ずぼらな妻       by 縛氏


もう、この嫁にはうんざりだ…
 昔は流行った歌じゃ無いが、炊事・洗濯まるでダメ…不景気だって言って、俺の小遣いは減らすのに、自分の物は衝動買い…しかもテレホンショッピング…もう預金も無くなった…
 …限界だ…あの計画を実行に移すしか無い…


 俺は知っている。昔、アイツが買った痩身器具…空気圧でマッサージをするってヤツだ…一定の圧力になれば弁が開いて空気を抜く…ところが、その弁に製品不良があって、死者が出た…
 家に有るのは不良品では無いが…その報道後使ってない…と言うか、本来は返品するのだが、元来の「ずぼら」…それを使おう…

 決行前日、夕食時に睡眠薬を盛った…
 ぐっすり眠り込んだアイツに、まずは媚薬をたっぷりアソコに塗って、バイブにもたっぷり塗って、入れてやった…俺とはまったくしないのに、こんなのを買ってやがった。媚薬は俺からのサービスだ!一回小豆大を…って、全部使った…
 バイブが抜けない様にスパッツを穿かせた…「穿くだけでダイエット」だと!箱に入ったままじゃねえか!
 待望の空気圧痩身器具…両腕の排気弁をチョットひねっただけで、簡単にエアーが抜け難くなった…これで完全にエアーが抜けないから、両腕を自由には動かせない
 顔には変なマスクを…小顔を作るそうだ…ウエットスーツ見たいな素材で、鼻から下を覆い、頭の後ろでベルト止め…これで声も出せないから、助けも呼べない…
 本当に良い物ばかり持ってるな…呆れる…
 最後にバイブの電池BOXを開けて、電池の代わりに充電器を繋いだ…スイッチをチョットいじって、強く押すとスイッチが切れて、押すのを止めるとスイッチが入る・・・そのスイッチを胸の谷間に挟んでやった。
 これでエアーが入って押されればバイブは止まり、エアーが抜ければバイブが動き出すって仕組みだ…
 そんなこんなでもう明け方…汗だくだ…
 一度ポンプを動かせて、エアーが抜ける前で止めた…これで動けない…エアーが逆流しないようにホースを折り曲げた…
 さぁシャワーでも浴びよう…
 シャワー後、いつものように朝食を作った…妻の分も…今日で最後だが…
 一人で朝食を済ませて…と言っても、いつもだが…寝室へ…
 異変に気付いて「んーんー」唸ってるアイツを横目に着替える俺…
 出かける前に、妻であるアイツに告げた…
 「今お前が着けてるのは、自分で買った美容器具だろ?俺の財産を食い潰して買ったモノだ!きちんと使えよ!」
 ホースをポンプに繋いでスイッチを入れた…
 体の回りが徐々に膨れて、ブシューとエアーが抜けた…腕を除いて…
 「じゃー行って来るよ」と背を向けてから、振り返って…
 「そうだ、俺より玩具の方が良いんだろ?これは俺からの最後のサービスだ!」
 充電器のスイッチを入れた…くぐもったモーター音…頭を振るアイツ…
 「昇天しろ!」と言って、家を出た…


 体の違和感で目が覚めた…苦しいのだ…息苦しい…何かが上に乗っかてる?…重い…
 「ん!?」体が動かない…って言うか、口も…何これ?
 「んー!んー!」おい!助けろよ!
 「んー!」グズ!何処に居るんだ?
 「…ん?」何だ?あそこ変だぞ…痒いし…なんか入ってる…
 「んーー!」何処に居る!グズ!何とかしろ!
 …寝室に入って来たが、こっちを見ても無視してる…
 「んー!んー!」なにシカトしてんだよ!早く外せよ!
 「んんー!んーー!」お前だな!こんな事したの!
 …旦那の言葉を聞いても…
 「んーんー!」こんなの知らねーよ!外せ!
 「ん!んー!」早く外さねーと、ただじゃおかねーぞ!
 …ポンプ音…ブシュー…エアーが抜けた…
 「ん?んーー!」よし!動けるぞ!…あれ?腕の所が抜け切らない…
 …再度の旦那の言葉…
 「ん!?ん〜」アソコの中をかき回しだした!…痒みの最中の不意打ち!
 …旦那が出てった事も解らない…
 …何度かの絶頂の後、バイブが止まった…その時はエアーがパンパンに…
 「んんー…んー!」あのヤロゥ帰って来たらただじゃすまさんぞ!
 …エアーが抜けたら、再びバイブ…
 「んん〜…」バイブが止まってた間に媚薬の痒みが…
 …何度目かを繰り返した頃…
 これって、昔買った痩身器具…確か、事故で死者が出たって言う…ちょ、ちょっと待ってよ!じゃぁ、私も?
 「んー!んー!」助けて!殺される!
 …更に何度目かの繰り返し…
 「んん〜…んー」どうしてよ?貴方が結婚してって言ったから結婚してやったのに…綺麗でいてやってるじゃない!…何が不服なのよ!
 …更に何度目か…エアーの抜けが悪くなってきた…
 「んーー!んーー!」誰か!助けて!


 夕方帰宅した旦那は救急車を呼んだ…パトカーも駆け付けて騒がしい一夜…

 …翌日の新聞には『痩身健康器具の事故死…商品回収に応じなかった主婦の悲劇』と…



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