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 おばけ屋敷でGO!!   書いた人:北神的離

第9話 − 決壊 −

「あ、あれは……」

 信じられないものを見たという表情で頬を緩ませるフェリア。
 瞬間、下半身にずっと込めていた力までが緩みかけるのを感じ、慌てて力を込め直す。

「ありましたぁ〜〜〜」

 ファナも普段からは想像できないほど緩んだ声を出し、その場にへたり込みそうになるが、ここで座ってしまっては再び立ち上がる事はできないと感じ、必死に震える両足に力を込め、普段なら絶対に押さえる事などないであろう部分を両手でがっちりと掴み直す。

 ここで力を緩めて恥ずかしい液体を噴出させてしまっては、これまでの努力はなんだったのか…

 そう、2人の目の前にはこの幼い姉妹が捜し求めてやまなかった物、
 そう、女子トイレのドアがひっそりとあったのだ。




 おばけ屋敷でGO!!   第9話 −決壊−




「はわわぁ〜〜〜、トイレトイレぇ〜〜〜」

「うぅ〜〜、待ち焦がれてましたよぉ〜〜」

 よろよろと、ゆっくりした動作でトイレへと向かう2人。
 片手はしっかりと股間をガードしつつ、もう片方の手をドアノブへと向けて歩む姿は、これまで散々2人を追い掛け回していた屍の姿を連想させる。

 がしっ

 2人の手が同時にドアノブを掴む。

「……」

「……」

 顔を見合わせる2人。

「こ、こういう時は姉が先よね?」

「何を言っているんですか、妹に譲るものでしょう」

 表面上は穏やかに語り合う2人、しかしその内部では激流が荒れ狂っている。
 恐らく片方が用を足している時間のうちに、もう片方は確実に決壊してしまうことだろう。

 ここは絶対に譲るわけにはいかない!

「あ、アンタ、こういう時はおねえちゃんに譲りなさいって学校で習ったでしょ?」

「習ってませんよそんなの。というか姉様、さっきしたばかりじゃないですか、パンツの中で」

「ウキ〜〜〜ッ、言ってはならん事をぬけぬけとぉ!」

 ばっ

 即座に距離をとる2人、既にどちらも攻撃態勢に入っている。

「ファナ…アンタだけは、この場で始末させてもらうわ…」

「ふっ、剣を持たない姉様など恐るるに足らずですよ」

 言いながら双方構えをとる。

「とりゃっ!!」

 先に仕掛けたのはフェリアだった。
 右足を軸にファナの頭部めがけて鋭い回し蹴りを放つ。
 なんだかんだ言いつつ常日頃鍛錬だけは欠かしていないフェリアの身体能力は、同年代の少年少女のそれを遥かに凌駕している。
 100mを10秒台で走り抜ける脚力から放たれる一撃は、命中すれば大の大人でも当たり所が悪ければ致命傷になりうる。
 実戦経験の無いファナが食らえば間違いなく即死だ。
 リーチの劣るファナに対し、更に遠距離から攻撃を仕掛けることのできるこの選択は本来なら間違ってはいない。
 しかし、膀胱が極限状態にある現状で足を高く上げるこの行為は全くの自爆と言えた。

「うくぅっ!!」

 僅かに出来た隙間を逃がすまいと出口に殺到する水流に、苦痛の声を上げながら蹴りを中断し、両手で膀胱を押さえるフェリア。

「チャンス!」

 その隙を逃がすまいとファナは最小限の動作でフェリアに近づく。
 そして小さく何かを呟くと、フェリアに向かって掌打を放った。


 代々ラティオ家の人間には膨大な魔力が宿っている。
 しかしその魔力は決して外に放たれることは無い。
 対象は自身の体内。
 ある者は拳を岩をも砕く強靭な鈍器へと変え、
 ある者は全身を矢も刀も通さぬ鋼へと変え、
 ある者は手刀を鉄すら切り裂く刃に変えたと言う。
 ファナ・ラティオの体内に流れる魔力は掌で作用し、魔力を込めた掌打は触れればあらゆる物を彼方へと弾き飛ばす。
 その立場故かこれまでに幾度と無く命を狙われてきたファナだったが、今まで生き延びてこれたのはこの力の賜物とも言えた。

 フェリアはラティオの血脈にありながらこの力を持たずに生まれ、それが生まれながらにして彼女の人生を狂わせてしまったのでもあるが、それはまた別の話。


「ていっ!!」

「!?」

 ファナの掌打がフェリアの腹部に叩き込まれた。

ぺちっ

 しかし、腕輪によって魔力を封じられている今の状況では、ファナの攻撃は非常に微々たるものだった。

「ひゃぐぅ〜〜」

 それでも、極限状態の膀胱を圧迫されて苦痛にうめくフェリア。
 少しでも力を抜けば絹ごしの生暖かい奔流を垂れ流してしまいそうになり、全力で括約筋を締め付ける。

「もう一回!」

「させるかっ!!」

 フェリアは叫びつつ追い打ちをかけようと伸ばされたファナの右手を、片手はがっちり股間を押さえつつもう片方の手で掴む。
 そしてファナの手を締め上げ後ろに廻ると、フェリアは彼女の股間部分へと手を伸ばす。
 慌てて股間をガードしようとしたファナだったが、それよりも先にフェリアの手が到達する。
 殴りつけてやってもいいのだが、最早フェリアの膀胱も決壊寸前、密着したこの状態では衝撃で自分まで漏らしてしまうかもしれない。

「うふふふふ〜、ふぁぁな、アンタみたいなお子様は自分でココをいじくった事なんかないわよね〜♪」

 言いながらスパッツの上からまだ無毛のぷっくりとした可愛らしい割れ目をこする。
 布越しにもぞもぞと感じる刺激にファナがびくんと身をよじらせる。

「や、やっ!止めてください、姉様っ!!」

 布越しではあるが自分でも触れた事のない陰核を刺激され、全身に電流が流れたかのような感覚が走る。

「アタシはもう大人だからたま〜〜〜にやるんだけど、おもらししちゃいそうになるくらい気持ちいいのよね〜、さて、あとどれくらい耐えられるかしらん?」

 フェリアは若干12歳で屈強の男達が集う騎士団で働いている為、こういう方面でもやたら耳年間なのである。
 ちなみに実際には、する度にいつも漏らしてしまうので滅多にそれをする事は無いのだが…

「そ、そんな、オナ…なんてやってたって自慢になりませんよぉ!お願いだからやめ…あっ、あぁっっ!!」

 恥ずかしいので全部言い切らなかったが一応ファナもこの行為については知っていたようだ。
 知っていたからといっても何の解決にもならないのだが。

ぷしゅっ

 熾烈な擦り上げに遂に耐え切れなくなったファナの尿道が緩み始め、黒いスパッツをじわりと濡らす。
 まだ本格的な決壊には至っていないが、近くで見ればはしたない滴りを迸らせてしまっている事がありありと覗える。

「あらあら、こんなに濡らしちゃって。…これは愛液じゃ無いみたいよねぇ…」

 台詞と使うべきシチュエーションが逆だ、…いや、合ってるけど。

「くぅぅっ…」

 羞恥と苦痛に顔を真っ赤に染めるファナ。
 これ以上刺激を加えられたら本格的に漏らしてしまう。
 そう感じたファナは割れ目をいじるフェリアの手を押さえていた左手を離し、捨て身の反撃に出た。

こちょっ

「うひゃぁっ!!」

 素っ頓狂な叫び声を上げるフェリア。
 ファナの左手がフェリアのわき腹をくすぐったのだ。
 予期せぬ攻撃に締め上げていた手の力が緩む。
 この瞬間をのがさず、拘束を振りほどいたファナは、更なる攻勢に出た。

「うりゃうりゃ〜」

こちょこちょこちょ…

「きゃ、きゃはははっ、やめ、やめてっ、ファ、ナっっ!」

 ファナのくすぐり攻撃に声を上げて笑うフェリア。
 尿意を堪える力が緩み、フェリアの股間からも熱い液体がわずかに漏れ出す。

「くうぅっ!!」

 慌てて後方に飛び退き、ファナの手から逃れるフェリア。
 そのスカートからは少量ではあるが耐え切れずに漏れ出した一筋のきらきら光る雫が流れている。
 対するファナも中腰になって両手で股間を押さえる。
 僅かの間ではあったが左右の太腿の力だけで噴出を食い止めなければならなかったその部分からは、滴りがじわじわとスパッツに滲み、お尻の部分を円形に染め上げている。

「…………………………」

「…………………………」

 しばし無言で対峙する2人、そして…

「一緒に入りましょ♪」

「…そうですね」

 このままでは双方とも漏らしてしまう。
 表面上はあくまで穏やかに、あまりの尿意に引きつった笑みしか浮かべられないが…2人は一時休戦する事にした。



「じゃ、『いっせーの』で開けるわよ?」

「はい」

 2人はお互い片方の手でトイレのドアノブを掴みながら言う。
 もう片方は股間に添えられてるのは言うまでも無い。

「いっせ〜の、」

「せっ」

 2人の力が合わさり、ドアノブを回…

「…あれ?」

「…え?」

 ドアノブは一向に回る気配を見せない。

「ちょっとファナ、逆に回そうとしてるんじゃないでしょうね?」

「そんな事ないですよぉ…」

「いい?右回転で回すから、アンタも同じ方向に回すのよ?ちなみに右ってのはお箸を持つ方だから間違えちゃだめよ?」

「知ってますよぉ〜」

「それじゃ、いっせぇのぉ」

「せっ」

 …やっぱりドアノブは回らない。
 ひょっとしたら回さなくても開く扉なのかと思い、ドアを前後に押したり引っ張ったり、意表を突いて引き戸なのではと考え、左右に揺すってみても矢張りぴくりとも動かない。

「ちょっとぉ、どうなってるのよぉ!」

 本気で切羽詰っているらしく忙しなく足踏みしながら半泣きで叫ぶフェリア。

「あの…姉様…」

 切迫しているのはファナも同じだったが、彼女は比較的冷静に周囲を見回し状況を理解し、沈んだ声を姉にかけた。

「な、何…よぉ」

 歯を食いしばりながら答えるフェリア。

「えっと、ドアノブの横のところを良く見てください」

「はい、見たわよ、それがどうかしたの?!」

「気付きませんか?この扉、継ぎ目が無いんですよ…使ってる材質は違うみたいですが、ただ単に板を貼り付けてあるだけみたいで…」

「…え……」

 フェリアもそれが意味するところは理解できた、しかし心情的に絶対認めたくない。

「それに、本来女子トイレの隣にあるべきはずのもの、男子トイレも見当たりませんし…」

「嫌っ、それ以上言わないで!」

「つまり、これは…」

「聞きたくない、それ以上聞きたくないっ!!」

「これは『トイレでは無い』、ただのお化け屋敷としての飾りなのでは?」

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」

 ファナの出した残酷な結論にフェリアは顔を被い、その場にしゃがみ込んだ。

「姉様、気持ちは分かりますが、ここは一刻も早く他のトイレを探した方が…」

 声をかけるファナだったがフェリアは何も反応を示さない。
 しばしの静寂が流れる…

 1秒

 2秒

 3秒

 そして…

「あ〜〜〜〜〜っ、もういいわよっ!ここですりゃあいいんでしょ、すりゃあ!!」

 泣きながらフェリアは絶叫し、じっとり塗れたパンツを差し迫った尿意の為におぼつかない手つきでひきずり下ろす。
 ぷりんと、形の良く引き締まったシミひとつ無い可愛らしいお尻がファナの目の前に晒される。

「あの…姉様、仮にも女の子なんですし、いくらなんでもこんな通路のど真ん中でってのは…」

 冷や汗を流しつつ呟くファナ。

「そんな事言ったってもう限界なんだから仕方ないでしょっ!漏らすよりマシよ、ほら、アンタもさっさとしちゃいなさいよ!!」

 ぼろぼろと涙を流しながら叫ぶように言うフェリア。
 ガクガクと震えている両膝の奥、外気に晒された女の子の一番大切な部分からは、透明度の高い光り輝く液体がじわじわと漏れ出し、重力に従いすぐ下に位置する膣口を濡らし、そのまま肛門付近まで伝っては一滴づつ床へと落ちていく。
 ぱた、ぱた、と床に水滴を増やしながら少しづつ漏れていく尿、しかし、フェリアがいくら力を込めようともそれ以上の放水は起こらない。
 フェリアも一応女の子、このような場所で放尿することを頭が命じても緊張と羞恥のあまり、体が言うことを聞かないらしい。

「……くうぅっ」

 ファナはフェリアの言葉に対し、行動で返答をする。
 フェリアの反対側を向き、スパッツを下ろしつつしゃがみ込む。
 一人では恐らく絶対に出来ないであろう放尿という行為も、姉と一緒なら多分出来る、心の奥底ではほんの少しだけ姉を慕っているのかも知れなくもない妹はそう思った。

 腰を屈めると圧迫された膀胱から過剰生産された液体がぴゅるっと漏れる。
 それは尿孔から放物線を描いて飛び、ファナの身長ほども離れたところにぴしゃ、と落ちた。
 ファナはそのままふぅっ、と息を吐き、全身の力を弛緩させる。
 ズキズキと走る痛みと快感を覚えながら、尿意を堪えるにはあまりにも不向きな女の子の短い尿道を少しづつ通過してくる聖水の感触が判る。
 このまま、一気に……

「…姉様っ!!」

 慌ててスパッツを穿き直し、立ち上がるファナ。
 尿道に残留していた尿が漏れ、スパッツを太腿の辺りまで濡らしてしまうがそんな事は気にしてはいられない。

「な、何よ?」

「あ、あれっ!」

 ガタガタと全身を震わせながら…それは恐怖以上に限界を超えた尿意から来るものであるが…指差す先には、遥か遠くから、こちらに向かって通路を歩いてくる2体の屍の姿があった。

「くぅっ、こんな時に!」

 慌てて立ち上がるフェリア。
 パンツは膝の辺りまで下ろしたままだ。
 出掛かっていた聖水が太腿を伝い、下ろしかけたパンツに吸収されていく。

「ど、どうしましょう…?」

 半分恐慌状態に陥っているファナ。
 無理も無い、この場所は袋小路で屍と逆の方向に逃げる事も出来ない。
 なんとかして切り抜けるにも破裂寸前の膀胱を抱えた2人は満足に動くことも出来ない。
 無理に走ったりしたら物理的に膀胱が破裂してしまう事だろう。
 この場で全部出し切ってしまえばなんとかなるかも知れないが、屍が2人のいる地点に到達する前に失禁ないし放尿を済ませてしまう事など不可能に近いし、なにより嫌だった。

「ど、どうしましょうったって…」

 比較的冷静に事態を把握及び解決策を模索しているフェリアだったが、冷静だからといってこの絶体絶命な状況をそう簡単に切り抜ける方法など見つけられるはずも無い。

「姉様〜〜〜っ!」

 泣きながらフェリアに飛びつくファナ、普段では絶対にありえない行動だ。

「ちょ、ちょっと、ファナ…あっ!」

 ファナに飛びつかれ、パンツが半脱ぎ状態だった事もありよろよろとよろめくフェリア。
 妹の腕が腰に巻きついたままトイレのドアがあった場所に寄り掛かる格好になる…
 と、いきなりドアがドアノブのあった部分を軸に回転した。
 どうやら回転式の隠し扉らしい。

 ドアを見ればまずドアノブを回してみる、反応が無ければ飾りだと思って他の部分を良く調べる事無く立ち去る事になる、隠し部屋を設置する際、非常に適した隠し方と言えよう…そういう事にしといてくれ。

 ちなみに、女子トイレの扉があった部分の裏には男子トイレの扉の装飾がされていたのだが、それを2人が知る事は永久に無かった。どうでもいいことだし。
 そのまま向こう側の空間、隠し部屋へとバランスを崩しながらケンケンで移動するフェリア。
 ファナもそのままずるずると引きずられていく。

ばたん

 扉が閉まった。
 屍の索敵範囲がどのくらいかは判らないが、ひょっとしたらこの場を切り抜けられるかもしれない。
 そう思い、フェリアは息を吐く。
 と同時に襲い来る激しい尿意。
 元々とうに限界を越している上、腰に手を回したファナの腕が下腹を圧迫している形になって、いつおしっこが噴き出してもおかしくない緊急非常警報発令状態なのである。

「ちょ、ちょっと、ファナ…腕、どかし、てぇ、も、漏れ…」

 息も絶え絶えに訴えるフェリアだったがファナはわずかに残る恐怖心からかその手を離さない。

「ま、まって、下さ、い…ひょっとしたら…なにかあるかも…」

 恐怖心と共に好奇心から、辺りを見回すファナ。
 ひょっとしたら何かトイレの代わりになるものがあるかもしれない。
 もうツボでもビンでもグラスでもなんでもいい、早くこの欲求から開放されるものを…

「む〜〜、暗いです」

 部屋の中は真っ暗だ、辺りに何があるかも分からない。
 ふと、ファナは脛の辺りに冷たい液体の感触を覚える。

「姉様、もう、しちゃったんですか?」

「どっ、どぉ…し、て?」

「だって濡れてますよ、床」

 ふとそこまで言って、その液体が嫌に冷たい事に気付く。
 今漏らしたのなら、もう少し暖かいはずだ。
 嫌な予感がファナの脳裏をよぎる…

 と、その時、部屋が突然明るくなった。
 恐らく誰かが入ると自動的に明かりが灯る仕掛けになっているようだ。
 薄暗い光ではあるが、一応部屋の中が見渡せる。
 大きさは3メートル四方程度、床にはトイレの代わりになるようなものは何も無い、ただ所々に赤い水溜りが広がって……

 ……え?

 予感は更に大きくなり、見たくは無い、見たくは無いが、ついつい怖いもの見たさで水溜りの上へと顔を上げるファナ、そして、

「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 およそ普段の彼女からは想像できない悲鳴を上げるファナ。
 彼女の視点の先には…

 死体が、ぶら下がっていた。

 それは、あまりにも冒涜的な光景だった。
 3体、この屋敷の管理人と、先客のカップル、
 それが、まるで精肉場の肉のように吊るされていた。
 誰が運んだのだろうか、まだ潰された切断面…と言うにはあまりにも不器用な傷口からは真っ赤な鮮血と肉が覗いている。

じゅばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 ファナのスパッツからくぐもった音と共に、大量の聖水が流れ出る、いや、噴出すると言った方が適切か。
 まるで壊れた水道管のような勢いで放たれる尿はパンツとスパッツの2重の妨害を易々と潜り抜け、床へとほぼ一直線に放たれている。
 しかし、ファナはこの失禁に羞恥を覚える事は無かった。
 白目を剥き、よだれを垂らしながら気絶していたのだ。

「ひぎゃぁっっ!!」

 一方、フェリアもまた尿意の我慢に終止符を打とうとしていた。
 気絶する瞬間、一層力を込めたファナの腕に、膀胱が潰されんばかりに圧迫され、遂に屈してしまったのだ。

シイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ

 スカート越しに股間を押さえていた両手の隙間から勢い良く溜まりに溜まった聖水が噴き出す。
 それは押さえていたスカートの股間部分はおろか、お尻の方にまで飛び散ってスカートも、ずり下げられたパンツをも、余すところ無く染め上げていく。

 いつ果てるとも知れぬ2人分の失禁は室内を余すところ無く濡らしていき、独特のアンモニア臭が狭い室内に立ち込める。

(…あ、おしっこの匂い…でも、どうして……)

 限界を超えて耐えていた我慢からの開放に恍惚の笑みを浮かべながらも、フェリアは困惑していた。




続く

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