第1章
亜衣は珍しく焦っていた。 普段は毅然としている貌にもそれが見て取れるほどに表れていた。 「麻衣、どこにいるのっ!?」 天津亜衣と天津麻衣は、天神学園に通う双子の姉妹である。 姉、亜衣はポニーテールと校則違反のミニスカートに象徴されるように活発な性格。 気の強さが漂う瞳は彼女の美しさを一層引き立たせる。 いかにも異性の好意を得られそうな、実際に周囲から注目されている彼女は、だが、男性には一切興味を示さない。常にクールな対応で男を寄せ付けず、嫌悪感すら抱いている感がするのが玉に瑕である。 一方天津麻衣は、美麗な雰囲気を持つ姉とは逆に、可憐な美少女である。 常に慈愛の微笑みを絶やさず、明るい空気を持つ彼女。 彼女は、ごく一般的な少女の様にミーハーな一面を持つ。少し移り気なのを、しょっちゅう姉亜衣から冷やかされているが。 亜衣と麻衣は、二人が美少女である、という点を除けば普通にいる生徒にしか思えない。 しかし、彼女たちには秘密があった。 異なる世界に存在する「鬼獣淫界」 女性を淫らに堕とし溶かすこの魔の手から、この世界を守る天女一族。 天津家はその天女一族であり、亜衣と麻衣は、まさしくその麗しき天女であった。 半年前。 彼女たちは、鬼獣淫界との決戦に勝利した。 愛する祖母、共に闘った羽衣天神子守衆、そして自分たちの純血を引き替えにしたその勝利。 大きな代償ではあったが、再び平和が訪れた。 はずであった。 なんの前触れもなく、天神学園は淫らな空気に閉じこめられた。 始業間もなくの事だった。 晴天の窓の外が突然暗くなったかと思うと、甘い香りが校舎内に漂いだした。 亜衣は、息苦しさを覚え、躰が火照っている事をいぶかしんだ。 鉛筆を持つ手の、白魚のような人差し指を噛み締め自制を促す。 ふと妹の様子を窺うと、彼女もまた呼吸が速くなり眉根を寄せていた。その顔にはうっすらと汗もにじんでいるようだ。 ・ ・・おかしい・・ 自分たちだけではない。 教壇に立つ若い女教師は教卓にもたれかかり、タイトスカートの中でストッキングに覆われた脚をもじもじと摺り合わせている。 級友達もまた、落ち着き無く体を揺すらせていた。 ある者は両手で自らの体を抱きしめ、またあるものは女教師と同様に体をくねらせている。 「こ、これはっ!?」 亜衣が校内の異常に気づいた時には時すでに遅く、天神学園内の、亜衣と麻衣を除く全ての女性が霰もなく自慰に耽っていた。 「しまった。鬼獣淫界の仕業だわっ!でも・・・」 亜衣は妹にそう叫ぶと、その言葉を飲み込んだ。 そう、たった半年前に、鬼獣淫界は封じたのである。完全に消滅させることはできなかったが、封印は完璧であったはずだ。こんなに早くその封印が解かれるはずはない。 亜衣は立ち上がると、ふらつく体に無理矢理言うことを聞かせて喘ぎ悶える級友の間をすり抜け、麻衣に近づいた。 「しっかりしなさいっ麻衣っ!」 頬を紅に染め、ぼやけた瞳のまま体をくねらせている妹の頬を叩き、正気を取り戻させる。 「お、おねぇちゃん・・・」 麻衣の声色に理性が戻ったことに一瞬ほっとし穏和な表情を浮かべた亜衣は、艶やかな唇を引き締めると教室内に目を走らせた。ほんの少し前まで談笑していた友達が、正視に耐えられない痴態を見せている。 麻衣も立ち上がった。完調とはまだ少し言えないが、目の前で友達が淫らな技に堕とされている事を許せない。 「おねぇちゃん、これはやっぱり・・・」 同じ思いの妹の問いに目でうなずくと教室のドアに向かって走り出した。 「行くよ、麻衣っ。だとしたら、急がないとっ!」 廊下に出ると事態は一層深刻だった。 柱や壁には、男性器や女性器をも連想させるぬとぬととした触手がびっしりと蠢いている。 どの教室からも耳を覆いたくなるような喘ぎ声が響き、その声が大きくなるにつれ触手の動きも活発になっていく。女性の淫らなエネルギーを糧としているようだ。 亜衣は長く美しい髪を纏めていたリボンを、麻衣は左手首に結んでいたリボンを天空にかざした。 「天神招来!!」 それらは羽衣となり、光の中、天神を召還する「羽衣の舞」を舞う二人の美少女の肢体を包む。 天神の力を具現化した神聖な羽衣は、先の決戦の際にパワーアップされていた。 神々しい光りと青い羽衣に包まれた天津亜衣は、どんな邪鬼も寄せ付けないオーラを醸し出している。和服を基調としたその羽衣は、活発な亜衣に似合ってその裾がミニスカートのように短い。 動きやすい様踵の低い靴を履いた長く美しい脚は、ふくらはぎこそ青い布で隠してはいるが太股には一切の無駄がない。 やはり青い衣で掌から肘まで覆われているその手には邪鬼を撃ち破る天具の弓が握られている。 淫敵を切り裂く薙刀を手にした天津麻衣は、赤い羽衣によって麗しい肢体が覆われている。 姉とは違い羽衣の裾は長く可憐な太股を一応隠してはいるが、チャイナドレスさながらの大胆なスリットがあり姉に勝るとも劣らない美しさの脚を晒している。 淫らな宿敵に対抗する羽衣と邪鬼を消し去る力を持つ天具を手にした美少女姉妹は顔を見合わせ、何をすべきか瞳で確認すると麻衣は級友達のいる教室へ、亜衣は屋上向けてそれぞれ駆け出した。 麻衣は、手近な教室に飛び込んだ。 「みんな、ここから逃げるのよっ」 ここで気配を読む限り、この淫罠は天神学園内のみに仕掛けられている。 今すぐ校外に避難すれば、淫らな香りの虜になってしまう事はないはずだ。 幸い、完全に理性を失ってしまっている女生徒はまだいないようだ。 頬を染めふらつく足取りの級友や教師達を、校外へ誘導する。 亜衣は2階、3階と階段を駆け上り、学園を邪なるものから護る為にお清めを行ったはずの屋上へ出る。 「ずいぶんと遅かったわね、天神の巫女!」 扉を乱暴に開け放ち屋上に飛び込んだ亜衣の頭上からの声。 その声に亜衣は聞き覚えがあった。 しかしその声の主は、先の戦いで倒したはず。 いるはずのない敵を見上げ、美瞳で睨み付ける。 「鬼獣淫界の巫女、スートラっ。どうしてお前がっ!?」 褐色の肌、輝く銀髪。 目が眩むほどの美女であり、淫技の使い手にして宿敵鬼獣淫界の巫女。 半年前、パートナーのカーマと共に天津姉妹そして天神子守衆と決戦を行い、一時は亜衣と麻衣を捕縛、そして純潔を奪った邪鬼。 それが、スートラである。 しかし。 しかしこの強敵は、その後竹林において滅したはずである。 「ふふふ、どうして私がここにいるのか、不思議な様ね」 妖しい笑みを浮かべながらスートラは天津天女の姉を見下ろす。 「あの時、確かに私達は貴様らの仕掛けた竹槍に貫かれた。だが、貴様らの天具によって一瞬にして討たれたのではないのよ?」 下唇を噛み締め褐色の美人を睨み続ける亜衣は、眉間に冷たい汗が一筋流れるのを感じた。 宙に浮いたまま、淫ら巫女は亜衣に続けた。 「天具でなくても、私達を滅する事は可能よ。でも・・・私の方がほんの少しだけ生体エネルギーが多く残っている事に気づかれたカーマ様は、絶命する寸前にその偉大なお力を私に与えて下さったの」 切れ長の瞳を閉じて話していたスートラは、きっと見開くと天神巫女の亜衣に叫んだ。 「愛するカーマ様と引き替えに得たこの命。鬼獣淫界など、もうどうでもいいっ。貴様らに復讐するために使うっ!」 スートラはそう言い放つと、高空から襲いかかった。 「そうはさせないわっ。淫敵退散っ!」 亜衣は素早く矢をつがえると天具の弓を構え淫巫女に向かって撃ち放った。 「やった!・・・はっ!?」 矢はスートラの躰を貫いた様に見えた。が、その姿はまるで煙のようにかき消えた。 「ま、まぼろし!?」 四方八方に目線を走らせ敵の影を探す亜衣に、笑い声が空から響いた。 「まんまと罠にかかってくれたわね、天津の巫女。貴様の妹はいただいたわっ。ふふふふふっ」 その笑い声は空に吸い込まれていった。 「し、しまったっ。麻衣っ!?」 敵の罠に気づいた亜衣は愕然とした。 先程駆け上ってきた階段を今度は必死で走り下る亜衣。 亜衣は麻衣と別行動をとってしまった事を後悔した。 「麻衣、どこにいるのっ!?」 窓から校庭を見渡しても人影すらない。 青い羽衣の天女は、すでに無人になっている教室を端から駆け抜ける。しかし、そのどこにも赤い羽衣の天女の姿はない。 無事でいてっ麻衣っ 亜衣は心の中で叫んだ。 「後は、この職員室だけねっ」 全ての教室をまわりきった天津麻衣は、天神の羽衣をひらめかせて職員室前に駆けつけた。この天神学園には女性教師が多い。授業時間だったとはいえ、職員室に残っていた女性はいるはずだ。 「先生っはやく逃げ・・!?」 職員室の扉を開き叫んだ麻衣の目に映ったのは、半年前に倒したはずの淫ら巫女と、廊下に蠢めいているものの何倍もの大きさの触手の塊であった。 「待っていたわ。天神の巫女、天津麻衣!」 「くっ・・・」 触手の物凄い威圧感に薙刀を握りしめる手に力が入る。 「あの時の、続きをしてあげる。いえ、もっと凄い快楽を味あわせてあげるわ!」 スートラはそう宣告すると右手をすっと挙げた。 それを合図に触手の群が赤い羽衣を纏った天女に襲いかかった。 粘液の絡まる音とともに、ピンク色の肉塊が麻衣を捕らえようと次々に伸びていく。 「やぁっ!てぇいっ!」 光りの巫女は薙刀を自在に振るいその触手をなぎ倒す。 厳しい修行の成果によって、麻衣の薙刀の腕は以前にも増して鮮やかになっていた。 迫り来る触手を次々に切り裂いていく。 闘う麻衣のその姿は、天女の演舞といってもいいほど可憐に見えた。 「こんなもの、いくらあっても無駄よっ」 軽やかに天具の薙刀を扱う麻衣は、余裕の笑みを浮かべつつスートラに言い放った。 いつしか、羽衣の巫女の周りには、全ての触手が切り裂かれ散らばっていた。 「これでお終い?さぁ、あなたはどうするのかしらっ?」 薙刀をスートラに向け構える麻衣。 状況は圧倒的に有利。 麻衣はそう思っていた。しかし。 「どうもしないわ。それより、あなたはどうするのかしら?天津の巫女っ」 スートラがニヤリ、と微笑んだ瞬間! 「あっ?き、きゃああっ!?」 麻衣の足下に散らばる、切り裂いたはずの触手が一斉に蠢きだし、羽衣の聖なる乙女に再び襲いかかった。 いきなり、しかも先程とはうってかわって人知を越えたスピードで蠢く触手に麻衣は薙刀を振るう手を捕らえられ、絡みつかれてしまった。天具もそのまま奪われてしまう。 「し、しまったっ」 ぬめる触手は可憐な美少女をがっちりと捕らえた。 両手両足にはそれぞれ触手が絡みつき、透明な液を分泌して蠢く。 麻衣はなんとか逃れようと藻掻くが、どれだけ力を入れても異世界の淫ら肉に囚われた手足はびくともせず身動きひとつとれない。 「いい格好ね、天津麻衣」 褐色の美女が桃色の口紅が光る口元にうっすらと笑みを浮かべながら獲物に近づいた。 「どうして、あなたが!?」 触手に大の字に囚われているにも関わらず毅然とした表情で、半年前に倒し滅ぼしたはずのスートラを睨み付ける。 「ふふふ、貴様も同じ事を問うのね。決まっているわ」 躰をくねらせ藻掻く美少女の頬をゆっくりと撫でると、スートラはそのまま人差し指を麻衣の首筋に滑らせていく。 妖しい刺激を、歯を食いしばる事でうち消そうとしている天女に鬼獣淫界の刺客は死刑宣告を行う。 「言ったでしょ、あの時の続きをしてあげるって。貴様らに復讐するために、私は蘇ったのよ」 「んあっ!?」 スートラは天女の首筋を降りる指先を胸元に滑らせるとそのまま羽衣の中に差し入れ二つの美しい陵を玩びだした。 清らかな天女は下唇を噛み締め快楽のパルス信号に耐える。 「ぐっ・・んっ・・ふっ・んんっ」 邪鬼淫界の巫女の右手は清らかな乙女の胸をゆっくりと、ゆっくりと犯し続ける。 そして麻衣の胸の膨らみは、敵の手による刺激をしっかり快感として受け止め続ける。間もなく、二つの乳房はまるで淫らなエネルギーを蓄えている様に火照りだした。 きめ細かい肌には、じっとりと汗が浮き、一筋、二筋と流れていく。 張りつめた快楽の炎は光りの巫女の躰をじわじわと淫らな要求で満たし堕としていく。 「・・・ぁあっ?」 じっくりと膨らみを愛撫したスートラは両手を使って羽衣の胸元をはだけさせ、乙女の美乳を外気に晒し出した。 恥ずかしさに天女の頬が染まる。 「素敵よ、天津の巫女。ふふふ、震えちゃって、とっても美味しそう」 妖しく輝く美しい唇をいやらしい動きでひと舐めすると、闇の巫女の舌は光の巫女の綺麗な桃色をした尖りに近づいた。 「・・・んはあぁっ?」 麻衣の脊髄を稲妻が駆け抜けた。胸の先で震える麻衣の乳首には、その麓から頂きへ一筋の唾液が這っていた。 「ふふ。可愛いわ。あの時もそうだったけど、ますます敏感になったみたいね」 「んあぁっ、や、やぁっ・・・ぐ、ぐんん・・ひぁあっ」 ソフトクリームを舐めるように蕾を責め上げていくスートラの舌技に、麻衣は悲鳴をこらえることもできないでいる。 麻衣は武具を奪われ触手に拘束されている掌を強く握りしめ、意識が白い閃光に染まってしまうことからを逃れようとしていた。。 「すっかり快楽に溺れてるようね、天津の巫女」 「・・はっんはっ・・あぁ・・そ、そんなこと・・・」 「あら、これでも違うっていうのかしら?」 「いひぃぃっ!?」 スートラは麻衣の乳首をマニキュアのツメでつまみ上げる。 唾液まみれにされてしまっていた巫女の乳首は、本人の意思を裏切り、慎みを忘れたかのように屹立してしまっていた。それを、闇の巫女はこりこりと玩びはじめたのである。 「あぁっ・・っぐん・・あっや、やめぇ、いひぁっあっ」 スートラは、ツメ先で麻衣の胸の蕾をいじり続ける。 囚われの巫女は頬を真っ赤に染め、汗がつたう顔をうち振るい鋭い愉悦を必死にこらていた。 普段は常に慈悲の光りを湛えていた瞳は涙で潤み、艶やかな唇からは一筋の涎が流れる。 「は、離してっ、うぅ・・あぁっ」 「ふふふ、姉とは違って快楽に弱いのね。それとも、お前が淫乱なのかしら?」 麻衣は光りの巫女として、邪鬼を滅する攻撃は厳しい修行を続けてきた。 敵の攻撃に対する防御も叩き込まれている。 しかし、快感に対してはその若い肉体が素直に反応してしまっていた。 双子の姉・亜衣は例え魔界の淫ら薬を盛られても、邪鬼の悦楽技をうけても理性を保っていられるほど強固な意志を持っているが、麻衣の快感に対しての耐性は一般的な女性とそれほど変わらない。 実際に、麻衣は過去に何度もその弱点をつかれ窮地に陥っている。 「あの時も、亜衣はどんなに責めても反攻してきたけど、あなたはすぐに悶えちゃったものね」 しかし実は、特に麻衣が悦楽に弱いという訳ではない。亜衣が快楽を毛嫌いしているかのように、不思議なほど反応を示さないだけだ。 麻衣も、自分なりに耐えているつもりだった。 「ふふ、もうこんなに乳首がツンツンになってる。やっぱり好き者なのね、天津麻衣は」 「そ、そんなっ」 屈辱の言葉に麻衣は潤む瞳でスートラを睨み付けた。 聖なる光りの巫女である自分に対して許すことができない言葉。 このまま辱められている訳にはいかない。 その思いから、麻衣の瞳にわずかだが巫女としての光りが戻る。 「わ、私は、あなたなんかに、負けはしな、しないわっ」 麻衣はスートラをさらに睨み付けた。 その様子にもスートラはひるむこともなく、かえって獲物が元気を取り戻したのを歓迎するように嬉しそうに見つめる。 「ふふふ、立派だこと。でもね・・・」 「・・あひっ?・・ひぃっ、ぉんんぅっ」 ねっとりと輝く舌が、マニキュアで彩られた人差し指と親指でつまんだピンクの肉芽をねぶり犯すと、麻衣は大きな悲鳴を上げてしまった。 きつく摘まれている心地よい痛みと、蠢く舌でしゃぶられる悪魔のような快楽。 麻衣の敏感な膨らみは快感ではち切れそうになり、巫女の魂を淫らなエネルギーで染めていく。 「ほらほら、お前の乳首はこんなに尖っちゃって、震えているわ。もしかしたら大事なとこも、もうどろどろなんじゃないの?巫女のくせに、とってもいやらしいわねぇ」 なおも続く淫猥な舌技と言葉責めに、麻衣は歯を食いしばると再び束縛から逃れようと四肢を藻掻かせた。 熔けてしまいそうな悦楽に、眉をひそめ、掌を握りしめ、のびやかな脚をつっぱって正気を保とうとふんばる。 今までに体験したことのない快楽の中、それでも麻衣はなんとか理性を保ち、逆転を狙っていた。 確かに、躰には淫らな快楽が走り抜けている。 しかし、まだ溺れきってはいない。崖っぷちではあるが、まだ淫落に沈んではいないつもりだ。 いや、例えどんな攻めであろうと、これ以上反応を示せない。示す訳にはいかない! 「ば、馬鹿にしないでっ」 麻衣は自分の躰を玩ぶ淫敵を睨み付けると、さらに口を開いた。 「い、いくら淫らな事をしたって、無駄よっ。私はこんな快楽なんか、にぃひっ!?ぃひいいっ!?」 しかし、赤い羽衣の巫女はその決意を宣言することが出来なかった。 いやらしく蠢く触手が、麻衣のなめらかな両の太股の間にある乙女の秘部を下着ごとひと舐めしたのだ。 「あっあっあぁっ?・・い、今の、なに・・?」 光りの巫女は呆然として呟いた。唇の両端からはだらしなく涎が伝っているが、麻衣はそれに気づいてはいない。 今まで邪鬼から責められた中でも経験のない桁違いの淫ら電流に、麻衣は自分の躰に何が起きたのかすら理解することが出来ていなかった。 たったのひと舐めなのに、鼓動がひときわ激しくなり、躰のひくつきを止めることができない。 「快楽なんかに、なんですって?ふふふ」 スートラは切れ長の瞳を細めると、巫女の胸をさらに揉みしだく。 それに同調して、粘液でぬとつく淫らな生物が乙女の秘部の入り口をまさぐる。 「っ!?っ、やぁ、やめ・・んぐぅっ!あふうぅっ!」 麻衣の口から発せられる悲鳴には、悦びの声が混ざっていた。 光りの巫女の大切な所は、汗でも、粘液でもない液体で潤みだし、彼女の秘部を覆う羽衣の下着には小さなしみが出来始めていた。 「っあっ!んっ!い、いやっ・・んふぅ・・・!!」 麻衣はパンプスのなかの汗まみれになった足指をぎゅっと引き締める。 下着越しの刺激は、麻衣をとろけさせてしまうのに十分なものだった。 ぴちゃっ・・くちゅっ・・ねちゃっ 触手が麻衣を攻めるうちに、そこからいやらしい音が聞こえだした。 「あら?なんの音かしら?天津麻衣、やっぱりぐちゃぐちゃに感じてるんじゃないの?」 「そ、そんな事・・あはぁあんっ・な、なひぃいっ、んああっ!」 異世界の生物が蠢く度に痙攣の様な反応を見せる麻衣。びくっびくっとひくつくその太股には下着では吸収しきれずに溢れ出した乙女の蜜が伝い、足首まで流れている。 一歩離れたスートラに代わり、また別の触手が麻衣の美しい胸をまさぐり続ける。 あぁ、いや、こ、こんなの、すごすぎる。ど、どうしてっ? 自分でシた時より、半年前に責められた時よりも、か、感じちゃう・・ だめっだめぇ!こんな事で負けちゃったら、半年前の戦いはなんだったのっ? 麻衣は白濁しつつある意識の中に微かに残った理性と巫女としての使命感で、必死に淫らな快楽と闘っていた。 「だ、だめ・・だめよ、麻衣・・・耐え・・な・きゃ・・」 すっかり涎で光ってしまっている唇を噛み締めて、麻衣は恥辱に耐えようとする。 力無く貌を振り、邪楽を祓おうと抵抗する。 「ふふ、けなげだこと。でも・・」 スートラはニヤリと嗤うと、右手を麻衣の股間にのばした。 「な、なにを・・きゃああああああああっ!?」 光りの巫女の意識は、完全に淫らな光りで覆われた。 躰が折れんばかりにのけぞった麻衣は、ひときわ大きな悲鳴を上げると痙攣したまま動けない。 スートラの指は、残酷にも麻衣の大切なところにある小さな宝石をつまみ上げていたのだ。快感の塊を責められた麻衣は、ひとたまりもなく快楽の海に沈められた。 「うひぃっや、やああぅっだめっ!ああっ・・す、凄すぎるぅっ・・いいっ・・ああんっ!」 息継ぐ間もない程の連続した凄まじい快楽電流に、光りの巫女は天女の羽衣を纏ったまま熔け堕ちようとしていた。 くくく。光りの巫女とはいえ、女ですもの。力ではなく、快楽で責めたのは正解ね。 睨んだとおりこの娘は簡単に堕とせそうだわ。 しかし・・ スートラは、麻衣の喘ぎ声をBGMにして考え込み始めた。 このままこいつを堕とすだけ、というのはもったいないわね。 もともと、このむすめは快楽には素直だったもの。 どうせなら、もっともっと、この姉妹の躰の芯まで・・。 いつもは慈悲深い麻衣の貌は恥辱と快楽で真っ赤に染まり、涙と涎でまみれていた。髪が幾筋か、べとべとの汗で張り付いたその貌を左右に振り乱して、躰を駆けめぐる快楽の電流から逃れようとする。 しかし、逃げ場などなかった。 麻衣は、為す術もなく巫女としての慎みの、崖っぷちに立たされていた。 そして、その足下が崩れ去るように、麻衣に限界が近づいてきた。 「あぁああっ・・だめぇっ・・んふんんっ、も・・・もうだめぇっ。た、助けてっおねぇちゃーんっ!!」 堕ちる寸前の麻衣は、敵に一層の淫ら罠を計画するヒントを与えてしまった。 ・・・そうか。この娘を快楽の虜にしてから亜衣を責めようと思っていたけれど・・。 この娘は、まだこのままにしておいたほうが、一層楽しめそうね・・。 スートラは、淫らな笑顔で麻衣に近づくと、激しく悶え続ける光りの巫女にささやいた。 「天津麻衣、貴女のお姉さんに逢わせてあげるわ。でも・・」 スートラはそこで言葉を切った。 もう一度にっこりと微笑むと、巫女から離れる。 それが合図であったかのように、さらに大量の触手の群が麻衣にまとわりついた。 「ひっ・・・やっ!?あひぃいいいっ。た、助けてぇええっあはぁあああっ!?」 麻衣の胸、股間の大切な所はもちろん、綺麗な脇、清楚な臍、両手両足の指にもからみつき、少女の体中に淫らな快楽を送り込み続ける。 もはや、麻衣は触手の海に囚われ覆い尽くされた躰を、ひくつかせる事しかできなかった。 乙女の大切なところから溢れ出る蜜は、流れる間もなく触手によって舐めとられる。 麻衣の意識は、嵐のような快感によって霞んでいく。 「ああっ・・た、助けて、おねぇ・ちゃ・・・おねぇちゃ・・んひぃっあ・・」 「しばらく、そうして待ってなさい、天津麻衣」 スートラは今にもとろけそうな麻衣をみつめるとひとり呟いた。 すぐに逢わせてあげるわ。でも。 助けてはくれないわよ。 なぜなら、お前のお姉さんは、お前と同じ、いえ、それ以上の快楽に堕ちてるのだから。 職員室にスートラの笑い声が響きわたった。 ほかに聞こえるものは、天津の巫女、麻衣の喘ぎ声と触手のぬめり蠢く音だけだった。 |