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 第3章 乙女の懇願 -2-

 それからの薫は地獄の苦しみを味わった。
二十歳まえの乙女が、他人の前で排泄するなど、死ぬほどつらいことである。
しかも、薫が尿意を耐えるために腰を動かすたびに

「お、なかなか挑発的な腰の動きだね」
とか
「ほお、また下の口がぱっくり口をあけたね」

と、縁が冷やかすため、薫は腰も動かせなくなってしまった。

(嫌。こんな奴の前で漏らすなんて絶対嫌)

そう決心する薫であったが崩壊のときは刻一刻近づいていった。
 薫の全身から脂汗が滲み出る。
もう言葉を発する余力もない。そのような薫の姿を縁は面白そうに見つめる。

 やがて・・・薫に限界が訪れた。

「いや、いや、見ないで!!・・・」

そういうと、薫は全身の力を抜いた。
薫を苦しめてきた尿意から開放される・・・はずであった。
しかし、相変わらず尿意が薫を責める。
薫が驚いて股間を見ると、先ほど付けられたクリップのせいで尿が留められているのが判った。

「はずして!クリップをはずして!お願い!」
「どうしたんだい、お嬢ちゃん。おしっこしたいんじゃなかったのかい?」
「クリップで出ないの!はずして!」
「それが人にものを頼む頼み方かい?」

縁はそう言うと、薫の耳元で何かささやく。薫は目を見開いて

「嫌!そんなこと、誰が言うもんですか!」

と叫ぶ。

「そうかい。じゃぁ、ずっとクリップはつけたままだね。それでいいんだね?」

そう縁に言われると、薫は選択の余地がなかった。薫の目に多量の涙が浮かんだ。こんな屈辱的な言葉を言わなくてはいけないなんて・・・。意を決したように、薫は一語一語、呻くように言葉をつむいだ。

「縁様。どうかクリップをはずしてください。そして、淫乱で露出狂でスケベな私が派手におしっこを漏らすところを見てください。お願いします」

そう言い終わるなり、薫は泣き始めた。今日何回目の涙であろうか。
縁は、満足そうに言葉を聞くと、ゆっくりと薫の股間に手を伸ばし、クリップをはずした。

 まるで滝のような音を出しながら、薫の股間から水流が流れる。
その音に合わせるかのように、薫が声を出して泣き始めた。

 時間にして30秒もなかったろう。
薫にとっては永遠にも感じられるほど長い30秒だった。

 やがて、水の流れが止まった。

「まったく派手に巻き散らしましたね。せっかく置いたたらいなのに、まわりがビチャビチャじゃないですか」
「まったく、お嬢ちゃんには乙女の恥じらいってものがないんですか?」
「こんな姿を見たら100年の恋も冷めちゃいますね」

等といいながら縁は床を拭いている。
薫は排泄行為を見られた恥ずかしさと、屈辱的な言葉を口にせざるを得なかったショックですすり泣いている。
縁が

「気持ち良かったかい?」
「拭いてあげようか」

などと言ってもすすり泣きながら無言で頷くだけだった。
股間を紙で拭かれても反応1つしない。
縁は独り言のように

「ふうん。剣心には不釣合な女だったな。この程度で屈伏するとは・・・」

とつぶやくと、地下室から出て言った。

(剣心!)
その一言を聞いて薫に生気が戻った。

(そうよ。この程度でまいってはダメ!。剣心が来るまで頑張らないと)
(剣心だって頑張って探しているはず。それまでなんとしても耐えないと)
(この程度で落ち込んでいては剣心に笑われちゃう)
そう考えると、薫に再び気力が戻ってきた。

 縁が部屋に戻ったころには、元の誇りを取り戻していた。
縁は薫の目に生気が戻っているのを見て、自分の独り言が無駄でなかったと知りひそかにほくそえんだ。この程度で言いなりになるはずがない。
何度も地獄に落としては救い、落としては救い・・・してからでないとだめだ、と知っていた。
縁は今日中にもう1度、薫を地獄に突き落とすつもりであった。

To be continued.


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