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  第三話

聖夜子に徹底的に女の悦びを植え付けるか、それとも徹底的に焦らすか、どちらかの方法で可愛くも挑発的な仔猫を狂わせてやりたい。
 僕は少し考えてから後者の方法を採用した。
 そのために、少し薬物を塗布してやろう。僕は鞄のチャックを開け、小瓶に入ったとろとろのクリーム状の薬品を取りだした。少し白濁しているがおおむね透明であり、その指先に絡みつくような触感が厭らしくも心強い。
 おやおや、あまり指で触っていると、僕の指にまで薬が効いてしまう。
 催淫剤ではない。そんな物を使わずに美少女を淫らの淵に突き落とすのが楽しい。あくまで塗られた場所からジワジワとむず痒くなる薬である。古風な責めでは山芋や芋茎を使うのだろうが、あまり多用してかぶれても困る。この薬はそうした欠点を補っているので、安心して『多用』できるという物だ。

「いつもと違う聖夜子ちゃんを……見せてもらうよ……」

 僕は聖夜子の目の前でクリームをとろりと伸ばし、その卑猥な粘りを見せつけた。奇妙な薬品を塗られると知った聖夜子は微かに怯えを見せ、眉を寄せて僕を鬱陶しそうに睨んできた。そういう気丈で挑発的な目が僕をますます加虐に駆り立ててくれる。
 まずは、乳首。

「んっ、っ……ゃ!」

 右へ左へと上体をひねったものの、姉と繋がった身ではそれも叶わず、たちまち透明な薬によって愛らしい乳首をコーティングされる。精液ほどではないが、白濁した粘液が聖夜子の乳首を覆い隠す。
 今度は耳。耳の奥の粘膜は乳首に劣らず敏感だ。小指で掬って耳の深くに塗りつける。

「やっ……っ! ぁ……」

 何を塗られているか知らないからこそ、反応もまだまだ弱い。まあ、こういう美少女が薬の効果に遭ったときの、繊細な驚きと深い絶望に満ちた顔を見るのも楽しかろう。
 今度はくちびるにも塗ってしまう。男と違って女は性感の宝庫だ。粘膜に近い部分はこうやって痒みによる疼きを与えてやる。聖夜子の桃色のくちびるは僕の指を拒む素振りを見せたが、何せ猿轡状態では抵抗も無駄である。皺の少ない柔らかなくちびるを粘薬で覆うと僕の指は薬の小瓶に入っていく。

「やぁっ! やっ、あっ!」

 哀しい拒絶の悲鳴が上がっている。
 僕の指はそれを聞き流し、聖夜子の下着を軽く引っ張って中へ忍び入っていく。17年守ってきた神秘の操をこんな風に穢されるなんて……聖夜子の悔しそうな目線がそう語っている。額には先程浴びせられた責めに堪えた苦労から汗が浮かび、それが黒い前髪に絡みついて光を帯びている。全体が妖しげに赤光していて美少女の面影は薄らぎつつあった。
 まだ、脱がせはしない。あくまで中に指を入れて目標に薬を塗り込むだけ。僕の指は愛らしいへその辺りから聖夜子の下着に飛び込み、下腹部をゆっくり沈降していく。
 繊毛に手が触れると柔らかな芝生の心地を受ける。まだまだ生え揃っただけ、と言う手触りだが、かえって若草の初々しさがある。
 その上を蛇のように這っていき、ようやく聖夜子の柔らかな性唇に辿り着いた。意識を集中すれば、その夥しい潤み具合も、蛞蝓のような甘柔らかな弾力も、指先を拒むように収縮する蠢きも感じ取れる。

「ぁ、ぅっ……んーっ! ぁん……ぅんっ……」

 必死に蕩けた声を出すまいと踏ん張るが、何せ口が開きっぱなしでは限界が知れている。たっぷりと白濁の薬品が聖夜子のくちびるに吸い取られていく。幼くも淑やかな粘膜が、悪魔的な薬を吸っていく。
 たおやかな躰は愛のない男の指を無我夢中で拒もうとする。いや、聖夜子の乙女心がそうさせるのだ。僕の指がほんの微かに入りかけると、何やら吐き出すように押し返されてしまった。

 気の強い彼女は神秘まで気丈にできている。

 だが、僕の指はその役目を果たし、半透明の液はすべて少女の未だ見ぬ神秘に滲みいった。少し笑って指を抜き、ベッドの上で聖夜子を観察することにしよう。最初に塗られた乳首が、そろそろ効果を現しはじめる頃である。

「ん……んっ、んっ?」

 可愛い聖夜子の眉が不安げに波打った。それから僕をちらっと見る。そして苛立たしそうに上半身を動かすが、もちろん微かにしか動かない。張りの良い乳房も動かない。その先に沈澱した疼きも除けない。
 もう一度、切れ長の意志の強い目を僕に向けた。今度は怒りと焦燥に満ちた瞳の色。『何か』に身体を蝕まれているのが明確な、手が使いたくて使いたくて堪らない顔。

「んっ、んんっ……」

 今度は顔を振りたがる。しかし姉と一体の顔は動かない。くちびるが、耳の穴がむず痒かろう。くちびるを歯で噛んで紛らすこともできない。開きっぱなし。涎れを流して苦しむがいい。
 そら、目が潤んできたよ。欲求不満な全身を恨みの炎で焼き尽くすように、薬がジワジワと焙り立てる。疼くだろう? 僕が見守っていると聖夜子の目は何かに憑かれたようにギラついてきた。

「んっ、ぅ! んん、っ……ん、ぅ、ぅっ……っん……」

 聖夜子の目、もはや必死に瞬きを繰り返して、たまに恨みを込めて僕を見つめてくる。切れ長の目尻からしずくのような涙が落ちる。身体ががんじがらめにされた獣のように焦れっぽく蠢き、涎れはますます粘りを増し、長い糸を引きながらシーツへと垂れ落ちる。
 くちびる、耳、乳首……そして最も敏感な乙女の神秘。至るところが鋭敏になって血が集まり、組織がざわめくような痒みを帯びてしまう。
 口枷、胴体を繋ぐ縄、足をゆわえた紐。姉と密着を強いられている聖夜子は疼きのやり場もなく涙に暮れる。いや、涙に暮れることも許さない。僕は鞄を開ける。

「泣いても、ダメだ……」

 僕は習字に使う毛筆を取りだしてたっぷり唾液を含ませた。ぷっくりと膨らんでいる乳の先端をそっと撫で付ける。透明感さえあった乳首が鮮やかな桃色に開花した。
 聖夜子はきゅっと目を瞑り、小さく首を振る。乳輪をサラサラと唾液で湿らせていく。繊細な筆の先を受ける美少女の胸はもどかしさにユラユラ揺れ動く。
 筆先が開いてきたらもう一度口に含んで尖らせる。そして触れるか触れないかという程度で乳首をこちょっと辿る。聖夜子がひくっと身じろいだらそこで中断。
 乳首を憤らせる痒みをさらに煽られ、苛立ちに満ちたおめきを頻りに上げる。

「ああ! あ、ぁ、ぁ! ぁぁ、あっ……あぁ……」

 まろやかな腰を小刻みに揺すぶり、とめどなく流れ込む痒みに涙する。悔しそうで切なそうな声が喉の奥から絞り出され、顔は七色の感情が交じって虹色を為す。
 痒かろう、もどかしかろう。僕は美処女を嘲笑うようにへそから股を覆う布へと筆を走らせる。今にも愛液に透かされて浮き彫りになりそうな股間。秘密のくちびるは乙女の甘酢の匂いがするのだろう。痒いのに動けない美少女……張り裂けそうな五感のどよめきが僕を大いに昂奮させてくれる。

 羞恥と屈辱で火を噴きそうな表情。僕は筆を滑らせて耳殻から耳の穴へ。湿った筆が耳の奥まで入り込むと、聖夜子は涎をぼたぼた流してよがり狂う。
 いや、よがることさえできない。
 密着した姉の肉体を引っ張るだけで、自由は無残なほどに奪われている。手足をひくひくと断末魔のように痙攣させるだけ。

「声を出したいだろ?」

 だんだんと掠れ声になり、唾液の溢出も治まってきた。もはや口の水分を奪われて中途半端な鳴き声を吐くばかりである。灼熱の美少女は可愛らしい口に詰め込まれたゴルフボールに苛まれ、歌を忘れた小鳥のようだ。僕は聖夜子の口枷を解いてやることにした。無論、友紀子はそのままだ。

「……あぁ、あ、あ……ぃや、助けて……」

 呻き声の後に飛び出した第一声は、よりによって助けてくれの一言であった。前髪の生え際にじっとりと濃い脂汗を沸き立たせ、目鼻から苦悶が溶けたような体液が溢れ出している。
 惨憺たる美少女の姿態であるが、やはり素材が良いためだろう、乱れた中にも妖しい美を醸している。
 僕は首を横に振り、さらに筆責めを展開していく。凛々と尖った乳首。蛇の舌が舐めるようにちろちろと弄る。憤懣と慚愧にまみれた聖夜子は必死に嫌々と嗄れた声を発するけれど、厭がる仕草が僕をいっそうの加虐に駆り立てる。痒さに気を揉み、恥ずかしさに全身を染め、屈辱に涙する美処女の肉体。

「嫌がってる割には、良く濡れているね……聖夜子ちゃんの恥ずかしい場所……」

 聖夜子はヒィと声を漏らして目を背けた。内股全体がしっとり湿っている。脂汗がうっすらと浮かび上がって煌めいているのだ。もちろんその附根、そして小高いうねりに囲繞された神秘は、ほとばしる愛液で潤みきっているだろう。
 僕は下着の上から聖夜子の畝をなぞり、指先に絡みついた粘体に説明を求めた。

「これは、何だい?」
「……そ、そんなの……知りません……」

 聖夜子は知りませんと答えた。眉を寄せて大いに愧じ入りながら。弱々しくほそい声はそんな淫らな液を見せないでくれと啼いていた。つぶらな瞳と上品な鼻すじ。こぢんまりとして愛らしい顔が己の蜜を必死に否定している。
 どうしてこんな物が身体から溢れてくるのか? まったく解らない様子が初々しい。ただ、身体が汁を漏らしているということが、17歳の乙女にとって非常に恥ずかしいらしい。

「おもらし、しちゃってるんだね?」
「ちっ、違います!」

 こんなに濡らしても、『おもらし』を否定している。嘘をつく子は懲らしめないといけない。僕はローターに再度スイッチを入れ、聖夜子の花びらを痺れさせてやる。痒みと淫らなローターの相乗効果で狂わせて上げよう。蜜を絶やさぬ花の中心をめがけて僕は器械を押し当てた。

「んん……やだっ、っ…ぅっ……んっ……むぅん……」
「嘘つきは、お仕置きだよ……」

 くどいほど割れ目を往復していく。まるで金脈を掘り当てたように、熱いほとばしりと七色の喘ぎ声が沸いてくる。女の成長は早い。聖夜子の肌肉全体が進化しているようだ。
 と言っても、非常に淫らな進化であり、僕の嗜好に沿った変化である。

「何が、違うんだい? こんなベタベタなのに、まだ『おもらし』してないと言うの?」
「んんっ、違うぅ……」

 強情な子だ。
 僕は多少辟易してハサミを取りだし、可愛らしい白の下着の中央を腰から縦に切っていく。
 悔しそうに布が裂かれるのを見つめる聖夜子。スリットから見え隠れする神秘は誰にも触られたことのない絶境の花。和らいだ繊毛は煙のように淡い色で、指で擦ると消えてしまいそうな柔らかさ。
 まずはその羽毛の心地を味わおう。切れ込みから指を入れ、指先でその翳りを撫でていく。痒くて全身が苛立っている処女は、厭らしい指に怒りの色を浮かべている。だが、堅い操が痒いから触ってなどとは言わせない。

「んっ、んっ! ……んっ……かゆぃ、っ、ぁ、かゆぃ……」
「触って上げようか?」
「………………」

 押し黙ってしまう。掻いて欲しくてたまらないだろ? 僕は執拗に囁きかける。妹がいたぶられているのを友紀子は悲痛な呻きを上げて見守っている。いいや、見守れない。後ろ向きだからせいぜい背中で同情するくらい。
 僕はハサミを入れて、さらに下まで切り進んでいく。薄い繊毛が二手に分かれ、その中州……聖夜子の神秘がいよいよ灯下に曝される。

「い、ぃ、いやぁ……見ないで! 見ちゃいやぁ……」

 悲痛な叫び声も、僕には心地よいBGMでしかあり得ない。ジャキッと布を裁つ音がして、腰回りを覆っていた布がもっとも恥ずかしい部分でふたつに開いた。
 啜り泣く声をバックにじっくりと観察してやる。
 感心するほどにきれいな桜色。畝はしっとりと潤んで口を尖らせたようだ。そのくちびるは蜜を滾々と湛えている。透明な液でヌラヌラと濡れ、そばの繊毛を黒珊瑚のように輝かせる。縦の切れ込みはあくまでも短く端整。誰にも入られていない処女の儚さを感じさせる。ぬるい潤みを得た乙女の神秘は乳臭い香りさえしそうである。

「僕にはずいぶんと『おもらし』しているように見えるんだけど、違うのかぁ」

 僕は指先で聖夜子の割れ目をそろそろとなぞる。火が着きそうに痒いから激しく弄ばれたいだろう。そんな乙女の祈りを無視して優しく辿る。薔薇のような肉びらの渦を指で軽く撫で回す。
 聖夜子は歓喜ともどかしさに打ち震え、太股や腰回りの肉を凄艶によじらせる。小さくしか動かせないことが苛立ちを加速していくばかり。

「ああぁ! 痒いっ、もぅっ……ゃ、いやっ!」
「触って欲しいなら、お願いするんだよ」

 僕が笑って言うと、小夜子はまたしても黙り込む。だが、だんだんと掻痒感は少女を包み込む。額はじっとり汗ばんですべすべの頬は塗り椀のように赤くなめらかになる。上のくちびるからは切ない吐息、下のくちびるからは粘り強い愛液。
 聖夜子の内部は灼熱のマグマとなり、怒濤の溶岩が火口から溢れ出す。爪ほどの陰核が噴火寸前に膨れ上がって沈澱した疼きの激しさを象徴している。

「かゆいっ! ああっ、ぁっ、いや! ぁ、助けてっ……」
「人に何かを頼むときはどうするの?」

 17歳の美少女は大粒の涙を流して痒さを訴える。乳首が、顔の粘膜が、そして大事な部分が燃えそうに痒くて狂いそう。つぶらな目をギラギラさせてそれを伝えてくる。
 でも、聖夜子の口からお願いするまでは触る気はない。相変わらず指先で亀裂を辿り、ときどき浅く挿入してやる。処女膜を小さく震わせるような微かな挿入。ちゅく……神妙な音が深い感動を与えるらしい。

「あっ! もぅ、ああ! もぅ……我慢できません! ……ぁ、あぁ……」
「だから、どうして欲しいの? 聖夜子ちゃんは自分の気持ちを伝える必要がある」

 顔に縦じわを刻んでもどかしさに狂う。痒みに打ちのめされて性感に陶酔する。聖夜子は全身にうっすらと脂を浮かせて僕に裸を突きだしている。
 乳首を吸って指先で割れ目を戯れに軽く開いていると、美少女の崩壊のメロディが流れてくる。姉のいる前で、とうとう叫ぶことを余儀なくされた。
 癇癪を起こしたように真っ赤な顔。いや、癇癪だろう。子どもの頃、思い通りにならないときに喚いて泣いたものだ。あれと同じ、掻きたくても掻けず、動きたくても動けないのだから。

「もぅ、掻いて! ……掻いて下さい! ……痒くて、っ、死んじゃう!」

 そろそろ次の段階に進めよう。

「僕と、お姉さんと、どっちに掻いて欲しいかな?」
 妹の狂騒を断腸の思いで耐えていただろう、友紀子の白い肩がピクッとそびえた。

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