序章 その1
高橋清治は、体操そっちのけだった。何故なら、目の前ではティーシャツ姿の紺野顕子が、椰子の実のような双乳を惜しげもなく振り回しながら準備体操をしているのだ。体操どころではなかった。顕子の胸の揺れる様を一瞬たりとも逃すまいと、清治は食い入るように見つめる。 腰を回す運動をするために、顕子は上半身をそらしている。無論視線は上の方を向いているため、清治の視線には気が付いていない。一方の清治は、上を向いた顕子の双乳をじっくりと堪能する。 ……最高だあ、顕子先生 ……今日も顕子先生を想っていっぱい出します! 今度はその場で跳躍する運動になった。顕子の乳は、彼女がジャンプする度に重々しく上下に揺れた。ティーシャツは布地が薄いものだった。大きなサイズのブラジャーがくっきりと見えている。そこがまた清治を興奮させる。さらに、後ろで無造作に束ねられたポニー・テイルが律動的に揺れるのがまた堪らない。 ……先生!先生!先生! ……ああ! ……あう!う! その体育の時間中、清治は濡れた下着と格闘し続ける羽目になったのは言うまでもなかった。 体育が終わり、次の授業のために清治達は自分たちの教室に入った。5年2組の教室は体育後の妙な開放感でいっぱいに満たされていた。ほとんどの生徒が机に付かずに、立ち話やプロレスごっこの様なじゃれあいをしていた。清治は体育が終わるとすぐに便所に行って自分のパンツをティッシュで拭いてきた。だが、大の方のトイレでその作業をしているときに、とんでもない会話を耳にしたため、机に付くことも出来ずに教室中を油断無く見回すのであった。 教室の中に先ほどの会話の主がいるはずだった。何故なら、その会話の主達は、顕子を担任と称したのだ。 大のトイレに入ってまもなく、二人連れがトイレに入ってくるのが解った。清治はなんとなく生理的に大の方に入っていたという事実を知られるのがいやで、しばらくじっとして外に聞き耳を立てていた。すると、その二人連れは全く大用のトイレに気を払う風もなく、小用を足しながら、会話をはじめた。 「いつもながら俺たちの担任はたまんねえ乳してるぜ」 そこまで聞いて清治は、先ほど顕子を見ていたときと同じように心臓が激しく動くのを感じた。どこかで聞いたことのある声だった。担任と顕子を言った訳だから、同じクラスの人間だろう。だが、はっきりと誰かまでは解らなかった。このクラスになってから、まだ2月程度だ。全く話したことのないクラスメイトもまだ居たのだ。 二人がトイレを出ていったのを確認して、大急ぎで後を追ってトイレを出たが、もうその辺りには誰も居なかった。 「おい、高橋。おまえよう」 「あ、牧田くんか」 「高橋、おまえ、さっきの体育でずっと紺野を見てたよな」 「そ、そんなことないよ」 「いいんだって。俺も見てたんだからよ。紺野の奴、ホント遠慮会釈の無い乳してるよなあ」 「んで、ものは相談なんだが。高橋、おまえ俺たちの仲間にはいんねえか」 そのとき顕子が教室に入ってきた。まだ席に着いていなかった生徒達が蜘蛛の子を散らすように一斉に自分の席目掛けて走り出す。その騒ぎに呑み込まれるようにいつの間にか牧田は清治の隣から姿を消していた。自分の右斜め後ろの方にある牧田の席を振り返ると、何事もなかったかのように、神妙な顔で席に着いていた。 ……寒河江君か……。 ……一体何をする仲間なのかな?俺が顕子先生を見つめていたということで誘われたんだから、きっと顕子先生に関するものだと思うけどそれ以上考えても答えは出るはずはなかった。清治に与えられている情報は少なすぎるのだ。とにかく今日寒河江の家に行けばそのすべてに答えが得られるはずだと、清治は考えることをやめた。授業に集中しようと教科書を持ち直す。不意に、顕子と目があった。どきっとするのと同時に、先ほどの顕子のあられもない姿を思いだした。 今顕子はティーシャツから着替えて、白いブラウスにパンツルックである。だが、ブラウスの胸元を持ち上げている隆起は、ティーシャツと何ら変わるところはないのだ。ただ、その胸が揺れているか揺れていないかの違いだ。 ……ああ!また、勃起してしまった ……顕子先生! 寒河江の家につくと母親が出てきて、子供部屋に案内された。そこにはすでに牧田の言う仲間たちが集まっていた。 「な?来ただろう」 「まあ、こっち来て座れよ」 「あははは、そうびっくりすんなよ。俺たちはここでこういう本を読んで色々研究してんだよ」 「ああ、これか。でっかいだろう?どうも、あっちの方では、こうやって大きい胸の女はちんちんを挟み込んで扱くのが流行ってるみたいだな」 「すごい。すごいな。おっぱいでちんちん挟むなんて」 「高橋。おまえ、こういうでかいおっぱい大好きだよな?」 「そうか……ということは、おまえも紺野顕子を素っ裸に剥いて、こんな感じで挟み込んで欲しいんだろう?」 「俺も顕子先生をこんな風にしたい。そのための仲間なんだろう?だったら、俺も仲間にしてくれ!」 「おっけー。高橋。おまえを俺たち紺野顕子を乳奴隷にする会の四人目の会員にしてやる」 「乳奴隷?」 「俺たちは、おっぱいが大好きなんだ。そして、紺野顕子も大好きだ。あんなにおっぱいが大きくて綺麗な女の人なんて、この先俺たちが大人になってもいるかどうかすごくあやしい。だったら、今この時に、俺たちは紺野とセックスしたりすべきなんじゃないかと気が付いたんだ。そして、一旦セックスしたら、それをネタに何回もセックスするんだ。奴隷にしちゃうんだ。でも、紺野は乳が大きいから、愛嬌を込めて乳奴隷だ」 ……乳奴隷、なんて素晴らしい言葉なんだ! 「高橋はちんちんおっきいから、紺野も喜ぶぜ」 「そ、そうかな?」 北原の言葉に清治は苦笑した。かれのペニスは大人のように包皮がめくれあがって、亀頭が完全に露出していた。無論、そのサイズも小学生とは思えないほどの大きさであった。かつてはそのペニスでからかわれたりもしたのだが、今ではそれがみんなに必要とされているのだ。 「そうだぜ、高橋のちんちんがなかったら、紺野をいかせらんないぜ」 寒河江と北原が牧田に続くのを聞きながら、清治は会心の笑みを思わずこぼした。自尊心を擽られるなどということは、教室ではかなり地味な方の清治にとって、ほとんど生まれて初めての出来事であったのだ。 |