『フランス田園伝説集
』には、夜中に歩き回る石の話が記録されています。しかしこちらは、化け物扱いです。
『キン肉マン』の超人には、半分動物なのが多いよね、岩や砂もいるよね、という話です。
この「古き神々」では、自然物関連の超人を扱います。またさらにここでは、自然物関連の超人を「岩石超人」と「動物超人」に分けてみました。
岩石超人のうち、ゴーレムマンやパルテノンは「建造物超人」で、「九十九神」の方なのかもしれません。砂の超人の印象が強いサンシャインも、サンシャイン60というビルの超人という面もあります。
日本の神社では、御神体が岩だの山だのということは、当たり前です。御神体+岩で検索
しかしイスラム教やキリスト教では、岩が尊いことなどありえません。
ヨーロッパでも、民間の伝説の範囲では「岩が生きている」という話はあります。
『フランス田園伝説集
しかしこちらは、化け物扱いです。
インド神話の神の中には、山の神ヒマーラヤがいます。
古代の多神教では、「山が神」とか「川が神」というのは、よくあります。
現代作品では『千と千尋の神隠し』に、「川の神」が登場していましたね。
そういうのが『キン肉マン』の超人「マウンテン」の遠いルーツなのでしょう。
鳥類や爬虫類を含めた動物型超人について、考えます。
古代の神々は、必ずしも人型ではありませんでした。
人間以上の力を持つ者であることを表現するために、人と動物を組み合わせた姿で表現された神々は、古代エジプトや古代インドに多く存在します。
例えば、古代エジプトの死者を司る神である、アヌビスは犬の頭を持つ人間として、表現されることがあります。獅子の頭の姿（人獅子、ナラシンハ）を、インド神話のヴィシュヌがとったこともあります。
キングコブラはインドの超人ですが、実際にインド神話には「蛇の神」が存在し、今でも信仰を集めています。日本の龍神に近い、河に住む神である、蛇神ナーガがそれです。
また、アナンタという神は、キングコブラの神格化という説があります。
ホークマンは鳥の超人ですが、鳥の神というのも多いです。エジプトの太陽神ホルスは、隼の頭を持つ人間として、描かれることがあります。タカの神とする説もあるようです。ハヤブサは、タカ目ハヤブサ科の鳥です。
象の頭の神というのもインド神話にいます。ガネーシャです。象の超人マンモスマンも、実は古典的存在です。
ワニの神ソベクも、エジプト神話に登場します。
古代ギリシアでは、ほとんどの神々は人間の姿で表現されるようになり、半人半獣の存在は、英雄に退治される化け物となります。
その代表的な存在が、ミノタウロスです。
ミノタウロスは、人間の女と神の与えた牡牛の間に生まれました。
迷宮に閉じこめられた彼は、牛の頭に人の体を持っています。勇者テセウスに倒されました。
これがバッファローマンの遠いルーツでしょう。人の顔に角でアフロヘアーですから、日本の伝統的な鬼の姿でもあります。
また、アシュラマンの元は、仏教の神である阿修羅王です。
仏教は元々は、何か特定の神を拝むような宗教ではなく、無神論に近い宗教でした。ですから、仏教の「神」という言い方は不正確です。
ですが日本の仏教は、多神教の性格を持ちます。仏教が古代インドで発達し、中国に伝来していく途中で、古代インドの神が仏教に取り入れられ、何とか王とか何とか観音になったのです。
古代インドの聖典のひとつである『リグ・ヴェーダ』では、神々に敵対する悪魔が、アスラ、阿修羅と呼ばれました。阿修羅は鬼神の一族です。
複数の人間を組み合わせた姿で、「人間以上」を表現された神がインドには多く存在します。
複数の顔、複数の腕を持つ存在を古い言葉で「何面何臂」と表現します。
面は顔、臂は肘を表します。
アシュラマンは「三面六臂」です。
『キン肉マンII世』に登場するアシュラマンの息子、シバの名の元となったインドの神、シヴァは「一面四臂」です。
ちなみに、シヴァの妻パールヴァティーは、山の神ヒマーラヤの娘です。
キリスト教の世界には、人と獣を混ぜた神はいませんが、例外として天使には鳥の翼がついています。
特撮ヒーロー以降「人間と動物」の合成である怪人が、多く日本の娯楽作品に登場するようになりました。
ですがバッタと人を混ぜた『仮面ライダー』のような異形の神は、神話には登場しません。その点では石ノ森章太郎先生のデザインは独創的なデザインです。
神話ならば、人と合成されるものは、基本的に哺乳類、他には爬虫類（特に蛇）です。
そういう点で、哺乳類の超人が多い『キン肉マン』は古典的といえなくもありません。
ですが犬、狼、猫、狸、狐などの肉食の哺乳類がほとんどおらず、牛、馬、豚、ガゼルなど、草食動物に偏っているのは、原作者の好みの問題なのではないかと思います。
攻撃的な存在を、格好良いと思わないのでしょう。
というわけで、『キン肉マンII世』に超人を応募しようと思っているそこの貴方、「草食動物」で、今まで登場していない種族が狙い目ですよ。ま、落選しても責任はとりません。
『インド神話
『エジプトの神話
『エジプト神 イシスとオシリスの伝説について