続 悪夢の遊戯 その6 |
「ヒグウッ・・・・・・・ヒーーフッヒフヒフヒフヒフヒフ」 また息が詰まる。ベルトの縮みが止まらない。 背筋をきしめ、頭をプルプル震わせながら必死にのけ反り息を吸い込む。 顔を天井に向けたまま、高くねじり上げられた両手を不器用にひねり、首輪のリングに結び付けられた革ベルトに、ボンデージスーツに包まれた指を蜘蛛の足のように絡みつけようとする。 縛めを解こうとしているのだ。 しかしハイヒールの踵やベルトが邪魔をし、指もツルツル滑って結び目をつまめない。 焦って手の甲の筋が盛り上がり、指が震える。 そうしている間にも、益々呼吸が苦しくなり、ベルトも首を引き絞ってくる。 「ハアッ!ウッ!・・・・・・・・・・・・・」 再び痺れるような快感が子宮から背筋を貫き、同時に首が絞まる。 「・・・・・・・・ヒグウウウウウウ!ヒフヒフヒフヒフ」 必死の形相で快感にたわんだ背筋に力をいれると、やっと泣き声の混ざった呼吸音が出た。 全頭マスクの下、由佳は恐怖に顔をひきつらせて泣いていた。沢山の男達をあご先で使っていた由佳とはとても想像できない姿である。 全頭マスクは頬骨やとがった顎が突き出るように縮み、マスクの上から表情筋がわかるほど密着している。乳房や尻や脚だけでなく、苦痛と恐怖で、眉やギャグを噛んだ頬の筋肉がうごめくのだ。 指をベルトに絡みつかせ結び目をさがす。見つけるとまた快感が背筋へ貫き指がベルトから離れる。 「フグッ!・・・・・・・・・・・・・・・・・」 また絶息。 窒息の断末魔にもがきながら、再び指をベルトに絡みつかせる。 「・・・・・ヒフ・・・ヒフヒフヒフヒフヒフ」 かろうじて呼吸音が出るが、首が引き絞られてベルトを握りしめる以外何もできなくなってしまった。 「ングウウウウ!!ヒフヒフヒフヒフ ウウウウウウ!!」 (誰かあああ) (助けてえええ) 「ヒフヒフヒフヒフヒフヒフヒフヒフ ウウウウウウウウ!!」 (助けてえええええ) マンションの窓の下には雑踏や車がひしめいている。しかし、由佳の助けを求める叫びは誰の耳にも届きはしない。 セルフボンデージ・・・・スチールメタリックに輝くナイスバディ・・・・・ その己が美しい肢体を、自らアクロバティック曲芸のように凄まじい逆海老縛りに拘束したのだ。 このボンデージ肢体を見つめているのは、ただ自分でセットしたビデオカメラだけである。 呼吸音が途絶し、窒息にもがく由佳・・・そして・・・。 「ヒフヒフ ヒッ ン!・・・ン!・・・ンン!・・・・・・・・・・・・・」 ・・・終わり・・・ |