最期のエスケープショウ
オリガは屋外プールから1人密かに抜け出して、濡れた水着のまま社長の部屋に侵入する。
デスクの引き出しを開けて書類を確かめ、それを小型カメラに写して部屋を出ようとするが、4人の黒いTシャツの男に見つかってしまう。
オリガは空手を使い抵抗するが多勢に無勢、男たちによって縄でホッグタイに拘束されてしまう。そして木箱に詰められ、人気のない屋内プールに運ばれ時限爆弾を仕掛けられ水中に投げ込まれてしまう。
ここから脱出・エスケープする。
これは探偵ボンデージをアレンジしたもので、今回のオリガ・エスケープショウのシナリオである。

西暦2016年 アメリカ国内においてエスケープアーチストは供給過多気味であり、アーチスト同士で生き残りをかけた競争も激化、成功のため足を引っ張り合うことなど茶飯事のこととなっていた。
エスケープアーチストのオリガ・ウルティンスカヤは27歳。 18歳でモデルを夢見てロシアからアメリカに移住。3年前までは「プレイボーイ」のワイルド系モデルをやっていたナイスバディで、現在は腰まで伸びた髪を切ってモデル稼業を止め、アメリカ人好みのセクシーな水着を身につけてドラマ仕立てのエスケープショウをやり、アメリカエスケープアーチストの女王として君臨する9歳年上のキャサリン・デハビランドを抜くほどの人気を博していた。

というのも、オリガは全米でトップの座に着くためにエスケープを研究したわけではなく、このような演出に力を入れる一方で裏でかなりあくどいやり方でライバル達、特にキャサリン・デハビランドを陥れ自分がトップの座に着こうと画策していたのである。
キャサリンはオリガの画策を知ったがそれだけでなく、大したエスケープテクニックも無いのにエロチックな水着でのボンデージ拘束とストーリー性を待たせた演出で成功していくオリガを、激しいジェラシーで憎んでいた。
そして罠を仕掛けたのである。
今回のエスケープショウのシナリオを入手すると、オリガのスタッフを4人とも高額の現金で買収したのだ。 



「私がサムにまわし蹴り一撃した直後 デビットが背後から私の両腕    を羽交い絞めにして床にうつ伏せに倒すの。 そしてサム エド ジェレミーが寄ってたかって私を拘束する」

デビッドが補足するように言う。

「ここはモタモタすると醜いからスピーディーにやった方が良いね!」

「ええ そうね!・・・それじゃ本番の準備! 衣装着替えて来るわ」


30分後、オリガは数人の水着エキストラと一緒に最初のシーンである屋外プールに出てきた。
現れたオリガの輝かしいばかりの肉体美に放送スタッフは一同に息を呑む。特にウエストから足までのほど良く鍛えた引き締められた筋肉美はワイルドでありながらも素晴らしい脚線美をつくり、エロチックな水着の形がさらにそれを強調しているのだ。
水着は例によって右3分の2は黒 左3分の1は3本のシルバーチェーンを組み合わせた鋭角のVフロントにTバックのGストリング水着である
。股間と乳首をチョット隠すだけのもの。さらに臍につけた銀の臍ピアスはワイルドなセクシーさを印象つけている。
エスケープの実力は低くても、引き締まったワイルド系プロポーションでのボンデージ姿は視聴者の眼をテレビ画面に釘付けにさせる。
これでは36歳のキャサリンが嫉妬するのも当然である。


ショウが始まった。生放送でやり直しがきかない。

4人の男たちとの格闘に負け、オリガは全身汗を噴出し、Tバックが水と汗で尻にピタッと食い込んでるのも知らず、ハーフーと荒い呼吸で肩を上下させている。
男たちはそんなオリガをわざと、デスクと応接椅子の間の狭い空間にうつ伏せに倒すと、今まで何十回もやってきたようにすばやく拘束していく。
両手首を背中で縛り、太もも、膝上、膝下、足首に縄をクルクル巻いて、一方では別の手が、ハンカチを口に押し込み、上から押さえの布で縛り、眼にも縛った。
見たところ、いつもと同じ縄がけである。

ところが、男たちは足に巻いた縄を腕に力コブが出るような力でグイィと締め上げ、さらに弛まぬように閂縛りを施したのだ。手首も同様だ。

「んうっ・・・うううっ!」

オリガが予期せぬ痛みに思わず呻く。
縄を縛る力がいつもより数段強いのだ!。
しかも、縄がけの仕方もいつもの弛めの高手小手ではなく、胸の前で縄がX字にクロスする菱縄縛りで、さらにその上からバストの上下をギチギチと縛っていく。

「ふうっ!・・・ふううううう? んううううう わうううっおうううう!」
       (どうしたの?)(キツイわよ)(縛り方もちがうわ!)

動揺するオリガは、かろうじて目隠しから露出してる額に横シワを作って顔を上げ、不安の声を漏らすが、猿轡のせいで何を言っているのかわからず、男たちにさえ小さな意味不明の呻きにしか聞こえない。

しかしデビッドは、縛られたオリガの背中側をデスクの脚元の方へ横倒しにして、ホッグタイ状に膝を曲げさせて縄を通しながら、小声で返事を返した。

「オリガ 問題ないよ。それより今3番カメラがアップを映している。君のセクシーな魅力を全米の視聴者に見せつけるんだ。カメラを意識していつものように脱出しようと精一杯もがくんだ。」

デビッドが言ってる間に、エドワードがオリガの顔とカメラの間に入りこみ、カメラを遮る。
デビッドはさらに小声で話しつづける。

「力を抜くんだ・・・息を思いっきり吐いて・・・ハアーーーッ!」

動揺するオリガは、言われるままに鼻から息を全部吐き出し身体から力が抜けたその瞬間、男たちは足首と肩甲骨をつないだ縄を力任せに引き絞った。

「ふぐうっ!・・・・・んううっ!・・・ううっ!・・・」

瞬間的にオリガの足先が後頭部にポンと当たる。足が頭に着かんばかりにオリガの身体を逆海老縛りに反らせるとすばやく縄留めした。
縄留めが足先と髪の下に隠れる。同時に猿轡と目隠しの上にも縄を巻き、首をのけ反らせると足首に縛りつけた。
いつものゆるいホッグタイではない。
息を吐かされ身体の力を一瞬でも抜かれてしまったのだ。「虚」をつかれてしまったオリガは、たったの20秒で、新体操の技のような形の、凄まじい逆海老縛りに拘束されてしまった。
男たちは間髪を入れず背中の縄尻をデスクの脚に縛った。オリガが転がったり、暴れすぎるのを抑えるためだ。

わざとほの暗く演出した部屋の、デスクと応接椅子の狭い空間に、頭を奥に、逆海老反った脚を手前に、逆ノ字の形に転がされた。カメラのアングルはオリガの肉体に水平に迫り、前面の胸から下は映せるが、背中側やのけ反って向こう側を向いた顔は死角になって映せないという計算なのだ。

もともと大した縄抜けテクニックなど無く、エスケープショウの「売り」をグラマラスな肉体美と段取りだけに依存してきたオリガである。こんなに雁字搦めに拘束されては、縄抜けどころか中止の意志さえ伝えることができない。

「ふっ、んふっうううっ!・・・うふっうううっ!・・・」

オリガの抗議の言葉はくぐもった呻きにしか聞こえない。

「オリガ、カメラがアップしてる、頑張って」

デビッドたちは小声で適当にあしらい、次の演技に移るため奥へ引っ込んだ。

オリガは焦る。

・・・違うわ!こんなに激しいボンデージじゃ縄抜けできない。木箱に入れられる前に中止しないと私は・・・私は箱の中で溺れ死ぬか爆死!・・・冗談じゃないわ!・・・

オリガは身をゆすりながら、ショウの中止を訴えようと懸命に呻きはじめた。

「うほっうっ!・・・うっ、うっふう、んふううう!・・・うほっうっ!・・・」
(中止よっ!)         (ほどいて!)

しかし、実情を知らぬ放送スタッフはいつもの演技だと思い込み、誰も撮影中のテレビカメラを遮って近かづかない。

・・・通じない・・・このままでは箱に閉じ込められプールに投げ込まれてしまう・・・

オリガはついに縄抜けしようともがきはじめた。
だが、いつもと違う縄がけで雁字搦めに縛られて、さらに背中の縄尻をデスクに固定されているのが、まさにキャサリンや男たちの思惑どうり、完璧にオリガの身動きを封じていた。
痺れて紫色に変色した両手首は高い位置で縛られて、指を伸ばしてもどこの結び目にも届かず、頭をのけ反らせて固定されてはイヤイヤと首を振ることもできない。
縄抜けどころか縄1本弛まず、肉体を細かく揺さぶってもがくのが精一杯だ。

・・・時間が無い・・・早く縄抜けしなければ・・・

カメラは、呻きながら汗みどろで必死にもがく、ワイルド系のグラマラスな肢体を舐めるように映していく。
渾身の力をだして身を揉むたびに縄がグイグイ食い込む美しく引き締まった大腿筋。 恥毛が見えんばかりにずり下がったGストリングの下腹部のもっこり。 汗が流れる割れた腹筋と、そこにビクビク力が入るたびに揺れて光るへそピアス。 そのへそピアスからしたたる汗。 そして縄の食い込んだバストに、汗の光るのけ反った首筋と、視聴者受けを狙って、ことさらにセクシーな場所をエロチックにクローズアップしていく。

「凄い!・・・オリガは今までに無い迫真の演技だ!」

オリガはあえぎながら必死に猿轡の下から呻き声を絞り出す。

「おおー! うっ うっ ふうっ・・・んううううううっ!」
(違うー!)           (ほどいてえっ!)

誰も言葉とは思わない。いつもの演技だと思っているのだ。
それどころか放送スタッフも視聴者も皆、セクシー水着で緊縛されたワイルド系のグラマラスな美女が、いつプールに放りこまれるのか、どうやって脱出するのかと、固唾を飲んでもがくオリガの肢体を見つめているのだ。

「んううううぅ!・・・ふおおうっ!」
(ほどいてぇ!) (誰かあっ!)

半泣きの呻き声を上げながら、汗みどろで死に物狂いで身をゆすってもがき、海老反ってピタリと閉じて縛った美しい太ももを、強引に開こうとする。
力を入れるたびに大腿筋に縄が激しくめり込み、紫色になって大腿四頭筋が盛り上がってプルプルと震える。その震える太ももを、カメラが再びアップで映すのだ。

4人の男は、青いシルクで作った大きい袋と、子供用の棺桶サイズの木箱を抱えて再登場し、引き締まった美しい肉体を見せつけながら汗みどろでもがくオリガに近づく。
デビットはオリガの背中の縄尻をデスクの脚から解きながら、小声で話しかけた。

「オリガ、素晴らしいもがきだよ。いよいよクライマックスだからもっと凄絶なのを頼む・・・」

「ふおおーっ!おおーっ!うっ、うっ うほおっう!おおーっ!」

男たちは転げて抵抗しようとするオリガを押さえつけ、曲げて海老反った太ももから青いシルクの袋に入れはじめた。

「わっううえううう!・・・うほおっう!・・・えええうっ!」
(誰がこんな事!) (止めてえ!) (助けてえ!)

袋詰めなんて予定にはない! すでに顔色を変え、ここをせんどに呻き声を上げて抵抗するオリガだが、逆海老に雁字搦めに縛られた女がまともに抵抗できるはずがない。
いったん袋の中に押さえつけられた頭を、死に物狂いで全身の筋肉を突っ張らせ、再び袋口から顔を突き出して猿轡から叫ぶ。

「えううううううう!!」
(助けてーーー!!)

しかしこの呻き声を最後に、また男たちの手で、頭までスッポリと袋に入れられてしまった。
男たちは袋口をまとめて縛ると、袋の上から数本の幅広の革ベルトを首、胸、腹の順にオリガの身体に巻きつけてギューギューと締めていく。それだけでオリガは呼吸困難に陥った。
そしてデスクの前に転がした。

「んうううっ!・・・んうううううう!!・・・・・・・えうううう!」

シルクの所々が噴き出る汗に濡れて変色し、広がり、必死にもがくオリガのグラマラスな肢体に張り付き、再びワイルドに引き締まった美しいボディラインがあらわになっていく。

首をベルトで締めたため、頭がまるでテルテル坊主のような形になって、いびつなまでに拘束された異様なオーラと、ビクンビクンと細かくひきつるような必死のもがきが、いっそう異様なエロチズムをひきたたせる。それをカメラが舐めるように映していくのだ。

男たちは袋詰めのオリガを抱えると、横に倒して木箱に入れた。

「ふうっ!んぐうっ!ふうううううん!んううううっ!」

オリガはベルトや縄をギチギチ鳴かせながら死に物狂いで抵抗する。
Tバックのヒップを激しくひきつらせ、引き伸ばされた腹筋をヒクヒクと捻じり、頭を細かく振ろうとしている。
しかし4人の男にとっては赤子の手を捻るようなもの。それどころか真実を知らぬ放送スタッフや視聴者にとっては、これは素晴らしい演技なのだ。

「うほおおっう!!えうううううう!!えううううう!!」

「視聴率、今日が最高だと連絡があった、素晴らしいじゃないか」

命乞いを絶叫するオリガにデビットは小声で出まかせを言いながら、木箱の蓋をバタンと閉じた。
その上からチェーンを幾重にも巻きつけ南京錠をかけ、そこに時限爆弾を挟み込む。
すして4人で木箱を抱えると屋内プールの縁に来た。
木箱を置くと30キロの鉄球を4個チェ−ンでつないだ。

オリガは泣き呻きながら必死にねじ上げた手首を動かそうとしていた。
すでに酸欠で苦しみはじめている。
鉄球をつなぐ音が聞こえる。
プールに投げこまれてしまえば万事休すなのだ。

「えっ!・・・んう ううっ えぐうううううう!」
(たっ!)        (助けてーーー!)

オリガの叫びが微かに聞こえた。男たちは一瞬目を合わせ、ニッと笑いながら木箱と鉄球を抱えると、ワン・ツー・スリー!とプールに放り込んだ。
木箱は小さな放物線をかいて、すぐ下の水面に叩きつけられたが、すぐさま鉄球によって水中に引きずり込まれていく。

「えぐうううう!!・・・えうう・・・・・・・・・・・・・・」

オリガの悲鳴は、水中に没してまったく聞こえなくなった。

木箱は細かな気泡を撒き散らしながら、プールの底に着いた。
水中カメラがオリガの閉じ込められた木箱をとらえる。

木箱の隙間から、細い糸のような水が水鉄砲のように入ってくる。
雁字搦めに縛られた両腕を、さらに木箱の底と蓋とで左右からがっちり押さえつけられ、細かくもがくこともできない。
しかし水中カメラが、木箱の蓋が微妙に上下しているのをとらえた。
オリガが縛られた両腕の肘を死に物狂いで押し上げ、脱出しようとしているのだ。
だが、外へ出られてもそのままなら溺れ死ぬのは同じこと。

今度は縄を解きにかかる。
両手をピンと反らせ指をのばす。指先にどこかの結び目が触れる。それを摘まもうとして指を曲げると、指先が結び目から離れる。

木箱に水が溜まってシルクの上から、ヒップの割れ目や顔の半分を覆いはじめた。
猿轡に水がしみこんでくる。

「ふうっ ふうっ ふうっ ふうっ ふぶっ ぶぶぶぶぶぶ」

2分が経過した。
木箱から細かな泡がピタリと出なくなった。
オリガのグラマラスな美しい肢体を、水が完全に覆った。
ついに水を飲みはじめたのだ。頭を強打したときのように瞼の裏が真っ赤に見える。

「んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ んぐ」

木箱の壁に押し付けられた喉をんぐんぐ鳴らし、ワイルドでならしたTバッグの引き締まった美肉をひきつけて、水を間断無く飲んでいく。

爆破20秒前。
放送スタッフや視聴者にざわめきが起こりだしたが、あれは全てトリックでオリガは爆発後に再登場する、という話しも飛び交う。

そして・・・・・

5・・・4・・・3・・・2・・・・・・・・・・・

4人の男がセットの影でほくそえむ中、プールから白い水柱が盛り上がった。
 
オリガ・ルティンスカヤ・エスケープショウ 最後のシーンであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・終わり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

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