ十七歳で悔しくもビルに処女を散らされたのだ。
しかし、これらのことは絶対に秘密にされている。
もしバレればとうぜんインディアンの襲撃があるだろう。
もう一人は二十七、八歳に見える黒髪の、ちょっと凄みのある白人女性である。
彼女はカンザスシティーから流れてきた女賭博師である。
ハクソー一家の経営する賭博場で町の名士を相手にポーカーをやっていたところに来合わせたのが、ビルだった。抜けるように白い肌にメリハリの効いた化粧をしている。
もともときつい顔立ちだが、勝負のときはふるいつきたくなるほど妖しげな鉄火な雰囲気をかもしだす女だ。
彼女にビルは感じてしまったのだ。二、三人の子分に命じてイカサマじゃないかと難癖をつけさせ、逆上して銃を抜いた彼女を拉致して連れ去ったというわけである。
その夜、彼女は凄まじいハクソー一家のレイプを受けたのだ。
彼女はヒルダ・ブラントンという。
今夜もハクソー一家の狼どもはマヨの小麦色の若い肌と、男嫌いのヒルダの鉄火肌をしつこく狙い極上の女たちをレイプするのだ。


    ****


翌朝のことである。
「た、大変だ親分・・・」一人のカウボーイがあわててダグにご注進におよぶ。
「なんだ,騒々しい、あわてるな」
「あの、あの女保安官が乗り込んできましたぜ、保安官助手のレッドといっしょにね」
「ホ、そいつはおもしれえ、元気のある女だな、どれ、ご対面といくかね」
なるほど、乗馬姿も凛々しいマーサ・ドレイクが保安官助手のレッド・タイラーとともに悠然と牧場に入ろうとするところだ。
ダグはマーサの美脚を見てたちまちよからぬ妄想をする。
「おお、別嬪の保安官殿のお越しとは嬉しいね。今日はどんな御用ですかな」
「べつに用事はないけど、いずれ一網打尽に逮捕しなければならない敵の本拠を前もって見ておこうと思ってね、アナタがオヤジのダグね。昨日は息子たちにすこしお説教してやったけど、オリコウになったでしょうね」
「ふふふ、なるほど気の強いお嬢さんだね、ワシからもひとつ忠告しておこう。ワシとはなかよくしたほうがエエよ、でないとあとでそのカワイイ顔が泣くことになるよ。それよりも酒でも呑みながらアンタのキレイな裸でもワシに拝ませてくれんかね」
「聞きしに勝るドスケベオヤジのようね。これは二、三日中にかたをつけたほうがよさそうね。ところであの建物はなに?アナタ、大勢の女性の奴隷を監禁しているらしいけど、それだけでも逮捕の理由になるのよ。とにかく首を洗って待ってなさい!それじゃ、今日は失礼するわ」
『二、三日中にワシを逮捕するだと、言わせておけば・・・しかしこれは急いだほうがよさそだな。おまえこそ二、三日中にワシの奴隷にしてやろうじゃないか。さて、あの美女を捕えるなにかうまい手があるかな?そうとう手強そうだな』
立ち去るマーサの腰の動きを見ながらダグは思案に耽る。
そのとき物陰から三男のトムが出てきた。いまのやりとりを見ていたらしい。
「おやじ、わ、わかったぜ、マ、マーサはケイトの妹だよ。そ、そっくりだろ?」
なるほど、そうだ!あの東部から来たインテリ美人教師にそっくりなのだ。とすると、こいつはますますまずい!じつはケイトはダグが拉致してきて、ここでハクソー一家の陵辱にあい、そのために自殺したというのが真相なのだ。まだ、さすがのマーサもそこまでは調べていないらしい。しかし、ダグはマーサにとって姉の仇なのだ。これがバレたら面倒な事になりそうだ。
『ヤバイぜ、ほんとに急がなきゃあ』
「おやじ、ほ、保安官助手のレッドを使おう」と、ふたたびトムが言う。
「なに、レッドだ?・・・そ、そいつは名案だ。兄貴たちはアホだがおまえはなかなかいい素質じゃないか、悪い素質?をもってるな。それでいこう」
保安官助手のレッド・タイラーは実は大の賭博好きで、ハクソー一家の経営する賭場で最近ボロクソに負けていて、一財産ほどの借金を作ってしまったのだ。
だからトムは借金と棒引きにマーサ・ドレイクを捕える仲間に加えようというのだ。
マーサの身近にいるレッドを引き入れればマーサの捕獲もかなり現実的になりそうだ。
しかし、それからの作戦の立て方は、さすがにオヤジのダグだ。
じつに念入りのイヤラシイ作戦を立てたのだ。名づけて「トロイの木馬作戦」というのだ。
つまり、ギリシアの昔、アテネとトロイの戦争でトロイの兵士が巨大な木馬のなかに隠れてアテネに侵入して、不意をついて勝利を収めた事にヒントがあるとダグは自慢そうに説明した。
マーサには気の毒だが、それを読者諸氏にこっそり教えよう。
まず、明日、ハクソー兄弟に加え二、三人のカウボーイがエル・パソの町でわざと騒ぎを起し、レッドの知らせで駆けつけるであろうマーサにこれもわざと逮捕されるのだ。
しかしやつらにはレッドが作った牢屋の合鍵が渡されていて、マーサが寝静まったころに抜け出してマーサを捕獲しようというのだ。そのほかにも保安官オフィスの合鍵も作って、ダグに率いられた別働隊五〜六名がマーサの寝室に乱入するのだ。
いくら、男勝りのマーサでも、武器を持たない寝込みを十名以上の荒くれ男に襲えわれては勝ち目はなさそうだ。
その夜遅く、ダグの牧場にコッソリとレッドが訪問しハクソー一家と密談していた。
ダグ・ハクソーは上機嫌だった。
「よし、これで明日の今ごろはチョー極上のマーサ・ドレイクの裸を虐められるってわけだ、ヒヒヒ、あのナマイキな女保安官の悔し泣きする顔を早く見たいものだな」
「ダグ、じつはマーサを一目見たときからおれはムンムンしてるんです。お願いだ、一回でいいからおれにもやらせてくれ」
「遠慮することはねえ、なんて言っても今回の主役はレッドだからな」
そんな悪党どもの会話とともに運命の日が来ようとしていた。


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