序章
セレーン「ほんと・・・すみません。泊めていただくうえに、こんなご馳走まで」 ミレーヌ「いいんですよ。困った時はお互い様ですからね」 食卓を挟んで二人の女性が食事をとりながら和やかな会話を弾ませる。 一人はゆったりとした服を身に纏った女性「セレーン」。もう一人は黒いドレスに身を包んだ女性「ミレーヌ」。 どちらも端正な顔つきをしているが、セレーンは清楚な顔つき、ミレーヌは妖艶な顔つきをしている。 美しい女性の両極端が、燭台に照らされたテーブルを挟んで食事を楽しんでいた。 ミレーヌ「でもセレーンさんは、こんな森の奥まで何をなさりに来たんですか?」 セレーン「はい。この辺りに出没するファントムの退治に・・・・・。ミレーヌさんは、ここにお住まいになっていて、よくご無事でいられましたね」 ミレーヌ「え、ええ。私はあまり外出しないものですから・・・・・」 セレーン「そうですか。・・・でも、安心して下さい。ファントムは私が全て退治しましたから」 ミレーヌ「そうですか・・・・・・・・」 セレーン「それにしてもミレーヌさんは、どうしてこんな森の奥にお住まいなんですか?」 ミレーヌ「私は賑やかな場所が苦手なもので・・・・・こういった静かな場所の方が落ち着くんです」 セレーン「でも、こんな森の奥に独りでお住まいになっていたら危険でしょ」 ミレーヌ「え、ええ・・・でも、今まで危険な目に遭った事はありませんから・・・・・」 セレーン「そうですか・・・・・」 取り留めもない会話を交わしながら、二人はテーブルの上の食事を口に運んだ。 ミレーヌ「セレーンさんは、そのお姿から想像するに、プリーストなのですか?」 セレーン「あっ、はい。まだまだ修行の身ですけど・・・・・」 ミレーヌ「また、ご謙遜なさって。ファントムを退治したという事は、かなりの腕の狩人なんでしょ?」 セレーン「い、いいえ・・・・そんな事ないです。ファントム退治だって、少し手こずりましたし・・・・・まだまだですよ」 ミレーヌ「それじゃあ、さぞお疲れでしょう。ここは古い館ですが、自分の家だと思ってゆっくり休んでいってくださいね」 セレーン「はい、ありがとうございます」 セレーンとミレーヌは、そんな会話を交わしながら食事を楽しんだ。 そして食事を終えた後に、ミレーヌの案内でセレーンは館の中の一部屋に通される。 ミレーヌ「どうぞ。今日はこちらでゆっくりとお休み下さい」 そこは豪華な装飾が施された家具の並ぶ部屋だった。 セレーン「こ、こんな豪華なお部屋・・・・・いいんですか?」 ミレーヌ「ええ、遠慮なさらないでご自由にお使い下さい。私はそろそろ自分の部屋で休ませて貰いますので・・・・」 セレーン「あ、はい。ありがとうございます、ミレーヌさん」 ミレーヌ「では・・・ごゆっくりと」 そう言ったミレーヌの口元に妖しげな笑みを浮かべる。 だが、セレーンはその笑みには気づかなかった。 セレーン(ミレーヌさん・・・綺麗で優しくて、いい人に出会えて良かったわ。これも神のご加護かしら) そんな事を考えながら、セレーンは服を脱ぐ。 大きめの服の下からは銀色のプレートメールが現れた。 プレートメールは戦士が身につけるそれとは違い、服の中に着込む物なので厚みはそれほどでもないが、それでも相当な重さがある。 窮屈なそのプレートメールを、セレーンはゆっくりと外していった。 カチャ・・・カチャカチャカチャ・・・・・ 金属がぶつかる音を立てながらプレートメールが外されていくにつれ、セレーンの白い肌が徐々に露わになっていく。 惜しげもなく露出したふくよかな乳房、キュッと締まったウエスト・・・・・。 セレーン「・・・・・・・・ふぅ」 重い鎧から解放されたセレーンは、思わず溜め息をつく。 だが、セレーンの身体にはまだ金属に包まれている部分があった。それは、腰から下の普通なら下着を着けている場所。 そこを強固に守っている物は貞操帯である。 プリーストは神に身を捧げた存在。当然貞操も神に捧げなければならない。 貞操を失うという事は、すなわちプリーストとしての力を失うという事なのである。 だから男女問わずプリーストは貞操帯を着けねばならなかった。 でも、貞操帯を着けたままでも、普段の生活には支障は出ない。 お尻の部分には金属のプレートは無く、前のプレートには排尿をする時の為の穴が空いているからだ。 セレーン(コレがちょっと窮屈だけど・・・・・仕方ないわよね) そう思いながら、セレーンは豪華なベッドへと潜り込む。 昼間のファントムとの戦いで疲れ果てていたセレーンは、そのまますぐに深い眠へと落ちていった。 その頃、ミレーヌは屋敷の地下にある部屋にいた。 そこはどう見ても彼女の部屋とは思えない部屋である。 ミレーヌ「ふっふっふっ・・・・・思いもかけない獲物が迷い込んでくれたわね」 ミレーヌは先程までとはまるで違う口調で独り言を呟いて部屋の中を見回す。そこにはおぞましい道具が、所狭しと並んでいた。 壁や天井からは拘束用の枷の付いた鎖が垂れ下がり、備え付けられている棚には色々な大きさと形の張り型や革でできた鞭、それに蝋燭や浣腸器などの様々な責め具が陳列されている。 他にも磔の為の十字架や三角木馬などがあった。 ミレーヌ「さてと・・・・・どうやって堕としてあげようかしらね」 道具を一つ一つ確認しながら、ミレーヌはサディスティックな笑みを浮かべる。 その口元からは白く長い犬歯が覗いていた。 ミレーヌ「セレーンちゃん・・・・・どんな味の愛液を流してくれるのか・・・今から楽しみだわ。・・・・・うふふふふふふっ」 そう呟いたミレーヌは、妖しい表情を浮かべて舌なめずりをする。 その瞳は紅く染まり、人以外の強烈な妖しさを発していた。 |