ラストサプライズ
(1)

ここは向島、アラジンビルの地下の一室・・・・・。
コンクリート打ちっぱなしの照明をほの暗くした薄汚れて散らかした部屋に、若い女性ばかり4人が一か所に集まってなにかゴソゴソしているようだ。

近ずくと・・・・・
2人は黒いTシャツにジーンズ、1人は水色の開襟シャツにチノパンに作業用ベスト。最後のひとりは・・・ええ!? ウルトラマン!?。

その女性歳は二十代前半だろうか、よく見るとボディスーツではなくじゃなくて全裸に股間前張り、足先にもビニールを巻きブーツ風にしてその上からシルバーとレッド柄のウルトラマンのボディペイントを施されているのだった。顔や髪、乳首までもペイントされている。

裸同然の女性はただ1人丸椅子に腰かけて脚を前に投げ出して、周りの3人の女性たちから、なんと縄で手足を高手小手に縛られているではないか。
しかも縛られている彼女自身の指示によって・・・。
手首を後ろ手に高々と縛られた綾小路里奈は、胸を張って双乳を突き出し強い命令口調で何か言っている。

「ほら、もっと手首を挙げて!指先がうなじに届く感じで!・・・・このくらい大げさに緊縛しないとお客にアピールできないのよ。緊縛はより激しく、拘束量は多く。そうしないとお客はすぐに飽きるわ・・・バストの周りは8の字に囲んで形のキレイさを表現するようにくびり出す・・・そうそう良い形だわ。さあ今度は脚よ、しっかり縛って!。


この妙な柄のボディペイントのいでたちで縛られている女性、綾小路里奈の本業は歌手のバックでダイナミックに踊っているバックダンサーである。あの宝くじのCMで俳優のバックで踊っているダンサー、あの中で最もスレンダーなダンサーこそが綾小路里奈なのだ。
日頃ソリッドに鍛えたナイスバディは自信たっぷりもので、ちょっとしたおこずかい稼ぎにお遊び的に始めたマニア向けのアダルトDVD制作・販売が幸運(?)にも当たってしまったのだ。
里奈は面が知れるとまずいのでフェチマニア向けにウルトラマンにやや似たデザインのボディスーツと全頭マスクを発注してそれを使った。悪漢につかまり拘束・拷問を受けるがそれからの脱出を映像化させたのだ。しかもどこの誰だかもわからないという一石二鳥のアイデアである。


「和美、首縄忘れないでよ、しっかりしてよ!首輪がないと例のサプライズができないでしょ!」

和美は里奈の背後にまわると細引き縄を首に5巻きほど巻いて手首に絡ませて緩まないように締めて縛る。指1本分の隙間を作ったつもりだったが最後に締めた時点で隙間が無くなってしまったことに両者とも気がつかない。


しかしながら、脱出劇と言ってももちろん自力脱出なんてできっこない。これまでの全ての作品同様途中何度もカメラを止めてスタッフが少しづつ拘束を解いていく。そしてあたかも自らが拘束脱出を行っているように見せかけているのだ。


「小夜子、縛り甘いっ! もっと脚に食い込ませて!」

小夜子、和美、そしてカメラの恵理の3人は里奈の伸びやかで弾力ある美脚を揃えて縄を巻き、固く縄止していく。

「しっかり縛るのよ」

「はい  痛かったら言ってください」

「ふふふふ・・・」

・・・・・ギチギチに縛るのよ、痛くないわけないじゃない・・・金 金 金 お金よ・・・・・・

里奈はほくそ笑みながら心の中でひとりごちた。
そうなのだ。
金回りの良くなった里奈は同じ境遇の女性が陥るように、ドイツ製高級車やブランド品を買い漁った、が、目先のごく単純な欲望に歯止めがきかなくなり、クレジットローンが嵩んできたのである。そこへタイミング悪く次第にDVDが飽きられ収入が減ってきたのだ。
里奈はローン返済の焦りからDVDのシュチエーションを変えた。だが実際のところ、今回のような「複数」の拘束も緊縛「逆さ吊り」も、二つとも経験がない。
全ては机上のアイデアなのだ。

新鮮味を出そうとして拘束や責めを変えただけではなく、ボディスーツではなく素肌に直接ペイントを施す。
これには、里奈は圧倒的な自信があった。だってテレビのCMで踊るほどのナイスバディである。日頃のダンスで鍛えた筋肉はソリッドな肢体とくびれたウエストには腹筋が縦に割れ筋が入っている。
横から見ても、ヒップのトップ(もっとも高い所)は平均より高い位置にあってなおかつ、そのヒップの曲面は急カーブしてプリンと、まるで内部から突き出る感じで張っている。
ヒップのトップの上下の位置も腰に近く高いので当然脚が長いのだ。
太ももは上部の方がより発達し美しい曲面をつくり膝に近い部分は引き締まっ膝の皿骨に付着して、ふくらはぎはソリッドに張って引き締まった足首を形成している。
よくスポーツショップに見かけるメーカー宣伝用のウエアを着てポーズをつけた理想的なナイスバディのポスターモデルそのもと言って良い。
こんなナイスバディの女性が、ウルトラマン様のボディペイントが似合わないはずがないのだ!。もしろ彼女のプロポーションの素晴らしさを引き出して強調する。
里奈としては、十分 その計算があった。どうだ!と言わんばかりだ。


床に8本の革ベルトが伸ばして並べられている。里奈の肢体にスタッフ達は素早く革ベルトを巻きつけていく。
そのベルトは二の腕から乳房の上下を挟んで這い乳房をいよいよくびり出す。膝下や足首なんかは余ったベルトをもう一巻きしてバックルで引き絞る。もうギチギチである。

さらに拘束は続くのだ。

(2)

里奈を注意深く立たせると細めのチェーンを全身に巻きつけはじめた。本来の目的からいえば必要のない場所、ウエスト下腹部やヒップにもチェーンを這わせて絞める。硬く引き締まった尻肉にチェーンが食い込んでるのにヒップの張りがチェーンを押し返す感じで曲面をプリンと保持しているが、ウエストはチェーンの圧迫で臍の穴が歪んでしまっている。
最後に5個の南京錠でロックした。
ふらつくとチェーンと南京錠がぶつかって全身のあちこちからチャリチャリと音が鳴る。

腕と胸郭を3重の拘束で絞めたせいか呼吸が速く荒くなった。そのリズムで腹筋が波立つ毎にくびれたウエストにチェーンがギシリギシリと食い込んでしまう。

次の作業に移るのに、動くとすべての拘束が皮肉に食い込んで痛く、高々と後ろにねじ上げた腕の肩関節は特に痛くて、手がジンジンしてきた。

・・・やっぱし きっつううう!・・・なんか今まで以上に息しにくいし、バストも手も痺れてきたみたい・・・ちょっと拘束多かったかなあ・・・

里奈は息が苦しくなってきたのを自覚し動揺しはじめた。しかし、ここから先の状態の変化を予想できるわけではない。そう、今日の拘束はすべて机上のアイデアなのだ。したがって危機的な状態になった場合のストップのサインすら考えていない。
動揺よりも収入の方が優先なのだ。

「皆いい!? これから猿ぐつわと目隠しをするから指示ができなくなるわ。 段取りのとおりやって撮影するのよ。わかったわね!? それじゃあ、ああああああ」

そう言い終わると、あああ と言いつつ口を大きく開けた。
和美はその口に大きな丸い塊の布を押し込みその上からグレーの塩化ビニル製の横長タイプの猿ぐつわを噛ませて絞め、両目の上にもグレーの革の目隠しを縛った。

恵理はすでにファインダーを覗いている。
和美と小夜子が悪役である。
二人は里奈をそっと静かにうつ伏せに寝かせると恵理に向かって頭を縦に振った。

撮影が始まった。

「ふふふ キューティー・ウルトラ  こんな格好してどうしたんだよ! これからアンタを逆さ吊りにしてあげる。頭に血が登ってとても楽しいらしいわよ。オオラッ!」

和美は里奈の頭の方にくるとしゃがみこみ尊大な態度で話しかけ、最後に里奈の縛られた脚を蹴とばした。
里奈は身をよじって抵抗するが、その身の上から和美と小夜子が馬乗りになって押さえつけ、天井から垂れたフックを里奈の足首の縄にひっかけた。

「ンッ! ンッ!」

「フン 嬉しいくせにジタバタするんじゃないわよ! よし、引き上げろ!」

うつ伏せでもがく里奈の脚が先の方から上がっていく。拘束具の食い込む美腿はなぜか熱感をはらみ、ふともも前面が床から離れ、ついで陰部が離れる。顔と胸のみが床に残り金の鯱鉾のように海老反りになった。

「ウウンンン!」
(苦るじいい)

里奈の呻きを無視するように次第に吊られていき、シルバーに塗られた髪が床を離れ、さらに床から1メートルの高さまで吊られその位置で固定されてしまった。

「グウッ! グッ! ウっ!」

本気の呻き声が漏れてくる。
机上のイメージとちがって苦しいのだ。
多量の拘束具が筋肉群を圧迫してその運動力に制限を加え、腰を前後に振って振り子運動はできても高手小手縛りやそれらのせいで上体を起こし辛い。これでは演技云々以前に上体をおこして頭に血が登ってくるのを制御できないではないか。洩れる呻きもかすれた鼻濁音になっている。

演技ではないつのりくる苦痛で無意識に楽なポジションを求めて肢体をくねらせ、荒く速い息づかいに胸から腹を波立ち腹筋にチェーンを食い込ませ、ペイントした全身の肌から脂汗が滲んでいる。ボディペイントの分子構造はシンクロナイズドスイミングに使う化粧品と同じで水や汗にはびくともしない。要するに時間の経過とともに里奈の姿態が発現する凄惨美の本質は、演技からもはや拷問の苦痛に変容しようとしているのだ。

・・・多重緊縛逆さ吊りがこんなに苦しいなんて知らなかった・・・

予想外の苦しさに里奈は焦る。
かすれてうわずった声、ギチギチと拘束具を鳴らしてうごめく姿態、目隠しの下は充血して吊り目で浮腫んだ顔、焦りと真実の苦しさがかえって囚われて拷問を受けるキューティー・ウルトラの凄惨美のエロさに拍車をかける。

ファインダー越しの眼には、しかし里奈の苦痛はわからない。 そんなものわかるもんか・・・100%迫真の演技だと思っているのだ。忠実に里奈の指示に従ってカメラを回している。

和美がニヤつきながら濡れた革ひもと5キロの鉄アレイを2個かかえて持ってきた。
これが先ほど里奈の言った サプライズ だ。
濡れた革ひもは時間とともに縮む性質がある。この革ひもの一端を鉄アレイに結びつけ、もう一端を里奈の首縄に結びつける。その革ひもは時間とともに縮んでいきやがて首で鉄アレイを持ち上げることになる。言い換えれば10キロの鉄アレイで首を絞められ絶息、やがては窒息してしまうのだ。そうなる前にキューティ・ウルトラは拘束から脱出しなければならないのだ。
だが、これには里奈自身しか知らぬ作戦があった。 それは、5巻きした縄全てに革ひもを通せば首縄は革に引っ張られて皮膚との間に空間ができる。里奈は演技として脱出しながら吊られた身体をねじり回転させて喉元にこの空間をもってくる。時間稼ぎのヒヤヒヤものの演出なのだ。

では仮に、5巻きした首縄の1巻きの部分にしか革ひもを通さなかったら、同様に空間ができるのだろうか? 残りの4巻きの縄はどうなるのだろうか? 逆に絞められてしまうのではないだろうか・・・・・。

和美は鉄アレイをいったん床に置くと濡れた革ひもでキューティ・ウルトラの浮腫んだ顔をペタペタと叩いた。

「ほらほら サプライズだよ〜〜〜〜〜っと」

「ングッ! フグウッ! グッ!」

里奈の苦痛に気付かず、和美は革ひもを里奈の首縄全てに通そうとする。が、里奈は短い呻きを繰り返しながらその首を左右に振り、腰を前後に振ってもがいている。さらに先ほど手首に絡めて絞ったせいでゆとりがない。タイトすぎてなかなか通らないのだ。そうこうしているうちにカメラの恵理が手を回す。急げと言っているのだ。と、和美は強引に1本のみの首縄を引きずりだしてその隙間に革ひもを通して縛ってしまった。

「ンウウッ! ンウウッ! ンウウウウ!」
(駄目っ)  (駄目っ)  (やめてええ)

まるでファッキングのように尻肉を収縮させて懸命に腰を前後に振っていた。

「グフッ!・・・・・・・・・・」

鉄アレイと首縄をつなぐ革ひもがビンと張った瞬間、キューティ・ウルトラは感電したようにビクンと絶息して腰が止まった。もはや身体が振れれば首が絞まるからだ。

ボンレスハム状の全身から噴き出る脂汗をしたたらせながら、それでも身をよじり、首を左右に振り、なんとか自分の苦境を知らせようとするが全てのモーションが演技とみなされてしまう。

・・・エロいわあああ・・・

ファインダーを覗く恵理が唾を飲み込んだその時、上階にあがる階段登り口の脇に立てかけていた傘が勝手にパタンと倒れた。その倒れた傘にスタッフ達が視線を向けるのと同時に、地鳴りと震動が急に近づいてきたかと思うと、部屋全体が早く、激しく揺さぶられだした。手で支えるゆとりもなくカメラがガシャリと倒れたままスタッフ達は叫び声や悲鳴をあげた。


(3)

「地震! 地震だわ!!  きゃあああああああ!!!」

皆、床lに這いつくばっていると天井にヒビが走り、階段の天井が崩れかかりはじめた。


「早く上に出ないと地下に閉じ込められる!! 早くうううう!!!」

和美が叫びながら階段の方へ這い出した。

「フオオオオ!!  フグッ  フオオオオ!!  グッ」

里奈は悲鳴と絶息を繰り返している。吊られた身体が地震で柱時計の振子のように揺らされ革ひもがビンと張るためだ。首縄が絞まると肢体は感電したようにギクンと引き攣り背後の手のひらを反射的にひろげる。解放を叫ぶどころではない。

スタッフ達はそんあ里奈を放置して我さきに這って階段に殺到した。
揺れる階段を這いつくばるように登っていくと丁度踊り場で頭上のコンクリート階段がズガガガと崩れてきた!。

「ギャアアアアアアアアア!!!」

スタッフ達の頭上にコンクリート塊が直撃、さらに細かなコンクリート片や砂が降り注ぎ、3人は即死してそのまま埋もれてしまった。




揺れは収まった。

地下部屋の壁も床も天井も大きなヒビが無数に走り部分的に崩壊、陥没してしまった。そして、割れた床から都の地下巨大貯水タンクに誘導できなかった隅田川系地下水が滲むように湧いてきて床をヒタヒタと濡らし、溜まりはじめた。

そして、なんと里奈の姿は・・・

2個の鉄アレイのうち1個が床の陥没で宙に浮き里奈の首を5キロの力で絞めているではないか!。縄は首の皮肉に5ミリほどに食い込み特に喉頭を圧迫して嘔吐と涙眼を誘発させていて、棒状の猿ぐつわの口端から唾液と胃液を吐き滴らせながら、豚の悲鳴のような音を響かせて息を吸いこんでいる。

「アエエッ アウイイイイ ! ヒイイイイイイイイ」
      (和美いいい)

猿ぐつわのせいより喉の圧迫で声が出ない。出るのは嘔吐音と吸気音と、言葉ではなく泡を吹いて喉を鳴らす音だけだ。
逆さ吊りで顔が腫れたように浮腫み、引力によって吊り目になり、眼球は真っ赤に充血している。
逆さ吊りは江戸時代には死に至る拷問の一種で時間の経過とともに目・鼻・そして耳から血が滲み出てくるというものなもだ。

このようなことさえ知らぬ里奈は、絶息の苦しみから逃れようと猿ぐつわを噛み、呻き、和美の失敗で失われた喉と縄の空間を求めて身体を回転させようと、その身をねじろうと、肩とウエストに死に物狂いで力を入れる。が、和美の失敗で結局首縄全部によって首全周囲が絞められているのだ。どの方位に回転しようと無駄なのだ。しかし里奈にはそれがわからない。

「ハガッ ハガッ ハガッ ハガッ ハガッ  オエエ」

脂汗で濡れ輝くウルトラマン柄の姿態を、丸く締まった小尻の尻肉とウエストくびれの筋肉を交互にグイッグイッと動かしてねじろうとする。だが反動をつけてねじってもすぐ元の位置にもどってしまうのだ。それでもまたチェーンの食い込むくびれたウエストを狂わんばかりに左右にねじり繰り返す。乳首や肩先から汗を散り飛ばし、猿ぐつわからあふれ出る嘔吐の唾液が顔を下って頬を伝い目隠しを濡らす。

「ハガッ ハガッ ハガッ ハガッ ヒイイイイイイ」

・・・身体が、全身が痛い!・・・革ベルトが私の身体を絞めつけている!・・・チキショー、このままじゃあ首も身体も・・・早く脱出しないと本当にヤバイ・・・

「アオオオオオ!! ヒイイイイ アエアアアア!!」
(小夜子おおお)         (誰かあああ)

革ベルトが二の腕を潰さんばかりに食い込み、膝や足首の骨の部分が互いにゴリゴリ圧迫されてズキズキ痛んできた。長く、美しく鍛えた太もももペイントの下の皮膚が少し紫色がかってきている。 そう、ベルトの革が汗を吸って縮んできているのだ!。 里奈は汗みどろで焦り、喉を鳴らして助けを叫ぶが声にさえならず嘔吐と吸気を繰り返しペイントされた裸身をねじり狂わせる。だが皮肉にも、もがきによってますます汗が噴き出てその汗をベルトが吸い続け悪循環を繰り返しているのだ。

・・・いくらもがいても全然ゆるまない!・・・誰か来て!・・・早く解放してえええ!!・・・

里奈は狂わんばかりにその身をねじり続けそして突っ張らせ、震わせる。ペイントされた銀髪を振り乱し、拘束の間からピラミッド状に突き出た乳房をプルンと震わせ乳首から汗を飛ばす。



と、

振り乱す銀髪に何か冷たいものが当たっているような感触。濡れているような感じだ・・・

水?!・・・

里奈は一瞬、静止して目隠しの下の眉を恐怖に吊りあげた。

水面が上昇してきて髪を濡らしはじめている。ここに至ってはじめて地震によって水がこの部屋に侵入していることに気づいたのだ。

「ヒアアアアアアアアアアアアア!!!」
(いやあああああああああああ)

恐怖に引き笑いのようなかすれた悲鳴を上げた。
なんということだろうか!、このままでは縛られ逆さ吊りのまま溺れ死ぬではないか!。


ねじる運動はどこかへ吹っ飛び、嘔吐と呻き声を発しながら雁字搦めの裸身を打ち震わせ必死に縄抜けを試みる。背後に高く括った手指は革ベルトの間を出てピンと伸ばして縄目を探す。その指はあたかも昆虫の脚のように慌ただしく動いている。必死だ。

「ハガッハガッハガッハガッハガッ オエエ ハガッハガッハガッハガッハガッ」

水が頭髪から額、眼へと浸してきた。
水責め溺死の恐怖に首縄の食い込む濡れた首筋を強張らせて嘔吐と喉を鳴らせて息を吸い込む。手の甲の筋をカチカチに盛り上げて指先を震わせる。だが縄に触れても固い結び目に触れることはできない。

「アエァァァァァァァアアアア!!!  ヒイイイイイイイ」
(誰か来てえええええええ)

焦りと恐怖に震える指先で縄を挟み、水に浸かった顔半分を震わせ波紋をつくり助けを叫ぶが締まる首輪は容赦なく声を殺す。

水面はさらに上昇してくる。

顔が濡れる恐怖にその浮腫んだ顔を泣き顔に引き攣らせ、震わせ、猿ぐつわから泡を吹き飛ばす。 先ほどまでの小顔の美貌とは程遠く、汚く歪みうごめいている。
そして水が完全に里奈の顔を覆った。

「ヒイイイ  ズブブブブブブブ ング ング ング」

水が猿ぐつわと鼻から侵入してきた。ついに溺れだしたのだ!」
鼻の奥が痛み口にズブズブ入り込み、水を飲んでいるが逆さ吊りなので口の奥で逆流する。が、水面の上昇は鎖骨の高さで止まってしまった。しかしそれを感じる冷静さは里奈にはない。それを知ったところで・・・。

死に物狂いで泣き狂う里奈は気道に詰まった水を排泄しようと無意識に腹筋で頭を水面から出そうとする。ウルトラマン柄の腹筋が盛り上がりチェーンがそこにサディスティックに食い込む。急激に増殖した己の欲望を制御できず、自分が望んだ3重の雁字搦めの拘束でお得意の腹筋運動さえまともにできない。しかも首に繋げた鉄アレイのせいで首が絞まってほんの少しも上体を上げられないのだ。
美しいナイスバディの姿態以外は、見苦しく嘔吐と呻きと泣き声を発しながら、まるで釣り上げた魚がテグスの先でビンビン暴れるように持ち上げた頭をバシャバシャと何度も水面に叩きつけている。

「ングングングングング  ヒイイ! ングングングング  ンボオッ!」

・・・死ぬううう!!・・・

首が締まるのも承知で、全身の拘束具をわが身に食い込ませながら頭を水面から上げる。太ももの筋が立ち、めり込み、腹筋と乳房がプルプル震える。

「ヒッ!・・・ギッ!・・・クフッ・・・・・・・・」

水を滴らせてかろうじて顔が水面から出た。が、首絞め絶息の状態では呼吸なんてできっこないのだ。

バシャン!

力尽きて水中に放りだす。苦し紛れに再び同じことを繰り返す。」

バシャン・・・・・・バシャン・・・・・・バシャン・・・・・・・

背に高く括られた手を空気をつかむように閉じてはパッと開き、赤とシルバーに塗られたスレンダー美体をビンビン暴れさせてバシャンバシャンと水を飛ばし延々と水を飲み続けている。恐怖のあまり前張りの下から失禁を溢れさせ、もがき狂うくびれたウエストからバスト、首から顔を伝って流れ、己が排泄した尿の混ざった水を飲みつづけるのだ。


その頃、地上ではようやく緊急自動車が動きはじめ、首相が対策室の要請を発令したのだった。


綾小路里奈は緊縛逆さ吊りの姿で、ウルトラマンのペイントや拘束具という衣装を身に着け水を相手に踊り狂っている。
全裸のスレンダー美体を惜しげもなくさらして、いったいいつまで踊り続けるのだろう。




」「ンガアアアアアア! ングングング  ガアアアアアアアアッ!ングングング」
(誰かあああああ)            (助けてえええええ)
    





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

戻る