酒と煙草

この文書では、『キン肉マンII世』での酒や煙草という小道具に注目しました。

ゆでまんがでは、酒は、薬物です。

楽しく乾杯とか、酒はどう醸すかとかいう話はなくて、「落ちぶれて酒浸り」とか「酒の勢いで何かやらかす」とかばかりです。酒は意識を変える薬なのです。

「酒に溺れる」という光景は、初代ではありません。
ですが、二世ではサンシャインが串カツ屋で飲んでいたり、悪魔の種子編で飲んでいたりします。
読み切り版のキン肉マンのウルトラの父とか、『SCRAP三太夫 (2)』のウォーズマンとか、『キン肉マンII世』のブロッケンJrとかは、アルコール依存症の域に達しているような気がします。

「酒の勢いで何かやらかす」は、万太郎等ですね。
万太郎が酔ってスカーに、パンツドライバーとか。バッファローマンが、酔ってミートに「チンコには毛が生えたか?」とか。
酔って「女」にセクハラだと、シャレにならないので、酔って「男」にセクハラという、ゆでたまご先生なりの遠慮の表れなのでしょう。たぶん。
読み切り版のキン肉マンの、「ウルトラの父が、酔って妻以外の女性を押し倒して、キン肉マンを作った」という話に比べれば、こちらの方がギャグで済むと言えば、済むのかもしれません。個人的には、そろそろ「男性の男性にセクハラされない権利を守る会」とかが、結成されてもいいと思います。

酒浸りの描写は、梶原先生から受け継いだもののひとつかとも、思います。
梶原作品には、主人公の父親が酒浸りの『巨人の星』や、主人公のコーチが酒浸りの『あしたのジョー』があります。
その背後には、星一徹や丹下段平の、栄光と転落のドラマがあります。そこから「おまえだけがいきがい」という形で、弟子や息子に栄光をつかむという期待がかけられます。

丹下段平の「かつてはボクサーだったが、体をこわして引退し、弟子にも逃げられて酒浸り」設定が、アシュラマンに逃げられた話をしながら、串カツ屋で飲んでいるサンシャインになったのでしょう。
アシュラマンが悪魔の種子編で復活するときは、サンシャインは本当に「弟子に逃げられて飲んでる元コーチ」になっていました。

梶原作品に比べると、ゆで作品の登場人物の方が、栄光ではなく、人(友や弟子)を失って嘆いている印象があります。三太夫のウォーズマンやサンシャインはそんな感じです。ただ、二期生編にしろ、究極のタッグ編にしろ、ブロッケンJrは、親しい人との別れを、嘆いているという印象がありません。

ゆで先生には、酒に依存する者は、人にも依存するという、見方があるような気もします。

煙草

反社会的な殺し屋や不良少女のアクセサリーです。ボーン、凛子等。

葉巻について

キン肉マンII世 究極の超人タッグ編 (9) 』の葉巻をくわえている著者近影は、前田日明のパロディでしょう。


初出2007.11.23 改訂 2007.11.23

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