っくう・・・あ、あたし・・・フェリア・・・
はぁ、はぁ、はぁ・・・
じ、実は今あたしはとても切羽詰った状況であります。
・・・え?どんな状況かって?
聞くなえっちすけべ変態っ!!
ぅくっ!!(叫んだので下腹に響いた様だ)
はぁ、はぁ、と、とにかく誰か、この状況を何とかして欲しいと深く望んでいる所存であります・・・
だれかぁぁぁぁ、たぁすけてぇぇぇぇぇ!!
第5章 限界への道程(げんかいへのろーど)
盗賊達が、ミゼットを捕獲に出てから少し後、フェリアは相変わらず縛られたままだった。
その間にも、体内の欲求は増していく。
太腿を擦り合わせ、その欲求を堪えたいフェリアだが、ディンクと呼ばれた見張りの盗賊がこちらを見ている為に、それすら出来ない。
「ちっ、ほかの連中は今頃ミゼットとお楽しみ中だろうってのに、俺はこんな所でガキのおもりかよ・・・。」
ディンクが誰にともなく愚痴をこぼす。
「ちょっとぉ、あたし、ガキじゃないわよ。あたしにはフェリアって言う立派な名前があるんですからね!」
「何?フェラ?恥ずかしい名前だな。」
「フェリアよっ!!」
「ああ、そうかそうか。俺はこれから昼食を食うが、お前も何かいるか?」
「結構よ。」
フェリアは即答する。
ただでさえ切羽詰っているというのに、これ以上体内に物を入れたく無い。
「そうか。じゃ、変な真似するなよ。」
言うとディンクは椅子に座り、昼食を食べ始めた。
「うっ・・・。」
フェリアは顔を歪ませ、太腿を擦り合わせる。
本来はこうしていなければ、欲求を堪える事が出来ないくらいなのだ。
もじもじもじもじ・・・
フェリアが太腿を擦り合わせていると、突然ディンクが振り向いた。
ぴた
慌てて動きを止めるフェリア。
首を横に向け、口笛を吹いてごまかす。
「???」
ディンクは首をかしげ、再び食事に戻る。
もじもじもじ・・・
くるっ
ぴたっ
同じやり取りがもう一度繰り返される。
(ははあん、そう云う事か)
ディンクは悟った。
これまでにも、年頃の女の子をこの様に監禁していた事が何度かあった。
中には、この様な反応を見せる子もいた。
いつもは床を汚されてはたまらないと、トイレに連れて行くのだが。
ディンクの心の中に意地悪な感情が浮き上がる。
幸いここには2人以外誰もいない。
目の前の綺麗な少女が太腿を濡らし、羞恥にまみれた姿をぜひ見てみたい、そう思った。
がたっ
ディンクは席を立ち、テーブルの反対側に移動する。
食事しながら、フェリアを見る事の出来る位置だ。
そこに座り直すと、フェリアを見ながら、ゆっくりと食事を食べ直す。
「・・・ちょっと、何のつもりよ。」
「あ?どうせ食事をするなら、綺麗な物を見ながら食べたいからな。」
「やめてよ、気持ち悪い。あたしはおかずじゃ無いわよ。」
「俺の勝手だろ。それとも何か?俺に見られていたらまずい事でもあるのか?」
「うっ・・・。」
フェリアは沈黙する。
(こいつ、気付いてやがる)
フェリアの戦いは続いていく・・・
「ぅくうっ・・・」
フェリアが軽くうめく。
ディンクは食事を終えた後も、フェリアをじっと見つづけていた。
フェリアは目を閉じ、眉をひそめたままじっとしている。
部屋の中はひんやりとしていて肌寒い位なのだが、フェリアの全身は汗でびっしょりになっている。
「どうした、汗びっしょりだな?」
「あ・・・暑いからよっ!!」
「それじゃ、扇いでやろうか?」
ディンクは棚から雑誌を取り出すと、フェリアの服をまくると、剥き出しになった腹部をぱたぱたと扇ぐ。。
「ひっ、や、やめなさいよっ!・・・ひゃぅぅっ!」
ゆるやかな風が、フェリアの腹部を撫でる様に通り過ぎる。
そのくすぐったいような感じに尿道が弛みそうになり、フェリアは堪らず声を上げる。
「どうした、暑いんだろ?」
「くっ・・・」
もう限界だ・・・そう感じたフェリアは、ついに『その言葉』を口にした。
「お願い・・・行かせて・・・。」
「ん・・・?」
「・・・に・・・行かせて・・・。」
「何だ?良く聞こえない。もっと大きな声で言ってくれ。」
「トイレに行かせなさいよっ!もう漏れそうなのよっっ!!」
「どれどれ?」
ディンクは言いながらフェリアの下腹部にそっと手を当て、軽く押してみる。
「きゃうっ!」
叫ぶフェリア。
「おーおー、もうパンパンになってるじゃないか。これは早く出さないと破裂しちまうよな。」
「判ったでしょ、早く縄を解いて、トイレに連れてってちょうだい。」
「だめだね。」
「ど、どうしてよ?」
「うちの盗賊団のしきたりでな、戦利品はボスの指示が無いと自由に出来ないんだ。もしここでおまえの縄を解いちまったら、俺がボスに殺されちまう。」
そんなしきたりは無いのだが、とっさに嘘をつくディンク。
「そういう事だから、ボスが戻って来るまで我慢するんだな。」
「そんな・・・」
フェリアは絶望感に包まれた。
それからどれだけの時間が経ったのだろうか・・・
一分一秒が今のフェリアには永劫の時間に感じられる。
可愛らしい顔は真っ青になり、常に襲いつづけている苦痛に歪む。
全身は汗びっしょりで、ぷるぷると震えている。
下腹部は服の上からでもわずかに膨らんでいるのが判る。
誰の目にも既に限界を超えている事は明らかだった。
「お、お願、い・・・もう・・・だめなの・・・。」
うわごとの様に呟くフェリア。
しかし、ディンクは椅子に腰掛けたまま、彼女の様子を観察したまま、動こうとしない。
「も・もう・げんか・い・・・いやぁっ!!」
膀胱の中を凶悪な水の魔物が駆け回るような感覚に身を捩じらせる。
「い・・・や、で、で、で、ちゃ、うぅ・・・」
目には涙が滲み、身体をびくびくと震わせる。
「いっ、い・・・いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
そして 破局は訪れた
じわっ
スカートに、染みが広がる。
太腿を液体が流れる。
ぷしゅぅぅぅ・・・
部屋の中に、液体の噴出する音が響き渡る。
「ああっ・・・止まらないよう・・・。」
長時間に渡って我慢を続けた放出は、思いの他長かった。
液体はみるみるうちに床に広がっていく。
「・・・ひっく、ひっく・・・」
鼻を鳴らしているフェリアに、ディンクが近づいてくる。
「何だ、いい年しておもらしか。恥ずかしいお嬢様だな。」
「ひっく・・・だって、だって・・・」
ぽろぽろと涙をこぼすフェリア。
どきっ
その可愛らしさにディンクは心を動かされる。
助けようという訳では無い、その逆だ。
(どうせ他の奴等だって、今頃はミゼットをいたぶり回しているはずだ。俺一人が我慢することは無いよな)
「さて、濡れたパンツは脱がさないと風邪ひいちまうよな。」
言いながら、フェリアの脹脛の荒縄を解く。
フェリアの足が数時間ぶりに自由になる。
(チャンス!)
フェリアの瞳に輝きが戻る。
次の瞬間、フェリアは行動を開始していた。
ドガァ!!
フェリアの蹴りが炸裂する。
軽く数メートルは吹き飛ばされるディンク。
「うわぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
ガシャァァン!
ディンクは、棚の一つに激突し、崩れ落ちた。
「乙女の怒り、思い知ったか・・・って、嘘ぉ!」
勝ち誇っていたフェリアだが、次の瞬間、顔を凍りつかせる。
ディンクがむくりと起き上がったのだ。
本来、非力なフェリアが打撃系の技を完璧に決める為には、技を放つ為の体勢や助走が必要不可欠。縄で上半身を縛られている状態ではその威力は格段に落ちる。
「おお、痛え・・・全く、とんでもねえくそガキだぜ。」
ディンクは手元にあった鉈を手にすると、フェリアめがけて横に凪ぐ。
ざくっ
フェリアの髪の毛が数本、宙に舞った。
「あ・・・ああ・・・」
鉈は柱に食い込み、フェリアの首筋すれすれで止まる。
フェリアは恐怖のあまり目を見開き、歯をがちがちと鳴らす。
しょろろろろろ・・・
フェリアの膀胱内に残っていたわずかな液体が弱い勢いながらも、太腿を再び濡らす。
「おかしな真似するんじゃねえぞ!」
フェリアは声も出せずに首を縦にかくかくと振る。
「ふっ、それじゃあ、御開帳と行こうか。」
フェリアのパンツがするすると引き下ろされ、つるつるのフェリアの部分がさらけ出される。
「い、嫌ぁ・・・。」
羞恥のあまり真っ赤になった顔をそむけるフェリア。
ディンクはフェリアの両足首を掴み、左右に開く。
「やあっ!見ないでよおっ!!」
フェリアは足をじたばたさせるが、全く効果が無い。
「覚悟するんだな。」
ディンクはズボンを脱ぎ、既に大きくなっている自身をフェリアに見せ付ける。
「え・・・・・?」
フェリアはしばらく呆然としていたが、ディンクの意図を察すると、狼狽する。
赤かった顔はみるみる蒼ざめていく。
「嫌あ!やめてよぉっ!そんなの、入らないわよおっ!!」
暴れまわるフェリア。しかしディンクは構わずにフェリアに近づいて行く。
フェリアの目に涙が浮かぶ。涙で周りが歪んで見える。
次の瞬間、歪んでいた視界が赤く染まり、フェリアは眩しさに目を閉じた。
山中・・・
一人の騎士が走っている。
彼はやがて、目標の人物を見つけ、近づく。
「ご無事でしたか、ミゼット様。」
そこに立っていたのは、王宮魔導師、ミゼット・ファラクだった。
彼女の周りには物の焦げた匂いが充満し、周りには無数の焼け焦げた屍が転がっている。
盗賊団との一戦でミゼットの出した命令は、突撃命令では無かった。
『これから攻撃呪文ぶっ放すから、逃げないと巻き添え食らうわよ』の合図だったのだ。
いかに屈強な騎士達でも、逃げ出すはずである。
「それで、こちらの被害は?」
「はい、かなりの数の兵が負傷していますが、ほとんどが軽傷、幸い死者は出ませんでした・・・あれ、どちらへ?」
「野暮用よ。あなた達は兵士を連れて先に戻りなさい。それからそこにうめいている生き残った盗賊達の処理も忘れずにね。」
「用足しですか?」
ミゼットの冷たい視線が騎士に突き刺さる。
騎士は慌てて口を押さえ、命じられた作業に逃げて行った。
「・・・只の、野暮用よ。」
ミゼットは、低く呟いた。
エピローグ
盗賊団のアジト内・・・
目を開けたフェリアが見たものは、黒焦げになり倒れているディンクと、その後ろで杖を構えている美貌の宮廷魔導師の姿だった。
フェリアの貞操はかろうじて守られたようだ。
「ミ・・・ミゼット様・・・ご無事でしたか・・・良かった、助かった・・・。」
フェリアは安堵し、ほっとため息をついた。
「ええ、どうにかね・・・って、フェリア、あなたいい年しておもらし?」
ミゼットは、フェリアの足元に広がる水溜りを見つけ、尋ねる。
「あうう・・・だ、だってずっと縛られたままだったし・・・ずっと、ずっと我慢していたんですよぉ。」
フェリアは赤くなりながら、ぷうっと頬を膨らませる。
「そう、大変だったわね・・・ところで、話は変わるけど、盗賊の生き残りが妙な事を言っていたんだけど・・・。」
ぎくっ
フェリアの表情が凍りつく。
この居場所を聞き出した際に、盗賊がフェリアの指示で行動していた事も一緒にばらしたに違いない。
「な・・・べ・・・別に盗賊のような悪党の言う事、嘘に決まっていますよ。どうか、お気になさらずに。」
「あらそう?それにしても、今回の盗賊たちの作戦は特筆に価したわ。完璧な行動、無駄の無い動き・・・作戦を指示した人は、まさに戦術の天才ね。」
「いやぁ、そんなに誉めないで下さいよ、照れちゃうじゃないですか。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「はっ、し、しまったぁぁぁぁぁぁ!!」
あっさりと誘導尋問に引っかかるフェリア。
「判ってるわよね、情報の漏洩は重罪って・・・。」
「そ、そんな・・・待ってくださいよぉミゼット様、こちらには一人の死者も出なかったじゃないですかぁ、大目に見てくださいよ・・・。」
ミゼットは沈黙して考え込む。
(確かに結果だけを見れば、こちらの死者はゼロ、・・・・・!どうしてこの子が言ってもいない事を知っているの?まさか、全て予測済みだったとでも言うの?だとしたら・・・この子、使えるかもしれない・・・)
ミゼットは、フェリアに言う。
「まあ・・・結果的にはこちらの被害は少なかった訳だから、特別に上に報告するのは止めておきましょう・・・でも、情報漏洩の罪は罪。罰として、しばらくこのままでいなさい。明日になったら、迎えに来てあげるから。」
「そ、そんなぁ・・・この時期、まだ夜は冷えるんですよ。こんな所で一晩も縛られたままだと、おなか冷えて、別のも出ちゃいますよおっ!!」
「そう・・・それじゃ、明日迎えに来る兵士達がどんな反応するか、楽しみね・・・」
「しょ、しょんなぁぁぁ・・・」
泣きながら呟くフェリアを放置したまま、ミゼットは帰って行く。
「だ・・・誰かぁぁぁ、たぁぁすぅけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
アジト内に、フェリアの絶叫が響き渡る・・・
これが、後にミゼットの側近となり、『封魔戦争』前哨戦で多大な功績をあげる事になるフェリア・D・ラティオの初陣の一部始終である。
(了)
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