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 おばけ屋敷でGO!!   書いた人:北神的離

第8話 − 苦痛 −

 手に入れたのは、白い鍵だった。
 その部屋の奥にあった下へと続く階段を降り、
 今ここにいるわけだが…

 降りた高さを考えるとここは1階と思われる。
 階段からの扉は一方通行だったのか、もう一度開けようとしてもビクともしなかった。

 周囲に屍がいないか注意しながら、同じくこの階に戻ってきているであろう姉を探す。


 いた。


 そっと近づいてみるが、反応は無い。
 声を掛けようとすると彼女は震えながら顔を覆い……

 彼女の足元に体温と同じ温かさの滴りが零れ出した。





 おばけ屋敷でGO!!   第8話 − 苦痛 −




「はぁ…こんなのが実の姉だと思うと……」

「…うるっさいわねぇ…」

 通路を移動する2つの影…
 言うまでもないがフェリアとファナである。

「よりによってこんなトコでおもらしなんかしますか、姉様?」

「うっ、うるさいうるさい、あたしだってしたくてしたわけじゃないんだし、そんなに何度もおもらしおもらしって言わないでよっ!!」

 言ってから顔を赤くしてうつむくフェリア。
 自分で言った「おもらし」の単語に羞恥を感じたらしい。
 うつむきながらとぼとぼと歩く。

「あうぅ、パンツがぐちょぐちょゆってるぅ…」

 歩きながら、下半身から沸き立つ不快感に顔を歪めるフェリアだった。



「うっわぁ…とっても入り組んでますね、姉様」

 館の1階を屍の襲撃を幾度と無くかわしながら探索し、残すはこの迷路状に入り組んだ一角を残すのみとなった。

「ま、迷路抜けのプロと言われたあたしにとっては、こんなの簡単に覚えられるけどね」

「姉様、感だけは動物並みに鋭いですからね」

「そこ、うっさい」

 言いつつも迷路を突き進む2人。
 幸い屍に出会う事も無く、20分程で最深部へと辿り着く。

 そこは、ぼう、と薄明かりを放つ小部屋だった。
 壁に蛍光性の塗料か何かを塗っているのかもしれない。
 奥に、鍵穴が2つある小箱を発見し、そこに手に入れたそれぞれの鍵を挿し込み、開ける。
 中には小さな円盤のようなものが入っていた。

「これで、入り口の扉が開くのかな?」

「さぁ?とりあえず入り口に戻って試してみましょう」

 部屋を後にする2人だった。



「あれ、姉様、戻る道こっちですよ?」

 T字路を右に曲がろうとするフェリアを呼び止めるファナ。

「え…ええ、そうだったわね、でも、こっちにも何かあるかも知れないし・・・」

 答えるフェリアは小刻みに太腿を震わせている。
 一瞬で姉の状況を察するファナ。

「姉様……さっき漏らしたばかりじゃないですか」

「う、うるさいわね!」

 顔を真っ赤にして怒鳴るフェリア。
 先程の失禁では完全に出し切ってしまったわけではなく、まだ彼女の膀胱内にはかなりの尿が溜め込まれていた。
 そのうえ、替えのパンツを用意していなかったフェリアはずっと濡れたパンツのままだったので、下半身が冷えて、再び体内からの警告音を痛いくらいに聞く羽目になってしまったのだ。

「しかたないですね、また漏らされてもかないませんし、ちょっと探してみましょうか」

「うぐぐ…」

 ため息をつきながら通路を右に曲がるファナの態度に歯軋りをして悔しがるフェリアだった。



「あう〜〜、ここも違うぅ〜〜〜!!」

「姉様、五月蝿い」

 30分後、

 いくつかの行き止まりに差し掛かる2人、
 迫り来る尿意に耐えかねてじたばたするフェリア。
 対するファナも表面上は穏やかだが、内心はかなり尿意が差し迫ってきていた。
 そもそもファナもトイレに行きたくなければ、トイレ探しにつきあおうなどとは思わなかっただろう。

 ぷるりと身を震わせるファナ。

「あれぇ、ファナぁ、どうしたのかなぁ〜〜」

 そんな妹の様子に気付き、意地悪げな笑みを浮かべながら尋ねるフェリア。

「え…いえ、何でも…ああっ!!」

 誤魔化そうとするファナだったが、フェリアに下腹部を押されて苦痛に顔を歪める。
 まだ幼い少女のぷにぷにした肉の質感とは異質の、液体の溜まりに溜まった部分を突付きながらフェリアは満足そうに、

「あらぁ、ファナ、あんただっておしっこしたいんじゃないの」

「それはそうですよぉ」

 言いながら、既に隠す意味も無くなったのでせわしなく足をモジモジと交差しだすファナだった。



 更に30分

「あっ…あああぁ…」

 全身汗まみれになりながら、ブルブルと全身を震わせているフェリア。

「うっ…くぅっ」

 両手を太腿の間に挟み、前屈みになっているファナ。

 既に2人とも限界だった。
 ほんの少しでも力を抜けば、恥ずかしい滴りを噴出させてしまう事になるだろう。

 もはや2人の心を支えていたのは、お互いに相手より先に失禁したくないという、対抗心だけだった。

「う…も、もう…」

「げ、限…界……ぃ」

 そして、何度目かの曲がり角を曲がった時、2人が心の底から待ち望んでいた扉が涙で潤んだ瞳に飛び込んできた。





続く

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