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  戦乙女ミーアリィ                                     あーくん 著 

キャラクター設定:

ミーアリィ 上級神の戦乙女 ロングの長い髪が特徴

レザイヤ 女魔族 死神を自分の肉体に閉じ込めた。

ゼラ 上級神の一人 短めの黒髪

ロッキ 魔術師の少年





戦乙女……
 魔と戦うといわれる女神のことだ。
 ありとあらゆる災いをもたらす、異形の魔や、怪、
 そして醜い欲望の虜になった人間……

 あらゆる災いを戦いで滅ぼしていく。それが戦乙女の役割。
 その女神の中で、最も美しき乙女と呼ばれる女神がいた。


 上空からゆっくりと様子を見る戦乙女。
 その名は、戦乙女ミーアリィ。

 数いる戦乙女の中で、最も優秀な地位に就いている女神。
 その彼女が、慎重に小島の上空から様子を見ている。
 右手に美しい盾を持ち、左手に長い槍を持っている。盾で、魔の攻撃をはじき、槍で魔を突き刺す。戦乙女の中でも、最高の槍使いの持ち主。
 青い髪や青い瞳がさらに美しさを際立たせる。

 それが、ミーアリィ上級神。女神の中でも、上級の位に位置する乙女である。

 その彼女が、この小島に来たのにはわけがある。
 最近、一人の下級神の一人の戦乙女が、ここで消息不明になったのだ。通常、神々は絶えず、意思を光の力で発しており、絶えずテレパシー等で、通じ合える。
それが最近消えた。

 この小島で……

 ――確かに……反応はないわ。
 ゆっくりと降りて行きながら、周りを見渡す。入り口のような所が見える。ガバッと人間の数倍の大きさの広さの入り口。入り口と呼べるようなものはここしか見当たらない。

 ――でも……ん?

 鋭い目がピクッと動いた。顔が入り口近くを睨む。被っている兜も一緒にその方向へ向く。地面にゆっくりと降りていく戦乙女。軽い緊張感が走る。
 右手の盾が自然と前に来る。大きな胸を隠すように……

 美しき胸は、しっかりと鎧に覆われ、あらゆる魔や邪悪な人間から守っているのだ。
 青紫の鎧は、ぴったりと身体にあうサイズ。胸のラインは、弧を描くように美しい。そこから腰辺りに向かって鎧が続き、白いスカートで下半身を覆っている。その下半身のところで、乙女の大事な部分は決して侵入者を寄せ付けないような作りにしてあるのだ。
 さらに脚には、魔を寄せ付けない頑丈なブーツ。

 ミーアリィの年齢は、はっきりとはわからない。女神の年齢は、人間では考えられないほどのものだ。だが、身体つきや、顔の表情を見れば、強気美女と呼ばれるのがふさわしい。キリッとした顔立ちに、釣り上がった眉、鋭い眼光を放つ目。
 魔の力に対抗するためのほどよい筋肉質。スカートから見えるチラリズムのフトモモは、十分に鍛えてあるという言葉がふさわしい。

 どれをとっても戦うための道具だ。

 ――弾かれてる……
 念を送るが、どうやら弾かれていると判断したミーアリィ。ということは、何かいるということだ。ゆっくりと槍先をその方向へ向ける。

 そこはあの入り口の穴であった。



 ミーアリィが、慎重に辺りを見る。だが、魔の気配は全くない。
 逆に不気味と感じる。

 ――周りには何も感じない。やはり中に入らないとわからない。

 穴に入るということは、敵の中に入るということだ。

 ――誘ってるわ……ふふふ。
 間違いなく中にいる。何かが……

 そいつが、仲間の乙女を……
 だが、捕らわれているなら、助け出さねばならない。

 ミーアリィは、念を送る。仲間を呼ぶために……
 すると、穴の奥から念を通じて声が聞こえてきた。

「ぅうっ…… ぅあっ……」
 か細い声だが、間違いなくこの声は……

 ――ミリアン!
 その声は下級神ミリアンの声!

 次に外部に念を送った。これでいずれ仲間は来る。ひたすら続くせつない喘ぎ声。
 その声に我慢ならない戦乙女ミーアリィ。

 一目散に彼女は、穴の奥に飛び込んでいった。

 仲間を待たずに飛びこんだ戦乙女。これにはわけがあった。
 ミリアンは自分が一番かわいがっていた女神。だからこそ、この犯されている声を聞くのが、我慢ならない。
 穴に入っていくと奥の方から声が聞こえてくる。誘うような声。
 すると、バックの開いていた穴が……

 崩れ落ちた!

 ――閉じ込めたつもりか?
 その意を無に返すように、ミーアリィが、槍に力を込める。
 その槍先から青白い炎が吹き上がり、崩れて埋まった入り口を強引に破壊した!

 ダイナマイトが爆発したしたかのように、入り口が吹っ飛んでいく。
 
 ――次の行動はなしか?
 何かを待っているミーアリィ。相手が入り口を塞いだのには、心理的圧迫の意味がある。 そして、それを意図も簡単に吹き飛ばすことによって、
 相手にも無駄だと思い知らせる……

 みえない相手との心理戦がもう始まっていた。

 宙を浮きながら、様子を見て奥に向かう。相変わらず聞きたくない喘ぎ声が続いている。
 慎重になるミーアリィ。だが、全く怪しい雰囲気はない。

 これが不気味なのだ。

 魔物や魔族が出す魔気、妖怪などが出す瘴気、邪悪な術に溺れた人間が出す邪気……
 いわゆるエビル……

 そのエビルがまったく感じられないのだ。

 なにかしらの薄い気配は穴の奥深くからは感じるのだが。存在を感じる気配はある。
 だが、魔などが出すエビルはまったく感じられない。

 ――誘っている。
 それはわかる。
 
 だが、なぜここまで気が……ないのかが気にかかるのだ。
 浮きながら、奥へ入っていくミーアリィだが、まったく気がない。魔気や瘴気は必ずエビルを発する。それを頼りに戦乙女たちは、動き、戦っているのだ。
 周りの壁はゴツゴツしている。黒い黒い壁が続いていく。

 すると、階段がある。見ると螺旋状に下っている。

 下は奈落の底のようだ。

「…………」
 駄目だ……喘ぎ声は聞こえるが、瘴気などは一切感じられない。さっき入り口を塞がれた時も、気はなかった。

 ――わからぬ。何? 何なの?
 しかし、はるか底から聞こえるせつない声には勝てない。
 敗北の悲鳴に我慢ならない戦乙女。

 ミーアリィは下降していった……



「ミーアリィ殿は入り口奥に行ったようだな?」
「ええ……」
「よし、いくぞ!」
 魔を殲滅する戦乙女の部隊があらわれた。数百人はいるだろう。みな戦いのエリートだ。

 美しきエリートたちが一斉に入り口へ向かおうとする……

「あっ……」
 乙女の一人が叫んだ。入り口がふさがっていく……
「やるぞ!」
 塞がる入り口に、光のパワーをぶつけていく乙女たち!

「駄目です!」
「…………」
 びくともしない! さっきとはまるで逆だ。

 すると、今度は稲妻のような閃光が光った。
 その光はどす黒い……

「こ、これは……」
 黒い閃光と煙に覆われていく小島。その中に戦乙女たちは入れないのだ!

 ――ま、まさか……

 もう一度、乙女たちは、光のパワーをぶつけていく……しかし、びくともしないのだ。

 なぜだ?
 
 あらゆる負のエネルギーをこれで粉砕してきた乙女のパワー。これが通用しない!
 乙女たちはただただ呆然としていた。



 一方、中に入り込み、真下に落下していくミーアリィ。
 だいぶん時間がたったが、ついに底が見えてきた。
 盾と槍に力がこもる。
 しかし、何も感じない。かすかにミリアンの気配のようなものが感じ取れるだけだ。

 ――ん?

 下か黒い物体が迫ってくる!
 だが、エビルを感じない……

 ――おかしい……
 思うミーアリィ。すると、迫ってくる!

「きたか!」
 巨大な幼虫のようなものに見える。ついに本体があらわれたのか?

 五メートルはあろうと思われる幼虫の化け物が、ミーアリィに襲い掛かった。

 強き槍が、閃光を放つ!

 まぶしい光が、あっという間に化け物の身体を貫いた。
 次から次に、駆逐されていく幼虫たち。身体にあるとげを、見せ付けるように迫るのだが、ミーアリィはそれをことごとく破壊していく。

一匹が、乙女の攻撃を受けた際に、バラバラに分裂した。一瞬のうちに身体に食らいつく!
 その食らいつくモノをミーアリィは、身体全体に気を入れて破裂させた!

「フギャアアアッ!――」
 奇声をあげて苦しむ幼虫! ミーアリィは次々と幼虫の身体にも入って、中から崩壊させていく。20匹ほどいる幼虫は全滅した。だが、ミーアリィは驚く。

 ――エビルが……ない!

 そう、エビルがない。こいつらにもエビルがないのだ。
 操っているなら必ずエビルが感じられるはずなのに……
 考えても理解できないミーアリィ。
 エビルがないというのは、常識では考えられないのだ。

 魔であろうが、妖怪であろうが、人間であろうが、必ずエビルがある。
 そして戦乙女も例外ではない。

 そういうエビルのようなものを持っている。最もコチラは邪悪なエビルとかではないが。

 ――向こうか!
 喘ぎ声が大きくなってきた。まちがいなくミリアンの声だ!

 スーッと浮くミーアリィ。そして一目散に目標に突進していった。



 ググッと流し目が細くなっていく。美しい乙女の顔が、険しい顔つきになる。
 悲鳴に似た声が、洞窟に響く!

 ようやくミリアンの気が、感じるようになってきた。
 もう少しと思うミーアリィ。
 すると……

「あっ!――」
 巨大な黒い火の玉の物体が、円形状に渦巻いている。そこからミリアンの気配が大きくなっているのだ。汗と幼虫の汚物に濡れた鎧が、黒い物体の発光する光で、妖しく光る。

「あは……くはああああっ!――」
 黒い玉の中央部分に、かすかに乙女の身体が認識された。

 ――ミリアン!
 同じ戦乙女の女神に叫ぶ! だが、応答はない。聞こえるのは悶え声ばかりだ。

 その黒い物体に、身体ごと突き進む! 
 
 乙女の何倍もある玉に槍を突き刺し、破裂した部分から潜り込む! 
 中はどす黒い煙が急流のように渦を巻いている!

 身体をつけまわすように流れる煙……
 それを無視して、ミリアンに抱きついた!

 そして、ミーアリィが全身に気を溜める……

 次の瞬間……

 戦乙女からはなたれた気を黒い渦はこらえきれずに、破裂していく!
 壁をぶち破るようなゴオオンとともに、黒い玉は崩壊していく……

 だが、ミーアリィは気にしている。なぜなら……

 ――これもエビルが……ない!
 ミーアリィにある予感が走る……



「大丈夫?」
 問いかけるが返事はなし。気を失っているミリアン。ボロボロになった鎧。ボロボロになったスカート。女を証明する部分はヒクヒクしているようだ。
 ミリアンの気が消えてから、数日。相当身体を……

 パワーを与えようとするミーアリィ。力を持てば、自然と鎧や武器は復活するのだ。

 ――これは……
 何かが……あそこから!

「クッ!――」
 触手だ! それもどす黒い色をしている! 一気にミーアリィに襲い掛かった!

「くううっ!――」
 片手で絡みついた触手を握り潰す!

「ぴきいいいいいいいいいっ!――」
 悲鳴をあげて触手が溶けていく……

 ――ば、ばかな……
 なぜこんな下等な生物にと思っている戦乙女。これぐらいの小物にいいようにされたということが、信じられないらしい。

 ミリアンは小柄なタイプのようだ。明らかにミーアリィよりは少し身体は小さい。

「ミリアン! ミリアン!」
 叫ぶミーアリィ。するとかすかに身体が動いた。相当消耗している。
 パワーを分け与える。だが、一向に回復しない。

 ――だめか……
 こうなれば連れて帰るだけだ。ミーアリィの身体が浮いた。ミリアンを抱えて……


「どこへ行くの?」
 崩壊して消えかけた黒い物体の奥から、女性の姿の型があらわれる。

 ――?
 ミーアリィが一瞬戸惑った。その姿に……

 そして、疑惑は確信に変わったのだ。

 黒い煙が薄れていく……戦乙女をあざ笑うように……
 

 そこには無機質の色をした……
 死神が笑っていたのだった。



 黒い脚に、黒い身体。だが、その黒さは鮮やかなブラックではなく、朽ちさびた感じの色をしている。まるで絶望の色だ。水着のようなスーツを全身にまとい、黒い肉体に見える部分が妖しく光る。そして右手にシンボルの巨大な鎌。
 あれで、定められた死を迎えた人間や動物の魂を狩るのだ。

「し、死神? 死神か?」
 ミーアリィが驚くのも無理はない。なぜ、こんなところに……
「返しなさい、その娘を」
 宙に浮いて抱えているミリアンを指差した。冷たい目でミリアンを見る。だが、その姿はまるで女神のように美しい。

 妖しい絶望の色をむき出しにしながら近づく女型の死神。

「なぜ、死神がわれわれを襲う! 
お前たちの役目は人や動物の魂を司ることであろうが!」
 この仕業が死神とわかり憤るミーアリィ。
「その娘は、生贄なの」
「生贄?」
 意味がわからないミーアリィ。

「返さないというなら……あなたが代わりになってくれるかしら?」
「…………断る」
 女神の目が光った。

 ――間違いない……このエビルの無さは……
 もう一度確認する戦乙女。死神と確認するために。

 しかし、ここで疑問が生まれた。なんで死神が同じ神である戦乙女を……
 本来、役割があるこの二つの神がやりあうことはないのだが。
「そう……だったら、力づくで狩ってあげるわ」
 巨大な鎌を振り上げる死神。

 ――本気か?
 信じられないミーアリィ。

 だが、次の瞬間、地中からまたもや幼虫が出現するのであった。

 笑いながら死神が不気味な虫を呼び起こす。それに驚く戦乙女。

 ――し、信じられない! 死神にはこんな術や力はないはず……
 動揺している暇は無い。一気に襲い掛かる虫たちを、槍と盾で粉砕していく!

 次から次に繰り出される幼虫はきりがない。ついに、身体中から女神の閃光を放った!

 清らかな光に、虫たちが消えていく……
 その間に死神は近づいて行く。

「うりゃああああああああああああっ!――」
 美しい黒い顔が、険しい醜い顔に変化する! 魂を狩る時の表情だ!
 その鎌を盾で迎え撃つミーアリィ。

 ――す、すごい……
 ものすごいパワーに圧倒される。だが、死神にはこんな力はない。

 これは死神の力じゃない!

「お〜ほほほほほほっ!――」
 もう一度巨大な鎌を縦に振る女死神!
 鎌と共に振り上げられる胸がプルンとうなる。

 再び重なりあう槍と鎌!

「お、お前は……なんだ!」
 踏ん張る戦乙女が問う!
 その問う女神に対して……

 ぺロッと舌を出した……
 黒い無機質の舌だ。
 さらに……

 次の瞬間!

「う、うわああああああっ!――」
 とぐろを巻いたような蛇状の生き物が、戦乙女に絡みついた!
 太ももの辺りを嘗め回すように動き回るヌルヌルとした触手のようだ。
「あなたも生贄にしてあげる」
「やめろおおおおおおおおおっ!――」
 再び閃光を放つ! 一瞬にして粉砕され生き物!

 次に、槍で死神を突き刺す!
「きゃああああああああああああっ!――」
 黒い身体に入り込んだ槍の矛先が、
 巨大な爆発音と共に、死神の身体に穴を開けたのだ!

 だが、死神は死なない。というか死というものがない。
 人間や動物だけにあるのが死だ。神や魔族は消滅しかありえない。

 蛇のとぐろは消えた。太ももにヌルヌルという体液だけは残ったが……

「不必要なところに……穴を開けないでよ」
 今度は喘ぐように言う死神。これにも驚く。

 ――無機質な死の神がどうして?
 ますますわからないミーアリィ。
「ミーアリィ……姉さん」
「ミリアン!」
 目を細めながら起き上がろうとするミリアン。与えたパワーがやっと効いてきたか?

「に、逃げて……こいつ……ただの死神じゃ」
 だらだらと人間のように汗をかくミリアン。これは女神が弱ってきた証拠の証でもある。
 裸のまま必死に叫ぶ。

 ――ただの死神じゃない?

「きゃああああああああああっ!――」
 ミリアンが食われた!

 巨大な幼虫に!
 さっきとは違うさらに数倍の大きさだ! 大きな口で吸い込んでしまったのだ。
 続いてミーアリィも引きずられる!

「こ、これはわあああああっ!――」
 この巨大な力……

 こんな力は死神にはない!

「うわああああああああああっ!――」
 盾と剣を持ったまま、強大な口にミーアリィは飲み込まれていった……

 だが、しばらくすると状況は一変。
 内部から女神がぶち抜いていく!

「キイイイイイッ!――」 
 わめきながら幼虫がぶっ倒れた! すさまじい黒い血がが飛び散る!
 その虫から光を帯びて出てきたミーアリィ。

「ミリアン!」
 ミリアンはいない。どうやら別の幼虫に飲み込まれて、連れて行かれたらしい。

 ――クッ……
 こいつはもう一人では手に負えないと判断。だいたい死神が女神を襲うなんて聞いたことない。対処の仕様がない。

 戦乙女ミーアリィは、一旦、ここを出ることにした。

 撤退するミーアリィ。すごいスピードで駆け巡る!
 だが、出口がない。どうやら迷路にされている。出させないというわけだ。
 だが、こうなれば壁をすべてぶち抜く光の閃光を使えばいい。

 乙女が身体に力を入れた……

 すさまじい閃光が壁に向かって放たれていく!
 すべてのあらゆる物質を破壊する閃光だ。

 閃光が壁に突き刺さり……すべてを……

 ――ん?

 か、壁が……

 吸収した……

「なっ……?」
 壁が……女神の光の攻撃を吸収した……黒い壁が。

 ――どういうことだ!
 もう一度閃光を放つ! だが、今度もまた同じ、壁が吸収していく……

 ――わからない。

 いらだつ戦乙女。今度は全身を光に包ませ、自分ごと激突していく!

 ぶつかった瞬間、壁に潜り込む何十メートル突き進むように……
 だが……

 出口が……ない!

 地中に埋まったようになってしまった。すると、いきなり弾き返された!
「うわああああああああああああっ!――」

 壁が吸収していたモノを吐き出すように……

 ミーアリィは元に戻された。戻されてしまった……

 愕然とする戦乙女。
 ここより、ミーアリィの恥辱の苦が始まった……



「駄目だ、全く効かない」
「どういうこと?」
 小島の表にいる戦乙女たち。
 一向に進展しない状況に苛立ちを募らせている。
「どうする?」
 私たちにはどうすることも出来ないといった表情だ。

「一度戻り、上級神の方々の意見を聞くしかあるまい」
 みなの意見が決まった。この状況は下級神の者たちでは理解できないらしい。
 だが、理解できないのは……

 ミーアリィもだった。



「くううううっ……」
 何十回と繰り返した同じ行為。相当パワーを使ってしまった戦乙女。

 ――駄目だ……まったく意味がない。
 今まで考えられなかった状況に戸惑っている。
 何回やっても吸収されてしまうのだ。あらゆる魔力、そして邪悪な力を退ける、粉砕するはずの光のパワーが吸収されてしまう。キリッとした強い目がちょっと弱気になった。
 額からうっすら弱ってきたという証拠の液が出てきた。

 ――困った……
 そう思ったとき!

「うっ!――」
 地中からまたもや幼虫があらわれたのだ!

 ミーアリィの無間地獄が始まる……


「うおおおおおおおおおおおっ!――」
 無数に襲い掛かる幼虫たち、おまけに触手も絡んでくる!
 それに対して光と、槍と盾と鎧で戦う戦乙女!

 もう何時間続いたかわからない戦闘……

「はあ〜はあ〜」
 ついに息が切れてきた。女神は人間とは比べ物にならないパワーと精神力を持っているが、これほど立て続けに戦えば弱ってくるのだ。さらに、出ることができないというのがネック。心理的に追い詰められている。

 ――きりがない。
 そう思ってもひたすら軍隊アリのように続く触手と幼虫の攻撃。どこへ逃げてもひたすら攻撃される。最初は近づくことさえできない幼虫や触手たちだったが、だんだんパワーと光が弱まり、辛い状況になってきた。

「うっ!――」
 脚に絡む! それを太ももから光を出して粉砕する!
 だが、これもあまり使いたく状況だ。パワーの温存のためにも……
「くわっ!――」
 槍で突き刺している隙に、さらに胸の鎧にもまとわりついてきた。
 手で握りつぶすミーアリィ。

 ヌルヌルのぬめりはもう取れない。それを取るパワーを使いたくないのだ。
 身体全体がゼリーに濡れている。
 青い長い髪が、粘液で汚されていく……

「くうううううううううっ!――」
 全身に絡みついてきた触手。口の部分に小さなひげのような部分がある。それをもぞもぞと太ももに這わせる。
 生理的にゾッとする感触がでてきた!

「くわああっ!――」
 握りつぶす戦乙女。口が女神の手で潰されていく……

 だが、次から次にくる攻撃に、身体中が……熱く熱く感じてくる。
 また一斉に絡まれた!
 そして、鎧の脇から内部に侵入しようとする!

 その行動に怒りを覚える戦乙女!

「うおおおおおおっ!――」
 強気乙女は、全身からありったけの光のパワーを大放出した!
 その瞬間、爆音と共に、周りの幼虫や触手がすべて消滅していく!

 数十メートルの範囲で、ゴオオンという響きが洞窟に伝わる。だが、黒い壁は消滅せずに、それを吸収していくのだ。

 もうなぜだとは思わない。もう慣れた……

 向こうからまた軍隊アリのように近づいてくる生き物たち。乙女の周りに生き物の死骸が散乱している。

 ハアハア〜と息をする女神。いくら体力がある戦乙女でも何時間もは辛い。

 ――仲間が……こない。

 この時間まで何もないというのは不思議なのだ。それもそのはず仲間は、数人の女神を残して、この意味不明の状況を上級神に伺っている最中。

 だが、ミーアリィにはそれは伝わらない。テレパシーさえも遮断するこの洞窟……
 この小島……


 いったい、この小島はなんなのか?

 少しずつ不安になるミーアリィ。その女神に容赦なく幼虫たちが襲い掛かっていくのであった。


 その頃……
 ミーアリィからかなり離れた場所で……
 あのミリアンが、責められていた……

「くっ……はああああああああああああああっ!――」
「休んだだけあって、回復してるわね〜」
 あの女型の死神から……

 貫かれている!

「いやっ!―― あはああああああああああっ!――」
 もはや喜びの悲鳴をあげる戦乙女ミリアン。深く貫かれた、人間の部分にあたる膣が、躍動感があるように踊っている!

「いい声だすわあ〜」
 黒い顔が喘いでいる。この女型死神に犯されているミリアン。だが、その顔は歓喜の顔だ。ボロボロになった鎧をかろうじてまとい、破け散ったスカートを思いっきり揺らしていく……

 うれしそうに後ろから付きまくる死神。こいつの名前は、レザイヤ。
 立派な女型死神だ。だが、なぜ死神が女神を犯しているのか? 
 ビクビクと膣に強引に入れていく……モノ。

 こんなことは死神には出来ないのだ。

「うわああああああああっ!――」
 強制的な絶頂が絶えず襲い掛かる。その快楽に耐えれないミリアン!

 終わっても終わっても、次から次にくる無理やりの絶頂。人間の女の肛門の部分にあたるところと、膣にあたるところをしつこく攻められている。

「いいわ! もっと! もっと! 吸い取ってあげるわ!」
 鎌を振りまわさず、アレを振り回す死神とは聞いたことがない。腰をグラインドさせるようにして、戦乙女の身体を攻めている。

 イクたびに乙女の身体から、危険信号の汗がしたたる。それを絶頂とともに周りに振りまいていく淫乱戦乙女!

「いい! いいのよおおおおおおおおおおおおおおっ!――」
 乱れに乱れるミリアン。お尻を上にあげ、屈服のシーンを演じている! 
 奥に異形のモノが、強引に入り込むたびに、ミリアンは歓喜の声を上げ続けるのだ!

「ほほほほっ! どんどん出すのよ! 吸い出してあげるわ!――」
 アレは人間の男の部分から二本に分かれて、乙女を責める!

 そして、お尻の穴の上あたりから……

 尻尾が……

 こ、これは……デビル……

 悪魔や魔族が持つシンボルだ!

「うあっ! くはあああああああああああああああっ!――」
 イかされ続ける戦乙女。もう何百回イッタだろうか?
 それでも乙女は死なない、消滅しない。ただひたすらパワーを吸い取られているようだ。

「あはっ! いいいいっ! いいわよ〜 もっと! もっと出すのよ!」
 歓喜の声で言い放つレザイヤ。モノが大きくなったり小さくなったりして、気味悪く動き回る。黒い粘液が入れ込むたびに、脇から湧き出るのだ。
 
 まるで入りきらないないために……

 そして強烈に潜り込むたびに、ミリアンは喜びで泣き叫ぶのであった。



 ――だ、駄目だ……
 かなり消耗したミーアリィ。疲れが表情に出ている。それでもひっきりなしに迫る異形の生き物。ここから出れない限り、逃げ場がない。

 腕を掴まれたミーアリィ。握りつぶす触手が、潰された部分からさらに再生していく。
 今までは潰す時に、パワーを送って再生を防いでいた。それが出来なくなりつつある。

「ううっ……」
 パワーがなくなりつつあるのを実感する戦乙女。徐々に危険だという信号があちこちから出ているのだ。
 無視できない危険信号。

 ――く、くううっ……
 太ももに絡みついた! まずは、スカートを破って行こうという作戦らしい。
 光の力があった戦乙女なら、スカートを破られたり、そもそも侵入を許すことはない。
 だが、そのパワーが弱ってきた乙女にとって、この攻撃は危険になる。

 ――うぐっ……
 縛り付けられるような感覚が、ミーアリィのもも肉に襲い掛かった。何十にも巻かれて身動きを止める触手群。一本一本を手で握り潰し、振りちぎっていく戦乙女だが、執拗にくる太ももへの攻撃にたじろぐ!

「は、はな……せ」
 きゅううう〜 という音がしながら両脚に絡みついていく。股を覆っている鎧があらわれた。弱っている証拠の汗と粘液で少し汚れている。両脚に絡みついた触手たちが、強引に股間を広げようとしているのだ。立ったまま無理やり広げられる両脚。抵抗して内股にしていた状況をこじ開けていく。

「うあっ!――」
 ガバッと脚が広げられる。思わず倒れそうになるミーアリィ。
 そこへ触手たちが群がる!

 股間へ我先に向かうヌルヌルの蛇。だが、女神のガードは固い。そう簡単に潜り込めるはずがない。

「うわあああああああっ!――」
 力を振り絞って群がる淫触手を、引きずり出した!
 パワーが少しよみがえる戦乙女。全身からもう一度光を放つ!

 そして、今度は逃げ始めた……

 今まで決して逃げることはなかったミーアリィ。脱出不可能でも、その場に立ち止まり、群がる邪悪な生き物を消滅、粉砕させてきた。プライドが許さなかったのだ。
 だが、状況は危険と判断。宙に浮き逃げることを選ぶ。

 もちろん、逃げても追ってくるのは、考え済み。

 ところが……

 ――なぜだ、なぜ前から……こない。
 後方からは確かにうじゃうじゃと追いかけてくる。が、前方からは一向にその気配がない。今までは360度どこからでも襲い掛かってきた触手と幼虫たち。それが急に逃げると決めると、前方から来なくなった。

 これはあきらかに……誘っている。

「おのれ……」
 つぶやくミーアリィ。この敵の余裕ともいえる態度が気に入らない。
 そして相変わらずエビルはない。

 ――死神が……馬鹿な……
 どうしても信じられない。死神は、同じ神である戦乙女を襲ったりはしないからだ。
 だいたい戦乙女は人間や動物のように魂があるのではない。死ぬというのは消滅を意味するのだ。

 ――ん?
 迷路になっているようだ。いくつもの入り口に分かれている。女神は真ん中らへんを選んだ。すると奥から……

「うわああああああっ!――」
 なにやら入り口の奥から壁が現れ、女神を突き出す!
 飛ばされたミーアリィ。宙に浮きながら耐える。
 後ろを向くミーアリィ。

 化け物たちが来る!

 別の穴に逃げ込む! しかし、その穴も……

「うおっ!――」
 壁が迫ってきた! サッと脱出する。この壁は今のミーアリィの力では無理だ。
 もてあそばれている。そう感じたミーアリィ。

 ――くそっ……
 やろうと思えば、この洞窟全体の大穴を狭くして、逃げ場がないようにも出来るはずなのだ。
 それをわざとしない……

 ゲームだ、これは。
 手に握りこぶしを作る戦う乙女。憎い……憎いこのやり方……
 思えば最初、わざと壁が塞がれた時に、なぜか壁は壊すことができた。

 あれも……余裕の……
 そう思うと憤りが強くなる。だが、そんなこと考えている場合じゃない。目の前に触手と幼虫が迫っているのだ。

 ミーアリィが槍を構えた……



 すさまじい閃光を再び放ち、あっという間に殲滅する!
 回復していた戦乙女。

 そう……浮いて逃げるという行為は、体力、精神力はそう使わないのだ。
 だから逃げた。だが、最初はプライドが許さなかったのだが……

 殲滅したが、その向こうからゆっくりと次の連中が来ていることがわかる。
 突っ込むか……それとも逃げるか。

 突っ込めば、また力を使う。反対側に逃げればその間は回復だ。もちろん、反対側に化け物が出ないという保証はない。

「あっ……」
 後ろの状況を見るミーアリィ。

 ない、迷路の穴がない。それを塞いだ壁もない。

 あるのはさあ〜逃げてみろといわんばかりの……巨大な穴があるだけ。

 ――うぐぐぐっ……
 
 ゲームが始まった。馬鹿にされているゲームが……



「あはあああああああああっ!――」
 最後の歓喜の叫び声があがった。ほぼ裸のミリアンが、その場に倒れこむ。
 イクたびにパワーを抜かれているようだ。

 死神に……

「ミーアリィはすごい精神力ね。うふふふ……」
 死神の黒い身体からは何本もの触手の生殖器官が生えている。それが壁とつながっている。そこからこの洞窟、いや小島全体を操っているのだ。

 だが、死神にこんな力はない……

「お、お前は……誰だ……」
 散々いいようにされたミリアン。この三日間、ひたすらイかされ、吸われ続けた。
 しかも反抗できるパワーを持つ前に、吸い取り、なくなりかけると休ませる。

 それを続けられている。

「だから言ってるでしょ、私の名はレザイヤ。死神よ」
「う……うそだ。こんなこと……できるはずが……」
 はいつくばりながら言う。その戦乙女ミリアンの顔を掴むレザイヤ。

「私はご主人様に改良してもらったの」
「だれが……いる」
「さあ〜 休みなさい。今度はひたすら焦らしてあげるわ」
 ニッと笑う死神。黒い無機質の顔が笑う。まるで悪魔の顔でもある。

 焦らしといわれてハッとするミリアン。

「じっくりとせつなさを味あうのね。またイク時は喜びでいっぱいよ」
「や、やめろ……」
「うふふ、女神の焦らされる姿、ご主人様は大のお気に入りのようだから」
 笑いながら言う。するとミリアンの後ろから、あの黒い渦があらわれた。上空の壁から産み落とされるように……

「いや! いやああああああああっ!――」
「せいぜい溜め込むのね。徹底的に焦らした後、欲望とパワーを一気に搾り取ってあげる」
 黒い渦に包まれていくミリアン。

 その時、ミリアンが見たものがある。

 ――あっ……あれは!

 尻尾だ。尻尾が生えてきていた。

 ――そ、そうか……あいつは……
 だが、もしミリアンが思っているのが当たっていれば、今度は説明がつかない。

 エビルが感じられないという矛盾が……

「うわああっ!――」
 股間にうずきが走る!
 強欲な根が、両穴に潜り込んだ。

「がんばってね、女神様。さ〜て……ご主人様にかわいがってもらわないと……」
 身体をキュッと引き締め、女である部分に力を入れる。

 死神レザイヤはゆっくりと奥の穴の闇に消えていった。



「おおおおおおおおおおおおっ!――」
 上級神ミーアリィが、暴れている!

 両方からくる魔物の群れに奮闘しているのだ。
 浮きながら槍で突き刺し、逃げ口を作る! 少しでも体力と精神力を蓄えながら……

 だが、その気になれば、この壁で閉じ込めることも可能なのだ。それをあえてしないという計算が気に入らない!

 いや、憎い!

 暴れる女神! この方法でミリアンも堕ちたのだ。

「くっ! そおおおおおおおおおおおっ!――」
 人間でいう汗を飛び散らせながら、太ももをチラすかせる戦乙女。
 鎧に覆われている胸はピクリともしない。覆われている股間も同様だ。しかし、にじみ出る汗は、確実に女神を弱らせている証拠なのだ。

 顔が不安と恐怖で苦しみ始めた……

「お、おのれえええええええええええええええっ!――」
 いずれは敗北するゲーム。
 この勝てないゲームに無理やりつき合わされている戦乙女ミーアリィ。

 とうとう……その場に倒れこんだ。浮力さえ使えない状態になったのだ。

「はあはあ〜」
 息を激しくするミーアリィ。化け物の大群が両方から迫ってくる。

 ミーアリィはついにカプセルを使った……
 最後の非常手段である。


 カプセルが出た。光に包まれたカプセル。あらゆる魔からの攻撃を寄せ付けないカプセル。だが、こいつは万能じゃない。

 あくまでこのような小物の魔物に対する程度のものだ。魔族なら弱小でも破られてしまう。本来はこんな状況になる前に、仲間を呼ぶか終わらせなければならないのだ。

「うう……」
 カプセルの周りには幼虫の不気味な口や、触手が周りを取り囲む。唾液や粘液が淫らにカプセルの周りを這っている。壊れるのを今か今かと待っている。

 ――今、壁がきたら……
 確実に終わりだ。

 だが、憎らしいかな、壁はこない。
 絶望を味あわせるように……


 その絶望といえば……
 ミリアンが残酷な焦らし責めにあっていた。



「あうっ!――」
 一斉に引き抜かれるモノ!
 イク瞬間まで徹底的に高ぶらせ、そして無残に引き抜く! 止まる!
 クリトリスにはあの幼虫のような生き物が、へばりついている。小刻みに震え、淫核を狂わせ、喜びの悲鳴をあげさせていく!

「うっ……うぐ……はあああっ!――」
 両腕を掴まれたまま、苦悶の表情で耐えるミリアン。後ろから乳を触手でこねくり回され、膣とアナルには、ずっぽりとえぐい大きさのモノが入り込んでいるのだ。回転したり、奥にいったり、ゆっくりと出て行ったり……

「はあっ……むっ……くは……」
 なかなか来ない絶頂……いや、絶対に来ない責め。もどかしさが募る戦乙女。

 戦乙女も女である。いや、人間の女であったといった方がいい。この女神たちは、人間として生きた時、若いうちに不慮の事故や、自殺で亡くなった者の中で、選ばれた者たちなのだ。それを神々が、神としての命を吹き込んでいる。だが、彼女たちに魂はない。

 死は消滅だ。

 宙に浮いたまま、両穴を忙しく犯される。激しく動き始めた……

 ――だめ、また止まる……
 イけないことの辛さが、苦しみを増加させる。穴に自然と力が入ってしまう。

「あぐうっ〜 ああっ! あああああっ!――」
 タイミングよく抜かれるモノ! パクパクと口を開ける秘肉……

 女神の肉の穴が、喘いでいる。悶々としているミリアン。普段ならこんな想いにはならない。ここまで徹底的にイかされ、焦らされを繰り返されるといくら乙女でも狂う。

 寸止めに耐えてちょっと感度が下がると、今度はクリ責め。異形のモノがひっきりなしに、小刻みに震えて、クリをいじめていく!

「くあっ! いや!」
 よがる戦乙女。口を開けて、イかせてという表情をする。この間、ゆっくりと精神力と体力は回復している。だが、ある程度になれば、パワーを吸われ、それ以上は決して回復しないのだ。そしてそのパワーはあのレザイヤとこの出口のない洞窟と小島全体に行っている。

 いや、それだけでなく……ご主人様にも。

「はぐうううっ……」
 目を細めて悶える。どうしても穴に、クリに集中してしまうミリアン。触手からはひっきりなしに粘液が出ている。これも感度と淫度を高ぶらせているのだ。三日目に入った絶頂と焦らしのコンボは、戦乙女の欲情の精神を限界まで高ぶらせていた。



 一方……

「はあああああああっ! いいいいいいいいいいいいっ!――」
 こちらはイキまくりのレザイヤ。

「いいのかい?」
 にこりと後ろで誰かが笑っている。
「い、いいんですう〜ご主人さまああああああっ!――」
 黒い眉をハノ字にして、黒い顔が悶えている。身体中からビクビクと汗のようなものが流れる。後ろで突いているのは小柄の者のようだ。

「君は最高だ。このかわいい僕が言っているんだから間違いない」
 ぺロッと舌を出して言う……少年が一人。

 見かけは……人間だ。
 
「ご主人さまあああああああっ! またいくうううううううううううっ!――」
 グリグリと曲がってうなるように入っていくモノで突いているようだ。これで女型死神のあそこを狂わせている。

「ミーアリィはどう? もう少しかい?」
「はい! カプセル使っている状態よおおおおおおおおっ!――」
「ふふ、そうかい。だったらそろそろ挨拶に行かなきゃね」
 にこりと微笑む。いよいよ黒幕が動き出した。

「にしても、死神さんは、もどかしいだろうなあ〜」
「閉じ込めてあるからああ〜 大丈夫よオオおおおおおおっ!」
 全身でモノからくる快楽を受けようと必死のレザイヤ。
 だが、死神さんがもどかしいとはどういうことだ?

「あっ! いくうううううううううううううううううっ!」
「そりゃ!――」
 レザイヤがイク瞬間にさらに注入させる!

「最高だ、君も、死神も……戦乙女たちも……」
 自分より一回り大きい肉体を突きながら、少年は次の段階を考えていた。



 ――だいぶん……回復してきた。
 力がみなぎるミーアリィ。一度出たカプセルは自ら消すか、壊される以外はこのままだ。
 カプセルは危険信号。本来なら仲間がすぐに気づき、助けに来るのであるが、この小島には近づくことさえ出来ない他の乙女たち。

 自ら消し去り、もう一度戦うという選択肢もある。しかし、無駄に体力は消耗したくない。その時だ、ミーアリィが何かを感じた。

 ――これは……エビル!

 そうエビルだ。初めてここでエビルを感じたのだ。しかもこいつは……

 ――人間のエビル!
 つまり術師や魔法使いたぐいの者。

 ――こいつが元凶?
 エビルの気配がする方向を向く。うじゃうじゃいる魔物の生き物たちにはまったく感じられない。本来なら、この連中にもエビルを感じるはずなのだが……

「がんばってるわね」
 レザイヤがすっきりした顔で見ている。黒い無機質な顔は相変わらずだ。
 するとレザイヤがいる方向の部分が開いた。視界を与えるように。

「おまえか!」
 横にいる少年に叫ぶ!

 さっきは裸だった少年。今は、魔術師か妖術師のような格好をしている。黒系のローブに身を包み、手にはロッドらしきものを持ち、脚にブーツを履いていた。

「どう? 絶望の状況にいる気分は?」
 レザイヤが馬鹿にしたように言う。
「うおおおおおおおおおおっ!――」
 ここが勝機と見たミーアリィ。カプセルを自ら壊し、視界がある方へ、魔物を突き刺しながら向かっていく!
 槍に光が帯びた!

「はああああああああああっ!――」
 稲妻のような閃光がレザイヤと後ろの少年に襲い掛かる。
 それを巨大な鎌が、弾いた!

「ほほほほ、この程度では無理よ、ミーアリィ。さあ〜さっさと屈服しなさい」
「かわいい僕の仲間になるんだ」
「なに?」

 仲間になれという。

「馬鹿をいうな!――」
 再び槍を突こうとする。魔物たちが一斉に飛び掛る! それを突き、切り裂いていく!

「ミーアリィ、無駄よ。仲間にならないなら、ミリアンのように吸い取られるだけの道具よ」
「きさまあああああああああっ!――」
 槍と鎌がぶつかりあった!

 ギリギリとにらみ合う二人の神。

「ここから逃げることは不可能よ」
「貴様らを滅して、出るだけだ!」
「そんな状態? あなた?」
 黒い顔がせせら笑う。

 対立している二人に、ミーアリィだけ、触手と幼虫が襲い掛かった!
 離れて切り裂く戦乙女。だが、巨大な幼虫に……


 飲み込まれた!――

 しかし、腹から穴を開けて宙に浮く。再びカプセルが……

「あきらめなさい、ここからは逃げられないわ」
「死神の力にはかなわないよ」
「なに?」

 ローブ姿の少年に言われ、怪訝な顔をする。
「うふふ、ヒントその一、死神。ヒントその二……」

「魂……」

 ――魂?

 一瞬、考える。

 魂……魂を狩る……

 ……
 …………

「…………」
 だが、それだけではわからない。
「狩る時に、死神は結界を出すでしょ?」
 少年がさらに付け加える。汗だらだらのミーアリィがハッとした。

 ――え? ま、まさか?

「うふふ、それを応用したんだ」
「…………」
 死神は、鎌で人間や動物の魂を狩る時に、一時的に結界を発生させる。なぜならこの世には魔族や妖怪などがいる。こいつらは人間や動物の魂を利用することがあるのだ。
 だからこそ、自分と魂を狩る者だけの空間を作り、安全に魂を手に入れる必要がある。
 そして、その結界は死神でないと壊すことも、出ることも出来ない。

「調べてみると、その結界は他の死神も戦乙女のような女神さえ、誰も手を出せないとわかったんだ〜」
 あどけない顔で笑う少年。

「…………」
「わかる? この洞窟、いや、この島全体……死神の結界なの」

 ――な、なんだと?
 震えるミーアリィ。

 確かに、そういうことなら説明もつく。
 しかし、こんなことが……どうして?

「うふふふ……」
 レザイヤが笑った。
「お、お前……」
 するとだ、エビルが出てきたのだ。レザイヤの身体から……
 今まで自由自在に隠していたらしい。本来なら魔族でもこんなことは出来ない。

「わかった? 戦乙女さん」
 笑うレザイヤ。このエビルは……

「貴様! 魔の者か!」
 カプセルの中で叫ぶ! だが、その姿は負け犬だ。
「そう、私の名はレザイヤ。魔族の女の一人」

「レザイヤちゃんは、僕のかわいいアレに狂ったんだよ」
 にこにこと笑う少年。得意満々だ。
「ご主人さまの……アレ……すごくて」
 黒い顔の部分に赤みが帯びる。死神ではこの表情は無理。

「レザイヤの身体の中にはね、死神が閉じ込めてある」

 ――し、死神を閉じ込めた?

「かわいい僕の力でね」
 うっすらと笑う少年。

「僕の名は、ロッキ」
「…………」

「魔術の最高位 法魔聖になる男さ」
 ロッキがニッと笑った。かわいい顔が、不気味になる。

「ミーアリィ、僕の仲間になれ。さもなければミリアンと同じパワー維持の道具になるだけだ」
「断る! この邪道が!」
 ミーアリィが叫ぶ。

「そうかい……だったらお仕置きだね」
 そういうとロッキが指を鳴らした。

 その瞬間、狂ったような複眼を持った、生き物があらわれた。



 ギラギラと睨む複眼。その目にちょっとだけゾッとする戦乙女。
「こいつは、そんなカプセルじゃ防げないよ」

 ミーアリィと同じくらいの背丈のある幼虫型モンスターだ。気味の悪い複眼と口に牙がある。

「お前、欲求不満だったよね。ちょうどいい、こいつが相手してくれるって」
 不適に笑う。
「やれ!」
 少年が命令した! 一気に襲い掛かる幼虫!

「クッ!――」
 自らカプセルを消し去ったミーアリィ。
 無駄というのなら、最初からなくていいと判断!

 槍が幼虫の口に突っ込む!

「ウガアアアアアアアアアアアアアアッ!――」
 暴れる新型の幼虫! しかし、槍の先端から出る光の攻撃にびくともしない。
 体調万全のミーアリィなら、一発で仕留めることも出来る程度のものなのだが。

 生き物は、咥えたまま、暴れ始めた!
 その行為に揺さぶられる!

「うわああっ!――」
 宙に浮いた戦乙女。壁に投げつけられた! それでも槍も盾も手放さない!
 倒れこんだ戦乙女。ボロボロになったスカートから太ももがチラッと見える。

 そこに突っ込む新型幼虫!

 ガキッ!――

 手で押さえつけるミーアリィ。もはや槍も盾も駄目だ。手に光の力を込める!
「そうはいかないよ!」
 魔術師少年が、雷の呪文を発した!

「うわあああああああああああっ!――」
 身体中に電撃が走る! こんなレベルの魔法さえ、防げない!

「しびれつきだ。人間の力程度になる」

 人間の力程度……その言葉に恐怖を覚える女神。
 次の瞬間、幼虫モンスターは、戦乙女に食らいついていった……



 幼虫モンスターに変化が起こる。牙が隠れ、代わりに淫らな舌があらわれたのだ。
 意識が朦朧としていた戦乙女。そこに羞恥を与える舌が這い回る!

「う……あっ!」
 舌を掴むも、もう人間の女性並の力だ。これでは止めることも出来ない。容赦なく身体中を舐めていく舌。鎧も破れたスカートも顔も唾液だらけ。

 腕がグルグル巻きにされる。幼虫から出た触手が戦乙女の腕を拘束していく。
 脚も這い回っていく。強引に脚が開かれた。

「あうっ!――」
 睨むミーアリィだが、もうどうにもならない。鎧の脇から、強引に触手が入り込んだ!
 続いて脚の付け根にも触手が迫る。開かれた脚を閉じたい乙女だが、もう手遅れ。

「うっ……うわあああああっ!――」
 下半身の脇のふとももから、鎧の奥へ入り込む触手。
  気持ちの悪い感触が秘部に伝わった!

 ――くっ……くうううううっ……
 無念のミーアリィ。それをかわいい少年は、にやついて見ている。

「ふふふ、いい表情だね。君の表情は実に楽しめる」
 そして、横にいるレザイヤの手を引っ張る。勃起したモノを触れというご命令。
「あっ……ロッキ様」
 すぐにかぶりついたレザイヤ。
 さっきかわいがって貰ったモノにもうむしゃぶりついている。

「君がイッたら僕もイクよ。我慢すればするほど、僕も楽しめる」
 勝手に鑑賞を始める少年。


 秘部が荒らされていく……汚されていく。力のない女神はただの女だ。戦乙女たちは、前世はみな人間の女性。そこから、若くして死を迎えてしまった者の中から選ばれた戦士なのである。
 だから、こういう状態になればただの女性の力しかない。

「うぐ……はああああああああっ!――」
 認めたくない鈍い淫欲がひっきりなしに来る。顔を赤くする乙女。兜をつけたままのこの表情はそそるものがある。

「いい声だ。気に入ったよ。ミリアンよりもいい。たっぷりとよがりな」
 勃起したモノをレザイヤに咥えさせ、楽しむロッキ。
 このモノにレザイヤは狂ったのか? しかし、魔族の女がなぜ……

 人間の術師ごときに……

 魔族の女は、ロッキがいかに有能な魔術師であっても、虜にすることなど出来ない。
 逆に虜にするのは容易だが。
 まして、死神までも……

 これはいったいどういうことか?

 それはミーアリィも気になっていることだった。

 ――な、なぜだ? なぜ魔族が……魔術師に……

 感じながら、少年を睨む強き乙女。笑っているロッキ。立ったままふんぞり返っている。

「その顔は、なんでこのレザイヤちゃんが、僕のしもべか聞きたいようだね」
「……う……はああっ!」
 ズンときた。かなり感度が上がってしまった。

「君の表情は実にいい。その悶える表情のお礼に教えてあげよう」
 ロッキはしゃぶられながら静かに話を始めた。



 ロッキが顔を赤くしながら話す。

「かわいい僕は、古代の文献を調べつくしたんだ。そこに魔族を虜にする方法があったんだ。その結果がコレ……」
「んぐ! ずちゅうううう〜」
 食い入るようにロッキのモノを見つめ、懸命にくわえ込むレザイヤ。決して逃さないという唇! 陶酔しきっている女魔族。しかし、圧倒的な魔族の魔力の前には、人間の少年の魔術など、たいしたことはないのだが。

 なぜ、これほど虜に……

「う……うはあああっ!――」
 戦乙女の悲鳴が響く。しかし、この悲鳴は、感じている悲鳴だ。それを認めたくない悲鳴なのだ。何本もの触手が秘部に入りたいと願い、われ先に潜り込む!
 尻の肉にも食い込み始めた。鎧の中は、ショーツなどはない。お尻から前まで知り尽くすように調べられていく。

「ミーアリィ、君は必要だ。君の上級神のパワーがあれば都合がいい」
「う、な……なに?」
 異物に耐えながら睨むミーアリィ。睨む先には、モノを咥えさせている少年が笑っている。

「君も僕の虜になってもらうよ」
 顔を赤くしながら言う少年。自分のモノの愛撫に感じながら……

「きさま……あふっ! な、なぜ……死神を……」
「死神には弱点があるんだ」
「な……に……?

 その時、極太の触手が入る! 同時に、下半身を守っていた鎧が弾き飛ばされた!
 うにょうにょとクリをいじめにかかる!

「人間や動物の魂を狩る時に、死神さんは結界を張る。その中には誰も入ることができない。魔族も君たち戦乙女もね。なら……さ」
 目をつぶる少年。イキそうになったようだ。かなり感じている。

「結界を張った時に、魔族がいたらどうなるかってね……かわいい僕は考えた」

 ――魔族がいたら?
 顔をゆがませながら聞くミーアリィ。意味がわからない。

「結界はあらゆる魔、神を退ける。そうして安全に魂を狩るのが死神の役目……」
 笑うロッキ。悶えながら睨むミーアリィの表情が実にエロチックで愉快なのだ。
「……あっ!」
 ミーアリィが何かに気づいた。
「うふふ、ようやくわかったようだね。うっ!――」
 白い液体が放出される。それを必死に飲み込むレザイヤ!


 ――ま、まさか……
 膣の中からこみ上げる疼きに耐えながらミーアリィは考えていた。



 予感は当たっていた。死神が安全に魂を狩る時、自らも含めて結界を張る。
 その結界の中に……
 もし、魔族がいれば……

 そして、死神を取り込んだとすれば……

「くはあああああああああああっ!――」
 ビクビクと絶頂が走る! ついにイかされた戦乙女!

「ふう〜気持ちいい〜」
 すっきりしたロッキ。

「じゃあね、ミーアリィ。しばらくかわいがってもらいな」
 そう言ってレザイヤと共に去っていく。
「ま、まて……あんっ!――」
 引きとめようとするミーアリィだが、こちらは動く事ができない。
 次の無理やり絶頂が迫る!

「ミーアリィ、話は後だ、屈辱をたっぷりと植えつけてやる」
 笑いながら二人は去っていく。顔をゆがませる乙女。

「あぐっ! ふわあああああああっ!――」
 頭に撃墜されたような感度が突き刺さる。ミーアリィへの凌辱が激しくなった。



「だめ!―― イかせてええええええええええっ!」 
 せつない喘ぎに狂う乙女。こちらの戦乙女の名はミリアン。だが、こちらはミーアリィとは違う責めをされていた。

「お願い! もう!――」
 黒い霧の渦に包まれ、極太の根のようなモノが、出し入れされている。しかし、その根は、決してイかせてくれない。三日近くイかされ続けたミリアンの身体は、イク喜びを徹底的に植えつけさせている。それが急に来なくなるのだ。これほど辛いものはない。

 戦乙女は元、人間の娘。力がなくなった今、欲望にも勝てない。

「ああ、イク! イクのよ!」
 お願い、続けての願う淫乱乙女。だが、その淫乱乙女の願いをあざ笑うように根は焦らし続ける。
 肉の感度をしっかりと読み取り、寸前で動きを止め、感度を押さえつけるのだ。ひっきりなしにイかされ続け、愛欲の欲望を極限まで高めたミリアンの身体に、これは耐えられない!

 しかも両手、両腕だけは、ある程度自由にされている。だから、手で腰でなんとか動かしてイこうとするのだ。そうしないともうたまらないのだ。
 しかし、満たされない。その姿をじっくり見ているロッキ。

 焦らしに苦しみ、悶え、哀願する姿が最高にいいらしい。

 ――うふふ、いい表情と動きだ。
 辛い疼きに狂っている戦乙女を見て喜ぶ。イクために両手で必死になんとかしようとする姿は、もはや女神ではない。ただに淫欲に負けた女である。
 戦乙女が、淫らな欲に負けて、イキたいという衝動を持つだけでもすごい。

「あっ! イクイクッ! いくのよ!――」
 後もう一歩でくる欲望が止まる……

 ――いや……もういやああああああっ!――

 耐えられない寸止めじらし。しかし、一向にイかせてくれる気配はない。その様子を不気味な椅子で、脚を組みながら座って見ているロッキ。悶えるミリアンの表情が、黒い霧の渦からかすかに見えるのがたまらないようだ。両手で必死になんとかしようとするミリアン。しかし、根は触手のように、動き、手での刺激を絶対に与えさせない。性器をずっぽりと囲んで、刺激を与えないようにさせているのだ。

「狂うんだ、もっと……もっとだよ」
 黒い渦の中で股間に刺さった欲望の根は、辛いお仕置きを与えるように続いていく。
 散々イカされまくった乙女の身体は、かきむしたい欲望にとりつかれている。

「いやあああっ! もういやあああああああっ!――」
 しつこすぎる寸止め。絶え間なくイク寸前を続ける行為は、もはや女神さえも耐えられないのだ!


「もうしばらく狂わせるとするか」
 そう言って、少年は暗闇に消えていった。



「くはあああああああああっ!――」
 こちらは連続絶頂責め。絶え間なくイかされ続けている。

 ――あぐううっ! だめ!

 顔を必死に振り乱して、よがり狂うミーアリィ。ロングヘアの髪が、液にまみれながら飛び散っていく。クリも膣も肛門も汚されていた。

 ――うぐぐ……あはあああああああああっ!――

 気を緩むとイかされる。幼虫から出た触手にえぐられるように絶頂を仕向けられる。耐えまなく、絶え間なくイかされ続ける上級神の乙女。

 ――くっ……くそっ!

 戦乙女となって初めての屈辱だった。これまで幾度と無く、魔や邪悪な人間を退治してきた乙女が、このような仕打ちを受けるとは……

 ――あっ! くわっ!
 また絶頂がきた! 考えられない頭。だが、イクたびになぜ、なぜ死神を……

 とだけかすかに考える。しかし、四肢をしっかりと拘束され、逃げ場のない状況では、考えても意味はない。そうこうするとアナルに強烈な大きさのモノが食い込んだ!

「あぐっ! はあああああああああああっ!――」
 ビクビクという官能が脳髄に走りこむ! 乙女の感覚が一気に頂点へイク!


 ――す、すごい!
 それだけしか考えられないミーアリィ。もはや快楽しか判断できない状況だ。
 だが、きっとチャンスはあると思っている。
 それまではただひたすら耐えるしかないと思う戦乙女。

 なぜ、死神を……どうして? もはや、これさえ隙があるときにしか出てこない思考になっていた。



「なに? 助けられない?」
「はい」
 乙女たちが、小島の異常事態について述べている。
 それを聞いているミーアリィ以外の上級神の戦乙女が一人。
 ここは、戦乙女たちの集まる場所。乙女の田園という所だ。

 大神様という神の頂点にたつお方から、指し与えられた場所である。
 ここからあらゆる魔を退治に行くのだ。

「あらゆる力が効果ないというのか?」
「はい」

 上級神の乙女が考えている。短めの真っ黒な髪が考え込んでいる。

「エビルがないというのが信じられぬ」
 そんなはずはないと思うゼラ。
「ですが、ゼラ様」
 本当ですと訴える女神たち。こうなると困る。
「う〜ん」
 怪訝な顔で思案する上級神の戦乙女。この乙女の名はゼラ。大柄な体格の戦乙女だ。
 地位的にはミーアリィと同じ。

「わかった……私も行ってみよう」
 解決できないのなら、自分が動くしかない。
 上級神ゼラが動き出した。



「します、しますから!――」
「うふふ、なら……あのミーアリィを責めるのを約束してくれるかしら?」
 今度は黒い霧の渦の中で、レザイヤがミリアンを責めている。どうやら最初責めていた物の代わりにやっているようだ。黒く、長いモノが膣と肛門、尿道を責めている。尿道に関しては、細いいぼ状が長く長く侵入している。他の部分は非常にグロテスクだ。ぬめるような一物が、ひっきりなしに肉を攻め抜く!

 もうミリアンは耐え切れない!

「は、はひいいいいいいいいいいいいいいいっ!――」
 また寸止めだ。一気にすべての侵入物が引く抜かれる。決してイかせない攻め。
 尿道から、膣から、アナルからはしたない液を垂れ流す!
 まるでイかせてくださいと哀願するように……

 もう何百回繰り返されただろう。もはや生身の女状態の戦乙女にとっては、耐えられるものではない!

 身体中から汗のようなものを噴出し、目もうつろ。気の狂いそうな焦らし責めに、下級神の乙女は狂っていた。自らミーアリィを責めるということを口にするほど……

 ――うふふふ、相当きているわね。ま、その場しのぎでしょうけど。
 レザイヤも馬鹿な魔族ではない。今は満たされたいために言っているとは思っている。
 しかし、そこまで追い詰めたことに意義があるのだ。

「うふふ、じゃあイかせてあげる。ただし、一回だけよ」
 そう言って魔族の女は男のモノのようなものを思いっきり動かすのだった。



 こちらでは……

「あぐ……ぐわああああああああああああああっ!」
 脳髄を直撃するような快楽が脳を走り回る。その強烈、かつ断続的にくる絶頂責めに、ミーアリィは目が真っ赤だ。

 幼虫から出るいぼ状の触手は、あらゆる角度から、この上級神戦乙女の股間と乳首、身体全体を舐めるように責めているのだ。定期的にくる深い奈落の底に行くような絶頂感は、ミーアリィに被虐の喜びを教え込むのには最適になっていた。

「うおおっ……うがっ……くはあああああああああああっ!――」
 唾液のようなモノに濡れた長い髪が、液を撒き散らす。その様子は阿鼻叫喚の快楽地獄にふさわしい。四肢をしっかりと固定されているが、わざと動けるようにもしてある。このある程度動けるというのが、さらに辛いのだ。

「だめえええええええっ!――」
 イクたびに腰が一瞬ブルッと震える。そのたびに肛門から尿道から膣にいたるまで液を撒き散らすのだ。

 絶頂の証拠にもなっている。

 触手によって、締め付けられた太ももは、赤い型ができていた。元気な戦乙女状態なら、決してこんなアザは出来ない。

 ――気が狂う……おかしくなる!
 必死に快楽を耐えて受けるミーアリィ。気の強い顔が、屈辱にまみれる。
 精神さえ快楽に狂いそうだ。

 そこに……


 あのミリアンとレザイヤがやってきた。
「楽しんでいるわね、ミーアリィ」
 にやにやと笑っているレザイヤ。屈辱でまみれた戦乙女の様子を見にきたようだ。

「さあ〜約束よ、責めなさい」
「は、はい……」
 ミリアンはもう逆らえなかった。彼女の膣と肛門に食い込んでいる触手は、定期的にパワーを吸い取っている。そしてそれをレザイヤに送っている。この状態で吸われれば、力はある程度しかよみがえらない。それを知っているのだこの女魔族。

 生かさず殺さず……そんなやり方。これなら反抗は無理だ。
 さらに、決してイかせない触手たち。寸止めを繰り返し、ミーアリィを責めるようにしつこく誘う。

 ――だ、だめ……もう駄目なのよ!
 断続的に繰り返されるミリアンへの焦らし。一回イッたぐらいでは満たされない。たった一回の絶頂は、さらなる欲望を掻き立てるだけだった。

 ミーアリィにへばりついている幼虫の触手が引いた。四肢のみしっかりと固定して……
 乱れに乱れた乙女の穴を、焦らしに狂ったミリアンが責めていくのだった。



「こ、これは……」
 言われたとおりだった。まったく反応がない。
 ショートカットの髪型のゼラは、戸惑っている。小島にやってきたゼラ。
 結界の中の状況はまったく皆無だ。
 黒系の戦乙女の鎧をまとっている。勇ましいその姿は、美しさを際立たせている。

「お前たち、あらゆる手を尽くしたと言ったな」
「は、はい」
「私と力を合わせよ。それでやって……ん?」
 そういった時……

「な?」
 小島が盛り上がる! そしてゼラ一直線に向かってきた!

「うわああああああああっ!――」
 不気味な黒い閃光がゼラを一気に襲う!

 とっさに構え、身体にパワーをみなぎらせる。さらに光が身を包もうとする。その前に、黒い光が、ゼラを包み込んだ!

「ゼラさま!」
 引きずりこまれたゼラ。

 ゼラだけ、ゼラだけ狙っていたかのように……

 黒い光は、ゼラが発した光ごと強引に小島に連行する。光に包まれたまま引きずりこまれる!

 しかし、身体中の鎧、ロングの白スカートが、光と共に守るようにゼラを包む!

 ゼラは光で守っている。
 だが、そのまま小島に引きずり込まれた!

「ちょっとお〜」
 困る他の戦乙女たち。上司がいなくなったらそりゃ困る。しかもなぜかゼラだけだ。

 他の女神たちもこれは対処のしようがない。さらに自分たちには一向に責めてこない。
 これはいったいどういうことか?

 こうしてゼラは死神の結界に入り込んでしまった。
 彼女はまだ知らない。

 出れないということを……
 


「あぐわあああっ!」
 クリトリスにむしゃぶりつくミリアン! 上司であるミーアリィのあそこを必死に攻めているのだ。
 しかし、なぜ……ここまで言うがままに……

 それは快楽だ。焦らされた欲望がそうさせている。もはやここまで狂っているミリアン。
 徹底した連続絶頂と連続焦らしの交互責めに、下級神の乙女はもう逆らえなかった。
 今でも続く寸止め責め。膣内、クリと肛門に食いついた触手と生き物に、頭は支配されていた。

 パワーが定期的に吸い取られ、絶対にある程度以上の力を与えないやり方。
 彼女たちには死はない。あるのは消滅だけだ。消滅さえなければ、徐々にパワーは上がる。回復するのだ。だが、回復もさせない。

 こうして永遠に吸い続ける……それでこの小島の内部の洞窟と、レザイヤと少年は力を維持している。さらに死神を閉じ込めているおまけつき。
「だめ!――」
 目をつぶって声をあげたミーアリィ。絶頂がきた!

「イって……もっとイって……」
 イかないと困るような表情のミリアン。鎧や服を身に着けたまま必死に攻めている。しかし、人間の汗にあたるものはだらだらと流れる。絶え間なく動く、生き物たちは、あれから一回も絶頂を与えていない。さらに、本当に辛い寸前でしっかりと快楽を押さえ込み、ミリアンを苦しめているのだ。

「イキたいなら、10回はやくイかせな」
 せせら笑うレザイヤ。これが命令らしい。欲望の虜になったミリアン。さっきの一回だけでは、逆に背徳の快楽に火をつけてしまった。もっと、もっとという欲望が、戦乙女を狂わす。今や人間の女として、ほしい欲望に捕らわれている。

「あひいいいいっ!」
 拘束されたまま、二回目絶頂だ。激しいクリ責めに上級神の乙女はたじたじ。
 しかし、なぜかクリトリスしか責めない。

 実はクリ攻めのみで10回イかせろといわれているのだ。

 指と舌で激しくミーアリィの豆をいじくりまわす! 噛む! つつく! 引っ張りあげる!

「くひひゃああんっ!」
 クリからくるつんのく想いに、上級神ミーアリィの身体がひくつく!
 ビクンビクンと身体がうなる!

「ひゃうううううっ!」
 またイッた……これで三回目。

「そうそう、その調子で責めまくるんだよ。休みなくね」
 ビクビクとミリアンのパワーがレザイヤに伝わっていく。こちらも休みなくだ。
 狂ったような寸止めに苦しむ下級神戦乙女。その淫らなパワーを容赦なく吸い取っているレザイヤ。

「だめ! いやああああああっ!――」
 ミーアリィが叫んだ! 止まらない部下のクリ攻めにのたうち狂う!
「ひたすら連続でイかせるんだよ、休んだらお預けだからね」
 休ませずに連続絶頂を与えよというレザイヤ。その与えているミリアンは連続焦らしを与えられている。上級神の乙女の膣穴からは、飛び散るように愛液が撒き散らされる。それが容赦なくミリアンの顔にもかかる!

「あは! くはあああああああああああっ!――」
 むせびなくミーアリィ! 股間の豆からくるいじめのような刺激に、ミーアリィの心は狂っていく!

 ――は、はやく! はやくイって!――
 もう上司がどうなろうと知ったことではないようなミリアン。ただただ絶頂欲しさでクリをしつこくいじめているのだ。そうでもしないと心が狂ってしまいそうなのだ。
 それほど、ミリアンの心は快楽で汚されてしまっている。


 10回イカせるまで……この宴は続く……



 一方のもう一人の上級神……
 焦りの顔が見えていた。

 ――出れない? ここから?
 そう……出れないということを知ったゼラ。信じられないといった表情だ。ゼラも逃げ道はない。同時に群がる触手群とも戦っている。

「うおおおおおおおおおっ!――」
 うっすらと人間の汗に似た液が身体に流れていく……

 ――くそおおおおおおおおおっ!
 口をかみ締めて、化け物たちを退治するラゼ。

 ――なぜだ! なぜ出れない!
 ありったけのパワーを使ってもすべて吸収される。その事実がラゼを苦しめ始めた。
 次第にふともも辺りにも汗のようなものが流れていく……

 いずれはカプセルを出さざる得ないだろう。
 その時、ラゼもまたミーアリィのように堕ちるのだろうか?



「あは! あひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!――」
 歓喜の声をあげて絶頂を楽しむミリアン! ついに絶頂の許可が出たのだ。こんなうれしいことはない!

 その表情を、絶望の様子で見ている上級神戦乙女。だが、こちらも休ませてはくれない。絶頂に浸るミリアンは、クリいじめをしていない。

 代わりに妙な触手が食いついていた……
 なにやら粘液をいっぱいクリトリスに染み込ませているようだ。

「気持ちよかったかい? うふふ……」
 レザイヤが歓喜にのたうちまわっているミリアンに聞く。

「あは〜 あふうううっ〜」
 とろ〜んとした表情だ。我慢に我慢してきた効果が効いている。生身の人間の女にとって、この仕込まれた焦らし攻めは、とても耐えれるものではない。

 しかも、一回だけ……

「どうした?」
 笑いながら聞くレザイヤ。はやくも次の調教が始まっている。
「も……もっと……」
 とても戦乙女の表情とは思えないミリアンの顔。とうとう堕ちてしまった。

「ほしいんだね、もっと……絶頂が」
「あはっ……はいいいいい〜」
 背徳の笑顔のミリアン。これが戦乙女と呼ばれる女神の表情か?

「ミリアン! しっかりして!」
「あははっ! クリトリスでイキまくった女がなに言ってるの?」 
 あざ笑うレザイヤ。にたにたと笑う女型魔族。
 そしてもう一度くるっとミリアンを見る。

「今度は20回イかせな」
「え?」
 ミリアンがビクッと反応した。
「20回イカせたら、また絶頂をあげる」
「ほ、ほんと〜」
 もう目がイっているミリアン。もはや乙女の面影はない。
「さあ〜 連続でイかせるんだよ。それもクリのみでね」

「ミリアン!」
 正気になれと叫ぶミーアリィ。しかし今のミリアンにはもう無駄だ。身体が強烈に絶頂欲求を欲している以上、もはやミーアリィの声は届かない。
 食いついていた触手を自ら引き剥がし、そのクリに吸い付いていく。

「あふっ!――」 
 淫らに濡れきった股間。その股間の豆に、ミリアンは食いついていった……



「な、なんだと?」
 カプセルで息絶えだえのゼラ。とうとうここまで追い詰められた。
 そのゼラに笑いかけるロッキ。

「死神を取り込んだのだ。この小島は死神の結界で支配されている。ここからは絶対に出れないよ」
「ばかな!――」

 いきなりそんなことを言われて信じられるわけがない。

「だったら、なぜ君は出れないのかな?」
 クスクス笑う。実に憎らしい。そう言われると返事ができない。
「死神の結界はすばらしい。あらゆる魔や攻撃を防ぎ、全く意に介さない。こんなすごい能力だとはね」

 ――信じられない……
 カプセルで身を覆い、聞いているゼラ。しかし、これは事実だ。

「僕はこの力を使って、いろいろやりたいことがある」
「…………」

「上級神のパワーはすばらしいね。逆に下級神の乙女は不要に近い」
 スッと近づくロッキ。その目はゼラを狙う目だ。その瞬間!

「うおおおおおおおおおおおっ!――」
 内部に溜め込んでいた力を一気に放出した!

 360度の方向から、光のパワーがロッキに向かう!
 しかし、ロッキは平然としている。

 光に包まれるロッキ。しかし、そこから不気味な黒い光が漏れ始める……

「あははっ……そんな程度じゃ、僕は倒せない。カプセルで守ってもらっている乙女のパワーはこんなものさ」
「ううっ……」
 歯軋りするゼラ。

「ミーアリィで、経験したのが生きているな」
「ミーアリィ!」
 その名を叫ぶ!

「彼女も調教中だ」
「きさま!」
 カプセルごとロッキに突っ込む!

 調教中という言葉が、上級神ゼラのプライドを傷つけたのだ!
「君の相手はこいつらだ」
 サッと目の前にさきほどの黒い生き物たちが立ちはだかる!
 ずっと、相手にしてきた連中だ。無限のように増殖している。

「徹底的に抗うなら、抗いな。その後に絶望の絶頂を与えてあげる」
 あざ笑うかわいい少年。その無邪気な目に、怒りを覚えるゼラ!

 剣で手で……ぶっ倒していく……しかし……

 いずれ屈辱の時間はくる……

「堕ちる瞬間を楽しませてもらおう」
 ロッキがパチンと指を鳴らした。すると、幼虫が椅子に変身。腰を落ち着ける。
 なんという少年だ。ここでくつろぎながら、ゼラが屈辱になる瞬間を楽しむらしい。

「せいぜいがんばってね。堕ちる瞬間の表情が楽しみだ」
「うおおおおおおおおっ!――」
 暴れるゼラ。引き締まった筋肉が暴れまくる!
 触手群の向こうでくつろぐ少年ロッキが許せない!
 しかし、次から次に軍隊アリのようにくる幼虫軍に、
 ゼラは次第に苦しめられていった……


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